高校で数学IIIをやってない人向けの補習を5コマ目にやっている。今日が2回目で、終わった後学生さんと少し話をした。
通っていた高校が進学校ではなかったので、理科は化学のみで物理も生物もやってない、数学III, Cもやってない。高2から理系文系の振り分けがあって、理系に行くと古文・漢文が全く履修できない。仕方がないからセンター試験対策で予備校に通って短期間でフォローして受験した、という話だった。
そのくせ、高校の先生は「大学に受かれば後のことは知らない」「受験に出ないからやらなくていい」と履修内容を削りまくっている模様。
ゆとりが最初におおっぴらに始まったのは丙午の私の代からなんだが(それまでになかった「ゆとりの時間」が導入されたりした)、それでも、高校でのコース分けは3年になってからで、古文だって文系より時間が少ないだけで3年でもやっていた。社会科は、政治経済、地理、世界史、日本史と全内容をやったし、理科は、物理化学は全部、生物地学も高校の内容の半分程度は終えた。数学も、全内容を終えた。公立の進学校だったので、数学については大学入試の問題をやる演習の時間まであった。
まあ、使わない知識は忘れるから、今では、古文漢文は現役高校生より情けないことになってるし、生物や地学もダメダメだが、もう一回手を出そうと思ったときの敷居が相当低くなっていることは確かである。
今は高校でやる内容が様変わりして、減らされまくっているので、自分が高校生の時のことを考えてカリキュラムを作ってもどうもにならない。人材しかいない資源のない日本でカリキュラムをがたがたにするなんて、文部科学省は一体何を考えているのか。
受験だけ考えて履修内容を減らしたら、せっかく大学に入っても進級できずに留年、最悪では進路変更を余儀なくされたりして、学生が悲惨なことになるだけである。大学も大学で、教養部を解体したのなら、大学受験の方を全科目受験にして、全分野にわたるそこそこの知識の水準を確保しないとまずいのだが……。実際には、少子化で受験生を集めるために負担を減らす方向、つまり受験科目を減らす方向に向かっている。
なお、この2週間は数IIIをやっていて、今週から行列とベクトルの話で数Cの範囲から始める。自分がやっていた受験勉強が今頃になって教えるのに役立つとは思わなかった。というか大学の教員になってから役立つとは思っていなかったよ……。