Feed

フレッシュマンキャンプ

Posted on 4月 10th, 2010 in 倉庫 by apj

 新入生への導入教育の一貫として、今年から行われることになった、フレッシュマンキャンプの日だった。
 午前中は単位の取り方などを担当の先生が説明。昼前にキャンパス内のどこに何があるか(掲示板の場所、図書館や保健管理センター、学生センターなど)の案内、昼食は教員と一緒に会食、昼からは院生と先輩学生による大学生活の解説、研究室紹介に時間割製作など。
 サークルの新入生歓迎イベントの日とぶつかったので、キャンパス内はあちこちにテントが立ってて、勧誘してる人達の間を進みつつキャンパス内見学。

 今日は晴れていて、外の方が屋内よりも暖かいくらいの天気だったので大変に助かった。これが暴風雨の日に当たると、キャンパス内の見学がとんでもない試練と化すので(汗)。

知名度の問題ですかひょっとして?

Posted on 4月 7th, 2010 in 倉庫 by apj

 昼前に、山形銀行本店に用があって行ったんだけど、なんか市の中心部をやたらとパトカーと消防車が走り回ってると思ったら、目と鼻の先のきらやか銀行の本店に放火したヤツたが居たらしい。ロビーのテレビで、ニュースが流れていた。
 と思ったら記事になってる

山形の銀行ロビーにガソリンまき火 容疑者を逮捕
2010年4月7日13時27分

 7日午前11時25分ごろ、山形市旅篭町3丁目のきらやか銀行本店から「男がガソリンをまいて火をつけた」と110番通報があった。行員が男を取り押さえ、現住建造物等放火容疑で逮捕した。

 山形県警などによると、男は60代とみられ、銀行ロビーのカウンター付近にライターで火をつけたという。30代の女性行員1人の目に液体が入り、病院に搬送された。

 男性客の話では、男は個人名をあげて「会わせろ」と叫んだが誰も出て来ず、その後火をつけたという。火は行員と客が消火器で消し止めたという。

普通なら、この手の見出しで「山形の銀行」などとぼかした言い方をせず、「きらやか銀行本店」と固有名詞を特定すると思うんだけど、ローカル局のNHKニュースでも「山形 銀行に……」みたいなテロップ、asahi.comも「山形の銀行」。
 説明なしに「きらやか銀行本店」とやっても、どこの銀行だかほとんどの人にはわからない知名度だと思われているってことなのかしら、やっぱり。地元の銀行としては「山形銀行」というのがあって、こっちが舞台なら「山形銀行」って言ってもらえたかも。

学期の初めの恒例の……

Posted on 4月 6th, 2010 in 倉庫 by apj

 シュレッダーかけ作業中。
 古いレポート等で、学生に返却しなかったものの廃棄作業の真っ最中なのだが、最近は個人情報保護にうるさくなったので、表紙の、学籍番号や氏名が書いてあるページを片っ端から外してはシュレッダーにかける作業をしている。
 課題を複数出した場合、課題毎に表紙をつけてくる学生が居て、個人情報有りのページを全部探すのがなかなか面倒だったり。たまに、全ページのヘッダやフッタに氏名と学籍番号が……。レポートが分解した場合の安全策なのはわかるが、シュレッダーに入れる側にとっては量が増えてたまらない。
 じゃあ全部返せば、という話もあるが、教養だと、さっさと休みに入って取りにこなかったり。以前は返却ポストという場所に置いて、返して欲しい人は勝手に探して持って行け、とやってたらしいのだが、個人情報保護の点からこれもダメとなった。

 個人情報は表紙のみに記載、を提出時の注意にしないと、ちょっとやってられん……。今年度から徹底しよう。

論文集(笑)

Posted on 3月 28th, 2010 in 倉庫 by apj

 師匠の部屋の撤収作業が佳境なわけですが。
 論文別刷りの整理がえらいことになってて、奥さんと娘さんまで動員されて廊下に別刷り広げて整理の真っ最中。どうも、変にシャッフルされているは、業績リストと一致しない(あるはずが見つからない、リストにないのが発見されるなど)はで、てんやわんやになってる模様。
 そうこうするうちに、別の人が出した製本された論文集が見つかって、こういうのは一度貰うと捨てられないよね、という話になった。
「他人の迷惑を考えると、論文集は出さない!」
 と師匠がのたまったのですかさず、
「今現在の論文別刷りの分類状況がこの有様では、論文集を作るのは物理的に無理では?」
とツッコミを入れてみた。作業中の奥さんと娘さんは爆笑。
 出さないんじゃなくて出せないって正確に言おうよ、という身も蓋もないオチ^^;)。

 まあ、今回は他山の石というのを大量に発見したともいえるんだけど。日頃から整理整頓……。

 いやしかし、論文集を作るぞ、って話が二年以内くらいに出てれば、それを口実(?)に別刷りの整理がなされたかもしれないわけで、さてどーなんだろう……。

引っ越し

Posted on 3月 26th, 2010 in 倉庫 by apj

 師匠の研究室の機材の移動と、atom11に置いていた「冨永研究室びじたー案内」の引っ越し作業中。
ネットの方は、一旦、「冨永研究室びじたー案内の記録」に丸ごと移動。その後、コンテンツ毎に、ploneで作っている研究室サイトの方に移動させる予定。連絡先の変更とか、記録であることの説明とか、いろいろやらないといけないのだけどまだ終わってない。とりあえずコピーしただけ。両方の作業が忙しくて、blogを更新するヒマもない。

電子タバコを買った

Posted on 3月 3rd, 2010 in 倉庫 by apj

 電子タバコを見つけて衝動買い。ニコチン・タールが含まれていないことを確認後、付属のカートリッジのミント味を使ってみた。タバコ味カートリッジもお試しでついていたが、もともと喫煙の習慣はない(生まれてから一度も煙草を吸ったことはない)ので、わざわざタバコ味を試す気にはならない。当然のことながら、この先も本物の喫煙をする予定はない。大体、季節の変わり目に咳喘息の治療が必要になりがちなので、喫煙するなど自殺行為も甚だしい。

 一応「禁煙・減煙」目的の商品で、喫煙の習慣がない人は使うなと書いてあるが、大きなお世話だと思うので自己責任で使うことにする。説明書の注意書きを忠実に守って電子タバコを使うという目的で、これから改めて喫煙の習慣を身に付けるってのは、物凄く本末転倒だと思うし、体にもよくない。
 電子タバコのニコチン・タール無しのものなら吸っても他人に迷惑はかからないし吸ってる本人の健康も害さない、習慣性も中毒になることも無いだろうし、部屋が臭くなったりもしないし、火の不始末による火事の心配も全く無いし、吸い殻散らかすと怒られることもない。とりたてて害があるとも思えないのだが……。

 吸ってみた感じではそんなに悪くない。ミントについては、もうちょっと香りが強ければ、口臭軽減目的にも使えるかも。
 ネットで調べたら、電子タバコのカートリッジには、バニラ味とかイチゴ味とかいろいろあってなかなか良さそう。

 使用目的は……実は減量・ダイエット用。バニラとかイチゴとかレモンを選んで「煙草の量のコントロール」ではなく「食欲のコントロール」に使えないものかと考えている。吸ってみると、ミントの場合、数回でもそれなりに口の中や鼻の奥にミントの香りが残るので、これがバニラやイチゴやレモンなら、甘い物やおやつが欲しくなったときに香りだけで我慢する、というのに使えそうである。ニコチン中毒になる心配が無いので、安心してダイエットに使える。

 20歳の頃の体重から10kg以上増えて、何とかした方がよい身にとっては、口が寂しくなった時にどう対処するかが切実な問題だったりする。これまではチュッパチャプスが定番だったがカロリー制限をやってる時には利用不可(というかこんなものを常用してたから後から減量が必要になったわけで……)。ヘルシー路線ということで、おやつ昆布という手を考えたが、咥えているところを他人に目撃されると間抜けなのでやっぱり利用に制限が……。それで、ノンカロリーの電子タバコで、食べ物に対する嗅覚と味覚だけうまいこと誤魔化してはどうかという手を思いついた。

 難があるとしたら「禁煙だ分煙だとやかましく言われている今どき、煙草を吸ってるように見える」という点くらいだが……そこは妥協するしかないか。少々格好が悪いが、チュッパチャプスとおやつ昆布と電子タバコの三択だからなぁ……。

【追記】
 よく見ないと本物を吸ってるかどうかがわからないため、ニコチン無しの電子タバコであっても、公共の場所では使用場所が限られるらしい。それならいっそ、チュッパチャプス型とか、三連のチロルチョコ(復刻版)型とか、クッキー型のものを作ると、人目を気にせず使えるかもしれない。電子タバコの場合はそもそもが禁煙目的から出発してるので、見た目もタバコだけど、ダイエット目的から出発すれば、食べ物を模した形にするというのも有りなんじゃないか。

大学で義務教育の尻ぬぐい

Posted on 2月 28th, 2010 in 倉庫 by apj

 毎日新聞の記事より。

25時:言霊とミカン /宮崎

 ミカンに「ありがとう」「死ね」と話し掛け、変化の有無を観察する「言霊(ことだま)大実験」が昨秋、県南地域の中学校であった。言葉の大切さを考える道徳学習だという。

 対象はビンに入れた3個のミカン。約2カ月後、生徒から悪い意味の言葉を掛けられた方が腐り始めた。良い言葉の方は変化なし。発案した教諭、そして多くの生徒が「言葉が伝わったのでは」と思ったという。

 言霊とは、言葉が霊的な力を持つという信仰だ。そして人は、古くから森羅万象に魂が宿ると信じてきた。位田晴久・宮崎大学教授(野菜園芸学)は「園芸作物を育て、心の癒やしや安らぎを得る効果は間違いなくある。若い世代が事実の検証を重ねて不思議な現象を明らかにすることに期待したい」としたうえで、「植物に人間の言葉の持つ意味を理解する器官は確認されておらず、現時点で真理として教えるのは適切ではない」と指摘する。

 大阪大の菊池誠教授(物理学)も「ミカンはただの物質で、言葉の影響を受けるとは考えられない。少数での実験結果は偶然に左右される。気持ちはわかるが勇み足だ」と疑問視する。

 子供の理科離れが指摘されるなか、真偽不明の事柄をあたかも事実のように扱うことには違和感がある。心に平穏を与える宗教やおとぎ話を否定はしないが、世間には科学や善意のふりをしたまがい物が数多くあるからだ。

 病気や美容への効果をうたう商品やサービスを巡る詐欺的商法は後を絶たない。中学生も数年後には社会人だ。「愛の言霊パワーを封印した限定商品をわずか10万円で」と勧められた時、冷静に判断できるか。健全な批判精神を養うことも、教育には必要ではないだろうか。【石田宗久】

 まだ、「水からの伝言」から派生した「みかんに声かけ実験」を、義務教育の道徳で教えている教員が居るらしい。
 私の方では、大学の共通教育で水からの伝言を取り上げて、「科学として間違いで国語としてもダメで道徳としては不道徳な内容」とやってるわけだけど、義務教育が未だにこれでは、当分この内容を教材から外せそうにない。来年度は、水だけではなく、ミカンやごはんの話も取り上げた方が良さそうでさる。

 結局、大学までたどりついて(私の講義を履修した人には)「道徳でやった内容は実は大嘘で、話の内容は極めて不道徳だ」と教えることになる。健康への効果を謳う「波動関連商品」についても摘発の経緯を説明しているし、そのことと、声かけ実験道徳のベースになっているのが「波動」で、道徳の授業のはずが、インチキ波動商品を売ることに荷担する内容でしかないことまで説明している。詐欺の被害者が出るのを防ぐという意味もあるのだが、受講生には教員を目指す人だっているので、そういう人が、将来、この手の内容を授業でやらないように、ということも狙っている。

 つまりは、義務教育で行われた道徳教育の嘘の尻ぬぐいを大学ですることになっているのである。この手の内容を道徳で教えるというのは、道徳的にはじゅうぶん非難に値する行動だと、今年からはっきり言うことにしよう。そろそろ、いい加減にしてもらいたい>小中高で道徳教えてる先生方。

学校が何をしていたかは、はっきりしているんじゃないかな

Posted on 2月 27th, 2010 in 倉庫 by apj

 YOMIURI ONLINEの記事より。

【学力考 いわての危機・上】社員に「引き算」研修

 小学3年生用の計算ドリルや高学年用の漢字ドリル。これらの教材を、携帯電話などの関連部品を作る沿岸部のある企業では、新人研修で使っている。もう10年になる。「かけ算九九さえ満足にできない若者がいる」との悲鳴が以前から現場で上がっていたからだ。

 「102―69=941」、「107―48=152」。研修の場で、小学校レベルの引き算ができない高卒の新入社員を見て、社長(63)は、あぜんとした。

 研修では、できない社員に対し、上司が付きっきりでマスターするまで指導している。この社長は「学校は何をしていたのか。そう思わずにいられない」と、深いため息をつく。

 「ゆとり教育」導入以後、全国的な問題となった子どもの学力低下。だが、本県の現状はとりわけ厳しい。

 文部科学省が昨年4月に全国の中学生に実施した学力テストで、中3は、数学Aが全国ワースト3、Bが同4位となるなど国数2教科4科目中、国語A以外で全国平均を下回った。数学Aは2007年の全国学力テスト復活後、3年連続でワースト3に低迷する。

 高校生はさらに深刻だ。

 17日、花巻市内で県内小中高の教諭らが集まって開かれた県教育研究発表会で、昨春実施の大学入試センター試験の平均点が主要13科目中9科目で最下位かワースト2という結果が示された。

 加えて、同じ場で、県教委の佐々木修一教育次長は、昨春卒業した東北6県の高校生の高校3年間の全国模試について、英数国3教科合計の平均偏差値がどう推移したか、民間業者が作った県別のデータを紹介した。

 1年生の7月時点で、本県は47・1で最下位。5位の県とは1・7ポイントの開きがある。その後一時回復するが2年生の2月から下降し始め、卒業近い3年生の11月時点では45・5。

 東北トップの県でも49・3で平均を下回っているが、トップから5位(48・1)まで1・2ポイント差でひしめき合っているのに、5位と本県との差は2・6ポイントもあった。

 偏差値は、1ポイント違うと合格が見込める大学の難易度が一段違ってくるとも言われている。2・6ポイントの開きは、あまりにも大きい。

 東北の残る5県からも引き離されている岩手の高校生の学力について、ある高校教諭は「『みちのく一人旅』だ」と自嘲(じちょう)気味に話す。

 他方、小6は、昨年4月の全国学力テストで、算数、国語の2教科4科目とも全国平均を上回り、国語Aが全国12位、Bが同9位といずれも上位だ。本県の学力低迷は、中学から始まっている。

 佐々木次長は「基礎学力は進学だけでなく、生きていくのに必要なもの。まず、中学の学力を何とかしないといけない」と、焦燥感をあらわにする。

     ◇

 岩手の子どもの学力が危機的な状況になっている。現状と課題を問う。

(2010年2月20日 読売新聞)

 続く記事はこれ

【学力考 いわての危機 中】数学の理解 中3最低

 54・4%――。

 アンケートで県内の中学3年生が「数学の授業を理解している」と答えた割合だ。昨年4月の全国学力テストの一環で実施され、全国平均は64・9%だった。開きは10ポイントを超す。2007年の全国学力テスト復活以来、本県の中学生は、数学の授業が「わかる」あるいは「どちらかというとわかる」と肯定的に回答した割合が3年連続で全国最低だった。中学3年生のほぼ半分が、よくわからないまま数学の授業に臨んでいる。

 このデータは、現場の数学教諭にも衝撃的だった。盛岡市立上田中の佃拓生教諭(40)は、07年秋、全国学力テストの結果が出るのを心待ちにしていた。手応えを感じていたからだ。だが、数学A、Bとも最下位クラスという順位に加え、理解度を尋ねるアンケートも最下位。佃教諭はがく然とした。

 全国学力テストの結果を分析すると、正答率が低いグループと高いグループで、四則計算や文字式など小学校や中学1年で学習する基礎、基本を問う問題の正答率に大きな開きがあることがわかった。

 そこで、佃教諭は、授業で、分数の割り算なら正解の出し方だけでなく、分数の仕組みも丁寧に説明するようにした。50分の授業中、10分は基礎の確認に充てる。そうすると今度は、授業時間が足りない。佃教諭は、「数学の授業時間は10年前より年に35時間減った。中学でやるべき数学の授業をなかなか進められない」ともどかしそうに話す。

 県教委も、中学1年生でのつまずきをなくそうと、08年度、小学6年生と中学1年生向けに「中学校数学準備問題」という問題集を作った。昨年4月末時点の調査では、76%の小中学校が利用し、今後使いたいという回答は9割近かった。

 また、小学校から、子どもたちに自分で知る喜びを知ってもらうため、積極的に辞書を活用し始めたところもある。陸前高田市立長部小は、昨年4月から、全児童95人に国語辞典を配り、全教科の授業中、わからない言葉を調べてもらうようにした。同校は読書も呼びかける。

 授業内容の理解が進まない原因を県教委は、どうみているのか。佐々木修一教育次長は、「前回習ったことと、その日学んだことの確認は基本中の基本。だが、恥ずかしながら、できていない場合が多い」と授業の進め方に問題があると率直に認める。

(2010年2月23日 読売新聞)

 その次がこれ

【学力考 いわての危機】〈下〉家では「ながら勉強」

 大船渡市に住む中学1年生のタカシ君(12)(仮名)は、学校が休みの土曜夜、自宅の勉強部屋にあるこたつでノートを広げた。兄(15)の勉強机もあるが、テレビが目の前のこたつが指定席だ。

 テレビからは、お笑いタレントの大きな声が響き、机の上には読みかけの漫画本。視線はテレビとノートを行ったり来たりする。1日約30分勉強するというタカシ君は「いつもこんな感じ」と屈託ない。家族からとがめられることもあまりないという。

 「ながら勉強」が、ごく普通になっている。昨年8月に全国学力テストに併せて実施された学習状況のアンケートで裏付けられた。「テレビを見ながら家庭学習をしていた」と答えたのは、「ときどき」も含め、県内の小学6年生で76・9%に上る。高校受験を控えた中学3年生でさえ、半数を超す57・4%だった。

 家庭学習の時間も短い。中学3年生の1日あたりの家庭学習時間(平日)は、「1時間未満」の合計が、ほぼ2人に1人の46・9%で、全国平均の34・6%を大きく上回る。県内の小学6年生が34・3%にとどまるということは、中学に入ると家庭学習がおろそかになる子どもが100人のうち12人も増える計算だ。

 では、質はどうか。

 「自主ノート」や「自学ノート」と呼ばれる手法が、家庭学習で中心的な役割を果たしてきた。教諭は「2ページ分」などと分量を指示する程度で、科目や内容は原則自由だ。自主的な勉強習慣を身につけさせようと20年ほど前から広がり始め、教科担任が課題を指定する宿題に取って代わった。

 ところが、県南部の中学校の数学教諭(45)は「自主ノートで数学をやってくる生徒は、ほとんどいません」と明かす。ノートに同じ漢字の書き取りを繰り返すだけ、という生徒も少なくないという。

 実際、県立総合教育センターが昨年11月に実施した調査では、県内中学の教科担任の63・6%が、自主ノートの学習効果に疑問を感じていた。

 こうした現状から、県教委は、宿題に再び目を向け始めている。北上市立和賀東中では09年度から各教科できめ細かに宿題を出し、生徒の取り組みを4段階で評価している。すると、授業で積極的に質問する生徒が増えてきたという。

 8年前に全国で本格導入された「ゆとり教育」の目的の一つも、自主性を育むことだった。しかし、学習塾「M進」盛岡本校の高橋栄一講師(35)は、「最近の生徒は、自分から学ぶ姿勢に乏しい」と分析する。

 「自主」や「ゆとり」という言葉は耳には心地良く響く。でも、その裏側で、見落としてきたものはなかったか。基礎学力の低迷という厳しい現実は、学校と家庭に自らを見つめ直すよう迫っている。

 (この連載は、中島幸平、吉田拓矢、工藤武人が担当しました)

(2010年2月24日 読売新聞)

 一部の進学校を除いて、学校、特に小・中・高が何をしてきたかは、はっきりしている。成績に関する「粉飾決算」をしていたの一言に尽きる。学習内容がマスターできていない生徒を進級させ卒業させて続けてきた。何も岩手に限った話ではない。
 まともな学力試験を課す大学に進学する人達は勉強する機会があるから学力を向上させるチャンスがあるのだろうけど(それでも大学全入とAO入試の横行で危なくなっている)、粉飾決算成績判定&受験勉強の機会無し、なら、学力がどうなるかは誰にだって想像がつく。四則演算の補修を会社でしたくないというのなら、受験勉強を通過した大学生を雇うしかない。あるいは、高卒の入社試験に小学生レベルの算数の問題を課して選別するか、どちらかだろう。会社で無理にフォローしようとせず、出来の悪いのは試験で落として突っ返す方針でいった方が、教育現場に対して「何が問題か」をきっちり突きつけることができるはずである。小学校で学ぶべき事は小学校が責任を持って、習得するまでやらせなくちゃいけない。習得してない人を卒業させた結果、その次の学校が尻ぬぐいする羽目になるとうというのは間違っている。中学、高校についても同様。
 また、数学が出来なきゃ就職できない、というメッセージを伝えることも大事なんじゃないかなぁ。数学は社会では役立たない、といった間違った偏見をただすためにも。

英:ホメオパシーへの財政支援の中止

Posted on 2月 26th, 2010 in 倉庫 by apj

 NewScientistの記事より。英国の国民保健サービスが、ホメオパシーへの財政支援を止めることを決定した模様。
 これまで支援があったことの方が驚きだが、支援を止めるのは良いことである。プラセボのために保健の金を投じる余裕など無いだろうから。

 それはともかく、ホメオパシーがプラセボ以上に効くという印象を与える行為はすべて患者への騙しだろう。世の中、騙されることに金を払って無問題な場合もあるが、それは、金を払う側がそのことを知っている場合だけである(フィクションを読んだり観たりするために金を払うなど)。ホメオパシーが「プラセボ以上の効果は何も無い」ことを患者に十分に説明し納得させた上で使われるのなば、患者に正しい情報を与えている(インフォームドコンセントが十分である)ことになるが、そうでないものは患者を誤認させていることになる。

磁気水(吉岡氏の件)について補足

Posted on 2月 18th, 2010 in 倉庫 by apj

 1つ前の関係ないエントリーに、愉快犯を名乗る人物が、リモホ112.68.231.242(←他でも似たようなことをしてるとか、磁気活水器マルチの関係者かもしれないので一応メモ)から書き込んできた。
 関係のない話題にフォローしている時点で程度が知れるわけだが、そのまま続けても話が混乱するので、こちらに引用して、コメントは削除する。

磁化水」計測に成功 (by 愉快犯)
http://www.minusionwater.com/magwatermeasurement.htm
なんていう記事が吉岡さんのサイトにありましたよ。
水商売ウォッチングの反論が楽しみ!
あんたの科学者の端くれならくだらんことばかりブログに書いてないできちんと科学者らしいコメントを述べよ!
at 2010/02/17 23:10:38

 これについては、既に掲示板で話が済んでいる。
http://www.cm.kj.yamagata-u.ac.jp/bbs01/showthread.php?mid=27577&form=tree
http://www.cm.kj.yamagata-u.ac.jp/bbs01/showthread.php?mid=27567&form=tree

 ソースが日刊工業新聞なのだけど、掲示板の方にも書いたように、この新聞のこの手の取材記事は、とんでもないものが出ることがあるので信用ならない。かつて、取材される側にいた時の経験からすると(当時の軽部研究室は、紙面が埋まらないと「話題ありませんか」と記者が来るような所だった)、マユツバとか話半分以下だと思う方がよい。私が遭遇したケースは、確かO157の食中毒が問題になって、検査法の開発が必要だという時の話である。同じ研究室の人がこれまで別のDNAについてやってきた分析方法でO157もターゲットにする計画を考えていた、程度の状態で、新聞に出た記事は、既に検出キットの開発が行われていて今にも実用化できる、ってニュアンスの代物だった。さすがにこれはまずいだろうと、取材に応じた担当者が青くなっていた。こういうことがあるので、日刊工業新聞の取材記事であっても、新聞記事はまずあてにならない。

 問題の件は論文のアブストラクトは公開されていて、見ることができる(掲示板の議論の方にアブストラクトへのリンクがある)。それによると、使った水は”Sample water (public drinking water)”となっている。これでは、水の中にどういう不純物が入っているかわかったものではない。微小な効果の測定になればなるほど不純物のコントロールが難しくなるのだけど、著者がそのへんをどう考えているのかがまったくわからない。本文を見ないと何とも言えないのだけど、磁気水界隈では、実験に使う水処理の仕方を変えると結果が変わったという話もちらほらある。水の精製が足りないと、何を測定しているかさっぱりわからないということになる。

 現状の磁場の水に対する効果の測定は、pure waterを使って、溶存酸素の濃度を制御するといった精度で行われている。飲料水などという曖昧なものでOKというやり方をとってはいないのである。

 ついでに言うなら、研究者の1人は、昔はまともだったかもしれないが、最近は、気功エネルギーの研究をしていて、代替医療の怪しい方に首まで浸かっているように見える。普通に考えて、話をそのまま信用していいとは思えない。

 それよりも何よりも、一番笑えるのは、吉岡氏がこの記事を得意気に出していることの方である。

 特商法や景表法によると、商品の効果についての合理的根拠は、販売開始時に備えている必要がある。条文には書かれていないが、根拠の提出を認められてから提出期限までが短いので、根拠を求められてから実験したのでは間に合わないようになっている。従って、法は、販売開始時に合理的根拠を備えるよう求めている、と考えるしかない。
 仮に、この論文がまともだった場合、吉岡氏のこれまでの販売が違法であったことを補強する証拠になるだけである。
 「今回初めて論文になるような段階のものであった」=「それの論文が出るまで合理的根拠を示す方法がなかったし、かつ、その論文が出てもまだその検査方法等が標準的な方法と認められたわけではない」が成り立つので、論文が出る以前から売ってた吉岡氏は、合理的根拠もないのに思い込みに基づいて違法な販売をしていたという結論になる。

 販売が合法であることを言いたいのなら、今頃新しく出た論文を紹介していたのではダメで、「販売する10年も前から論文レベルの話は終わって評価方法その他が確立してました」という顔をしていないといけない。まあ、出来ないだろうけどね。

 つまり、問題の記事を引用することは、華麗に吉岡氏の首をしめることになるのだけど、自分で自分の首をしめている事実にご本人だけが気付いていないということになる。