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ソフトを買って散財^^;)

Posted on 7月 24th, 2008 in 未分類 by apj

 Macで使うソフトを立て続けにオンライン購入して、ちょっと散財した。
 最初が、SuperNotecard。カードにメモを書いて、分類したり並べ替えたりして、文章を書く前の段階の作業をする。MindMapよりはカードの並べ替えの方が今のところ性に合うので購入した。
 次が、DragThing 5。Dockを拡張……というか、もっとたくさん入れられるDockを別途出すソフトウェア。ランチャーソフトはいろいろあるが、画面上に置いておいて、タブで分類を切り替えられて、出ているアイコンにファイルをD&Dで起動し、アイコンの上でマウスのボタンダウンで終了させられるというのはなかなか便利。これで、Dockに入りきらずにデスクトップに散らかっていたエイリアスを全部整理できて、かなりすっきりした。
 便利なものを衝動買いするとやっぱり金欠に……ということで、お金の管理をするために、CheckBook Proを購入してさらに散財にとどめを刺したという罠。アカウントごとに通貨を何にするか選べるので、海外に行った時の散財記録を分けて管理したりといったことができる。日本製の家計簿ソフトやお小遣い帳ソフトをvector.co.jpで探したが、どれも今ひとつだったので、海外のソフトを使ってみることにした。通貨を日本円にしても表示の仕方は変わらないため、1円の下の小数点以下2桁まで00が表示されている。

 当分購入の予定は無いのだけど、マインドマップを描くソフトよりは、TinderBoxを使う方が面白そうな気がする。私がMindMapの使い方を分かってないだけかもしれないのだけれど。

【追記】
SuperNotecardは、J2SE 1.4.2でないと、Point of Timeが勝手に書き換わるという症状が出る。アプリケーション→ユーティリティ→Java→Java Preferenceで、優先的に使うバージョンを1.4.2にしておく必要がある。

ムペンバ効果調査中(1)

Posted on 7月 23rd, 2008 in 未分類 by apj

 別エントリーのコメント欄で質問されたムペンバ効果について、もう少し文献をたどってみることにした。ためしてガッテンは見ていない。どうも、冷凍庫のオーバーシュートだけでもなさそうなので、怪しくならなさそうな範囲でまとめてみる。

 まず、最も最近の論文らしいのが、S. Esposito, R De Risi, L. Somma “Mpemba effect and phase transitions in the adiabatic cooling of water before freezing”, Physica A 387(2008)757-763. とりあえずこれをとっかかりにしてみる。

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 この論文では、クライオスタットを準備し、-8℃、-14℃、-22℃、-26℃にして、水の量を20cm3、50cm3、65cm3、80cm3と変えて、冷却曲線を繰り返し測定した。2回蒸留した水を用い、温度はNiCr-Ni熱電対で測定した。
(1)冷却開始温度の異なる20cm3の水では、クライオスタットの温度を-8℃にして冷却すると、過冷却が起きてから凍り始める。凍り始める時間は1800秒から5000秒(以上)にわたってばらついた。過冷却になるまでの時間は、冷却開始温度が高い方が長くかかるが、過冷却になった後では、いつ凍り始めるかは確率的に決まるため、どちらが先ともいえない状態であった。
(2)クライオスタットの温度を変えると、相転移に対応する(っぽい)曲線が平らになる領域が、6℃、3.5℃、1.3℃で見つかった。どれが見えやすいかは、クライオスタットの温度に依存して変わった。どの条件でも見えやすいのは3.5℃の転移であった。
(3)3つの相転移点で区切られる4つの温度領域で、冷却曲線の傾き(指数関数でフィッティングしているので、正確には時定数)が変わった。時定数を求めた結果、誤差が非常に大きいが、体積には無関係で、クライオスタットの温度と直線の関係にあることがわかった。

 Mpemba effectとの関係。
 Mpemba effectは確率的な現象である。
 冷却開始時に適度な温度差がある場合、温度が下がって0℃に達するまでの時間は、温度がが高い方が長くかかる。しかし、その時間差は、熱の交換が温度差に比例するため、温度が高い方が冷却速度が大きい。
(論文では、冷却曲線の傾きが変わる温度があることと、その見えやすさが条件によることが書かれていた。)

(論文中の冷却曲線のグラフからから読み取れる内容:冷却速度の違いから、0℃になった頃には、さほど大きな時間差となって見えてこない。0℃以下の過冷却が実現する状態では、結晶成長の核がどのようにできるかが、かなり微妙で(容器表面や不純物に影響される)確率的であり、結晶ができ始める時間が長時間にわたってばらつくため、元の温度が高かった方で先に結晶が成長し始めることが実際に起こる。しかし、これはあくまでも確率的現象に過ぎない。)

 その他、この論文に書かれていたこと。
○加熱すると水の構造が変わるといった話を書いた論文もあるが、注意して実験すれば、そのような考え方は適用できなくなる。
○もとのMpembaさんが見つけた現象は、水ではなく、アイスクリームを作っていた時の話である。
○日常で使う冷凍庫は、温度や圧力の変動があり、過冷却状態を安定して観測することは困難である。過冷却状態は準安定状態なので、温度や圧力の変化といった外的擾乱で、結晶(つまり氷)が出てきてしまう。

 この実験が支持するのは、文献中に[4]で引用された、D. Auerbach, Amer. J. Phys. 63(1995)882である。また、6℃の相転移(?)は、K. Korera, T. Saito, T. Yamanaka, Phys. Lett. A 345 (2005)184に書かれている。

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 私の見解。
 この論文の精度はそれなりに高そうなので、認めても構わないのではないか。実験の解釈にも、無理があるようには見えない。
 家庭の冷凍庫でも、運が良ければ過冷却状態が実現することがあるので、「過冷却から結晶ができる過程が確率的である」ということにあてはまってしまい、Mpemba effectが見える可能性がある。さらに、試料の準備の際に、氷の核を作る種になるような不純物が紛れ込んだら、それで、凍り始める時間が変わってしまう。実験の準備に穴があればあるほど、何が影響して凍り始めの時間が決まるか、わけがわからなくなる一方に違いない。
 この話のキモは、最初の温度差が適度なものであれば、0℃に達するまでの時間の差<<凍り始めるまでの時間のばらつき、が実現するというところにある。つまり、凍り始めるまでの時間のばらつきの方が圧倒的に大きいため、0℃になるまでの時間差の影響がそんなに見えないということである。
 いずれにしても、Mpemba effectは常に起きる現象ではないし(むしろ一般家庭の冷凍庫では起こしづらいだろう)、温度の高いものを冷凍庫に入れたら冷やすために余分な電力が必要になることは明らかなので、Mpemba effectをあてにして温度の高いものを冷凍庫で氷にするということは全くお薦めできない。実験で使われたクライオスタットでも、試料部分の温度を一定に保つように制御するので、温度の高いものを入れたらその分だけ電力を要しているはずである(さすがに、投入電力までは論文に書いてないが^^;)。

 確率的にしか起きない上に、繰り返し精密な実験が必要なので、演示実験の材料としては不適と考える。また、水の冷却過程の研究には役だっても、家庭での実用性は無いに等しいわけで、水の相転移や過冷却状態に興味のある研究者や技術者以外の一般の人に、ためしてガッテンのような番組で紹介するような話ではなかったのではないか。前提条件があまりにも入り組んでいる現象は、テレビで紹介する材料には不向きだろう。
 これで、要らぬ誤解をして、温度の高いものを冷凍庫に入れる人が増えたら、その方がよろしくない。
 確実にペットボトルで過冷却を見る方法もあるわけで(小中学校の理科実験で気軽に使えるセットが販売されていたはず)、水や氷の不思議を教えるなら、そちらを使った方が適切ではないか。

 現在、1969年のMpembaさんの論文と、上記文献[4]を取り寄せているところである。

生物物理若手の会 夏の学校

Posted on 7月 21st, 2008 in 未分類 by apj

 表題の所に講師として呼ばれたので話をしに行ってきた。
 生物物理に興味を持っていた時もあったが、じきに離れて物理に戻ってしまったので、院生の頃に若手の会に行ったことはなかった。今回呼ばれて行ってみたら、夏の学校の全体のテーマが「脳」(大汗)。私にとって、脳の研究は、潰れた経験しか無いわけだが……。
 まあ、オーガナイザーの趣味(?)で、水の分光の話やら研究の紆余曲折の話やらをやることになっていたので、客層が違ったらどうしようかと思いつつ話をしてきた。聞いてくれた学生・院生の皆さん&大学スタッフの方々、ありがとうございました。
 先ほど、無事に山形に戻った。

 blog見てますよ、と言ってくれた方も何人かいらっしゃったので、紆余曲折の方の追加情報をちょっとだけ。

 脳の研究をやめる後押しになったのは、故松本元先生の講演を仕事でききに行かされたことによる。集中豪雨の日で、足首まで水に浸かるハメになった。そのときの講演のテーマは「愛は脳を活性化する」。教授に振られた仕事でやむなく悪天候をついて出かけたわけだが、講演内容には大変に感激し、「脳の研究は私の脳にダメージを与えている」という結論に至ったので、研究テーマを変える決心がついた。

 千葉の放医研に行った時は、呼んでくれた先生が「これで安心してイギリスに行ける」と、来たばっかりの秘書さんと私を置き去りにして長期出張をかましてくれた。ついでに、隣の研究室で「気」の研究が始まって、気功師が出入りして妙に怪しくなっている有様。さらに、意識が量子力学の観測結果に影響すると主張する人が来て、物理学会の生物物理のいつぞやのセッションに出しており、素核宇宙以外は秋の分科会は同じ会場だったので、後からその人に「同じ会場で発表したのは私たちだけでしたよね」と親しげに声をかけられて、内心で「一緒にするなー!」と思いながらひきつった笑いを浮かべるしかなかった(私はラマン散乱の発表をしていた)。これはあちこちでも書いているので、読んだことがある人もいると思う。別冊宝島「トンデモさんの大逆襲」に、気の研究に科技庁が1億円つけたと書かれた件で、私はその時傍に居た。

#しかし、「若手の会」と名のつくところに参加するのではなくて、呼ばれて話をすることになると、「歳を取った」気がするよなぁ。実際その通りなんだが。悪魔の辞典風に説明すると「若手の会:客観的若手と自称若手の参加によって成り立つ会。講師に招待されるのは、年寄りのレッテル貼りである。」かな^^;)。

ニセ検査キット

Posted on 7月 18th, 2008 in 未分類 by apj

 後期担当予定の科学リテラシー用ネタメモ。Yahoo経由YOMIURI ONLINEより。

「尿でがん」ニセ検査キット摘発、「陰性」信じ死亡例も

 「尿で簡単にがん検査ができる」とうたって、役に立たない診断キットを販売したとして、警視庁は18日、医薬品輸入販売業、南秀明(63)(神戸市東灘区)と臨床検査会社「マリア・クォールホールディングス」社長、飯田祐巳(37)(東京都中央区)の両容疑者ら3人を薬事法違反(無承認医薬品の無許可販売)の疑いで逮捕した。

 同庁は、南容疑者らが約3年前から同キット約18万個を健康食品会社などに卸し、約3億2000万円の利益を得ていたとみている。

 発表によると、3人は2006年6月~昨年12月、医薬品の販売資格がないのに、仙台市や大阪市内の健康食品会社などに、「CCD」「CCS」などと名付けた無承認のがん検査キット計約9800個を計約2200万円で販売した疑い。健康食品会社などは、全国各地の薬局に商品を卸していたという。

 同庁幹部によると、南容疑者らは、同キットについて、「尿に薬品を入れ、変化した色の濃さでがん細胞の有無がわかる」などと説明していたが、主成分は水銀とニッケルで、がん細胞には反応しないという。

 同キットを購入したがん患者が陰性反応を信じ、がん摘出手術を断るなどして、結果として死亡するケースもあったという。

 調べに対し、南容疑者らは、無許可で販売したことを認めており、「香港からキットを輸入した」などと供述しているが、海外で同キットが使われている事実はなく、同庁では、南容疑者らがキットの製造にもかかわっている可能性もあるとみて調べている。

(2008年7月18日14時01分 読売新聞)

 ニセ検査法やニセ治療法に引っ掛かると、必要な治療を受ける機会を失って最悪死亡という結末が待っている。普段の講義では「科学の知識が足りないと死ぬよ」と、ちょいと脅し気味にいろんな教訓を教えていたりもするんだけどね。

「ロズウェルなんか知らない」

Posted on 7月 17th, 2008 in 未分類 by apj

 「ロズウェルなんか知らない」(篠田節子著)の文庫版が出ていたので買ってきた。講談社文庫。
UFOをネタに村おこしをする話。
 本家ロズウェルは、UFO博物館を作り、観光地化に成功している。

(Circus Point) Notebookを使ってみた

Posted on 7月 15th, 2008 in 未分類 by apj

 講演依頼や非常勤の依頼を管理するために、Notebookというソフトを使ってみることにした。画像やpdfなど何でも貼り付けられるNotePadで、自動で目次がついたり、項目の入れ替えができたりという、ばらばらになりやすい情報をまとめるのに便利。
 データをため込むソフトとしては、Devon thinkを使っているのだけど、それよりは手軽で何でも書いてまとめておける感じ。やりとりしたメールや、書き換えて送った添付書類などを一個所において一覧できるので、なかなか具合が良い。

磁気活水器や波動に毒されてしまった人のための物質科学入門(案)・その2

Posted on 7月 14th, 2008 in 未分類 by apj

 引き続き、項目を列挙。

○水の中のイオンって何?
 金属が溶けるときの存在の仕方。かならず対イオンがあるから、全体として電気的には中性。水素イオン濃度(pH)が酸性と塩基性の指標になっている。
○イオンに何かすごい作用があるの?
 物質としての通常の性質以上のものはない。代表的なものは高校化学の教科書に出ている(飲料水やミネラルウォーターの成分については列挙)。
○マイナスイオンって何?水にも含まれているの?
 空気の中に漂っている、負の電荷を持った微粒子や分子の総称。水は関係ない。水の場合は、きちんと元素分析して不純物組成を決めればよい。水が何か性質を持つとしても、それは水溶液としての性質であって、不純物の効果以上のものではない。空気の場合は、分析が難しい(∵他の分子と衝突してどんどん別の物質に変わったりする)から、negative air ionという括りでとりあえず呼んでるだけ。
○遠赤外線は水に効果を及ぼすか?植物の成長には効果があるが……。
 水の吸収スペクトルからいって、遠赤外線を吸収しても速やかに温度が上がるだけ。水の振動緩和は早いから、そんなにエネルギーを持ったままいられない。植物の場合は、直接遠赤外線を吸収しそうな分子をたくさん持っていて、吸収の相手が水とは限らないので別の話。
○水の浸透圧が変わるから植物がよく育つという話があるが?
 まず、浸透圧が変わったことをきちんと示した実験が出てこないあたりがそもそも怪しい。希薄溶液の浸透圧は、理想気体の状態方程式のような形になるから、水の浸透圧が変わったとしたら、最初に疑うべきは不純物濃度と組成の変化だろう。
 植物も動物も、水に一定量の不純物が混じった時に決まる浸透圧を前提にして生きている。浸透圧が変わって植物の成長が違うというのなら、浸透圧変化のもとになった水以外の成分の効果で説明できるはず。
○水の表面張力の測定
 実は、試料調整に敏感。チューブ類を不用意に使うとそれだけで変わる。磁場じゃ変わりそうにない。巷の実験結果は、エラーが相当数含まれていると思われる。
○水の変化を見るのに動物実験は適切か?
 水の「物理的変化」を想定しているのなら、まずは物理化学的な測定が必要で、それで全くでないのなら、物理的変化を仮定したことが間違っている。確かに、動物の方が分析装置より感度が良いことがあるが、それは、「特定の物質を認識する」場合に限られる(ホルモンとか)。
○磁気活水器の効果と磁気の効果は別
 活水器の防錆用の亜鉛板が溶け出して水道管の錆を防いだ例や、アースによって同様のことが起きた例、活水器とセットで設置することになっていたフィルターの効果の例もある。効果があった例がことごとく磁気以外の原因だったり。
○エネルギーの豊富な水はあり得るか?
 無い。酸素と水素から水ができる反応は発熱反応。水は物質としては、エネルギーを失った安定な状態。水のエネルギーとは、ΔGのことで、それ以上でも以下でもない。また、水のエネルギー云々で、kJ/molで数値を出しているのを見たことがない。比喩的表現と、物理量を混同すべきではない。
○原因を考える順番
 物質の出入り以上の効果があるかどうかを十分検討すべき。これまでのところ、水単独で物理変化した例はない。懐疑的に実験を検討すると、水分子以外の物質の効果を見落としていたことがわかってきている。

微妙な予告

Posted on 7月 14th, 2008 in 未分類 by apj

 YahooJapanの記事より

存在しない駅で「殺しまくる」 予告の男逮捕 「犯罪ではないと…」
7月14日16時52分配信 産経新聞

 インターネット掲示板「2ちゃんねる」に「埼京線の上野駅で人を殺しまくります」と書き込んで警察官に警戒を強化させたとして、警視庁上野署は14日、偽計業務妨害の疑いで、板橋区成増の無職、崎山裕介容疑者(32)を逮捕した。上野駅に埼京線は乗り入れておらず、「存在しないから犯罪にはならないと思った」などと供述している。

 調べでは、崎山容疑者は6月28日午後7時半ごろ、掲示板に殺害予告を書き込み、2日間で延べ50人の署員を警備に当たらせるなどして業務を妨害した疑い。自宅のパソコンから書き込んでおり、すぐに浮上したという。

 存在はしないが、実在の地名を使って地理的に微妙だと逮捕になるらしい。
 これがもし、地下鉄御堂筋線の東京駅、とか、誰がどう見ても遠く隔たっていたらどうなるのだろう。実在の駅名を使うとその周辺を警戒しなければならなくなるから、「雛見沢駅で」とやったらどうなるか(雛見沢は、「ひぐらしのなく頃に」の舞台となった架空の地名)。あるいは、「パリで……」といった、海外だったらどうか。

 こうなると、一体どこまでなら逮捕されるのかという境界を知りたくなってくる。実験するにはちょっとずつ内容を変えて、徐々に架空度・非現実度が増えていくような予告を並べてするしかなさそうだが……。さじ加減を間違えて逮捕の方に含まれてしまうと、現実に迷惑をかけるし予告した人もリスクを負う。気軽に実験、というわけにはいかないよなぁ……。

磁気活水器や波動に毒されてしまった人のための物質科学入門(案)

Posted on 7月 13th, 2008 in 未分類 by apj

 訴訟掲示板の方で、8-OHdGさんにいろいろ書いていたら、まとまったものを書いた方が良いのではないかと思った。すぐには完成させるのは無理なので、項目だけ立てておく。

○物質は原子からできている
 原子はどれも同じ。日本の水素原子もアメリカの水素原子も宇宙空間を漂っている水素原子も全部同じ。酸素も同様。
 ※「波動」の話はナンセンス。電子の波動性のおかげで、元素の周期表で分類が足りている。
○分子ってどんなもの?
 原子の配置(原子核の位置)が特定のパターンになっていて、そのまわりをぼやっとした電子雲が取り囲んでいる、というもの。熱によって、原子核の位置がお互いに微妙に揺らいでいて、その影響で、電子雲の重なり方がずれたり形が変わったりする。このずれや形の変化も、ずれっぱなし、変化しっぱなしじゃなくて、揺らいでいる。
○水分子はどれも同じ
 H2O、どれも同じ酸素と水素からできていて、かつ、H-O-Hの配置(結合長、結合角)は原子の性質から決まってしまうから。
 ※もっとたくさんの原子からできていて、分子のつながり方は同じでも、形を変えて(角度など)いろんな配置をとれる物質もある。
○水素結合って何?
 水分子のHと、別の水分子のOが引き合う相互作用。Oは電子を強く引きつけるので負に帯電し、Hは酸素に電子を一部持って行かれた恰好で正に帯電している。水素を仲立ちとして電気的に強く引っ張り合う結合。
 他には、たとえばアルコール分子も分子間水素結合を持つ。
 水素結合は、特定の方向でしか結合しないとか、適切な距離でないと結合できないという性質がある。
 水は、分子のサイズに比べて水素結合が強いので、一般の有機溶媒と比べて、変わった性質が出てくる。
○水は電気に影響されるか?
 外から電気的に引っ張られると、ごくわずかだけど、電場の方向を向きたがる。分子に正負の電荷のかたよりがあるから。でもごくわずかだけ。熱運動で乱雑に動き回る効果の方がずっと大きい。何となく電場の方向を向いていることが確率的に多いかな、というイメージでよい。電場を取り除いたら、すぐに元にもどってしまう。
○水は磁気に影響されるか?
 水の磁気的性質は、とても弱い反磁性体。強い磁石を近づけると、水は磁石から遠ざかろうとする。外からかけている磁場を取り除いたら、磁場の影響は後には残らない。
○鉄釘に磁石を近づけたら弱い磁石になって、磁場の影響が後に残るけど、水ではどうして残らないのか?
 水では、1個1個の分子が、磁場を取り除けば元に戻ってしまう。その上、分子が好き勝手な方を向いて動き回っているから、「上向きに磁場がかかっていた」などということを覚えておけない。
 固体の場合は、原子の位置が固定されているので、磁化したらそのまま保たれる(注:強磁性体の場合)。磁石になった鉄だって、加熱して一旦溶かして固めたら、磁石になってたことなんか忘れてしまう。水は室温でも忘れるってこと。
○水素結合を観測するのにいい方法は?
 ラマン散乱や赤外吸収で、OH伸縮振動のところを見る。誘電率を測定する。
 NMRもあるけど、T1緩和時間を見ないとだめ。
○ラマン、赤外では何がわかるの?
 分子を作っている原子が熱で揺らぐと、電子雲が歪んだり、電子雲の中心と原子核がずれたりする。すると、正負の電荷がずれて、分子全体として電荷の偏りが変わったり、形が歪んだりする。この変化が、赤外線の吸収や光の散乱を測定するとわかる。
○誘電率で何がわかるの?
 分子が動き回りながら、何十個か集まると、集団としての電荷の偏りができる。分子のまとまりで見た場合、どの程度偏ってるかの指標が誘電率になる。
○水素結合が変わると測定結果が変わるの?
 ラマンや赤外の場合、分子の振動は、もともとのOHの結合(これはあんまりかわらない)と、OHの周りがどうなっているか(つまり水素結合してるのか、他の分子が居るのか、イオンにくっついているのかなど)の両方で決まる。OHの結合はそうそう変わらないが、OHのまわりの環境はいろいろなので、それに応じて変わる。
 バネでつないだボールを弾いたら、大体の振動はバネの強さや長さとボールの重さで決まるけど、周りに邪魔するものがあったら、自由なときと比べて動きが変わるというのをイメージすればよい。
○誘電率と水素結合はどういう関係があるの?
 普通の水の室温での誘電率は80位。これは、電気的な偏りを持った水が、通常通り水素結合してこうなっている。もし、水素結合が無くなって、水分子が全部ばらばらになったら、もっと小さくなるはず。
○水素結合は切れないのか?
 温度と圧力を上げて超臨界状態に近づけていけば、分子運動が激しくなって密度が下がる(隣が遠くなる)から、結合していない分子が増える。水の場合だと、水素結合せずに混合する有機溶媒に、水分子を分散させると、分散した水分子の水素結合は切れる。

これはゲームを選ぶだろう……

Posted on 7月 12th, 2008 in 未分類 by apj

 cnetの記事より。

SCE、PS3でゲーム内動的広告サービスを開始
小川陽平(GameSpot Japan)

 ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン(SCEJ)は、Double Fusion Japan (KK)およびIGA Worldwide, Inc.を最初の広告ディストリビューターとし、PLAYSTATION3(PS3)向けのゲーム内動的広告サービスを、日本国内で開始すると発表した。

 ゲーム内動的広告は、ゲームプレイ中に表示される看板や壁面など、映像の一部を任意に広告スペースとして活用し、ネットワークを通じて随時内容をアップデートできる、新たな広告サービス。

 SCEJでは、圧倒的な演算能力を持つPS3がネットワークにつなげることで、さまざまなゲームを通じてリアルタイムな広告展開が可能になり、ゲーム内動的広告サービス分野において豊富な実績、ノウハウを持っているDouble Fusion Japan (KK)およびIGA Worldwide, Inc.を始めとした広告ディストリビューターとともに、ゲーム内スペースをオープン且つ効果的な広告メディアとして活用しサービスの拡大を図るとしている。

 人がさっぱり来ないらしいセカンドライフの中で広告するよりは、みんなが楽しくプレイするゲーム中に広告を出した方が、効果的だろう。アクションアドベンチャーなどで、ゲーム内の町並みに表れる広告が現実世界を反映していたりすると、ゲームの方の世界観を壊さない限り、楽しいことになりそうだし、スポーツ関係のゲームで、現実の試合の中継でスポンサーの垂れ幕が出るところが、ゲーム内でもそうなっている、という場合は、よりリアリティを感じられそうだ。一方、例えば、サイレントヒルのような、寂れまくりで看板錆びまくりで滅多に人が居ない(代わりにグロいクリーチャーがたくさん出現する)不気味な場所で、いかにも潰れて閉鎖しましたって店に、半分斜めになって壊れかけた看板が掛かっているのが現実世界の宣伝内容だったりすると、逆効果になりそうである。現実世界を忘れたいファンタジー関連のゲーム内に広告が出たら、興ざめするだろう。いずれにしても、この機能はゲームを選ぶよなぁ。