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講義の準備をしていたら……

Posted on 1月 9th, 2006 in 倉庫 by apj

 教養で「科学リテラシー」というタイトルの講義をしているということは以前にも書いた。毎回プリントを作り、それに前回の講義に対する質問やコメントを掲載して、私からの補足も書いて印刷して配っている。昨年末、病的科学、疑似科学とは何か、といった内容で1コマ話をした。で、最初に大間違いをやらかして後に引けなくなった例として、副島氏の「人類の月面着陸は無かったろう論」を取りあげてちょこっとだけ紹介した。
 で、新年早々の講義の準備で出席カードの裏のコメントを整理していたら、

ずっと前にテレビで月面着陸はウソだとやっていて、私も信じてしまった。この講義をうけてなかったら、ずーっとうそだと信じてたかもしれない……。

 講義した甲斐があったと喜んでいいのか、こんなもの真に受けるなよと心配した方がいいのか。何だか複雑な気持ちになった。

 日が変わる頃までこの講義のためにコメントの整理をしていたのだが、mixiにメッセージが来たというメールが飛んできた。水やらニセ科学関連で向こうでも議論してるもんだから、何か返事しないとまずいかと思ってあけてみたら「山形で暇してます。恋人欲しいです(以下略)」……orz。そりゃおまいは暇だろうよ、丑三つ時にこんなメッセージよこすくらいだからよ。でもな、こっちは仕事中じゃヴォケ!とパソコンの前でつぶやいて、メッセージはゴミ箱行きとなりました。

追記:エロサイトからの宣伝目的トラックバックがあったので削除した。

復刊.comから注文した本

Posted on 1月 7th, 2006 in 倉庫 by apj

 年末に、復刊.comを見て注文した「LOST and FOUND 三原順秘蔵作品集」が届いた。三原順(1952-1995)の最も有名な作品は「はみだしっ子」で、今でも文庫本が出ていて人気がある。この人の作品は、少女漫画にしてはネームが妙に哲学的で難しいという特徴がある。最初に読んだのは高校の時で、同級生に借りたのだった。その後、「X-Day」や「ビリーの森。ジョディの樹」といった作品を発表し、漫画の形態をとった文学という方向に舵を切ったように見えたが、「ビリーの森。ジョディの樹」の連載中に亡くなった。最後の刊が、まだペンを入れていない下書きやネームをまとめたものを後半に付けた形で出たのを見た時は、もうこれで続きを読むことができなくなった、と思うと非常に残念だった。
 「はみだしっ子」の連載が終わった頃に、「はみだしっ子語録」という、三原順へのインタビューも含む関連本が出版された。その中で、はみだしっ子の原型となったのは高校の授業中(!)に完成させた小説である、という記述があった。「LOST and FOUND」には、その高校時代の小説の現存するものが全て掲載されている。また、未完成の原稿やプロット、ネーム、アシスタントへの作画の指示といった文書まで出ている。漫画家の作業場の様子がわかって面白い。高校時代の小説の方は、正直言って読みやすいものではない。これは、多分、三原氏の頭の中にあったのがもともと映像だったからではないかと思う。しかし、一人の作家の考え方や作風の変化を追うという意味では興味深い。それでもやっぱり、もうこんな形でしか三原氏の作品に触れることができなくなってしまったことが悲しい。

2ちゃんねるに……

Posted on 1月 6th, 2006 in 倉庫 by apj

 物理学会のニセ科学のシンポジウムのスレが立った。朝日新聞の関西版に取り上げられたのが大きかったらしい。すぐ終わるかと思ったのだが続いている。
 ま、場所が2ちゃんねるだから議論のS/N比はそれほど良くないが、どういう種類の勘違いが広まっているかという情報を得るには役に立つ。

Air H"が……

Posted on 1月 5th, 2006 in 倉庫 by apj

 外出することも多いので、家のPowerBook G4はAir H”でつないでいる。費用をケチって、一番遅い32Kにしている。メールの取り込みや、さほど画像の多くないウェブサイトの閲覧(私が見に行くところは画像の割合が低いことが多い)であれば、ちょっと一息いれている間に終わる。不具合がなければこのままいこうと思っていたのだが、slashdot jpのコメントが途中までしか表示されないという状態になってしまって、どうしたものかと迷っている。サイトによって、ページの読み込みが終わっても最後まで読み込めていなかったり、画像が途中で切れてるのに読み込み終了になってしまったりする。理由がよくわからない。
 さて、slashdotのために速い方に変えるべきか……悩ましいところである。

ほうりつ学力テスト

Posted on 1月 3rd, 2006 in 倉庫 by apj

 タイトル通りの本を買った。出版元は辰巳法律研究所。公法系が憲法・行政法民事系が民法・商法・民訴刑事系が刑法・刑訴。三冊合わせて1700問で、気軽に繰り返すにはいい内容と分量である。似たようなチェックシート式の本は、択一対策用の参考書には多いのだけど、内容が憲法・民法・刑法に限られる。マニアックな用途には向くが、とりあえずざっと必要事項を押さえたいという用途には不向きである。広く浅く常識的な内容を確認するには、行政法や訴訟法、商法もチェックシートになっててくれる方がありがたい。
 勉強はどんなジャンルでも、一定時間以上こなして定着させないと、どんどん忘れてしまう。私はまだ時間の絶対量が不足しているので、こういう一般向けの本が出てくれるのは歓迎である。

 野尻ボードで薦めてもらったSFマガジン2月号を買う。タイムリーにはやぶさネタを取り入れた小川一水さんの短編が楽しめる。最後にちょっとほろりとさせられた(ネタばれを避けるために詳細は紹介しないので、興味のある人は買ってください)。

謹賀新年

Posted on 1月 1st, 2006 in 倉庫 by apj

 天気が悪いので、初日の出を見るのは無理なので、昨日買った「宇宙環境科学」の2章「太陽と太陽風」を読んで過ごした。何か間違ってる気もするが。
 地球開闢以来お世話になっておきながら、太陽が何をしているかという細かい話は、こういう専門書を見ないと出ていない。太陽風磁気ロープなんてものがあることをこの本で初めて知って、面白い形をしているものだと思った。
 あとは元旦恒例の、ウェブサイトの「更新履歴の更新」作業くらいか。アクセス数を見ていると、やはり出かけている人が多いらしく、普段の三分の一程度になっている。普段でも、休日は平日の半分くらいのアクセス数になっているので、職場から見てる人が多いということなのか、休日はネットではなく家族サービスその他に専念している人が多いということなのか……。
 それでも、元日早々の書き込みやらコメントやらをいただけて嬉しい限り(でもこのページは1日付けの内容を2日にアップしている始末だ^^;)。
 ともかく本年もよろしくお願いいたします。

静かな年越し

Posted on 12月 31st, 2005 in 倉庫 by apj

 例年なら、年越し実験をやってるはずで、今回も年末年始の超臨界アルコールの測定を予定していたら、セルの窓が破損して、セルが修理に出されてしまった。本体金属部分にも傷がついていて、みがかないと窓をとりつけられないということで、年内に間に合わなかった。おかげで、論文やら何やらを書いたり、たまってる本を読んだりDVDを見たりといった、のんびりした年末年始を過ごすことになってしまった。
 池袋のLIBROで「宇宙環境科学」をゲット。「ウェーブサミット講座」というシリーズの一冊である。このシリーズの「VLBI技術」がなかなか充実していたので、読んでみる気になった。ネットでは品切れで注文できないが、店頭に出ている分が残っていた。太陽風と電離圏と磁気圏の話。このあたりは、高校の地学でちらっと名前が出てきただけで、実際どんなもんかということにはほとんど触れる機会がなかった。一方、地球のまわりの電磁波の伝搬を考えると、主役はむしろこちらということになる。ただし、Maxwellの方程式に馴染んでいることが前提として書かれている。無線通信に興味があるなら手元に置いてもいい本だと思う。

 しかし、年末年始の新鮮さがないなあ……。大晦日というと、子供の頃は親の「早く寝なさい」攻撃があるから、日が変わるまで起きてテレビを見ていてもいい特別の日だった。それが、最近じゃ生活乱れまくり日が変わってから寝るの当たり前の生活をしてるから、大晦日だという実感がまるでない。さらに、家にテレビがないから、年の暮れ&正月ムードを盛り上げてくれるはずの情報とも隔絶されている。幸いネットはつながるが、このままだと今年は2ちゃんねるで年越ししかねないorz。

今年の予定はほぼ終了……か?

Posted on 12月 28th, 2005 in 倉庫 by apj

 本日は、研究委託を受けた企業の人と待ち合わせて、テレコムセンターの某社へ。お試し実験の打ち合わせなど。これで今年の仕事はほぼ終了か。
 超臨界のセルの修理が遅れているので正月実験のネタを別途考えるか、じたばたせずに溜まってる論文を全部仕上げて投稿するか、まあどっちかで年末年始は終わるだろう。

PSPを買ったのだけど……

Posted on 12月 27th, 2005 in 倉庫 by apj

 クリスマス商戦に乗せられたというわけでもないが、前から気になっていたPSPを買った。遊ぶためにはソフトが要るので、のんびりプレイできて、いつでも止めたり始めたりできるのがいいなあ、ということで「実話怪談 新耳袋 一ノ章」「ハイドリウム」を買った(RPGは長時間かけないといけないのでちょっと……)。怪談の方は、たまには気分をかえてみようかと思って買ってみた。パッケージに「心臓に不安のある方はステレオヘッドフォンのご使用をお控えください」などとあるので、まあそれなりに期待していたのだが……。怪談をききながら、なぜかツッコミポイントを一生懸命探している自分が居ましたよ……orz orz。いつの間にか怪談を楽しめないどころか、笑えるところを探すという本来の目的とは異なる楽しみ方を目指すようになってしまったのは、やっぱりと学会に入ったのがいけなかったのだろうか^^;)。
 「ハイドリウム」の方は、私は反射神経が鈍いのでなかなかうまくできないT_T。まあ、ときどき気分転換に遊んでみることにする。
 PSPを使ってみた感想だが、画面が大きくて明るいのがいい。携帯ゲーム機の初期のころのものは、どのメーカーのものも、バックライトが暗かったり無かったりで、長時間やるにはきつかった。任天堂のGAME BOY ADVANCEでかなり改善され、ニンテンドーDSで随分良くなったが、PSPの方はDSより明るい。しかし、バッテリーの持ちはDSの方が長い。明るさの確保とバックライトの明るさのかねあいをどこにするかが問題なのだろう。

都内某所で講演

Posted on 12月 26th, 2005 in 倉庫 by apj

 NEDO平成17年度「マイクロ波を利用する革新的化学プロセスに関する基盤技術調査」で、「マイクロ波による発熱のメカニズム」というネタで講演してきた。マイクロ波による加熱の応用技術をプロジェクトにするための調査のための委員会で、調査会社の人やメーカーの人や大学関係者が集まっていた。
 無極性溶媒中に希薄に分散した極性分子の化学反応をマイクロ波(電子レンジでチン)で促進するといった現象をどう記述するかは、厳密に考えるといろいろ難しい部分を含んでいる。結局素過程はよくわからんというのが現状の結論なのだが……。
 ところで、今回、私の後に新日鐵の人がマイクロ波加熱の応用というテーマで発表したのだが、これが、スライドを見ているだけで楽しめるものだった。マイクロ波による土壌の処理、というところでは、「サンプルを用意し」で、トラックの荷台一杯の土が出てきて、「容器に入れて」は人が容器の中にはいって土を均していた。不定形耐火物の施工では、しくじると爆裂して地震のような衝撃をあたりに発生させるというし、部屋で使ってるクレーンは400トンを上げられるというし……。つまり全てにおいて規模の桁が違う。大学では絶対に見ることができないものばっかりで、発表をきいていて何だか迫力を感じて「製造業かっこいい!」とちょっと感激してしまった。鉄工業なんてこれまで社会科で出てくる位で、専門も違うから意識していなかったのだが、設備の写真を見て、ぜひ一度近くで見たいものだと思った。

 久しぶりに阪大の柳田先生にお会いしたら、この間までハワイに行っておられたとか。マウナケアの天文台のGHz帯の検出器を見てきて面白かったということだ。そういう話をきいてる私のリュックの中には、「宇宙電波天文学」の検出器関係の章のコピーがしっかり入っていましたよ……。センチ波からミリ波の検出技術は電波天文屋の十八番だが、まったくもう何がどこで飛び出して関係してくるやら。