ハートマーク
メールの末尾にハートマークを付けただけでセクハラ認定されたという記事。
教授が女性向けメールに「ハート」、セクハラで処分
徳島大大学院(徳島市)で50歳代の男性教授が女性職員に対し、携帯電話で業務用メールを送った際に、絵文字の「ハートマーク」をつけていたとして、同大は20日、「セクハラ行為にあたる」として、この教授を懲戒戒告処分にしたと発表した。
大学によると、大学院ヘルスバイオサイエンス研究部の教授。昨年1~5月に、携帯電話で送信した業務用のメール約60通のうち約10通について、末尾に数個の「ハートマーク」を添付していた。文面は資料の準備や会議室の予約を指示する内容だった。
女性職員からの相談を受けた大学内の人権調査委員会が教授に聴取。同委員会に対し、教授は「女性がはっきり『嫌だ』と言わなかったので続けたが、メールの反応などで嫌がっていると感じていた」と話したという。同委員会は「不快感を与えていると認識しながら続けており、上司として不謹慎。
教授という立場を考えて、厳しい処分とした」と説明。青野敏博・同大学長は「今後このような事が起きないように、教職員の服務規律の厳正な保持を図りたい」とのコメントを出した。
メールにハートマークを使っただけで服務規律違反てのはあまりにも信じがたい。つか、何でもかんでもセクハラ認定すればいいと思ってるのか。言い出す女性も女性だし、「嫌がってると感じていた」って言い出す教授も双方が妄想入ってるように見える。これまで目にした大抵のセクハラ報道は「なるほど確かにそりゃイカンよなあ」と思うものばっかりだったのだが、今回のはちょっと何かが違うように思う。
つか、ハートマークじゃなくて☆なら良かったのか?[:スペード:]や[:ダイヤ:]や[:クラブ:]なら良かったのか?
これはさすがにおかしいというかセクハラの認定基準に疑問を感じたので、とりあえず、私自身のメールの、本文と書名の区切りを当分の間全部ハートマークに変更することにした。(文字コードとフォントの関係で無理だとわかったのAAで入れることにした。ってか、一体どうやってメールにハートマークを入れたんだ?この教授。環境によっては文字化けしまくるぞ。)っつーことで、業務だろうがプライベートだろうが、標準署名にはもれなくハートマークがくっつくことになる。学科のセクハラ防止対策委員などやってるわけだが、口説いても誘っても居ないメールにハートマークがついていただけでセクハラ認定しろと言われたら、それはそれで無茶な話だと思うわけで……。まあ、ハートマークもうっかり使えないこんな世の中じゃ(ryってことで。
ハートマークなんか記号に過ぎないんです。偉い人にはそれがわからんのです。
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学会の予稿締め切りが近いのだが
物理学会の予稿締め切りが近い。ニセ科学シンポジウムの予稿をどうまとめようか迷っている。
タイトルが「水商売ウォッチングから見えたもの」だからなぁ。
○世の中はかなりあやしいものであふれている
○おかしな情報でもコピペでどんどん広まる
○一度広まると消すのはほぼ無理
○科学の無理解が共通点にある
○科学の知識が足りないというだけでなく、科学とは何かがわかってないために起きる勘違いにもつけこまれている
○相談を受けることが多い、消費者は本当に困っていたりする
○信じてしまった人を引き戻すのは大抵の場合無理
○お役所からの相談では、怪しい理論で書類を書いてきた企業に補助金が億近くつくこともある。この意味で、まっとうな科学とニセ科学は研究費のパイを奪い合う関係にある
○怪しいロジックには共通点があるーーインチキを主張しておいて違うというなら立証しろ、と、立証責任を他人に押しつける
○脅された場合の対応次第では、逆に信用を落とす
○ほとんど個人でこの手の批判活動をするのは実は大変。法曹関係者との連帯も必用だし、訴えられにくい書き方というのもある。(批判のノウハウ)
○景表法は、科学における立証責任のありかに、社会の側を合わせるはたらきをしている。公正取引委員会の役割は重要。
○立証責任とか名誉毀損とか営業妨害とか、あとは、教団アレフ摘発の裏話。
○特許に権威が伴わない、ということの確認。
○科学の知識があればニセ科学批判は可能かというと、そうでもない。それなりに時間も手間もかかる。脅された場合の防衛方法とか、ブラフかどうかの見切りの付け方とか、学門と関係ない部分が支えになる。
○正しい知識を広めるという、理学部なりの社会貢献としては一定の成果が出たと思っている。私はたまたま水をテーマにしたが、怪しいものの分布は他のテーマでもあると思うので、それぞれの専門分野で数人程度、手がける人が出てきてほしい。
○憲法でいう「学門の自由」が企業の利害と対立する形で正面きって争われた例はない。産学連携のいい面ばかり強調されているが、今後は産との対立もありうる。
まとまらねぇ……。
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支援のお願い:環境ホルモン濫訴事件
中西氏のウェブサイトから応援のお願いが出たので、こちらでも取り上げておく。
既に何度か話題にしたように、国際シンポジウムで京都大松井教授が行った発表について、中西氏がウェブで内容を批判したら、名誉毀損で訴えられてしまった。しかし、口頭弁論を三回もやっても、文書のどこが名誉毀損か原告が特定できないという状態が続き、反訴が行われた今になっても、やはり原告は名誉毀損の事実を指摘しようとしない。
民事訴訟の証拠方法は自由である。環境ホルモン濫訴事件:中西応援団のサイトでは、松井氏が当日発表したスライドとテープの反訳や、提訴の原因となった中西氏の雑感を公開している。
そもそも、名誉毀損が成立するには、名誉毀損された人の社会的評価が変わらなければならない。松井氏の発表内容とそれに対する中西氏のコメントを見た普通の人が、「松井氏の社会的評価が変わった」と感じるかどうかを知りたい。発表内容に対してこの程度のコメントは通常ありうることだと思うようであれば、社会的評価が変わったとはいえないだろう。
この提訴の原因となった雑感が通常人の感覚で名誉毀損にあたるか?ということについて、皆さんが考えるところを、A4の用紙1枚に書いて、中西氏の私書箱宛に送って欲しい。受付は1月20日からである。メールでテキスト直打ちで送る場合は、分量の目安がワープロにしたときA4で1枚程度と考えてかまわないだろう。
細かいフォーマットは決めていないが、裁判官が読みやすい文書であることが望ましいので、紙で送る場合でも。本文はワープロで作り、最後に自筆で署名するというのがいいと思う。提出した文書は裁判で証拠書類として扱われるので、誰でも裁判所に行けば見ることができる。このことを認識した上で、個人の名で、意見を出してほしい。
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ML経由の話題なのだが
秋山明胤という人が「磁気による植物革命」という香ばしい本を出しているとか。どっかで聞いた名前だと思ったら、私のぶっつぶれた学位仕事がらみだった。
私が東大の院で軽部教授から与えられた、「微小グルタミンセンサを用いたラット小脳の計測」の前任者が、この秋山氏にいろいろ習っていたらしい。前任者はポジティブな結果を出して修士で卒業したが、実はそれがアーチファクトだったことが判明し、私のテーマはつぶれ、博士課程の3年間を棒に振った。
何が問題だったかというと、神経伝達物質を測定するのに、シナプスの外にセンサーを置いたのではダメだろうということである。神経伝達物質はよく制御された状態で生体内で使われ、速やかに再吸収されるので、シナプスから外に漏れてくることはないかというのがその理由である。さらに、電気刺激をした場合、刺激のための電気信号と測定系が干渉して、物質だか電気信号だかわからないことになってみたり、電気刺激でかけた電圧でリンゲル液が電気分解されて、その生成物を測定している状態だったりで、まあどうしようもないテーマだった。
当時の研究室の人の話だと、秋山氏は、微小センサーによる脳の計測はもともと自分が始めたのに軽部教授にまねされたと、文句を言っていたらしい。軽部教授は相手にしていなかったが……。
その後、このまま続けていたのでは、単なるアーチファクトを成果として発表する羽目になりかねないと思ってテーマごと変更して、脳からもセンサーからも足を洗ってしまった。以来、ずっと忘れていたのだが、全然関係ない集まりでいきなり秋山氏の名前が出てきて驚いた。しかも、今でも微小センサーで神経伝達物質を測定しているらしい。そうなると、植物も磁気も関係なさそうなので、ちょっと謎である。
なぜか、私と過去ににニアミスした人たちがそっち方面に走っていることが多い。秋山氏は今回新たに判明したのだが、マイナスイオン水の山野井昇氏は、私がゼミに通ってい先の研究室でもあり学位論文の主査でもある(元東大医用電子研究施設の)神谷先生のグループの人である。その後、千葉の放医研に行ったら、直後に山本氏の「気の研究」が隣の部屋で始まった。このネタは、別冊宝島「トンデモさんの大逆襲」にも出ている。その山本氏のところに手伝いに来た人は、「人間の意識で観測結果が変わる」という発表を日本物理学会の生物物理のセッションでやっていたしorz。
絵心
TOSSヲチ掲示板の方では、描画指導の酒井式に対する批判が出ている。本当に描きたい子供にお仕着せのやり方を押しつけるのはまずいとか、言われたとおりに描いたのでは絵を描く力は身に付かないとか、そういった議論が出ている。
じゃあ、普通の人に必用な(義務教育で身につけるべき)絵を描く能力ってどんなもんだろうと考えてみた。自分から進んでスケッチブックを持って出かけたり、好きな漫画やアニメの絵を描いたりする人たちについては、ご自由にどうぞ。その中で、上手くなりたいと思った人は、本を買ったり誰かに習ったりして腕を上げていくだろう。じゃあ、特に絵を描く趣味もない人にとって必用な絵画の能力って何だろう。
実は同じようなことを国語についても考えていた。漢字の読み書きや日本語のてにをはの使い方を学ぶのは最低限必要なことであるとして、誰にでも必用なのは「文章で他人に何かを説明する程度の作文能力」ではないかと思う。詩や短歌や小説など、文学的なものを書くのは、それが好きな人に任せておけば良い。そういう趣味の無い人が日常生活で必用になる作文能力は「文章で自分の考えを伝える」「マニュアルとなるような文章を書く」ということだと思う。感情を伝える文章よりも情報を伝える文章の方が、実用という点では大事なのではないか。
国語と同じに考えるなら、絵画の場合は「人に絵で何かを伝えることができる」というのが到達目標になるのではないかと思った。デザイナーが描いたようなきれいなものである必用はないが、最低限、図と簡単な文章で何かを説明できる程度に描ければいいのではないか。すると、絵画の場合、「漢字の読み書き」「てにをは」にあたるものをまず学ばないといけないが、それが何になるのか、美術には素人の私にはよくわからない。
こんなことを考えているのは、ついこの間illustrator CS2を買ってしまい、テキスト片手に使い方の練習の真っ最中だからかもしれない。思い通りに動かせないベジエ曲線に悩んでみたり、下絵取り込んでトレースの練習をして肩が凝ったりしている^^;)。実際、説明用の図をイヤでも描かなければならないことは時々あるのだ。
そういえば、広島大学で助手をやっていたある日、教授に呼び止められたのを思い出した。
「緊急事態なの。絵心はある?」
「え、絵心……ですか?」
言われた側としては、「緊急事態」と「絵心」が一体どう結びつくのか状況がわからず、一瞬固まってしまったわけだが。大体、そんなことを急に言われても、助手募集の書類で求められた内容に「そこの教授と一緒にやっていけること」「学生実験の指導ができること」「主要な業績」なんてのはあったが「絵心」は無かったぞ……、と、とにかく事情をきいた。学会のポスターの原稿の発注を忘れていて、3日のうちにMacで作ったファイルで印刷所に入稿しないと間に合わないのだが、既にデザイナーを捜す余裕もなく、Mac使いは私以外にほとんど居ないという状態だということだった。何とかするしかないので、バイト君に頼んで記念講演をする予定のホールの写真をデジカメで撮ってきてもらい、ぼかして背景に埋め込み、適当にグラディエーションをかけて、会場やら会期やら特別講演やらの情報をテキストで打ち込んで、ポスター原稿をでっち上げた。会議でOKが出たので、そのまま印刷所に突っ込んで何とか間に合わせた。後でその原稿を出版社の人に見せたら「フォントを変えすぎてないのがいい」というコメントをもらった。素人がやると、ついついフォントをあれこれ使いすぎてデザインが崩れがちになることが多いらしい。私は自分のデザイン感覚に自信がなかったから余計なことをせずに、ヒラギノのみ、強調したい一部を角ゴシックで、残りは丸ゴシックで作ったのだが、それが逆に良かったということのようだ。
こんなことがあったから、山形に移るとき、教授には「後任の助手募集の書類には条件として絵心も付け加えてくださいね」と言って出てきたのだった。
私の美術の成績は正直言って普通レベルやや下。丁寧に描くとそれなりだが、写生はキライではないが特に上手くもない。好きな漫画やアニメ絵は、描いてもバランスがくずれてうまくいかない。どうもうまく線が決まらないし、そもそもデッサンの基礎がなってないらしい(汗)。
それでも、上に書いたように、何かを作る羽目になることだってある。美術の時間に、芸術的な絵だけじゃなく、ポスターを描くといったことをさせられたのが、多少は役立っているように思う。学校の授業で身につけなければいけないことは、芸術的な作品は描けなくてもいいから、実用上最低限見苦しくないデザインができるようになることじゃないかと思ったりもするのだけど……。美術の先生の意見をうかがいたいところである。
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産学連携は慎重に
水商売ウォッチングの方に詳細を書いたが、一応こちらにも出しておく。ブラックシリカの宣伝方法が薬事法にひっかかったという新聞記事に掲載された、北大の荒磯教授のコメントが問題である。
シリカの性質について詳しい北大の荒磯恒久教授は「遠赤外線が水の構造に変化を与えることは証明されているが、医学的な効果は証明されていない」と指摘したうえで、「国や自治体が医学的な効能を実証する必要がある」と強調している。
遠赤外線が水の構造を変えるという話は、液体の研究の方では今のところ全く支持されていない。ただし、この話は、これまでの水関連の宣伝とは異なり、JJAPのレターが出ているから厄介である。該当する論文は次の2つだが、他にもまだあるかもしれない。
・”Clathlate-like Ordering in Liquid Water Induced by Infrared Irradiation”, Jpn. J. Appl. Phys. vol.43 No.11A 2004 pp L 1436-L 1438
・”Effect of Far-Infrared Light Irradiation on Water as Observed by X-Ray Diffraction Measurements”, Jpn. J. Appl. Phys. Vol. 43, No. 4B, 2004, pp. L545-L547
あとの方の論文の共著者の一人が荒磯教授だから、荒磯教授は「遠赤外線で水の構造が変わる」と素で信じているのだろう。
論文の問題点は、水商売ウォッチングの方に書いたが、もう一度まとめると以下の通りである。
(1)乱雑な空間構造を持つ液体では、X線散乱の特定の散乱角度での強度から空間構造を議論することはできない。当該論文は、横軸が散乱角度のままで議論しているが、これは意味をなさない。全散乱角度で測定し、フーリエ変換して、動径分布関数になおして初めて空間構造の情報が正しく得られる。
(2)論文の測定角度範囲は狭いが、その部分だけでも、遠赤外線処理した水とそうでない水で、散乱強度の絶対値が広い範囲で倍以上違っている。X線散乱の強度が試料の電子密度に比例することを考えると、光学系の調整がうまくいってないのではないかと思われる。強度の直接比較ができる程度に毎回合わせるのは難しいとしても、あまりにも違いが大きいのはおかしい。
以上のことから、上記の論文を書いた研究グループの仕事は、レターとして出版されてはいても、今後「広い角度範囲で測定して動径分布関数になおした結果が提示され」かつ「元データの散乱強度の違いが現実的な範囲に収まっている」ことが確認されるまでは、何かの判断に使ってはいけないものである(この2つが出そろったら、他の実験手法による結果とも付き合わせて、話が本当かどうかを確認することになる)。
「水に何かの処理をして水の構造を変えたい」と夢想する企業は後を絶たない。荒磯教授の現在の専門が産学連携であることを考えると、「遠赤外線が水の構造を変える」という話が、北大の産学連携の活動を通して一般企業に広まり、消費者に対する宣伝に使われる可能性がある。
今回のネタは、液体のX線回折を専門にしている人ならチェックできるが、そうでない人が間違いを指摘するのは難しいと思う。セカンドオピニオンが必用なら、溶液化学研究会あたりで毎回液体構造のX線回折の結果を出しているグループに相談すると良い。
ウォッチングや掲示板でこの話題をとりあげたら、「これって日本の最高学府や科学に対する危険信号ではないのですか?」というコメントをもらった。勿論、まともな産学連携の方が数としてはずっと多いが、おかしな話に手を貸す研究者が出てきたら信頼が揺らぐことは確かだろう。この手の話は、産学連携の数自体が増加するだろうから、これから先増えることはあっても減ることはないのではないかと、実は心配している。
大学や教員に対する外部評価基準に、「産学連携」が入っているのだが、評価で要求される項目は、「どこと、何件、研究費いくらで、特許がいくつ、簡単な概略説明」といったものだけである。個別の内容が怪しいかどうかなんて、大学評価機構だってチェックのしようがないのだろう。また、内容で評価してそれが間違っていたら、別の問題が発生することになる。
すると、
・怪しい理屈で
・騙しても儲けたい企業と
・公取がなかなかつっこめない程度の研究内容付きで
産学連携しても、とりあえずプラスに評価されてしまう。内容がバレている研究者の業界では思いっきり顔をしかめられるに違いないが……。
私自身も企業から研究委託を受けたり、相談に乗ったりしている。未知のことを調べていくとと、どうも怪しいんじゃないかという話だって出てくる。幸いにして、企業の方が守秘義務を課しているので、怪しい部分もそうでない部分も含めて内容は一切外には出ない。また、私も「本当なら面白いが可能性は少ないし一歩間違うと怪しい方に行くから慎重に」と伝えている。企業の方もちゃんとそのことを理解してくれている。研究途上で関係者が(最善を尽くしても)間違うのは仕方がないが、他所まで広めるのはよろしくないと思う。
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物理学会シンポジウム:朝日新聞の記事
きくちさんところのブログで取りあげられたので、こっちではまあいいかと思って書いてなかったのだけど(正確に言うと、2ちゃんねるの関連スレの話題の方は紹介したのだが)、忘れないために、やっぱり書いておくことにする。
物理学会の、「ニセ科学」とどう向き合っていくか? (「物理と社会」分科シンポジウム)を、年明け早々の1月5日に朝日新聞が取りあげた。きくちさんのブログ経由での情報だが、掲載されたのは、朝日新聞の九州・山口版、東京版、関西版。他にまだあるかどうかは未確認である。記事内容は次の通り。
「ニセ科学」どう向き合う 物理学会、3月にシンポ
2006年01月05日
日本物理学会(約1万8千人)が3月に松山市の愛媛大で開く学会で、「ニセ科学」について議論する。これまでは「相手にしない」姿勢だったが、「社会的な影響は無視できない」として、シンポジウムを開いてどう対応すべきか考える。研究者が集まる学会の場でニセ科学がとりあげられるのは珍しい。
シンポを企画した田崎晴明・学習院大教授(統計物理学)によると、最近のニセ科学は「科学らしさ」を装っている場合が多く、オカルトや心霊現象にはだまされない人でも、「科学」として信じてしまう場合が少なくない。ニセ科学に詳しい菊池誠・大阪大教授(同)によると、「水に優しい言葉をかけると美しい結晶ができる」などとする珍説が、小学校の授業で紹介されている。
シンポは学会最終日の3月30日に開催。「『ニセ科学』とどう向き合っていくか?」をテーマに、根拠がはっきりしない「健康にいい水」などの実例を紹介し、それらを生み出した社会的要因を考える。
日本物理学会の佐藤勝彦会長(東京大教授)は「ニセ科学を批判し、社会に科学的な考え方を広めるのは学会の重要な任務の一つだ」と話す。
この件について、最近の関連情報をまとめておく(水商売ウォッチング内のまとめ記事(排除命令関連含む)はこちら)。
●「健康と環境の神戸クラブ」代表を名乗る吉岡英介氏は、私に対する批判本を自費出版した。
●吉岡氏は、その本「水は変わる」をウェブサイトでも公開し、お茶の水大にも送って、「水商売ウォッチング」全体の公開停止を求めている。
●吉岡氏は、シンポジウムの企画を出した田崎氏や、阪大の菊地氏に対する批判を、自身のウェブサイトに掲載している。
●吉岡氏の関わっている製品の1つは、株式会社エッチアールディーの磁気活水器「ダイポール」である。この会社に対しては、2005/12/26に公正取引委員会の排除命令が出た。
●吉岡氏はなぜか、江本氏の「水からの伝言」を擁護している。
●AERA2005.12.5には、水伝の内容に関する批判記事が出た。
責任者の冨永教授から、この件について照会があったので、『「水は変わる」は単なる意見を述べた文書に過ぎず、権利侵害の申立としては曖昧すぎる。法的根拠を明示した文書以外のものに対しては、対応ができないしすべきでもない』旨の回答を行った。まあ、営業妨害を理由にコンテンツの削除要求をする場合は、立証責任は削除要求をする側にあるから、まずは法的に型式の整った申立書が必要である。
とりあえず、映画化された「電車男」に倣って、吉岡氏を「自費出版男」と命名することにしたい。このネーミングは野尻ボードから拝借したものだが。
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隣の中国でも迷惑している
物理学会のニセ科学シンポジウムの件。提案者の田崎さんのところに、中国の大学の先生からメールが来たと教えてくれた。一通は日本語で一通は英語だった。「水は答えを知っている」は中国でも出版されて、売れているので困っているという内容である。
中国共産党は迷信を排除する方向に舵を切っていると思っていたのだが、それでもこの手のオカルトに入り込まれてしまうということらしい。
そういえば、何年か前に韓国にあそびに行ったとき、本屋にパイウォーターの本が平積みになっていた。科学技術立国を謳いながら隣にこんなものを輸出するのは、はっきり言って日本の恥じゃないかと思う。
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