最近、私の知り合いのサイトのいくつかが、Google八分にされている。Google八分とは、Googleで検索したときにリストに出ないように削除されることである。つい最近も、平和新軍観察会のサイトがGoogle 八分された。
Google八分をしかけてきたのは、民事で係争中の 「ラーメン花月・平和神軍事件」の一方当事者、グロービートジャパンという会社と考えられる(他に利害関係者はいない)。
Googleという会社の基本姿勢は、「個人の主張と企業の主張では、企業の言いなりになる」というものである。私が知る限り、Google八分にされているのは、「特定企業を批判している個人のサイト」であった。サーチエンジンの順位をアルゴリズムで決めているというのは実は正しくなく、恣意的に見えなくするいうことが陰で行われている。問題は、誰かの権利の侵害をしているといえないサイトでも、Googleの独断と偏見で一方的に見えなくされてしまうということである。つまり、訴訟で係争中ということは、判決が出るまでどちらの言い分が正しいかわからないわけで、結果次第では、権利侵害など無かったということもあり得る。だが、それを待たずにGoogleは検索結果を操作した。
Googleだって私企業だから、何をどうしようがGoogleの勝手ではある。そのかわり、「Googleの検索結果からはある特定企業にとって都合の悪い情報があらかじめ削除されている可能性がある」ことを意識して使わないと、検索結果に騙されることになる。
教養教育では「科学リテラシー」というタイトルで講義しており、学生にはレポート課題として、「科学的にみて怪しい宣伝を選んで、何が怪しいか、どうすれば検証できるか議論せよ」といったものを与えている。毎回、ネットから情報を拾ってくる学生が多数いる。レポートは、学生が自分で考えて書くことになっているから、検索したとき批判サイトが出てこなくてもかまわない。その場合でも、Google八分の存在については教えておく必要がある。
私は、高等教育の目的の一つは「王様は裸だ」と言える人材を養成することだと考えている。調べ学習なんかで教えられる「ネットは便利だからどんどん使いましょう」だけではだめである。大学まで来たのならはやっぱり、「一見中立に見える情報が実はゆがめられている可能性を意識しながら使う」ことが出来ないとまずい。情報リテラシーに関連する講義をしている先生方には、ぜひ、Google八分についてもきちんと教えていただきたい。
ユーザーがとれる消極的な方法としては、複数のサーチエンジンを使うこと、もっと言うなら、複数のサーチエンジンが存続できるような使い方をしていくことが大事だろう。何でもかんでもGoogleに頼っていてはいけない。一極集中が弊害をもたらすのは、サーチエンジンの場合にもあてはまる。
もう一つの方法は、Google八分されたサイトだけを登録する検索サイトを有志で立ち上げるというものになる。「Googleに引っかかるサイトの数>>(越えられない壁)>>八分されたサイトの数」は今後も成り立つだろうから、Googleの向こうを張って設備を増やす必要はない。ただし、Google八分を仕組むような企業はろくでもない悪徳企業であることが予想されるので、そういうサイトを作れば当然圧力はかけられるだろうから、脅しに屈しないだけの理論武装と対抗手段を持たなければならない。従来のマスコミによる情報伝達ルートを併用して、サイトの存在や活動を宣伝するといったことも必要になるだろう。