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別種の殺意を覚えるかも……

Posted on 7月 6th, 2008 in 未分類 by apj

 「秋葉原通り魔事件 ~ 人生はリセットできない」を読んで。
 仮に、仮にだよ、私が何らかの理由で世の中や他人を深く深く恨み、復讐を意図して武器を手に人混みに出かけ、数人の刺殺に見事成功したとしよう。ところが、後から「あの事件は容疑者がゲームに毒されていたから起きた。容疑者はゲーム感覚で犯罪を実行した」などと評論家に書かれたとしたら、次に殺したいヤツの筆頭にその評論家が来そうに思う。

 安易に犯罪をゲームのせいにされては、ゲーム好きな人にとっても勿論困るが、容疑者にとってもそんな安っぽい解釈をくっつけられるのはまっぴらだろうということなんだけど。

粘着さんってホント無駄な努力をしているよなぁ……

Posted on 7月 5th, 2008 in 未分類 by apj

 ここのblogとかあっちの掲示板とかを見に来て、気に障る文章があったらクレームをつけまくる粘着さんって、ホントに無駄な事してるよなぁ、と思ったり。大木弁護士のコメントじゃないけど、その努力をもっと生産的なことに使えばいいのに。
 相手が粘着かどうかの判定基準は、極端に多くの労力を投じて私を非難したりするための文章を書いたりすることに費やしているかどうかというものである。勿論、論争の程度というのは、相対的な問題なので、私が相手に対して投じた労力よりもはるかに多くのものを私を非難するためにわざわざ投じているかどうか、という基準で見るということである。これがあまりにもアンバランスな場合には、粘着さんと呼ぶしかないだろう。
 東京の裁判の1回目が終わって訴訟資料公開希望が出ているので、現在スキャナと格闘中である。で、改めて資料を見ると、つくづく吉岡氏の粘着度ってキテるということがわかる。最初のメールのやりとりは、双方同程度の労力をかけてのやりとりだったので、その段階では粘着でもなんでもなかったが、「水は変わる」以降が凄い。圧倒的に向こうの方が手間と労力をかけている。どう見ても相手が勝手に損をしているようにしか見えないところが、何ともまた……。

 もっと偉い人とか、もっと人気商売の人(マニアックに見ることに楽しみを見いだせるような芸能人のような相手)に対してなら、粘着するのも悪くないかも知れないけど、私みたいな吹けば飛ぶような小物に粘着したって、費用対効果を考えると意味が無いとおもうんだけど。

#ってか、いい加減に私に「水は変わる」の著者サイン本を送ってこいと>吉岡。私をネタに名誉毀損本を1冊自費出版して、2年も配りまくってるんだから、1冊くらいは献本するのが礼儀だろ。神戸の裁判でも東京の裁判でも書証で登場して、既に名誉毀損表現しまくりなのは明らかだし、私の方だって作法通りちゃんと提訴もしたんだから、今更私にだけ隠すってどういう種類のツンデレなんだよ。

第1回口頭弁論@東京地裁

Posted on 7月 3rd, 2008 in 未分類 by apj

 移動でばたばたしていてblogに書いている余裕が無かったのだが、東京の裁判の第1回口頭弁論が終了。
絵里タンと大木弁護士が来ていた。直前のが、原告野村沙知代vs.被告モッツ出版。ところが、ややこしいことに、野村さんの代理人も絵里タン&大木さんで、モッツ出版の代理人は書類を先に出して出席していなかった。つまり、被告の席は丸空き。
 私は原告の席に行こうとして、「先に別件」と止められたので傍聴席で待っていた。烏丸法律事務所の小野弁護士と吉岡氏は被告席に座ったが、事件番号が違うと言われて一旦退席。「代理人が同じなんです」と絵里タン。同じ法廷で同じ時間帯の別件の弁論で、原告側代理人が同じというのは、ちょっとめずらしいかも……。

 終わった後、山形の件及び別件の相談があったので、裁判所隣の弁護士会館へ。地下の売店は使ったが、上の階がどうなっているかは知らなかった。エレベーター内の案内を見ると、弁護士会3つと日弁連が入っているという、弁護士の総本山のようなビルであった。二弁のフロアに案内されて、自販機のコーヒーを持って、空いている会議室を使って打ち合わせ。会議室は早い者勝ちで特に予約はないし、ロビーのようなところの応接セットで話をしている人も結構居た。なお、二弁の飲料自販機は他の弁護士会と違って無料で、ということはつまり二弁の会員の弁護士さんが負担していることになる。

みんな「太陽にほえろ」が悪いんだっ!

Posted on 7月 3rd, 2008 in 未分類 by apj

 大阪通り魔事件の容疑者について。msn産経ニュース「【衝撃事件の核心】好物はカツ丼、つけまつげ欠かさなかった大阪駅通り魔の女」より

 自宅近くのうどん店では、開店前に現れて「まだ?」と大声で叫んだりする姿が目撃されていた。店員は「カツ丼をよく注文したが、つっけんどんな注文の仕方だった」と語る。

 じゃあ、取調室でも全然オッケーじゃん、と脊髄反射的に思った私orz。

 こちらは、Wセミナーの「司法試験デバイス12刑事訴訟法」第5編 第9章 自白法則 3.具体的ケースにおける判例とその検討 (2)不起訴等の約束による自白 の項目。

(略)検察官が起訴猶予の約束をするような場合、虚偽を誘発するおそれは非常に強いものと言えよう。これに対し、警察官がカツ丼を食べさせてやると言ったような場合、一般には任意性は否定されないであろう。

 真面目に受験参考書にも登場しています>取調室のカツ丼。

 古いメール記録をあさっていたら、知り合いの人が警察署に行った折、警察署の人が食べ終わったどんぶりを持ってやってきたのを見て、
「やっぱり、例のカツ丼ですか?」
とやって、居合わせた警察署の人みんなを爆笑させたという話が。

ブログを書いて当たり前の時代

Posted on 7月 3rd, 2008 in 未分類 by apj

 毎日.jpの記事より

ブログ:世界一は日本語 言語別発信、英語上回る 総務省

 インターネットで公開されている国内のブログは08年1月末現在で約1690万あり、国内のネット利用者(約8811万人)の約2割が利用し、記事総数は約13億5000万本と、単行本約2700万冊の情報量に匹敵することが2日、総務省情報通信政策研究所の調査報告書でわかった。04年以降に急増したブログの本格的な実態調査は国内初めて。

 報告書は、同時に米国の会社による調査結果(削除済み分を含む)を紹介。ブログは世界に約7000万あり、使用言語別では日本語が約37%と、2位の英語約36%、3位の中国語約8%を抑えてトップとなり、日本人のブログ好きが浮かび上がった。

 調査は今年2月、ネット上の情報を自動収集するシステムと、全国の15歳以上のブログ開設経験者に対するアンケートなどを用いて行った。ブログ開設の動機は、日々の出来事を日記風に書くことでストレス解消に役立てる「自己表現型」が全体の30.9%で最も多く、開設者は10~20歳代の割合が約4割と高い。自分の関心のあるテーマで知り合いを求める「コミュニティー形成型」が25.7%、自分の趣味について情報を整理・公開する「アーカイブ型」が25.0%と続き、若者だけでなく、30~40歳代を含む幅広い年齢層に利用されている。

 国内のブログのうち、1カ月以内に1回以上、記事を更新するブログは全体の2割弱の約300万。新たに開設されるブログは毎月40万~50万程度あり、ブログの閲覧者が意見や感想を書き込むコメントは1記事当たり1.5本前後あるなど、活発な情報交換が行われていることもわかった。

 また、約300万のうち約12%が「スパム(迷惑)ブログ」に該当。内訳は、販売誘導が38.3%で最も多く、広告収入目的が17.1%、アダルト・出会い系サイトへの誘導が7.0%と続いた。

 ブログは主要なブログサイトが登場した04年ごろから世界で普及した。【川口雅浩】

 ネット利用者の2割というのはなかなか凄いことかと。ややこしいhtmlを書かなくても簡単にコンテンツを更新できるから、情報発信の敷居が相当下がったはず。「何でblogをやっているのか」などという質問をすること自体が、今となってはナンセンスだろう。誰でもほとんど当たり前にやっていることなので。

 私の場合は何だろう……まあ、このblogのサブタイトルにもあるように、考えることと書くことが直結しているから、考えるためのツールとして利用している面がある。
 さらに、読んでくださる皆さんのコメントをもらったり、他の方々のblogにコメントやトラックバックをすることで、自分が世間からどうずれているかの位置確認をしている面もある。大学に限らず、学校というものはどうしても閉鎖社会だから、そのタコツボにはまると現実の周囲の常識が実は世間の非常識、ということにもなりかねない。これは自分にとってもかなり恐い。世間からずれること自体は構わないと思うし、何か新しいことを試みると、いつだって必然的に少数派になってしまう。ただ、ずれの方向と程度や、少数派であることを自覚していることが実は大事だと思う。自覚無しにずれていると被害や惨事を引き起こすことになるので。
 まとまったエントリーにする前に速報的に議論しなければならない話題を取り上げるということもしている。
 もう一つ。これは私の強迫観念かもしれないが、文章は日々書かないと下手になる、という思いこみがある。検証はしていないし、検証の方法も思いつかないが、つまりは楽器の練習と同じである。考えることと、書き表すスピードを上げるには、書き続ける訓練をするしかない。しかも、文字のみでしか情報伝達できないという制約の中で。これが何に役立つかというと……実は訴訟の書面書きには確実に役立っていたりする。が、これも今のところ主観である。

随分前になくなっていた旺文社文庫

Posted on 7月 2nd, 2008 in 未分類 by apj

 旺文社文庫「反対尋問」を古本で買って、そういえば最近見かけないが旺文社文庫はどうなったのかと、ネットサーチしてみた。Wikipediaによると、1987年で終わりだそうで……。私が学部生の頃に無くなったらしい。気が付かなかった。中学生の時、明治図書だったかの新書リストと一緒に旺文社文庫のリストが配られて、そのリストから欲しいものを選んで注文すると学校でまとめて買って渡してくれるということがあった。いろいろ買って楽しんだのを覚えている。文学作品が主で、さすがに「反対尋問」は無かったが……。版権買い取って再版してくれないか、筑摩あたりに期待したい。類書は無いし。

強制執行の参考書あるいは体験談募集^^;)

Posted on 7月 2nd, 2008 in 未分類 by apj

 だいぶ前にやった、飛騨の荒らし君に対する債権回収作業が中断している件。
 何があったかまとめておくと、
・飛騨の中の人からリンク依頼。
・ページを見に行ったらまともに表示されないので、その旨指摘したら相手が逆ギレ。掲示板荒らし&嫌がらせメール&ウェブサイトでの名誉毀損の3連コンボをやってくれた。
・相手を特定するために、発信者情報開示請求訴訟を考え、それに先だってログを消すなという仮処分を、相手方のプロバイダに対して申立。
・プロバイダの顧問弁護士を呼び出して、半年ログ保存の和解成立とほぼ同時に、相手方本人から示談金20万円を請求する文書が郵送されてきたため、本人特定ができてしまった。
・相手方のウェブで行われた名誉毀損に対して告訴状を提出→罰金刑確定。
・逆ギレ荒らし&示談金請求まで一通り出そろったので、民事でも提訴→賠償金20万円を飛騨の中の荒らし君が支払え、という判決が確定。めでたく私は債権者の地位を獲得。
・相手は自称自営業者だが、内容証明の出し方も知らないっぽいことから、まともな営業をしているとは考えがたく、素直に賠償金を払うとも考えがたい。そこで、判決に執行文を付与してもらい、いつでも強制執行に入れる状態にした。
・案の定、相手から、弁護士に相談するだの払わなくて良いはずだだの、常識外れなメールが届いた。又、新しいビジネスに差し障る云々というメールもあった。

 動産執行をどうするか考えていたら、吉岡氏との紛争が始まり、忙しくなってそれどころでは無くなった。確定判決による債権の時効は10年なので、まだ当分あるが、宿題はさっさと終わらせたい。

 そろそろ山形の裁判が一区切りつけられそうなので、手が空いたら強制執行を、と思っている。問題は、荒らし君が遠隔地居住のため、出向いて差し押さえしようとすると、旅費で赤字になりかねないこと。一番楽なのは、相手の口座を差し押さえることだが……。
1)このままあきらめる。
楽だが、経験値が上がらない上、仮処分等で費用をかけた分が回収できないのは腹立たしい。
2)相手を観察し続けて新規ビジネスを始めたときに、その資金に対して執行。
相手には余分なダメージ? まあ、先に弁済しろと言われても当然の立場ではあるはずだが……。
3)赤字覚悟であらゆる手で執行。
顛末をまとめて、「素人の素人による素人のための強制執行」とでも題した同人誌を作ってコミケで売る。

 今のところ3)案に傾きつつある。

 絵里タンに訊いても、取引のある相手でないと、財産のあぶり出しはケースバイケースで難しいらしい。

 世の中に民事訴訟法の本は多いが、執行の実際について書いてある本は少ない。法学部のカリキュラムを見ても、訴訟法はどこの大学にもあるけど執行について教えているところはあまり見当たらない。
 近日中に、裁判所やら弁護士会館やらに行く予定があり、そっちの実務書も立ち読みできそうなので、良さそうなものがあればチェックしたい。「サルでもわかる強制執行」とかいう本があったら買いたいくらい。そんな便利な本、実際には無いだろうけど。

 ところで、もしこの荒らし君が書面で示談金50万円を要求してきていたら、賠償金の額もそうなったのだろうか。もしそうなら、もうちょっと景気の良い金額を要求してくれていた方が、回収に際しての熱意に違いが出たに違いない。いずれにしても、逆ギレして掲示板を荒らした挙げ句金まで請求した相手に対する判決としては、損害額の認定で金額を合わせてきたあたりが結構粋だと思うので、裁判官に座布団3枚、と今でも思っている。判決全文はこちら

藤田教授が血液型にまで手出しした件

Posted on 7月 2nd, 2008 in 未分類 by apj

 ZAKZAKの記事より。

食べ物にもあった!?血液型相性…合わないと体に負担

 書店では血液型本が相変わらず人気だが、恋愛だけでなく、食べ物も血液型別に“相性”があるというから驚きだ。れっきとした免疫血清学に基づくものだという。血液型と食べ物の不思議な関係、あなたは信じる!?

 【人類の最初はO型】

 そもそも血液型はA、B、O、ABの4タイプに分類されるが、基本はO型。歳月を経て他の血液型が誕生したのだという。

 「人類の最初はO型で狩猟民族だった。だが、その後、農耕民族の一部からA型が生まれ、遊牧民族の一部からB型が生まれ、彼らが混じり合った結果、AB型が生まれたと考えられる。分類的にはA型はB型に対する抗体を持ち、B型はその逆。O型はそのどちらの抗体も持ち、反対にAB型は抗体は形成しない。この抗体の有無が、食べ物の“相性”も決める」と話すのは、東京医科歯科大学名誉教授で人間総合科学大学の藤田紘一郎教授。

 とはいえ狩猟民族のO型は肉食、農耕民族のA型は穀類、遊牧民族のB型は乳製品と相性がいいわけでもないようなのだ。

 藤田教授は、人体や食品に含まれる血液型物質(血液型に関係する糖の型など)を調べる免疫血清学の見地から、血液型別にどの食べ物が体に負担をかけずに消化できるのかを研究している。ちなみに、ここで言う体に「合う」「合わない」は、食べ物に対して抗体を「作らない」か「作る」かを意味する。

 【B型はラム肉】

 「例えばO型の人はA、B型に関係する血液型物質を多く含む肉類を食べると、体が抗体を作ろうとエネルギーを消費してしまう。逆に、AB型の人は、身体に合わない食べ物はほとんどないと考えていい」(藤田教授)。“相性”を見るには、その食品にどんな血液型物質が含まれるかを見なければならない(別項参照)。

 続いて、A型とB型。

 藤田教授によると、われわれが普段口にする食べ物の多くには、A型やB型に関する血液型物質が含有されているという。そして、両者は常に相反する存在だ。

 【A型はウナギ】

 「A型の人はB型物質に対する抗体を持っているので、B型物質を持っている食べ物は合わない。B型の人はその逆」

 ところでA、B型は、食べ物との“相性”を利用してダイエットも可能という。

 「A型の人が、B型物質を含む食品ばかり食べていると、体内の抗B抗体が消費されていく。つまり、無用なエネルギーが使われることになる。それを逆手に取れば、ダイエットに結びつく可能性がある」と藤田教授。

 例えば夏バテ防止のウナギや豚肉は、A型の血液型物質を多く含み、A型人にとっては疲労回復になる。

 ところが、B型の人が、これらを食べると、A型物質に対する抗体が増産され、疲労回復どころか、免疫血清学的には抗体を作ることで無用なエネルギーの消費につながってしまうのだ。この消費が重なれば、痩せられるのではないか、というのが藤田教授の考えだ。

 いずれにせよ、これら「血が騒ぐ食品」をうまく活用して、健康に生かしてみては。

 【からだに合う代表的食べ物】
 A型 …豚肉、ウナギ
 B型 …羊肉、クジラ、ハマグリ
 O型 …貝類、ゴボウ
 AB型…牛肉、馬肉、コンブ、ソバ、ブドウ

 藤田紘一郎教授については、「水の健康学」で、間違いを間違いと見抜けずにやってくれちゃってからは、信用度が下がる一方なわけだが……。今度は血液型に手出しした模様。一体どこから元ネタを仕入れたのだろうか。本人が研究しているという話だが、もともと専門は寄生虫学だったのでは。研究テーマを変えるのはかまわないが、どの程度エビデンスがはっきりしているのか、記者にはもっと突っ込んだ取材をしてもらいたい。この記事を見て、食べ物に対してではなく、トンデモの臭いがぷんぷんしてくるという意味で私は血が騒いだ。

 まあ、いろんな食べ物を食べることには賛成だが、血液型とかそういう理由じゃないだろう。血液型の話を信じて食事が偏る弊害の方が大きいんじゃないかと。

 ところで、B型の「クジラ」って、グリーンピースに喧嘩売ってるようにしか見えない^^;)。

【平成20年(ワ)第5号】口頭弁論予告

Posted on 7月 1st, 2008 in 未分類 by apj

 吉岡英介&マグローブ株式会社&(有)健康と環境の神戸クラブが天羽に名誉毀損で提訴されて、7月3日の13:30から東京地裁527号法廷で口頭弁論が行われる。

#一応こっちにも書いておく。

改正景品表示法と運用指針

Posted on 7月 1st, 2008 in 未分類 by apj

 「改正景品表示法と運用指針」公正取引委員会官房国際課長 南部利之編著 商事法務
平成15年改正で導入された不実証広告規制についての解説著。出版は2004年7月。75ページまでは、公取のウェブにも出ている4条2項の運用指針とほぼ同じだが、改正に至るまでの報告や調査結果の資料が充実している。
 目を通しておいた方がよいのは資料30で、排除命令になった表示(広告のコピー等)が多数掲載されている。ただ、ニセ科学の資料としては多少物足りないかもしれない。古いケースでは、商品説明として「電磁波」「超音波」くらいしか記載がなく、実際に電磁波や超音波を発振していたとしても効果が無ければ排除命令の対象になるわけで……。
 痩せる方法と背を伸ばす方法がいくつも登場するのは、昔も今もありがちな欲望は変わらないということなのだろう。ノミ取り・ダニ取り・ネズミ取り装置が多いのが気になったが、これはその時代の衛生状態を反映しているということか。笑ったのが、金運が上昇する財布。広告の体験談のまずいところについて「これらの者が実際に金運が良くなった体験をしたかのように表示し」「使用したほとんどすべての者が実際に金運が上昇する効果を実感したという調査結果があるかのように表示し」などとある。ちゃんと読むと、実際に金運が上昇したという事実が無かったのにそのように表示したことが問題だと読めるわけで、じゃあ、「実際に金運が上昇した人だけ体験談に登場」し、かつ「ほぼ全員に対する効果ではないこと」が分かるように表示すればOKだったのかと……OKなんだろうな……。まあ、開運グッズってのはそういうものなんだろうけど。

【追記】
 不実証広告規制についてのメモ。表示通りの効果が客観的に見て無い場合に排除命令の対象になる。つまり、ニセ科学宣伝をしたことが優良誤認にあてはまってしまったというのが、引っ掛かりかたのパターンの1つである。
 では、ニセ科学に基づく表示がなされている商品だが、実際に使うとめざましい効果がある場合はどうなるのだろう。表示が科学的ではないだけで、表示から消費者が受ける印象と実際の効果に乖離が無い場合、理論の説明の部分で誤認は生じたとして、果たして優良と誤認したことになるのだろうか。うーん、すぐには結論が出ない(汗)。サイエンスの側の基準と、法的な基準が、歩み寄っているようで違っている部分について、このあたりを考えるとすこしはっきりしそうな気もするのだけど。