先週、インチキ波動転写水を売ったバイオシーパルスの件で、週刊新潮から電話取材があった。6月19日号に掲載された。
カタログを4ページ分ほどfaxでもらって、それを見ながら電話ではいろいろ訊かれたのだが、記事になると省略されてしまって、多少不正確な部分もあるので、追加訂正をしておく。
まず、140ページ。私が答えた部分で、
「水は磁石を近づけても動かないように、磁場の影響を受けません」
この部分は省略しすぎである。正しくは次の通り。
水は、弱い反磁性体なので、非常に強い磁石を近づけると、磁石から遠ざかる性質を示す。また、強い磁場をかけたところで、磁場の影響が後に残ることはない。バイオシーパルスの装置で使われた電磁石が作る程度の磁場では、おそらく見た目にも何の変化も無いはずである。弱い磁場では水に何の影響も与えないことは、マグティックスターラーという、磁石を使った実験道具で溶液をかき混ぜても、実験に何の影響もないことから明らかである(磁場が強い場合については、医療用のMRIによる健康被害が皆無であることからわかる)。
もし、バイオシーパルスのカタログに書かれた、
命の根幹である「水」とあらゆるかたちあるものは、電気的(磁気的)信号によって律せられているという事実にもとづいて、水に電気的(磁気的)信号をインプリントし、飲むことで健康・元気をめざすという考え方です。
という理屈を認めるのであれば、電子レンジは全面禁止、とならないとおかしい。電子レンジによる加熱は、調理できるほどの電気的・磁気的エネルギーを与えているのだから、電子レンジで温めた水や料理には、電子レンジの2.45GHzの信号が大変強烈に「インプリント」されることになる。この信号が体によいという保証は何もない(バイオシーパルス的には、バイオシーパルスが装置への入力値として勝手に定めた数字の表が正しいということになるはず)ので、そんなものを飲んだり食べたりするのはもってのほかという話になるはずである。
現実にはそのようなことはない。電子レンジで調理した水や食物には何の問題もないという客観的事実がある上に、バイオシーパルスも「電子レンジ禁止」とは言っていない。
自らがカタログに書いた主張をちっとも信じていないし守ろうともしていないのは、当のバイオシーパルスの方である。