Feed

菊地忠昭氏の訃報

Posted on 6月 12th, 2005 in 倉庫 by apj

 ダイナミック企画取締役の団龍彦氏こと菊地忠昭氏が肺ガンのため6月6日にご逝去なさったことを、ネット経由で知った。享年56歳。あまりにも若すぎる……。
 ダイナミックアニメ関係の企画設定の仕事をなさっており、特に、放映当時の数々の雑誌にて、マジンガーシリーズの記事や設定を手がけてこられた。団達彦は小説家としてデビューした際の筆名で、「ゴッドマジンガー」「幽霊探偵局」「学園超女隊」などを世に送り出された。
 番組放映当時には、豊富な敵メカ設定に多大な貢献をなさったとのこと。双葉社刊の「魔神全書」316ページに写真付きのインタビュー記事があります。他にもムック本などにインタビュー記事が出ていることがあります。氏のインタビュー記事、当時の製作の様子がとてもよくわかるので、見つけると楽しく読んでいました。
 子供の頃に見ていたアニメの多くが、LDやDVDで売られ、当時のまま鑑賞できるわけですが、製作に携わった方々のうち何人かはすでに鬼籍に入られ、受け手だった私も今は社会に出ているわけで、なんだか本当に時間がたったのだなあと思います。

修正1条

Posted on 6月 10th, 2005 in 倉庫 by apj

 『シュワルツ博士の「化学はこんなに面白い」』を一通り読み終えたのだが、放屁が原因で訴訟になった話が紹介されていた。原告の主張は、被告がいつも自分に対して放屁して精神的苦痛を与えられた、だったのだが、被告側弁護士はこれに対抗して合衆国憲法修正1条を持ち出した。つまり「放屁は言論と表現の自由である」と主張したのだ。結果、判事は被告に軍配を上げ、原告の請求を棄却した。
 アメリカは訴訟社会だという話はしばしばきくし、とんでもない訴訟が行われていることも知っていたが、放屁に対して憲法修正1条が適用されるというのはさすがに考えてもみなかった。ってか、言論と表現の自由はそこまで認められるのか、本家では……。もうね、どこをどう突っ込んだらいいのかよくわからないんですけど。

バックアップでコケた(泣)

Posted on 6月 9th, 2005 in 倉庫 by apj

 絵里タンの新しいメールアドレスを教えてもらったので、昨日メールを送ったんだけど、今朝バックアップをしくじって、昨日の丑三つ時から午前中位のメールを失ってしまった。すぐに「もしお返事頂いてたらなにとぞ再送を」と送信したんだけど、今のところ連絡なし。まあ、弁護士さんも忙しいはずなので、数日待って、連絡がないなら直接電話してみます。
 そんなわけで、他にも、6月9日午前2時から午前11時くらいに私宛にメールした覚えのある方がいらっしゃいましたら、どうか再送をお願いします。

「世界」7月号

Posted on 6月 9th, 2005 in 倉庫 by apj

 岩波書店の雑誌「世界」7月号に、江本氏の波動と水結晶への批判記事が出た。『あなたは「水」に答えを求めますか 疑似科学が蔓延する日本社会から見えるもの』というタイトル。313ページから。
 執筆は二村真由美氏。ちょっと前からメールで問い合わせがあって、阪大の菊池先生が疑似科学批判をしているとか、氷の話なら北大低温研に専門家も情報も集まっているといった話をしていた。阪大菊池さん、北大低温研の古川さん、それから私のコメントも取り上げられている。よくまとまっている評論なので、ぜひ読んでほしい。

あの時……

Posted on 6月 8th, 2005 in 倉庫 by apj

 ネットで気になるものを見てしまって、だいぶ前のことをふと思い出した。

 大学院終わった翌年の秋、NECの面接を受けた。高周波回路(電送線理論など)を使って高速で動作する半導体の回路の評価などをやるということで、かなりうまくいった。1週間以内に返事が欲しいというところまでいった。ちょうど同時期に、千葉の放医研に来ないかという話があって、こちらも最初はプロジェクトのお金で雇うがうまくいけば正職員に、という話しだった。とても迷ったんだけど、テーマつぶれてしもたがなに書いたような事情があって、研究をあきらめきれなかった。もし、博士課程で存分に思ったことをやって失敗していたら、自分には向いてないというあきらめがさっさとついて、会社で技術者になる道を迷わず選んでいたのだろうけど、「まだ自分の限界を見ていない」という思いが強かったから、学術に少しでも関わっていられる放医研を選んだ。結果、放医研では、組織替え&自分自身の適性の問題の両方で職を得ることはなく、2年ほど非常勤やアルバイトで食いつないで、お茶の水大で実験させてもらって、2つめの学位を取った。その後、阪大VBL、広島大、と任期付きの職を転々として、現職に至った。
 国立大学法人がこの先安泰だとは決して思ってないのだけれど、疲弊する職場 NECは今なんてのを見てしまうと、もしあのときNECを選んでいたら、今頃どうなっていただろうかと思う。裁量労働によるサビ残合戦を繰り広げていたか、既にリストラ対象に入れられていたか。仮に実力があったとしても、運次第で切られる状況になっていることは明らかのようで、個人のやる気や努力でヘッジできる範囲は既に超えてしまっている。

 ウチの研究室の4年は二人とも就職希望なので、就職活動最優先ということで、卒業研究の開始を遅らせて様子を見ているところ。新卒でどこかの会社に潜り込まないと、その後のキャリア形成が難しくなりがちなので、とりあえず、うまくどこかに決まってくれと願っている。職が不安定だといろいろ大変なのは私自身が経験済みだからねぇ……。私からのアドバイスとして、従業員の定着率が悪い会社には何かがあるから注意しろとだけ言ってある。ただ、この状況を見ると、過去5年位で派遣の割合が急に増えているところも要注意、という項目を追加しなければならないようだ。

 ニートが問題になってるけれど、NECでこの有様なら、「働いたら負けかなと思ってる」という言葉は、案外真実を言い当てているのではないかと思えてくる。私も含めて、労働者というのは全て奴隷(アフリカから黒人を強制的に連れてきた方じゃなくて、古代ローマ社会の奴隷階級の方ね)と考えた方がいろんなことが見えてくるのだけど、最近は奴隷の待遇が下がりまくっている、というかむしろ虐待する方に向かっているような。せめて古代ローマ並にして、頑張ればお金を貯めて市民権を得られるとか、奴隷なりにそれなりにまったり暮らせるとか、最低限の食料は配給で保証とか、もうちょっとましな扱いをしないと、そのうち国が滅びるんじゃないかな。

名古屋で講演

Posted on 6月 7th, 2005 in 倉庫 by apj

 (財)科学技術交流財団主催の、第5回「医療用水・排水のアクティブ循環処理と応用研究会」にて、「‘水’に関するトピックスと水のレーザー分光」というタイトルで話をしてきた。私の前に話をしたのが、名古屋大の大峯先生で「水の多様性とその発現機構」。大峯先生の最近の話をきくのはひさしぶりだったので、水の揺らぎについてよくわかって勉強になった。
 私の方は、低振動数ラマン散乱とレイリーブリルアン散乱の話を前半にやって、後半はいろんな書籍から持ってきた図で水の基本的な性質を簡単に紹介し、あとは巷の怪しい水に対する調査結果やコメントなど。質疑応答になると、研究の方にはちっともコメントがつかなくて、怪しい水の話にばっかりコメントがついたのは、ちょっと釈然としなかったり。
 岐阜薬科大の葛谷先生が、怪しい水にかなりツッコミを入れている方だとわかった。ネットではやっておられないのだが、白畑教授の活性水素についても、おかしなネーミングをするなというクレームを出されたとか。
 思いこみに基づいて「実証のための試験をしてくれ」という依頼が企業間でもあるようで、無茶なことを頼まれて正しいことを説明しても分かってもらえないという苦労をしているケースもあるようだ。
 INAXの方がみえていたので、そういえば軽部研時代にINAXの人と一緒だったという話をしたら、軽部研に来ていた人と一緒に仕事をしているということが判明。その節はお世話になりましたとお伝えください、なんてことになった。

ちょっと動けません

Posted on 6月 6th, 2005 in 倉庫 by apj

 中西準子氏の応援企画の件。絵里タンのメールアドレスと法律事務所の連絡先を教えてもらったが、メールアドレスは変更になってるようで、エラーで戻ってきた。改めて電話入れてからfaxしようかと思っているが、明日の名古屋行きの準備に追われててその余裕がありません。今週中には連絡入れるようにします。

トンデモ本大賞2005

Posted on 6月 4th, 2005 in 倉庫 by apj

 本日、トンデモ本大賞2005に参加。まあ、会の様子やら大賞受賞作へのコメントやらは他の人たちが出すだろうから、買った本などのメモだけ作っておく。
<会場販売の同人誌>
・と学会誌13
・と学会誌14
・本家立川流 第六号(立川流トンデモ落語の会)
・古代中国にUFOは飛来していたか?ー中国トンデモUFO本の世界ー (中京大学教授 明木茂夫著)
・開田裕治と開田あやのローレライ追跡記
・D-猫津波 オタクダイエット
・さらば談話室滝沢
・「犬のがまんの物理学」を含む作品集ー藤倉珊化学論文集ー 増補版
<書籍>
「と学会年鑑Rose」楽工社 4-903063-00-3 1350円

 と学会誌を見て早速ダウンロードしたのが、「SFと科学技術におけるテレイグジスタンス型ロボット操縦システムの歴史」(大山英明、他著、pdfファイル)。ジャンボーグAの評価がなされているというのがダウンロードした理由である。実はリアルタイムで見てたんだよな、これ(全部じゃないけど)。
 人間が人型ロボットに乗り込むという考え方を普及させたのは、永井豪氏原作のアニメ「マジンガーZ」であることは確かだが、調べてみると、Z放映開始から約一ヶ月後にジャンボーグA(特撮、円谷プロ)の放映が始まっている。パイルダーという小型の機体を操縦し、ロボット本体と合体後、航空機や自動車を操縦するような感じで巨大ロボットを操縦するのが、マジンガーZの操縦法である。一方、ジャンボーグAは、飛行機がロボットにメタモルフォーゼし、内部にいる操縦者の手足がワイヤーのようなものでロボットにつながっており、操縦者の体の動きと同じようにロボットが動く。人間がロボットに一体化するという点では両作品は同じだが、操縦方法が根本的に違っている。2種類の全く違う操縦方法が、ほとんど同時にTVというメディアを通して広まったというのは、なかなか面白いと思った。その後のSFロボットアニメ・特撮の操縦法は、ほとんどがこの2種類のいずれかに分類できるだろう。

 ところで、3次会で原田氏が、バベッジのディファレンシャル・エンジンについて、「蒸気機関を利用して機械を動かすというのは、そもそも人間の筋肉の延長上にあるものだったが、それを演算すなわち脳の代用品にしようと考えたところがすごい」と言っていた。じゃあ、筋肉を動かすタンパク質を使った演算素子はできないのか?という話になった。こうなってくると、「脳ミソ筋肉」という揶揄は、案外事実を正しく表現しているのかもしれない。

 ともかく、今回は入会して最初のイベントだし、入会が直前だったので状況がわからないから特に裏方の手伝いはせずに、普通に参加し、終わった後の2階席のゴミ拾いだけひそかにボランティアでやってきた。ところが。会場で配られていたウチワがちょっと……。「Yes!高須クリニック」という病院の宣伝なのだが、何と書かれていたかというと、

【表】私がむきます この道一筋
【裏】6月9日は包茎の日 克弥が夜来てむくよ。

 一人一枚はまあしょうがないかなと思ってたんですが、ゴミ拾いした結果、このウチワをさらに4枚回収しましたよ。こんなに持っててもしょうがないので、どうしましょうかと運営の人に訊いたら「全部お持ち帰りください」。この情報が必要な人が世の中に存在することもわかるんですけど、でも、ボランティアして少し後悔したのは後にも先にもこの時だけだです、ハァ。結局これを手に持って電車に乗って2次会会場へ行きました。今も手元にあって、頭抱えてます。ウチワなんかそもそも使わないし、書かれている情報は私にはちっとも役立たないし、内容が内容だけに大学に戻って研究室で配ったりしたら下手すりゃセクハラだし。一体どーすりゃいいんでしょうね。

本が届いた

Posted on 6月 2nd, 2005 in 倉庫 by apj

 科学リテラシーの参考資料ということで、「チョコレートを食べても太らないってホント?」「シュワルツ博士の「化学はこんなに面白い」―知っているようで知らない日常の化学のはなし 」を買った。いずれも、カナダでのインチキ健康法やオカルトをとりあげて解説している。それだけではなく、化学の発見とか、化学を使った手品の話も出てくる。
 掲示板の方で紹介されたので衝動買いしたのだが、やはり傑作なのはプロローグで浄水器を売りつけられるシーン。一応、次亜塩素酸がとれるものが持ち込まれ、セールスマンはインチキ電気分解とオルトトリジン法で塩素の恐怖を煽りまくって、シュワルツ博士に逆に講義されるわけだが、最後に家の外に出たセールスマンが次行く前にタバコを吸うという……。塩素の害よりそっちの方がよっぽどやばいってw。
 ところで、この本、2冊とも主婦の友社から出ている。主婦の友社といえば、「わたしたちはなぜ科学にだまされるのか―インチキ!ブードゥー・サイエンス」を出していたりする。私が子供の頃は、母親が買ってた雑誌「主婦の友」の方が馴染みだし、出してる本も料理や手芸の本というイメージがあったのだが、どうも最近は、海外発の疑似科学批判本というジャンルを確立しつつあるような。

マイナスイオンの別の話

Posted on 6月 1st, 2005 in 倉庫 by apj

 昨日の教養の講義では、「マイナスイオン」批判をやったが、その中で紹介したネタ。ある会社が、野菜だか果物だかのいい保存方法を開発したが、他社に真似されないようにするため、「マイナスイオンの効果」を謳って宣伝した、という話。又聞きなので私も詳しいことまでは知らない。で、学生には「知識が無ければ、同業他社の宣伝に乗せられて、マイナスイオン効果を探し求めることになり、競争に負けることになる。生き残りたかったら流行にも宣伝にもとらわれず真実を見抜けるように正しい知識を身につけろ、そのためには勉強しろ」ってのが学生向けの説教なんだが。
 まあ、だまされない姿勢を身につけるのは、消費者としても大事だけど職業人としても大事だよっことで。
 他に言ってることとしては、「ここを出た人たちは結構地元のお役所に勤めたりすることもあるが、企業がトンデモ申請書で補助金申請をしてくることがある。文系の人でもちゃんと科学の知識の使い方を知らないと、税金を、ふれこみだけは立派だが成功の望みのない事業に出すことになるよ」ってのも言ってる。
 これで少しは用心するようになってくれればいいのだが。