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地震だというのに

Posted on 8月 16th, 2005 in 倉庫 by apj

 昼前の地震、まったく気づかなかった。たまたま、よたよたしながら自転車で街中を走っているところだったもので。ウチの研究室・実験室では、見た目の変化はまったくなかった(物が落ちたり倒れたりはしていない)。メールを開けてみたら事務から被害状況の問い合わせがあってびっくりした。Yahooニュースみて、交通機関が止まりまくっていたり仙台方面でけが人が出たりということで再度びっくりした。今のところ、被害というよりは正常動作で、ドラフトへのガス供給が止まっている。しかしだ、ガスコンロへの供給はそのままだったりして。建物の冷暖房がガスなので、空調回りと一緒になってるものは復帰が早かったということか。

あの時はその意識が無かったなぁ

Posted on 8月 15th, 2005 in 倉庫 by apj

 掲示板の方で、「インフィニット・スクウェア」の取り扱い商品「ビーワン」「アクアーリオ」が、次世紀ファーム研究所の「真光元」と同じ販売ルートで売られていたという話が出ている。「ビーワン」「アクアーリオ」はあやしい水製品で、美容室を相手にシャンプーを無害化にするといった非科学宣伝とともに売り込まれている。次世紀ファーム研究所の事件後、この商品を勧めていたサイトが続々と閉鎖してしまってほとんど見かけることが無くなっているのだが……。
 それで思い出したのが、学部の頃に引き受けた家庭教師先の女の子のこと。友達の紹介で行ってみたら、小学校の割と早い時期に算数がわからなくなり、勉強の仕方も良くわからないままに中学になってしまった状態だった。本人の希望は中学を出たら専門学校に行って美容師になりたいというもので、私の知らないアイドルのファッションについて結構詳しかったが、親の希望の方が、何とか一番易しい私立高校だけでも出て欲しいというもので、勉強の仕方から見ることになった。結局、小学校の教科書の分数のあたりから全部順番におさらいして、中学の数学までつなぐ作業をすることになった。英語も予習復習のやりかたもわからないということで、単語帳を作ったり本文をノートに書き写して訳や説明を書き込んだりといった、作業の方法から説明することになった。
 本人は勉強嫌いで高校に魅力を感じてないらしかったので、「友達作るチャンスだよ」ってな説得をしたことを覚えている。が、今ならきっと「お客さんに変な製品を勧めちゃったりしないためにも、高校で理科を勉強してね」と言うことになるだろう。あの頃は私も大学に入ったばかりで、自営業者をかつぐ怪しい商売のことまで考えてはいなかった。
 美容師さんやクリーニング店の方から、おかしな水に関する問い合わせがやってくることもあり、できるだけ高校までの知識で判定する方法を説明していたりするのだが……。

リモートセンシング

Posted on 8月 12th, 2005 in 倉庫 by apj

 「気象と大気のレーダーリモートセンシング」を衝動買いした。以前からドップラーレーダーの原理やら実際がどうなってるか疑問だったので。電磁波解析と信号処理の部分をきっちり書いてあるので読み応えがある。数式を省略していないので、もし間を埋められなければ参考文献をあたればよいようになっていて、わかりやすい。

 教養の授業のレポート採点が夜までかかった。上手い人、下手な人、課題の意味を取り違えている人(数人)がいるのはいつも通り。TV番組や目に付いた商品の宣伝で、科学的に怪しいと思うものを選んで、なぜ怪しいか、どうすれば確認できるか議論せよ、という課題を出した。自分の知識で情報を疑う、という作業経験をしてもらいたいというのが狙い。TVが正しいとか新聞が正しいとか、根拠もなく思いこんでいる人が多すぎるので、そういうのを疑うところから教育が始まるわけで……。

反応の方は正常なのではないか?

Posted on 8月 11th, 2005 in 倉庫 by apj

 掲示板の書き込みに触発されて、遅まきながら「カルト資本主義」を入手して読んだ。書かれた時代がバブル崩壊直後なのだが、ソニーの超能力研究や永久機関商法、京セラの稲盛和夫氏の経営塾がほとんど新興宗教じみているとか、科技庁が気の研究に研究費をつけたとか、EM菌、脳内革命の船井幸雄、ヤマギシ、アムウェイといったものが取り上げられている。これらの流れに共通しているのが、オカルティズムと精神論で他人を思考停止に追い込み忠誠心を企業に向けさせて搾取したいという考え方であると、著者の斉藤貴雄は指摘している。
 その一方で、文科省の調査が発表された。

大卒6人に1人「ニート予備軍」 文科省調査

 今年三月に四年制の大学を卒業した五十五万人のうち、フリーターを含めて就職をせず、大学院や留学など進学もしない大卒者が九万八千人に達していることが、文部科学省がまとめた学校基本調査速報で十日、分かった。文科省は九万八千人すべてをニートと結びつけることは否定しつつも「相当数がニートである」としており、大卒者の六人に一人 (17・8%)が「ニート予備軍」にあたるといえそうだ。
  調査結果によると、今春の大卒者は五十五万千十六人。このうち(1)「就職者」三十二万九千四十五人(2)「大学院等への進学者」六万六千百八人、(3)フリーターなど「一時的な仕事に就いた者」一万九千五百七人‐など六つの区分に分け、区分外の「進学も就職もしていない」層を全体の17・8%となる九万八千一人と算出。大卒者全体の五・六人に一人が就職も進学もしない結果となった。
 ニートは一般的には「就職も進学もしない若者」との定義が広く浸透し、「若年無業者」と 置き換えられたり、無気力な若者の代名詞ともなっている。しかし、もともとは「Not in Education, Employment or Training」の略で「就職、進学、求職活動をしていない人」との意味。厚生労働省が「若者の人間力を高める国民会議」に示した資料には「年齢十五‐三十四歳で求職活動、通学、家事をしていない者」として六十四万人(十五年)と推計している。ところが、同省がまとめた労働経済白書ではさらに、「卒業者かつ未婚」と限定して五十二万人と発表するなど定義と把握数がまちまちの状況だ。
 文科省は今回の九万八千人について、「家事手伝いや求職活動をしても仕事に就いていない層、例えば就職浪人も含まれており、すべてがニートとはいえない」と強調しながら、「ニートが含まれているのは間違いない」と分析している。

 斉藤貴雄の主張がある程度の真実をついているとすれば、洗脳されて搾取されることに抵抗するのは、人間が人間らしく生きていくために必要な、自然な行動ではないかという気がしてくる。力のない人間の抵抗としては、就職自体を拒否する位しか手段がないということではないか。経済政策の失敗の責任を誰も負わずに、精神論とオカルトで(本当は年功序列と終身雇用の見返りがあって生じていた)高い職業意識だけを求めようとする社会に対して、ニートという手段を取る人が増えるのは、実は人としてまったく正常な反応なのではないかという気がして仕方がない。

国語辞典

Posted on 8月 10th, 2005 in 倉庫 by apj

 「学研現代新国語辞典 改訂第三版」を買った。同じ読みの言葉の使い分けに詳しいので、ワープロの変換の時に役立つという評判をきいて買ってみた。これまでは、小学館の「新選国語辞典」を、小学校の時に買って以来愛用していた。今も第八版の横組みが手元にある。途中で岩波の国語辞典に浮気(笑)したこともあったし、「明鏡国語辞典」を買ってみたら、ATOK内蔵の辞書そのまんま(当たり前か)で結局あんまり使わなかったり。なお、ATOKを使っていて、使い分けに悩んだときに一応明鏡の情報が出るのはそれなりに役立つ。
 ところで辞書コーナーを見て思わず衝動買いしたのが、「ベネッセ表現読解国語辞典」。もともと、高校生向け受験対策用に企画されたらしいのだが、大人が読んでも充分役に立つ。重要単語についてはまるで「現代用語の基礎知識」のような解説がついているうえに、用法や用例も詳しいし、敬語についてもよくまとまっている。語彙力をチェックするために最初から読んで、知らなかった項目には線でも引くのが正しい楽しみ方ではないかと思う。語彙増殖ワークブックが付録についている。高校の頃から今に至るまで(専門書以外の)本は大量に読んできたので、果たしてこの中にいくつ、初めて目にする単語があるか、チェックしてみたい。
 まあ、以前から思っていたことだが、国語辞典の言葉の使い方の用法・用例は一般に少なすぎる。英和辞典であれば例文をたくさん書いて学習しやすいようになっているのに、国語が不親切というのはちょっと納得いかない。インターネットのせいで、文章を書く量が急増しているのだから、もっと表現や用法を沢山入れた辞書があってもいいと思う。

8月だというのに

Posted on 8月 9th, 2005 in 倉庫 by apj

 8月だというのにずいぶん涼しい上に雨ばかり降っている。何だか梅雨に戻ったような気温と空模様なので、ネットの天気予報で見ると「前線が停滞」。暑いのが苦手だから、多少じめじめしても気温が低い方がまだましである。

 ところで「ボーダーランド」マイク・ダッシュ著、南山宏訳、を読んでいたらルルドの泉の話が出てきた。水商売方面では奇跡の泉として、他の水と一緒に宣伝に使われたりしているが、もとの話を読むと、どう見ても奇跡の意味が違う。
 きっかけは、ベルナデットという貧しく病気がちの少女が、町はずれの川の洞穴に、白い女性の姿を見たことに始まっている。そのあと、証人を伴って同じ洞穴に行ったが、白装束の女性を見たのはベルナデッドだけであった。何回か白装束の女性に会った後、その女性に「その泉からお飲みなさい」と言われたとされている。その場所から泉がわき出したのがルルドの泉である。その後、白装束の女性は洞穴に礼拝堂を建てるように言い、白装束の女性が何者かという問いに対して「無原罪懐胎です」と答えたので、白装束の女性は聖母マリアであるということになった。その後、その水で病気が治ったという報告が出始めた。ベルナデッドは修道院に入り、無くなってから聖人の列に加えられた。
 ということで、泉が奇跡的効果を現すという話ではなくて、聖母マリアが現れたことや、その指示で泉を見つけたことが、聖母マリアの示した奇跡の内容ということになる。だから、ルルドの泉を引き合いに出して、どうでもいい還元水だの何とか水の宣伝をするのは見当はずれということなのだろう。

 ただ、信仰と奇跡の問題はおいておくとして、聖母マリアの出現の仕方とUFOが現れたという話の共通点が指摘されている。聖母マリアの方は現れる相手をえり好みして、まわりに状況を理解させることが難しい子供の目の前にばかり現れるし、UFOの方はあまり人の来ない田舎にばかり着陸している。どうして、聖母ならローマの聖ペテロ大聖堂にあらわれないのか、UFOならホワイトハウスの前に着陸しないのか、ということだ。

衆議院解散

Posted on 8月 8th, 2005 in 倉庫 by apj

 やっぱり今回のは通説通り7条解散ということになるのか、それとも65条解散なのか。
7条3号は、天皇の国事行為として衆議院を解散することができることを定めている。7条によると天皇の国事行為は「内閣の助言と承認」によって行うから、天皇の行為は形式的・儀礼的なものになるので、内閣の解散権の根拠が7条にあることになる。
 65条を根拠とする場合は、解散が立法作用でも司法作用でもないから行政作用とすることによる。従って、内閣に解散権が認められることになる。
 いずれにしても、普通は衆議院の審議が内閣の思惑通りにいかなかった場合や、政界再編、政局の変化等が良くある理由で、参議院で法案が否決されての解散は珍しいといえば珍しいような。
 衆議院が内閣不信任案を出したわけじゃないから、69条限定説にはあてはまりそうにない。

 それにしても、郵政民営化は小泉が前の選挙の時からずっと公約として主張していたことである。それを承知で自民党の公認をうけて当選しておきながら、採決の時に反対するというのはどうにも解せない。そういうことを平気でできるのは、選挙が終われば公約の事は忘れるという、有権者を舐めきった政治をしても通用してきてしまったからではないか。55年体制の負の遺産を未だに引きずっているように見える。今回の選挙は、郵政民営化を巡る争いというよりも、「選挙のときの公約を平気で反古にしても平気でいる文化」を一掃できるかどうかが、本当の争点ではないか。自分の言ったことや決めた態度に最後まで責任を持つという、人としての最低限のルールを守れる人に政治をやってもらいたいと思うのだけど。
 今回の選挙がうまくいくかどうかについて、実は2ちゃんねるに期待している。誰が造反したかとか、誰が過去に国益に反することをやらかしてきたかという情報が、リストになってあちこちに貼られている。公職選挙法のこともあり、マスコミはあまり政治家の過去の活動を出さないようにしてきた節があるし、有権者は忘れっぽかったりする。ネットワークの時代になると、有権者相互で政治家の過去の仕事についての情報交換が広く可能になるわけで、街宣車でわめき立てたりするよりも、選ぶ基準としてはよっぽど使えるデータが出てきそうだ。

(SF)人類の存亡を賭けた……

Posted on 8月 7th, 2005 in 倉庫 by apj

 一月ほど前に友達に勧められたのがきっかけで、「エルフェンリート」のDVDを入手してこの週末に鑑賞していた。一気に全部見たので寝不足に陥った。進めてくれた友達の意見は、永井豪の「デビルマン」以来の感動モノだということだった。
 あんまり細かく書くとネタバレになるので思いっきり簡略化すると、ディクロニウスと呼ばれる新人類と普通の人類の戦いの話。ディクロニウスは頭に小さな突起というかツノがあって、目に見えないが数メートル以上伸びる数本の(非常に力が強い)手があって(だから念動力のようなものが使える)、知能が高い、とされている。この性質はウイルス(作中ではベクターと呼ばれている)で感染することで拡がる。人類としては、こんなのに支配されたり数が増えたりしてもらっては困るから、施設を作って閉じこめたり、力を発揮しない子供のうちに殺したりする一方、その力を手に入れようとする人たちもいるし人体実験の対象にする人たちもいる、という、ありがちな状況となっている。ディクロニウスの方は、ツノがあるために子供の頃から気味悪がられたりいじめられたりするのえ、その怨念と共に力が目覚めて、周りの人間を大量虐殺することになったりする。まあ、それだけでは話にならないわけで、作中では新人類を受け入れる役の人も出てきてドラマが展開する。
 確かに、人と人外の者の支配権争いという点では「デビルマン」のモチーフであるし、新人類が疎まれて人間社会に居場所がない状態で過ごすことになるあたりは、原作のデビルマンにも、デビルマンのムック本のどれかに出ていた演劇用の台本「不動を待ちながら」にも通じるものがある(不動とはデビルマンの主人公の不動明で、悪魔族なのに人間の味方をするという設定。この話のオチは、デビルマンの方は人類を救おうとするのに、人間の方が悪魔族をかばう同じ人間を差別したり嫌ったりして暴力で排斥しようとする、つまりは人間の心の方がよっぽど悪魔だったというもの)。
 こういう設定で書かれた広い意味でのSFがいくつか思い当たる。マンガでは、竹宮恵子「地球へ…」は、超能力を持つ新人類を旧人類が排斥し抹殺する社会の話だし、和田慎二「少女鮫」は、通常の人類より優れた能力をもつ人を発生させるウイルスをめぐる陰謀話である。星新一だか小松左京だか(それとも他の誰かだったか)忘れたが、カマキリの性質を持つ新人類発生をネタにした短編もあった。オス、メスともに旧人類より知能も高く身体能力も優れているが、繁殖行為つまりSEXのあと、メスがオスを殺して食べてしまうという本能を持っている、というもので、最初は猟奇事件だったものをよくよく調べてみたら別のより優れた人類の出現ということが判明し、さて法律で処罰するのか妥当かどうかという問題に直面するという……。まだ他にもいろんな作品があるだろう。
 この手の設定の作品にありがちだが、出てくる「人間」の一部にはかなり問題があって、度を過ぎたイジメをやったりしている。人間の方が一線を越えてイっちゃってる分、その反動で出てくる怨念もすごいことになり、結果、作品世界はスプラッタの連続ということになる。エルフェンリートについていえば、アニメーターがいい仕事をしたなあ、と思った。劇画調ならともかく、ラブコメか萌え系の絵を見せておきながら、首が飛ぶは手足はもげるは胴体は真っ二つになるはで、そこいらじゅう血みどろの殺戮シーンが第一話の冒頭から出てくる。アニメ絵とはいえこの手のシーンに弱い人は見ない方がいいかもしれない。ストーリーの方はちゃんと救いがあるし、人間の人間らしい部分もきちんと描かれているのだけれど。

 そういえば、阪大で、「サイエンス・フィクション 科学と物語の間」という講義(セミナー)があった模様。近くなら潜ってでもきいてみたかった。最も、「新人類誕生による軋轢」というテーマは、誕生のメカニズムの方を詳細に設定すると科学よりになるが、そちらが弱いとむしろ哲学的なテーマになりそうではある。

TOSSが方針を変えたか?

Posted on 8月 6th, 2005 in 倉庫 by apj

 5月24日に書いた「教養の授業で波動と水結晶をとりあげた」に関して、情報提供のメールをいただいた。

apjさん、こんにちは。
悪マニに出入りしております、あんねです。

こちらに書いてあります、
http://atom11.phys.ocha.ac.jp/wwatch/misc/comment_misc_06.html
の件について。

先日、TOSS子どもデーというものに参加し
それなりに評価してますが
受けた授業に少々不満もあり
子どもの通っている小学校の教諭であり事務局もしておられる方に
メールを送ったところ、
水商売に紹介されている部分については

 関連ページの登録が削除、
 それ以降、登録に関しては厳重にチェックされている

とのことです。

情報提供でした。

私もきくちさんもblogやらウェブやらで批判し、二村さんが「世界」にも書いたので、やっとマズイ教材だと気付いたのだろうか?単に「学者と評論家に批判されたから」という理由で外したのだとしたら、外さないよりはいいけど、それは単なる思考停止であって本質的な部分での解決ではないので、また別のものにはまりそうでちょっと不安なのだが。ついこの間も、中学生から定期テストで波動性結晶の話が出題されるという連絡をもらったばかりだし、それをやっている先生は授業で江本氏の結晶ビデオを見せているという話だった。
 ところで、今日、こんなニュースが出ていた。

教員免許の更新制について議論している中教審のワーキンググループは5日、現職教員を更新制の対象から外し、新たに免許を取得する人に対して約10年ごとに更新することで一致した。

 また、教員としての適格性や専門性を確かめる講習の修了を免許更新の要件にすることでも合意。今後、一致点を基に審議経過をまとめ、中教審の教員養成部会に報告する。
 更新制の導入時期や講習の具体的な内容などについては引き続き検討する。新制度では、新たに免許を取得する人に対しては、教職課程の単位を取ったうえで、各大学の教職課程委員会(仮称)が教員としての最低限必要な資質や能力が身に付いているか判定し、免許を与えることになる。

 既に2ちゃんねるでは「現職をスルーするな」という大ブーイングと、「いずれ現職にも適用されるようになるだろうから見守ろう」という意見が出ていた。いずれにも共感できるが、それ以外にもっと重要なこととして「教員としての最低限必要な資質や能力」の中に、波動系オカルトに限らず、「怪しいものを怪しいと見抜く能力」を入れておいて欲しいものだ。階層化が進む社会では家庭の教育環境の差は広がる一方だろう。情報を扱うことについて、十分なトレーニングをする機会が、義務教育でしか与えられない層が増えると予想される。教師がオカルトにはまって授業で教えるようになってはおしまいだと思う。

UFO話が……

Posted on 8月 5th, 2005 in 倉庫 by apj

 UFO本読んでます、なんて書いていたのだが、本日受託研究を持ってこられた会社の方と昼食時にお話していたら、「私、UFO見たんです」という話が始まった。よくきいてみると、三角形を切ったような飛行物体にライト(?)が3つついたものがジグザグに飛んでいたとのこと。空力をやっている技術者としては、自分の知識を根底から無視するような飛行物体を見て(認識して?)しまい、しばらくの間非常にショックだったそうな。さらに、誰もそのことを話題にはしていなかったことに、さらにひっかかっておられた。「宇宙人の乗り物とは思ってないし、ソ連かアメリカの機体ではないかとも思うのだが……」と何となく釈然としない様子だった。
 話をきいた限り、形状からすると、F-117とかB-2Aとか、あるいはX-47やX-48みたいな奴らしいんだが、DRFCじゃともかく、そうそう日本上空を気軽に飛ぶとも思えない。
 「情報不足が原因で、unidentifiedのままの飛行物体とされるケースはそれなりにあるようですよ」と補足した。もっとも、unidentifiedのままの飛行物体が多いと国防上問題大有りなのだが。
 他の人たちが誰も騒がなかった理由については「もしかして、しっかりトランスポンダ積んでフライトプラン出してたんじゃないですか」と、突っ込んだというか何というか。つまり書類が整っていれば飛行原理の詳細を現実に検査されることはないだろうという話。似たような飛行物体がベルギーでは空軍に追跡された理由は、手続きが抜けていたに違いないということになる。空軍としては、正体不明の飛行物体が領空に入ってきたらスクランブルして追っかけないわけないはいかないだろうし。まあ、他に説明のしようがなかったのだが、それにしてもええんかいなこういう答えで……。