復刊.comから注文した本
年末に、復刊.comを見て注文した「LOST and FOUND 三原順秘蔵作品集」が届いた。三原順(1952-1995)の最も有名な作品は「はみだしっ子」で、今でも文庫本が出ていて人気がある。この人の作品は、少女漫画にしてはネームが妙に哲学的で難しいという特徴がある。最初に読んだのは高校の時で、同級生に借りたのだった。その後、「X-Day」や「ビリーの森。ジョディの樹」といった作品を発表し、漫画の形態をとった文学という方向に舵を切ったように見えたが、「ビリーの森。ジョディの樹」の連載中に亡くなった。最後の刊が、まだペンを入れていない下書きやネームをまとめたものを後半に付けた形で出たのを見た時は、もうこれで続きを読むことができなくなった、と思うと非常に残念だった。
「はみだしっ子」の連載が終わった頃に、「はみだしっ子語録」という、三原順へのインタビューも含む関連本が出版された。その中で、はみだしっ子の原型となったのは高校の授業中(!)に完成させた小説である、という記述があった。「LOST and FOUND」には、その高校時代の小説の現存するものが全て掲載されている。また、未完成の原稿やプロット、ネーム、アシスタントへの作画の指示といった文書まで出ている。漫画家の作業場の様子がわかって面白い。高校時代の小説の方は、正直言って読みやすいものではない。これは、多分、三原氏の頭の中にあったのがもともと映像だったからではないかと思う。しかし、一人の作家の考え方や作風の変化を追うという意味では興味深い。それでもやっぱり、もうこんな形でしか三原氏の作品に触れることができなくなってしまったことが悲しい。
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