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なりすまし書き込みで開示命令

Posted on 10月 2nd, 2008 in 未分類 by apj

 Yahoo経由読売新聞のニュースより。

ネットなりすまし書き込み、接続業者に氏名等の開示命令
10月1日14時15分配信 読売新聞

 インターネット掲示板に自分になりすまして書き込みをされたとして、福岡市の女性が、ネット接続会社(プロバイダー)に書き込みをした人物の氏名や住所の開示を求めた訴訟の判決が30日、福岡地裁であった。

 岸和田羊一(よういち)裁判長は「書き込みは閲覧者に、女性は品性、信用性のない人物であるとの印象を与える」として、業者に開示を命じた。

 判決によると、2006年11月~07年2月に3回、息子が私立中学校に合格した女性になりすました何者かが、女性の姓などを使って受験情報のネット掲示板に「当方の息子、名門R中合格」などと書き込んだ。

 岸和田裁判長は、書き込みが名誉棄損にあたると判断。女性が書き込みをした人物に損害賠償を求める権利があるとして開示を命じた。

最終更新:10月1日14時15分

 落合弁護士のコメントが出ていた。

「女性は品性、信用性のない人物であるとの印象を与える」というのは、やや苦しい説明、認定という印象を受けますね。名誉毀損かどうかは、あくまで表現内容に着目して、それに即して判断するのが筋で、「そういう表現行為をする人である」という点に、名誉毀損性を求められるかどうかには、疑問なしとしません。
むしろ、本件では、なりすましを、端的に人格の同一性を偽る人格権侵害行為と見て、不特定多数が認識できる状態でのなりすまし行為により、情報の流通によって他人の権利を侵害した、という認定のほうが無理がなかったのではないか、という印象を受けます。
インターネット上でなりすまし行為というものはかなり多く、この種行為の違法性を考える上で参考になる裁判例でしょう。

 確かに、なりすまして行われた表現行為が事実摘示かというと、違和感がある。ただ、裁判例がこの方向だとすると、実際にやるときは、人格権侵害と名誉毀損の両方を訴状に書いておいて、裁判所に判断を任せてみるというのも争い方の1つかもしれない。
 町村先生の指摘もある。

ソネットが被告となっているので、当然東京かとおもいきや、原告住所地である福岡に継続し、判決がされている。
従来の見解では、被告住所地の普通裁判籍にしか管轄がなく、不法行為地や義務履行地としての原告住所地には管轄権がないとされていた。

ところが、福岡での訴えが移送もされずに判決されたということは、義務履行地管轄を認めたか、あるいは応訴管轄が生じたか。

いずれにしても、発信者情報開示請求訴訟の管轄が原告住所地にもありうるとなった先例として記憶されるべきであろう。

 確かに、東京地裁までいかなくても訴訟ができるのであれば便利ではある。

バナジウム水で家宅捜索

Posted on 10月 2nd, 2008 in 未分類 by apj

 神奈川新聞ニュース(カナロコ)より

島忠/医薬効果うたい水販売
社会2008/10/01
 「糖尿病に効く」などと表示して「バナジウム」入りのミネラル水を販売したとして、県警生活経済課が九月上旬、薬事法違反(無許可販売)の疑いで、家具販売・ホームセンター大手の「島忠」本社(さいたま市)と、製紙飲料水製造販売会社「イデシギョー」(静岡県富士市)を家宅捜索していたことが一日、分かった。

 同課の調べなどによると、島忠は、イデシギョーの関連会社から仕入れた二リットル入りのバナジウム水「富士山の恵みバナジウム72」(八本入り・千五百八十四円)と「富士山の湧き水」(同・七百八十四円)を一箱にまとめ、「糖尿病に効く」「血糖値が下がる」などと表示して販売した疑い。

 バナジウムはミネラルの一種で、血糖値を下げるなど体によいとされ研究が行われているが、医学的には証明されていない。

 県警は今後、両社の関係者から事情を聴き、箱の表示や販売の経緯などについて調べる。

 島忠は六都府県で約四十店のホームセンターなどを展開している。同社総務部は「現在、担当者が不在でコメントできない」としている。

 医学的根拠が無いのに、薬効をうたったらそりゃまずいでしょう。ということで、メモ代わりにここに書いておく。

お抹茶

Posted on 10月 1st, 2008 in 未分類 by apj

 伊藤園のペットボトルのお茶「おーいお茶 お抹茶」がなかなかさっぱりしていておいしいので愛飲している。
 蓋の部分に抹茶が入っていて、キャップを少しだけ回すと中の容器の蓋がとれて抹茶が水の中に入るので、良く振り混ぜてから飲む。セブンイレブンには置いてあった。

風車が回らなかった話

Posted on 9月 30th, 2008 in 未分類 by apj

 yahoo経由産経新聞の記事

風車回らず風力発電機低調、早大に2億円賠償命令 
9月29日19時34分配信 産経新聞

 茨城県つくば市が小中学校に設置した小型の風力発電機が計画通りに発電しなかったとして、同市が計画を策定した早稲田大と風車を製造した大阪市のメーカーに約3億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、東京地裁であった。荒井勉裁判長(萩原秀紀裁判長代読)は、早大に約2億円の支払いを命じた。メーカーへの訴えは退けた。

 裁判では、(1)早大側は、同市との業務委託契約に従って適切な計画を策定したか(2)市側は、風力発電事業が実現不可能と事前に認識していたか-などが主な争点。早大側は「市から事業目的など具体的な説明を受けていなかった」と反論していた。

 荒井裁判長は、早大について、「期待される発電量が得られないことや、風力発電機の消費電力が発電量を大幅に上回ることを知りながら、市に説明しなかったことは契約上の義務を怠ったことに当たる」と指摘し、賠償責任を認めた。

 一方、市側についても「担当者は事業が実現不可能と知らなかった」としながらも、「慎重な検討を迫られる材料がそろっていたにもかかわらず、早大側の調査結果をうのみにした」と落ち度を認め、賠償額を3割減額した。

 判決によると、同市は平成17年、早大の策定した計画をもとに、市内の小中学校19校に風車23基を設置。しかし、実際にはほとんどの風車が回らず、予定の4分の1ほどの発電量しか得られなかった。設置費用のうち約1億8500万円は環境省の交付金で、同市は18年、全額返還を命じられた。

 この手の話題は酔うぞさんが強いはず、と思って向こうの過去ログをサーチしたら出ていた

izaの記事

早大賠償命令 環境ブームに“逆風”
09/29 21:58

 地球温暖化問題や原油高のなか、CO2(二酸化炭素)などの温室効果ガスを排出せず、環境に優しいとして近年、注目を集めてきた風力発電。しかし、風向きが一定しなかったり、故障が相次いだりと、風力発電への“逆風”も出てきた。専門家からは「日本の地形に合う技術はまだ発展途上だ」との指摘も上がっている。

 ■国の音頭で急増

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によると、家庭用などの小規模なものを除いた全国で稼働する風力発電施設は平成14年度には576基だったのが、20年3月末には計1409基まで増加した。

 風力発電が急増した背景には、クリーンエネルギーを推進する国の政策がある。国は15年3月に、風力や太陽光などで発電した電気の一定割合以上の利用を電気事業者に義務づけた「RPS制度」をスタートさせた。太陽光に比べ初期コストが安価とされる風力発電が注目され、設置数は急激に伸びた。

 ■相次ぐトラブル

 しかし、風力発電が広がる中で、思わぬ落とし穴も明らかになった。偏西風のように一定の強さで一定方向に風が吹く風力発電先進地の欧州とは違い、日本の地形は複雑で風量も風向きも変化が多い。このため、安定した電力が得られなかったり、風車に負荷がかかりすぎて故障が相次いだりした。

 また、島根県出雲市では「大きな風車が景観にそぐわない」などと近隣の自治体からクレームが付いた。愛媛県では住民から「騒音で眠れない」との苦情があり、一部の風車の夜間運転を取りやめている。台風や落雷などによる被害も各地で発生した。

 ■技術は発展途上

 科学技術ジャーナリストの尾崎正直氏は「風車は欧州からの輸入品が多く、そもそも日本向けの技術がまだまだ発展途上。コストを考える段階ではないのでは」と指摘。

 そのうえで「現状を十分に理解せず、国も自治体も企業も導入を急いだ。本来、『風任せ』な風力発電に多大な期待をするのがずれている。今回の判決は風力発電について、慎重に考える機会を与えたという意味では、意義がある」と評価した。

 技術的に発展途上なのにブームにしちゃったら、そりゃ無理があるだろう。

モンスターチルドレン

Posted on 9月 29th, 2008 in 未分類 by apj

 ソースがzakzakなので信憑性が今ひとつなんだが……。

“親”だけじゃない「モンスターチルドレン」の実態
「うるせぇ」「セクハラで訴える」と暴言

 相手の立場を一切配慮せず、常識外れの行動やクレーム、無理難題の要求を繰り返す「モンスターペアレント」が急増するなか、近ごろはそれをしのぐ勢いで「モンスターチルドレン」まで急増しているという。「モンスターペアレントに、モンスターチルドレンあり」とも言われる、恐るべき現場の実態とは。

 東京都内で小学1年生の担任を務める女性教諭は、ここ数年児童の言動が大きく変わってきたと嘆く。

 「些細なことでも注意すると『うるせぇなぁ。やってらんねぇよ』『家でもこうだもん』『小さいころからこうだもん』と、反抗的な態度に豹変します。さらに注意すると『それなら、明日死んでやる』と叫び、ひどいときは椅子を持って振り回すこともあります」

 ほかにも、「授業中に机の上に立ち上がり、降ろそうとする教諭に殴りかかったあげく、『僕が落ちて死んでもいいのか』と怒鳴り返す」「図画工作の時間『どこを切るの?』『何を書くの?』と質問責めし、すぐに応じないと怒り出す」など、事例は枚挙にいとまがない。

 また、教師以外にも、モンスターチルドレンの“攻撃”にさらされる関係者もいる。

 「保護者の迎えを待つ小学1年生女児が、係の保護者に向かって『ちょっとこれ持っててよ!』と荷物を持たせ、母親が迎えに来ると『ちょっと、もう返してよ!』と礼も言わず立ち去った」「小学生女児が、学校の指導教諭に向かい『触るな! 触ったらセクハラで教育委員会に訴えてやるぞ!』とすごんだ」「小学校教師が授業中立ち歩きクラスメートとおしゃべりする高学年男児を大声で叱ったところ、『腕を強く引っ張るなどの行動があった』と人権侵害を訴え、校長とともに謝罪させた」

 このようなトンデモ児童らは、周囲の大人が強く出られないことを見切ったうえで“権利”を主張しており、まさに「言いたい放題やりたい放題」。しかも、その親も「モンスター」であることが多く、モンスターペアレントとは切っても切れない関係だという。

 元中学校教諭で教育評論家の尾木直樹氏(法大教授)も「『自分だけはモンスターではない』と妄信する親ほど、モンスターペアレントのケースが多い。同様に『ウチの子に限って…』と信じ切っている親が、次々とモンスターチルドレンを出現させている。現場も疲弊しており、事態は悪化の一方だ」と分析する。

 親のみならず児童からも追いつめられる教師が気の毒だが、尾木氏は「(教師は)ハッキリ言ってやってられませんね。要求をゴリ押しする親の姿を見れば、子どもだって他人に行動を指摘されることを奇異に感じるのも必然。地域やPTAといった大人のコミュニティーが対応策を協議し、“Wモンスター包囲網”を形成するしかない」と話している。

ZAKZAK 2008/09/29

 もう10年近く前に、教員をしている人から、しつけがなってない例として「教員室の冷蔵庫に入れてある牛乳を(当然のことのように)勝手に飲む生徒が居る」と聞いたことがある。ちょうど、小学校低学年の「学級崩壊」が問題になり始めた時期であった。小学校低学年の学級崩壊については、幼稚園の指導方針が、子供に自由にさせることに重点を置いたものに変わったため、時間で区切って何かをするとか、他人のものと自分のものの区別をつけるといった基本的なことを習得せずに小学校に上がってくるようになったからではないかという話が出ていた(調査したわけではないが、教員の実感としてはそういうことらしい)。
 何か、牛乳を勝手に飲んだことを指摘されたら権利侵害と言い出すとか、勝手に教員室の冷蔵庫を開けて古くなった牛乳を飲んで腹をこわしたら傷害罪で教員を告訴&提訴とか、そういう方向にさらに突き抜けたんじゃないかと思ってしまった。

#モンスター大学院生というのには在学中に実際に遭遇したことが。他人が実験のために調整しておいた緩衝液を無断で失敬して自分の実験に使って、pHが合ってなくて酵素が失活したといって怒り狂うような人が同じ研究室の部屋の後ろに居たもんで、次にどういう失敗をするか見たいような見たくないような。

中山前国交相の日教組に対する発言を考えると辞任は当然

Posted on 9月 28th, 2008 in 未分類 by apj

 国土交通相が日教組の活動内容についての批判をするのは全くかまわない。ただ、NHKニュースが報じているような発言

成田空港の整備や日教組=日本教職員組合をめぐる発言などで野党などから批判を受けている中山国土交通大臣は27日、宮崎市で開かれた自民党の会合で、日教組は道徳教育に反対しているなどとして「何とか解体しなければならない」と発言しました。中山大臣は27日夜、記者団に対し、野党が辞任などを求めていることについて「出処進退は自分で決める」と述べました。

は明らかにまずい。日本国憲法には、

第二十八条  勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
第九十九条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

とある。日教組を解体すべきという主張を大臣が述べることは、この二つの条文に反することになる。
 日教組の具体的な活動内容についての批判であれば、いかに厳しい内容であっても堂々と述べればよい。そのことで大臣を辞任すべきとは私は思わない。
 中山前国交相が辞任して当然なのは、日教組を批判したからではなくて、大臣のくせに憲法の条文を理解していなかったという理由によるものである。つまり、「学力不足」「知識の不足」が原因ということなのだから、主義主張の問題に議論をすり替えないように。

#というか、大臣を任命する前に、法学検定試験の憲法学だけでも受験させて成績見た方が良くないか?行政を指揮統括する人間が憲法知りませんじゃ話にならんだろ、普通に考えて。

コミュニケーションのとり方を変えるつもりはないので戦おう

Posted on 9月 27th, 2008 in 未分類 by apj

 いくつか、参考になるエントリーをたどったのでメモ。
 どうも、最近(ってか小学校以来、程度の差はあれ戦闘継続中だからそうそう最近でもないか)、剥き出しの個を立ち上げるために戦っている最中で、周りを焼け野原にしても戦った方が最終的にはいい結果になりそうな気がますますしてきたもんで……。

[スクールカースト][いじめ][コミュニケーション]閉鎖空間かつコミュニケーションの重要性が高い場所で、いじめは発生する

 結論からいえば、いじめを無くすためには、クラスメイトとコミュニケーションを取れなくすれば良いんですよ、極端な話。閉鎖空間かつコミュニケーションの重要性が高い場所で、いじめは発生するので。
たとえば主婦の近所付き合いの世界では、陰湿ないじめが起きやすいとよく言われるけど、これも「コミュニティの閉鎖性」と「コミュニケーションの重要性」が共に高い空間であることが理由。コミュニケーションの重要性が低かったら、そもそも無視等の「コミュニケーション操作系」のいじめって、意味を持たないし。

(中略)
いじめは、コミュニケーションの暗黒面そのものなので、コミュニケーションの重要性が下がるほど、いじめの危険性も下がる。極論をいえば、お互いにコミュニケーションをまったく取らなければ、いじめは絶対に発生しない。

 「コミュニケーションしない自由」ってのを積極的かつ意識的にに認めてはどうか。人はいろんな集団に属するのだから、その集団のうちのどれかは密なコミュニケーションをとるけど別の集団ではコミュニケーションの重要度を下げるということがあっても良い。密なコミュニケーションをとる場所が学校や職場であるとする必要はどこにもないわけで、別のコミュニティで密にやって、学校や職場では密じゃない方向で、ってのも有りだろう。

[映画]閉鎖空間かつコミュニケーションの重要性が高い場所で、やおいは発生する

 『御法度』の舞台は新選組、『戦場のメリークリスマス』は捕虜収容所なんですね。両方軍隊。実社会に比べると非常に閉鎖的。コミュニケーションの重要性が高い空間になっている。ここでコミュニケーションの重要性というのは、幹部のお気に入りになったほうが良い目が見られる、とか、仲間同士の連帯を強くなり組織を磐石になるということだ思います。逆に考えれば、そこに普通と異なるコミュニケーションを用いる存在が放り込まれると、連帯が弱まるということになりますね。最悪、集団は個に解体する。集団を維持したい、と思う者は、普通と異なるコミュニケーションを取ろうとするものを排除しようとする。(当然、それはいじめと呼ばれるものであって、そういった場面は両作品に何度も描かれる)
(中略)
 集団を維持しようとするなら、異物は排除しなければならない。集団を解体したいなら、垣根を飛び越えたコミュニケーションをしなくてはならない。 どちらでもないなら、どうすればいいのか。どちらでもないってどういうことだろう?

 というかむしろ拡声器と呼ばれることを目指した方が良いのかも。10年ほど前に、職場で実際にそういうあだ名をもらった女性を知ってます。その方は、やられたことを所構わず吹聴するから、結局誰もいじめのターゲットにできなかったという……。情報を閉じ込めておけると思うからいじめができると勘違いするわけで、やった瞬間全世界に晒されるとなると、やる方も考えるはず。この点からは、blogも2ちゃんねるも武器になる。3年ほど前に、私立大学の先生と話をしていたら、学生に説教したら30分以内に内容が2ちゃんねるに書かれるという話が出て、なかなか面白いと思った。
 それはともかく、制度としての集団を一定の規則で維持するというのなら、技術的な話だから規則通りにやればいいだけのことだけど、趣味で集団を維持したいという人に付き合う義理なんかないわな。しくみとして集団を作ったということと、そのしくみに乗っかってより濃密なコミュニケーション空間を実装するということは別の話だし。

[ソーシャル・キャピタル][社会]ソーシャル・キャピタル論からみた「いじめ問題」

密なコミュニティ(ネットワーク)の良さは、暗黙知・規範の形成。全く知らない人と作業をするとき一々打ち合わせをしなければなりません。しかし密なコミュニティ内の人との作業であれば、既に暗黙知・規範が形成されており、スムーズに作業を進めることができるでしょう。いわゆる阿吽の呼吸です。

しかしながら密なコミュニティはダークサイドに陥りやすいのです。新規者を拒んだり、外の情報を受け入れず、コミュニティ内での序列化がされてしまいます。規範が実態にそぐわない悪いものだったとしても、それに逆らうとコミュニティを壊すものとして白い目でみられてしまうのです。コミュニティのルールに逆らいづらい空気ができてしまうのですね。

そしてそのようなルールに違反してしまったものがいじめに会ってしまうのではないでしょうか。一つのコミュニティにしか参加していない人にとって、そこから外れることは恐ろしいことです。外れたら孤独に陥ってしまうからです。だからこそおかしな規範であっても、無理して守ってしまう。そしてそれを侵した人には、徹底的に攻撃を加えることで自分のコミュニティへの所属をコミュニティの人々に再確認してもらうわけですね。

 阿吽の呼吸の押しつけは暴力、と大声上げて主張してみるとか。

コミュニティの流動性と学校環境におけるいじめ問題:集団活動の本来の目的からの逸脱と優越欲求

みんなが気持ちよく働ける(勉強できる)環境が整っていなかったり、集団成員の目的意識やパーソナリティのばらつきが大き過ぎたり、無理やりに帰属させられているような集団成員(いやいや働いて不満を溜め込んでいる成員)の比率が大きかったりする場合には、いじめの発生リスクは高くなると思います。その大きな理由の一つとしては、『集団本来の目的(仕事・勉強)』に強いモチベーションが持てなくなっている個人・グループが、集団本来の目的とは無関係な『対人コミュニケーションを通した階層的な上下関係(自分たちの優位性)』を確認する示威行動に走るからではないかということが推測されます。

進学校や優良企業においていじめが少ないというのが事実であると仮定すれば、集団内の自分の役割・評価を抵抗なく受け容れていること(現状の自己アイデンティティに不満が少ないこと)と自分がやるべき『本来の目的(本務)』である勉学や仕事に専念しているからではないかと考えることができます。勉強・仕事など本業における優劣関係を競い合ったり目的達成のために協力し合うというのが集団活動の一側面ですが、本来の目的にモチベーションを持てない集団成員が増えてくると、『攻撃的・排除的コミュニケーションによる優越感(端的には嫌がらせ・過度の干渉)』のほうに重点が置かれるようになり、その逸脱の度合いが大きくなるといじめやパワーハラスメントなどの問題に発展してくることになります。

 要するに暇ってことか。小人閑居して不善を為す、って昔から言うし。

[心理]「成熟」という名の妥協の正当化と、ネットみのもんたの「抑圧移譲」

人々の「妥協」は、社会が成り立っていく上で不可欠な要素。それに「成熟」という呼び名を与えることで正当化を図ることは、社会にとって必要なシステムなのだろう。
しかし、いくら社会から正当化されたとしても、個人に「妥協」の「痛み」は残る。そしてその「痛み」は時として、「成熟を拒否する者」への嫉妬や暴力、説教といった形で現れる。「俺が苦しんだのだから、同じようにお前も苦しめ」というわけだ。
こうした説教を通じ、「成熟した人間」は自らの正当性を確認し、優越感を得る。そして多くの場合、社会から「成熟」という名の正当性を与えられている本人は、それが嫉妬であることに気付かず、「正義」だと思い込んでいる。こうした心理メカニズムを、「抑圧移譲」と呼ぶ。

 妥協のエンドポイントが違うもの同志だと、最後まで争う以外に方法は無いし、せいぜい非武装地帯を間において接触を減らすくらいしか解決策は無さそうな。

最初に紹介したエントリーへの異議。コミュニケーションなくともイジメは起きる

明らかに間違いなり。
その代表例が「ホームレス狩り」なり。
ホームレスが寝たる段ボールハウスに火を付けたる行為の前提にコミュニケーションなどあるはずなし。
少し考えば分からむものなり。

 黙示のコミュニケーション(いや、コミュニケーションの意味に反する修飾語であることは承知の上で)まで考えると、最初に紹介したエントリーの枠組みに入る話じゃないかと思ったり。存在が気に入らないというのは、その人の「こうあるべきだ」から外れているから気に入らないのだろうし、この例ではその人に「こうあるべきだ」を押しつけたのはホームレスじゃない別の人達なんだろうけど、押しつけられた側が押しつけの範囲にホームレスも含まれると勘違いしたら、排除に走る可能性はあるんじゃないかと。

水じゃなくて人を見ましょうよ

Posted on 9月 26th, 2008 in 未分類 by apj

 昨日投稿した、女性校長水伝問題だが、当の女性校長によるウェブサイトの内容ががキャッシュに残っていた。写真を除いて全文引用する。

― 美しいことば 美しい心 美しい学校 - を目指して   
大いちょうだより
                所沢市立小手指小学校  平成20年3月3日
「水」にありがとう !
そして、1年間 ご協力ありがとうございました!!
                                   校長 柳沢 栄子
 毎日といってよいほど、「食の安全」について新聞等に掲載されていますが、日本の食糧自給率は約4割だそうで、肉類、野菜類、魚介類等・・・ほとんど輸入に頼っています。スーパーの店先の約6割の食料品が輸入されているのです。以前から言われていることですが、冷凍食品の問題からクローズアップされたのです。しかし、もっと考えなければならないことが新聞に掲載されていました。
 「日本に1年間輸入される主な農畜産物を生産するために必要な水の量は、427億トン。日本国内で年間取水量のほぼ半分に匹敵。大豆は126億トン、トウモロコシ109億トン、牛肉80億トンの水を消費して生産されるため、輸入は生産物だけでなく、他国の貴重な水資源を大量に消費していることになる。更に化石水と呼ばれている水も29億トンも使用している。・・・化石水とは、地層の関係で雨水がしみ込んでいかない部分にある地下水のことで、1000年単位でたまるため再生が難しい貴重な水。(国立環境研究所と東京大が発表」(M新聞から)
 私たちは、給食や食事の前に、「いただきます。」
と言って食べ始めますが、生きているものの命をいただいて私たちの命があること、作ってくれた人への感謝の気持ちがあったのです。残さず感謝して食べたいものです。

 先週金曜日の児童朝会がありました。朝会では、「ユニセフ基金」の募金に協力した本校の子どもたちに、感謝状の伝達とお礼のことばをユニセフの埼玉支部の方が述べたのです。世界中で困っている子どもたちのために、予防注射や安全な水を供給するため等に使うと話されていました。
特に水については、「住んでいる近くに水源がないため、小さな子どもが1日に何度も往復2・3時間かけて水を汲みに行くため学校にいけないこと、汚れた水を飲んで下痢になり、多くの命を失っていること、安全な水がいかに貴重であること。」などを話してくれました。
ここ数年大きな災害もなく、水不足(数年前は水不足でプールなしの夏休みがありました。)の経験もない地域で育った子どもたちには、実感として理解できないかもしれませんが、話を良く聞いていました。理解して、節水させるためには、学校と家庭で共に実行することが必要でしょう。
ご協力ありがとうございました。

ユニセフ募金  32741円
使える切手  3581円
古切手     6000g
カード     3495枚
はがき     412枚

「水からの伝言」1・2  江本 勝著 の本を読みませんか。
 昨年3月の卒業式の式辞で、この本から学んだことを伝えました。日常使っている「ことば」が、水の結晶に表現されるというのです。(所沢市の雨水を撮影した写真もあります。)実験では、基本の水に「きれい」という文字を見せた水は美しい結晶に。「きたない」という文字を見せた水は、汚い結晶になってしまった写真がありました。人間の体は、約70%が水で出来ています。だから、励ましの言葉で立ち直ったり、やる気が出たり、許してあげたりできるのではないでしょうか。「ふわふわことば」をたくさん使い、学校教育目標の1つ「仲の良い子」を更に目指したいものです。
実験には「魂」「鬼」「天使」「悪魔」などのことばを使った時の結晶や音楽を聴いた時の結晶の写真も掲載されていました。。ご覧になってください。

【柳沢先生へ、そして水伝を受け入れてしまった全ての先生方へ】
※まず、科学的事実として、「水からの伝言」のやり方で水結晶を作ると、六角形のものもそうでないものも、ランダムにできます。それを踏まえて以下をどうぞ。

——————————
 「水からの伝言」には、「ヒットラー」という名前を書いて水に見せたら、汚い結晶だったって話も出ていましたよね。この間、先生はそう言って、写真集を見せてくれましたね。水は、人の名前を見せると人の本性まで現してくれるんですよね。本当にすごいですよね。私、感激しました。
 先生、私ね、普段仲良くしている「○山□子」ちゃんの名前を書いて水に見せて、結晶を作ってみたんですよ。○山ちゃんは、私にとても親切で、仲良くしてくれます。この間学校を休んだ時も、プリントを私の分までもらってきてくれて、宿題とかも教えてくれました。きっと、水の結晶はとてもきれいなものになるに違いありませんよね。私、すごく期待して結晶を作ったんですよ。でも、何だか半分溶けかかったものしかできなくて、全然結晶には見えませんでした。もう、「○山□子」ちゃんとはお付き合いしない方がいいんですよね。実は、○山ちゃんって、悪い子だったってことですよね。だって、人間の70%が水で、水は言葉の善し悪しがわかるんですよね。「ヒットラー」が悪い人だってのもちゃんと見せてくれたんですものね。
 そうそう、2学期になって、「△川×男」君が転校してきました。△川君は無口で、あんまり話をしてくれなくって、無愛想で、ちょっと恐い感じです。だから、仲良くしてもいいかどうか知りたくて、水に「△川×男」君の名前を書いて見せたあと、結晶を作りました。結晶、うまくできませんでした。探したけど、6角形とかありませんでした。水が教えてくれたんだから、無理に仲良くならなくたっていいですよね。
 ウチのママが「友達は選びなさい」とか「悪い友達と遊んでいるとお前まで悪くなる」とか言うんです。他の友達も、同じようなことをママに言われてるみたいです。それで、クラスみんなの名前を書いて、水に見せて、結晶をつくったんです。きれいな6角形の花のような結晶が出来た子とだけ遊ぼうって。結晶ができなかった子たちは仲間はずれ、ってことにしました。だって、その子たちは「鬼」「悪魔」と同じ結晶しかできなかったんですもの。その子たちの名前は「鬼」「悪魔」と同じなんですよね。だって、結晶が同じような形だったし。そんな子たちと一緒に遊んだら、私まで「鬼」「悪魔」になっちゃいますよね。「水からの伝言」のもとになっているのは「波動」で、「波動」は人や水に情報を自由に写せるんだって、近所のオバちゃんが言ってましたし。

……でも先生、先生は、だいぶ前の道徳の時間に「誰とでも仲良くしなさい」って教えてくれたはずなんですけれど……

何か面倒くさくなったので……

Posted on 9月 26th, 2008 in 未分類 by apj

 コメント承認制にしてたのを止めてみた。
 pplog premiumにしてから、なぜかトラックバックが無いなあ、と思っていたら、承認制にしているだけなのに何らかの理由でエラーが出てできなくなっていることが判明。
 pplog premiumの次バージョンも既に出ているので、アップグレード作業をしたいんだけど、時間がない。

ムペンバ効果調査中(5):雪氷学会のシンポジウム

Posted on 9月 25th, 2008 in 未分類 by apj

 本郷キャンパスで行われた雪氷研究大会で開催された「ムペンバ効果のサイエンス」を見に行ってきた。
 結論からいうと、
・発表があった実験は、容器に入れた水の温度を下げる場合(お湯を低温環境下にばらまいたときの話ではない)。
・現在のところ、「湯が水より早く凍る」現象を(過冷却以外で)観測するための実験のパラメータは不明。
ということである。

 前半に、発起人の方の挨拶、続けて前野先生の講演、コメンテーターに選ばれた先生方の簡単なコメントと発表、その後がディスカッション(何をどう調べるべきか)という内容であった。
 スライドの写真は撮ってきたが、著作権の関係もあって私がここに出すわけにはいかないので、概略を述べると次の通り。
・ムペンバ効果自体は紀元前から報告がある。
・理由の説明は、あったとしてもよくわからないもの。
・ムペンバ君の再発見以後の論文やら解説記事のうち、自分で測定したデータを出している論文は7つしかない。この中にも、実験として不十分・不完全なものが混じっている。
・ムペンバ効果という名前を使うのは間違いのもとで、湯と水で起きる現象の比較なのだから「湯と水くらべ」とでも呼んではどうか。
・確率的現象である、過冷却が実現した後に起きる凍結は今後の調査の対象外にするべき。
・凍る速さの基準は、凍結開始と凍結終了の2種類あることに留意すること。
・説明は膨大な数あって、わかったつもりにさせる図が出ていたりするが、間違いと混乱のもとである。
・今後は系統的かつ計画的にやらないとだめだろう→プロジェクトを組んでみんなでやりませんか。

 前野先生の実験では、湯と水をそれぞれ容器に入れて温度を下げ、冷凍庫に入れ、容器の中で最も低温になる部分に熱電対を置いて観測すると、湯の方が先に低温になって凍り始めることもある、という結果になった。
 一方、冷凍庫で実験したが何度やっても水が先に凍る結果になったのが、学習院大の田崎さんの結果。
 広い低温室で何度実験しても水が先に凍る結果になったという報告もあった。
 冷却しながら水の温度分布を測定すると、水から冷やした時と湯から冷やした時で勾配が違うという実験結果になっていた。
 これらは、手持ちの実験設備で実験者がこれと思うパラメータを少し振りつつ、独立に行われたものである。

 つまり、確実に湯の方が先に凍り始めるという実験条件を見つけることすらできていないというのが現状である

 それでも、条件が整えばそれなりに起きる現象らしいので、これからみんなで系統的にパラメータを振って条件探しをして何が効いている現象か調べましょう、という呼びかけとなった。条件探しをした結果、百発百中起こせるようになるのか、起きる確率が上がっただけでやっぱり最後は(例えば揺らぎに左右されるといった)確率的現象だという話になるのかもまだわからない。多分、今の段階では、何を言ったとしても嘘になる。巷に出ているそれらしい説明は、不十分な実験に基づくものなので、とりあえず無視するのが正しい。

 終わりに、どんなパラメータを振るべきかというまとめがあり、独立なパラメータの数が多くて、組みあわせ爆発を起こしていたのでちょっと笑ってしまった。それはともかく、プロジェクトを組んだら実験に参加したい人をAグループ、実験はしないが情報は欲しい人をBグループとして、人募集があったので、Bの箱に名刺を入れてきた。
 氷の専門家が集団で参加して実験する予定なら、とりあえずお任せした方が無駄が少ないと思ったのでAには入らないことにした。Bにした理由は、冷却時の温度勾配の情報が得られるかもしれないからである。私の実験はラマン散乱で、試料のうち、光が通ったところだけを観測している。サイズの大きいサンプルで温度を下げて測定、などというときに、予想外の温度勾配があるとまずいので、研究でわかった温度分布については、実験のノウハウとして知っておきたい。水で実験しているが、パラメータがこうも不明だと、水に限った話かどうかさえはっきりしない。

 非線形ではあっても非平衡は強くないだろうという田崎さんの指摘は腑に落ちた。

 精度が十分な実験が無い&説明だけは多い、という状態だが、系統的に実験して何が起きているかをこれから調べる対象であるので、エントリーのカテゴリーは「科学」にした。

 普通に実験したのではどうやら再現しないことが多そうなので、氷を早くつくるハウツーとしては現状では使えない。ためしてガッテンの内容では情報が不足……というかそもそも系統的な調査がこれからなので、ガッテンを見た人が全国で自宅の冷凍庫で試したとして、うまくいくのは、偶然うまくいくパラメータを当ててしまった場合に限られる。