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既視感

Posted on 2月 21st, 2009 in 倉庫 by apj

 msn産経ニュースの記事より。

山形新幹線運休、通信ケーブル切断が原因 威力業務妨害容疑で捜査
2009.2.21 12:50
 山形新幹線の区間運休などのトラブルで、JR東日本仙台支社福島支店は21日、福島駅と東福島駅の機器室でそれぞれ通信ケーブルが切断されていたことが原因と発表した。福島署は威力業務妨害の疑いもあるとみて調べている。
 同支店によると、20日午後6時すぎ、奥羽線で信号機トラブルが起き、福島駅の機器室を調べたところ通信ケーブルが切断されていた。係員が同室に入った際、通常通り鍵が掛かっていた。
 また、同日午後5時15分ごろ、仙台支社の表示板が風速計の異常を示し、調べると東福島駅の機器室で通信ケーブルが切られていた。
 信号機トラブルで、山形新幹線と奥羽線の普通列車計5本が区間運休するなど約1300人に影響が出た。

 この時期は忙しいので、山形新幹線を使うどころではないのだけど、よく使う路線だから気になった。

 通信ケーブル切断による列車運行妨害というのは、何だか既視感がある。私が学生の頃、中核派がJR総武線のケーブル切断テロをかましてくれて、半日以上電車を止めてくれたことがあった。ちょうどその日は、医療情報学会の会場係バイトで都内に出かかる予定の日で、普段使わない京成線で行くはめになって、大迷惑だった。今のようにネットがある時代ではないから、学会会場に缶詰になると復旧情報は何も入ってこず、「情報」学会と名の付く場所で、世間の情報からは取り残されることになった。何だか名前と実態が合わないよなぁ、と、先輩達と苦笑いしていた。
 バイト学生には懇親会無料というサービスがあり、医療系の学会ならではの、(貧乏学生にとっては)贅沢な料理が食べられて、嬉しかった思い出がある。

blogをどこに置くと良いのか

Posted on 2月 21st, 2009 in 倉庫 by apj

 ここ一週間ばかり、Doblogが障害で見えない。左巻さんの「さまき隊」がDoblogにあるので、よく見に行っていたので、見えなくなると困る。多分、blog主の左巻さんは、読者よりももっと困っているに違いない。
 無料blogサービスはいくつもあるし、はてなのアカウントも持っているけど、結局ほとんど使っていない。ここのblogは、レンタルサーバに、フリーソフトのweblogプログラムを入れている。
 無料サービスを使わなかった理由は、何か不都合があってエントリーをまとめてどこかに移転させる作業が必要になったとき、実行するのが面倒くさそうだったからである。どんなblogでも一つ一つの記事を表示させて保存すれば、移転は可能だけど、記事が多ければ非現実的な作業になってしまう。データファイルを一括圧縮してダウンロードできるならいいのだけど、そういう機能を持っているところが見当たらなかったので、自前でやることにしてしまった。もしかしたら、最近はそういうサービスをしているところもあるかもしれないけれど。
 レンタルサーバを使っていても、ディスク障害が起きるときは起きる。問題は、手軽なバックアップの方法があるかということ。自前でblog管理プログラムをインストールしていれば、データ部分や、それ以外のプログラム部分まで定期的にパソコンに吸い上げておくのは簡単だし、手元に持っていればサーバがすっ飛んでもそれなりに復旧できる。

 それにしても、左巻さんのところ、早く復旧しないかなぁ……。

 こんなことを書いている人もいるから、なかなか厳しそうだけど。

【追記】
 こんなことを書いているうちにDoblogが見えるようになっていた。しかし、さまき隊の最新記事が、 2008年8月4日だorz(2008/12/31の記事は、特にヘッダ記事として最初に来るようにこの日付になっているので、通常更新の最新は 2008年8月4日付けということになる)。
 さらなる復旧はあるのか……?

東京都と学生グッジョブ!

Posted on 2月 19th, 2009 in 倉庫 by apj

 日経BPの記事より。

大学生の視点でネット広告の不当表示を調査、東京都が39業者に改善指導
2009年2月19日
 東京都が都内大学と連携してインターネット上の広告を調査した結果、290事業者、437件の広告について「不当表示ではないか」との報告を受けた。都はそのうち39事業者に対して景品表示法違反の恐れがあるとして改善を指導し、報告のあったその他の全事業者に対し、法令順守について注意を喚起するメールを送った。
 調査は、ショッピングサイトが掲載している広告について、消費者に誤認を与える不当表示がないかどうかを大学生の視点から確認し、まとめたもの。協力したのは工学院大学、津田塾大学、電気通信大学、東京工業大学、東京大学、日本女子大学の6大学。2008年7月と9月の2回にわたって合計48人の学生が調査にあたった。
 不当表示の恐れのある広告が最も多かったのは食品で、学生から157件の報告があり、都はそのうち6割弱にあたる91件について業者を指導した。ダイエット効果をうたうコーヒーの広告では「驚愕のスピードで18キログラム減量!?」といった表示があった。調査した結果、こうした効果を実証する資料やデータ、裏づけになる合理的な根拠はなかったという。
 また、比較対象があいまいな二重価格表示で割安な販売を連想させるなど、価格に関して不当表示の恐れがある事例も多かった。
 東京都は2月20日に渋谷区の大学生協渋谷会館で、調査にあたった大学生が感想や着眼点を発表する報告会を開く。
■関連情報
・東京都のWebサイト http://www.metro.tokyo.jp/

 私の共通教育での担当講義は数理物質系でタイトルが「科学リテラシー」で、現実の広告からニセ科学性を指摘するというのをレポート課題の1つにしている。この記事を見て、不当表示探しというのも課題としては面白そうだと思ったが、不当表示かどうかは、科学的根拠の有無とは判定の基準が同じではないので、こっちを出そうとすると講義ジャンルが法学のどれかでないと合わないような……^^;)。

ノートあれこれ

Posted on 2月 19th, 2009 in 倉庫 by apj

 ちょっと文房具マニアが嵩じて、海外製の実験ノートと国内製の実験ノートの書き心地を試している。国内製のノートはこれまでに何回か使っていたが、最近、海外製のを2種類ほど試したのでまとめてみる。実験記録以外にもいろいろ書いておきたいことが出てきたし、A4サイズのノートのヴァリエーションはそんなに無いから、試すのも面白いかな、と。

1)コクヨのRESEARCH LAB NOTEBOOK
 若干クリーム色っぽい白色の紙に、薄い青の点線グリッド。ペン書きでもエンピツ書きでも、書いた文字が目立つ。ページ上にテーマを書く欄、下にチェック欄。
※工学部に行って生協をうろついていたら置いてあったのでソフトカバーのものを1冊購入。勉強用のノートと化した。
2)大学生協のハードカバー実験ノート
 白色の紙に薄い緑の細い線のグリッド。緑は蛍光っぽくはないが、それなりに薄い。エンピツ書きでもそれなりに書いた文字が目立つ程度。
 ページ上にテーマと年月日を書く欄あり。
※最初に見つけたのが北大で、ログノートと、阪大時代の実験ノートとして使用。
3)大学生協の黄色い表紙の実験ノート
 白色の紙に薄い緑の線のグリッド。多分、コピー機にかけるとグリッドは殆どでないだろう薄さ。エンピツ書き、ペン書きともに目立つ。
 ページ上にテーマと年月日を書く欄あり。
※ちょっと前まで受託研究のノートにしていた。
4)私がこの15年ほど愛用しているSEKIREIのSCIENCE AND ENGINEERING NOTEBOOK
 ハードカバーで、薄い水色のグリッドになっている用紙を綴じただけのもの。ナンバリングマシンで通しページ番号を自分で打って使っている。コピーをとったら多分方眼は出ない。まとめ買いしたのが大学院生の時で、本郷東大の地階の文具店(当時の生協となり、床屋とかが入ってた一角)。もう作らない、と言われて在庫をまとめ買いしたのでまだある。
※私の実験ノートのデフォルトはこれ。
5)Scientific Notebook CompanyのA4サイズノート。
 紙は白、日本のものに比べるとやや厚め。所謂実験ノートのフォーマット(署名欄とかもある)。グリッドが黒と黒に近いグレーで、それなりに濃い。大きめの字でインクで書けば問題無いが、鉛筆書きには不適で、グリッドが邪魔して読みづらい。
※受託研究ノート専用にしてしまった。なぜか思いつきでドイツ語と英語の二カ国語表記のものをゲット。
6)Bookfactoryのノート。所謂実験ノートのフォーマット。グリッドの色はグリーン。インクの色を薄くするのではなくて、テクスチャというかドットパターンで薄く印刷している。グリッドの線幅があるので、エンピツ書きよりは黒か紺のインクでしっかり書いた方が目立つ。
※講義ノート案を試しにこれで制作中。
7)(番外)ヨーロピアンスタイルの破り取り式のノート
 薄い青色の方眼で、4穴のA4の紙がリング綴じされているもの。国際会議に行った先の大学や文房具屋で仕入れてくることにしているのだが、日本だと伊東屋などでも売っている。エンピツ書きでもそれなりに使いやすいが、日本のものよりグリッド線が目立つ。紙は薄め。
※グラナダのカンファレンスに行った時に大量に買ったのが最初。その後、生まれて初めて集中講義を頼まれた時の講義ノートをこれで作ってから私にとっての定番に。2穴ファイルでノートを綴じると破れやすいので、4穴でファイリングを始めたら、用紙の方がこれに決定した……。

 これまでのところ、総じて、日本製のものの方が、紙が薄く、グリッド線も細くてかつ目立たない感じ。作りの芸が細かいという印象を持っている。
 一色のインクで、くっきりの方が読みやすいページのヘッダとフッタ部分を印刷すると、どうしてもグリッドが濃い目に出るのかもしれないが、もっと線を細くすれば邪魔にならないはず。まあ、実験ノートはインク書きが基本だからそれでいいのかもしれないけど。
 あともう1社、入手を試みている海外メーカーがあるのだが、ショッピングカートがまともに動かず、問い合わせ中。

 ってか、フールス紙の大学ノートって地味だけど完成度の高さが芸術品っていうか神レベルだと思った。あと、方眼ノートでA4だと大学ノートタイプのLIFEのがあるけど、かなり良さそう。

状況が変わったので連絡

Posted on 2月 18th, 2009 in 倉庫 by apj

 エントリーに書くのが遅れたが、ここでも何回か取り上げた株式会社日本トリムの状況が少し変わったので報告しておく。
 「宣伝に活性水素を使うのを止めて、健康関連について煽ったりしない宣伝をしていく」と言っておられた副社長が、先日、別の会社に転職された。転職しましたという挨拶状をいただいてちょっとびっくりした。
 会社の上の方が、このまま、活性水素云々や健康関係を強調した宣伝をしないまま、うまく販売をしてくれると良いのだが……。宣伝方針の方向転換の牽引役とも思われた重役の転出なので、今後どうなるかが分からない。

「魔法使いの弟子」問題(仕切り直し)

Posted on 2月 18th, 2009 in 倉庫 by apj

 「魔法使いの弟子」問題というエントリーを書いたら議論がアサッテの方に行った。主な原因は、この言葉を出したうーむ(=とおりすがり)さんが、omniさんのムペンバ効果への書き込みをきっかけとして、個人攻撃に走ったことによる。さらに、うーむさんが、私の周辺で批判をしている人達を「魔法使いの弟子」として揶揄する目的を持っていたということが判明した。これではまともな議論になるはずがないので、仕切り直しをする。議論が続くかどうかはわかりませんが、一応場所を作っておく。

 まず、私の元のエントリーは次の通り。
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 とおりすがりさんのコメントにひっかかったのでエントリーに上げておく。

ここのコメント欄のやりとりを見て apjさんのエントリー  「『本物』の科学を手にしていないとニセ科学を批判してはいけないのか?」
が見落としている大きな問題点(似非科学批判側に愉快犯が紛れ込み、誠意ある科学者を背後から撃つ危険性)を感じた。
「魔法使いの弟子」問題と言ってもいいかもしれない。魔法を知らない弟子が似非魔法叩きで味をしめ、自身に他の魔法使いの真偽を裁く能力があると勘違いしてしまう悲喜劇

 という指摘が、ムペンバ効果についてのエントリーのコメント欄に書かれた。

 実は、一つ間違えると水素水がこのパターンに突っ込みかねないので少々気を遣っているところだったり。
 一般の人には「とりあえず太田教授の研究を静観せよ」と言い、太田教授には「これまでのヘンテコ水商売に出てきたナンチャッテ学者に見られるような紛らわしいことをするな」と言わなければならない。その上、太田教授の仕事を我田引水しまくってインチキ宣伝をしたがっている人達がいっぱい居そうな状態。
 何だか、私は、童話に出てくるコウモリになったような気分なのだが……。

 「魔法使いの弟子」問題といえるような状態が目立ったケースってあるのだろうか。これまではそんなに問題ではなかったと思うのだけど。
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 これに対して、「魔法使いの弟子」問題そのものについての議論と考えて良いと思われるのが、次のコメントになる。
 まとめてこちらに移動させていただきます>投稿者の皆様。

太田教授の研究については (by pooh)
瀬名秀明さんがらみで2回ほど書きましたが、「魔法を知らない弟子」としては読むひとに意図がちゃんと伝わっているのかじつはまったく自信が持てていません。難しい。
at 2009/02/03 08:03:12

メタっぽくなりますが (by 黒猫亭)
ニセ科学批判で最低限必要なのは、「魔法が何であるかを識っていること」であって、「魔法が使えること」ではないような気がします。最低限、魔法が何であるかを識っていれば、自分が何を識らないかを識ることが出来ますから、「魔法使いの弟子」問題のようなことは起こらないのだと思います。

後は、実践論の観点では「魔法を使う動機」も関わってきますかね。この種の類型の説話では、弟子が師匠から教わった一番簡単な魔法をよからぬ目的に使って、その結果自分の予期せぬ結果を招いたり、魔法が暴走して止められなかったりと、要するに「罰が当たる」形で失敗するわけですね。

そう謂う意味では、この比喩は個々のニセ科学批判の在り方を検証する観点で結構使えそうな気がします。
at 2009/02/03 12:38:30

ちと修整 (by 黒猫亭)>>後は、実践論の観点では「魔法を使う動機」も関わってきますかね。
書き込んだ後でちょっと考えてみたんですが、これは「動機」ではなく「目的」としたほうが誤解がないかな、と思いました。「動機」と謂うのは第三者視点では割合重要性の薄いことですが、「目的」と謂うのは結果と密接に関連しているように思いますし、また実践の具体に即して客観的に論じ得るものでもあります。
at 2009/02/03 14:09:13

Re:「魔法使いの弟子」問題 (by とおりすがり)ネタ元発言者です。apjさんに「ひっかかり」を感じさせてしまったようで申し訳ありません。

apjさんがエントリー「想定しているユーザが違う」で説明されておられるような、裁判の対象となり得る「実害」を基準とした場合、寡聞ですが直接的な実害はあまり聞いたことがありません。

間接的に多少なりとも害があるとすれば、「似非科学批判」の形式を真似て、悪意ある中傷/名誉毀損/風聞の流布/偽装業務妨害等の活動をしたり、あるいはそれら活動を通じ「似非科学批判」派の信用失墜を図るような行為でしょうか。
でもapjさんはそういう話には付き合わず、実害を基準とした堅実な似非科学是正活動をするのがいいと思います。
(この件については、後で何か気付いたら、改めてコメントさせて頂きます)

【元発言について】 該当エントリーでエンジニア風の方が「これは科学ではない」と安易な決め付けをして、延々と説明にならない説明をされているのを拝見し、何でも「似非科学」と批判すれば議論が成立すると考える安易な風潮に一石を投じたく「魔法使いの弟子」という比喩を使いました。この比喩本来の意味と、該当エントリーの状況には多少のミスマッチがある事、重々承知しております。必要があれば、表現を訂正したいと思います。
at 2009/02/03 23:32:54

問題意識は必要ではないかと (by apj)poohさん、 見た目微妙なケースをどうするか、というのは、いつでも問題になりうると思います。

黒猫亭さん、
 「魔法使いの弟子」問題という比喩の中身も含めて、これから少しずつ考えていきたいと思っています。

とおりすがりさん、
 ひっかかったのは、仰るような種類の問題が確かにありそうだと思ったことと、まともな科学に誤爆するとまずいということ、それから、いわゆるニセ科学批判批判が「魔法使いの弟子」を見て違うものを想像したがために起きているのではないかとふと感じたこと、といった、いろんなことがあります。

 ただ、どのような問題を「魔法使いの弟子」問題とすべきかは、これから詰めないといけないと思います。
・まともな科学をニセ科学と呼ぶ誤爆をしてしまうケース
・ニセ科学に対する批判なんだけど批判の中身が間違っているケース
など、いろいろありそうに思います。
 まあ、とりあえずひっかかっておいて、後から詰めようという感じです。問題意識として持っておくと、そのうちはっきりしてくることもあるでしょうし。
at 2009/02/04 00:01:14

Re:「魔法使いの弟子」問題 (by chem@u)こちらによさせていただくのは初めて?かもしれませんが、昔ながらの名前で出ています。発信者が実名であったり固定HNであった場合、相互批判が効くので余り問題とはならないことが多いかもしれません。

そうでない場合の匿名による言葉の暴力は、結構見てきました。
具体的にはシックハウス症候群について、マンションデベロッパーに対して告発するようなサイト運営者への誹謗中傷とか、掲示板上での相談者への誹謗中傷とか、シックハウス症候群=ニセ科学という間違った認識による、まさに「魔法使いの弟子」問題といってもいいかと思います。

ただ、匿名による言葉の暴力は、ニセ科学に限定されないので、ここら辺をどうするかは、実際のところ相当に難しく、匿名サイドに誤った認識を与えないよう、批判を発信する側も常に自らを振り返るくらいしかないかもしれません。

 私の問題意識としては、ここ1年ちょとくらいの間にちょくちょく出てくる、いわゆる「ニセ科学批判批判」と言われるメタぶった批判が、「魔法使いの弟子」に向けられているのではないかということである。だとすると、「魔法使いの弟子」問題も、論点として上げておいた方が議論を整理できるのではないかと考えている。

 何でもかんでもニセ科学と呼んで批判する行為と、chem@uさんが指摘した、間違った告発をする行為(ニセ科学には限らないし、むしろ告発の方が科学の誤用になり得る)には共通点があるかもしれない。そこまで共通点を探すとなると、危険を必要以上に煽るケースにおける科学が拡大解釈されるものも含まれてしまい、今のところ考えられている対応策は「リスクコミュニケーション」ということになる。リスクコミュニケーションで考えられているような情報の出し方が、科学と科学でないものを判別する際に役立つのか? だいぶ性質の違うもののように私には見えるのだけど、一応は考えておくべきことかもしれない。

 ニセ科学について議論するとき、グレーゾーンがあるからあらかじめ科学とニセ科学の間に線を引くのは無理だ、ということを繰り返し伝えてきた。線を引けないとなると、個別に細かいところまで見ていくしかないので、誤爆があったとしても早々に修正されるのかな、と思ったり。あるいは、「それは科学的にあり得ない!」と切って捨てるような形で「魔法使いの弟子」が出てくることはありそうで、これをやるとその場の反発は招きそうだが、議論の精度は悪いので、そのまま広まったり残ったりするのだろうか、という疑問もある。メタなニセ科学批判批判を誘発する可能性はあるけれど。

ハラスメント関連の論点候補とかメモとか

Posted on 2月 16th, 2009 in 倉庫 by apj

 いろいろ考えている最中なので途中のメモ。まとまっていない。

 キャンパスハラスメント関連の処理について、今漠然と考えていることなど。そのうちいろいろ本を読んだり考えたりしていくつもり。

・ムラ社会的なウェットな人間関係とも、従来の徒弟制度とも、今広く使われているハラスメント処理手続は馴染まない。木に竹を接いだってレベルじゃないくらいそぐわない。
理由:処分につながっており、行き着く先が法的手続であるような手続は「近代」のものだから(多分)。
「近代」をちゃんと説明しろ>自分。
・ハラスメント処理手続は教員の力を相対的に弱める方式で実装されている。このため、教員側としては従来の権威(徒弟関係を前提にした形)による指導はできない(その手段はあらかじめ封じられている)。残るのは対等な契約関係のみ。この状況で「教育者として……」といった言明は無意味であるばかりか、クレーマーを利する効果しかない。「教育者」の意味を「知識を伝える者」といった程度に限定して解釈すべきでは。
・「過剰な教育」を試みる必要はもはや無いはずでは。
・ハラスメント処理手続を作っておいて、一方で従来通りに、教育者に過剰な期待や責任を負わせるというのは、教わる側にとっての都合の良いところ取りであり、教員に対しては暴力的ですらある。思い切ってムラ社会の維持はあきらめ、古い徒弟制度とも異なった、新しい関係のあり方を作る必要があるのではないか。
方法は?リベラリズムから出発して関係を作り直す?
・混乱が生じている原因は?
 大きく4つに分けられるケースを1つの手続でやろうとしている。(1)刑法に抵触したり、民法でも確実に不法行為で賠償金が取れるようなことがら。(2)いわゆる「ハラスメント」(3)本来ならクレーマー処理として対応しなければならないケース(4)でっち上げ。
 対処法がまるで違うものを全部一度に扱おうとしたって無理なのでは。
・規則自体が矛盾を含んでいる場合がある。
 人間関係の修復、就学・就労環境の改善を謳いながら、ペナルティとしての処分が定められている場合(接触を禁止するといった措置は心理的ケアのためのもので処分ではないので、一方当事者にペナルティを与えることとは区別する)、その規則での処理に載ったら最後、防衛側は予想外のペナルティを喰らう可能性を考えておく必要があり、最初から法的紛争を予定して対応することになる。人間関係云々よりも、裁判所でいかに勝訴するかがエンドポイントになる。刑法に抵触するなら社会規範に照らして判断、民訴でいくなら全てを金銭に換えて争って終了にする、というのが社会での約束事。
・やってみてもいいんじゃないかと思うこと:教員側の対策サイトの立ち上げ。ケーススタディなど。
 2003年刊行の「大学教授は虚業家か」に、既に、ハラスメントを嫌がらせの道具に使う例が出ている。そろそろ、言った者勝ちの状況に釘をささないとまずい。
・サイト作りの目的その1:申し出た側がどう見ても無茶、あるいはどう見ても周囲の陰謀、と言う状況を作り出してから法的手段で戦って勝てる準備を普段からしておくこと。そのためのノウハウの共有→落ち度のない常識的に見て妥当なサービスの提供、ということになるので(このあたりは、提訴されて勝てる範囲で表現する、という防衛策と似ている)、むしろ質はよくなるはず。後は相手の手続違反をどう利用するかなど。
・サイト作りの目的その2:ハラスメントを使った嫌がらせを仕掛けられた場合、どうやって証拠を集めて学外処理に持っていくか。その手順とノウハウの共有(嫌がらせの場合は教員が荷担していることが想定されるので、学内処理だけだと多数決でいいようにされてしまう)。

 私がこれから読むべき参考書はこのあたりか。
・水谷先生のハラスメント判例解説本など。入手済み。 本来の処理基準。
・「モンスタークレーマー対策の実務と法」升田純&井上眞一(商事法務) 入手済み。
・「普遍の再生」井上達夫著(岩波書店) 入手済み。 リベラリズムとは?
・「タテマエの法ホンネの法」  もうすぐ第4版が出る。ムラ社会と「近代」のズレについて?

引っ掛かった一言

Posted on 2月 15th, 2009 in 倉庫 by apj

 「ジェネラル・ルージュの凱旋」海堂尊著(宝島社)の21ページより。

手続きを飛ばして正義を貫こうとしても、刃は肝心の所には届かない。いつか必ずしっぺ返しに遭って叩き潰される。

なかなかいい情報源なのでメモ

Posted on 2月 14th, 2009 in 倉庫 by apj

 アラブ イスラーム学院 『アラビア語カフェ』

 参考書や辞書選び、その他の情報がたくさんある。

 Behind the Name

 アラブ人名の由来。

社会科の副読本にもいいかもしれない

Posted on 2月 14th, 2009 in 倉庫 by apj

 落合弁護士のblog経由。
罪と罰の事典 裁判員時代の法律ガイド」というのが出るらしい。
 いくら罪刑法定主義だといっても、刑法からどういう処罰になるかを読み解くのは素人にはちょっと敷居が高いだろうし、その上、罰則の定められた法律が刑法以外にも散らばっていて、全体を知りたくても六法全書を見たって直ぐに見つけられるわけもなく……。大体のことがわかるわかりやすいガイドブックが出るのは良いことだ。何をやれば処罰されるのかは、社会に出る前に一通り知っておくことが望ましいわけで、社会科の副読本に使うといったこともあってよさそうに思う。