と学会例会で発表。本日発表したネタは3つ。
1)「脱オタクファッションガイド」が掲載された「これからでる本」
これは、本を買って確認したのだが、中身は当然ファッションの話題で、どんなシャツとパンツの組み合わせがいいかとか、バッグやアクセサリーをどうするか、というもの。で、ネタになるのはこの本そのものではなく、この本が掲載された「これから出る本」11月下期号の方で、「情報科学」に分類されている、という事実である。ちなみにこの本の上は、情報リテラシ(共立出版)、下は知識工学(共立出版)、隣はOpenGLで作る力学アニメーション入門(森北出版)、とまあ要するにこういう本が並んでいるわけで、その中にいきなり「脱オタクファッションガイド」しかも「専門」と書かれているというのが笑いのポイントである。
2)Train Shopに掲載された健康肌着「ひだまり」の広告
雪山を背景に、足は登山靴で、肌着(上下)を付けた群馬県山岳連盟の方々がずらりと並んでいる広告写真はそれなりにインパクトがある。前号では、同様の構図の写真をブリンジェ・アンダーウェアも掲載していたが、最新号では見あたらなく、「ひだまり」の写真がさらに大きく掲載されていた。つか、表紙めくったら1ページの4分の1ほどのサイズの集合写真が出て笑ってしまった。下着の暖かさを強調するのに、冬山に下着姿で並ばせる、というお約束でもあるのかと思ったが……。
ちなみに「ひだまり」の説明として「着用時の摩擦によりマイナスイオンを発生」とあるのに、そのすぐ下に「静電気が起こりにくい特殊素材を使用」とあったりして、何が何だかよくわからない。
3)「病気をその根底から治すホメオパシー療法入門」渡辺順二著、講談社α新書
ホメオパシーであるから、分子が1つも存在しないような濃度の水溶液を処方したら効きました、の記述のオンパレードであり、当然こんなのは普通の科学じゃ説明できないものだから「霊的エネルギー」「波動」に走るというのは、まあ予想の範囲内の展開である。
みどころは、
ホメオパシー薬の最大の特徴はその薄さにあります。
そしてホメオパシー薬は患者にある症状を起こさせるものですから、原料に毒物が多いのは容易に想像できます。
たとえば砒素やトリカブトや水銀などは、ホメオパシーでもっとも使われるものの一つです。
などと書いてあり、巻末にレメディー(ホメオパシー薬)一覧が出ているが、「ベラドンナ」とかが平然と出てきており、何だか「殺人用毒薬一覧」の雰囲気を醸し出しているあたりである。さらに、
ある患者さんで数年来風邪にかかったことがないと豪語している方がいました。そのコツを聞いてみたら、「風邪に絶対にかからないと強く決心をしてから、その後一切かかってないんです」と答えてくれました。
……ホメオパシーも要らないじゃんw。
また、レメディーを摂っていると、この不定愁訴の症例のように昔の恋人と偶然出会ったりといったような不思議な出会いをすることがよくあります。突然愛を告白されたなどという嬉しい話もあります。(88ページ)
レメディーを飲み始めたらなぜかいきなり店長に抜擢されて、運のいいことばかり起こる様になったといった人もいました(100ページ)
既に「療法」の範囲をとっくに超えて、「幸運を呼ぶお守り」か何かの世界に突入しているわけだが……。つか、それは治療と呼ぶのかと小一時間(以下略)。家庭内暴力に対する処方は、
常識的には家庭内暴力で悩む患者さんをいくらレメディーで一時的に癒したところで、夫が暴力を振るう家庭の現状をなんとか変えない限り、いつまでたっても患者は被害者ですからなかなか癒すのは難しそうに見えます。実際、私も「あなたよりもまず暴力を振るう夫を連れてきて彼にレメディーを飲ませたら?それが無理ならこっそり飲み物にでもまぜて飲ませたら?」と言ってみました。
そうしたら、とてもそんなことはできない、バレたら大変なことになるというので、とりあえず奥さんにだけスタフィサグリアというレメディーを処方しました。
とあり、なぜかこれで夫が怒らなくなって治っちゃってる。で、それを見たこの本の著者は、
結局のところ、いじめられやすい人というのは、いじめられやすいような雰囲気を放っているということになるのではないでしょうか。
と無神経極まりない発言をかましてくれている。現実にいじめに苦しんでる人にとっては笑い事じゃない発言なんで、この部分だけはあんまり笑えない。