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同窓会

Posted on 1月 3rd, 2008 in 未分類 by apj

 高校の時の同窓会に行ってきた。
 学年315人中出席102人、既に亡くなった方3人。
結構、地元(といっても元の実家ではなく、県内程度の範囲)に戻って仕事をしている人が多い模様。前回やってから12年経っている。その間に、連絡が付かない人が随分増えてしまったようで……。
 ともかくこれからはちょくちょくやらないと、先生がお亡くなりになってしまって会えなくなるおそれがある。
 関係者が見ればわかるので、名前は出さない。理系クラスで数4と名付けられた問題演習担当の先生が一昨年亡くなられたとのこと。当時の教科書には無いオイラーの公式を授業でやってくれて、後からもっと詳しい話をききに行った(確か、森毅の「微積分の意味」を持っていった)のを覚えている。数学セミナーの表紙に描いてあった工作をやって持っていって見せたら、いろいろ説明してくださった。あと、確か英語担当で、昔の事故で言葉が若干不自由だった年配の先生が亡くなられたとのこと。
 一次会終わってから、1年の時の地理担当の先生に連絡して会うことができた。世話になったのは1年だけだったのだけど、なぜかその後も良く世間話をしてネタを投下しに行っていた。今日会って、「悩みがあるとか進路相談以外で、話題提供で話をしたのは多分あなたが一番多い」と言われてしまった。こちらも、以前会ったのは多分10年以上(ひょっとすると20年近くか?)経っている。

 でもって、お約束のネタ。
「女性に年齢訊くのは失礼だけど……」
「全員同い年か1年しか違わんっ!!同窓会だここはっ!!」
私の時代はもう高校浪人は皆無だったからねぇ。

 後は……個人的連絡。
・某自営業者の人(私と小学校も一緒だった筈)、家そのままにして一家丸ごと行方不明になったから、みんな心配してるし、噂もそれなりに飛び交ってるっぽい。連絡すると何かやばい事情があるかもしれないけど、ほとぼりが冷めたら友人の誰かに連絡入れてほしい。貴方は昔から人付き合いも良かったし親切だし成績も良かったし、どこかでちゃんと生き延びてると信じてるから。
・高校で私を入れて4人(♂2♀2)で連んでたメンバーのうち、コンピュータ業界に行った♂(大学生の時、千葉で一回会ったよな)、もし見てたらメール入れろ。名簿からは行方不明になってるぞ。文系行ったヤツは幹事と連絡とれてるし、♀の方は実家経由で何とかなると思う。

初売り@某書店

Posted on 1月 2nd, 2008 in 未分類 by apj

 今日から大型店は初売り。本屋を見て回ることにした。購入したのは次のような本。
・「絶対弱者 孤立する若者たち」三浦 宏文 ・渋井 哲也  著
 内容としてはamazonの商品紹介の通り。ただ、大学教員をやっていると、この本の書かれたような若者に遭遇するのは多分避けられない。高校教員と大学教員は読んでおいた方がよい。ただ、解決策は無さそうなので何とも……。
・「昭和のロケット屋さん」林 紀幸・ 垣見 恒男・松浦 晋也・笹本 祐一 ・あさり よしとお  著
 ペンシルロケットからミューに至るまでの国産ロケット開発の話。付録DVDのロケット事故現場映像がいい。
・「学位商法 ディプロマミルによる教育汚染」小島茂著
 文科省は取り締まる方向に舵を切ったようだが、継続的に注意していかなければならない。インチキ健康食品などにお墨付きを与えたりといったことにニセ学位が使われている。後半のイオンド大学との攻防戦は、ぜひ広く知ってもらい部分である。
・「影響力の武器 第二版」ロバート・B・チャルディーニ著
 日本の第二版は原著第四版にあたる。こちらは、騙されないためのテキスト。何かを承諾させられそうになったときにどうやって防衛するかという話。

謹賀新年、提訴しました

Posted on 1月 1st, 2008 in 未分類 by apj

 大晦日の21:30頃、池袋に到着。適当に夜食を摂って、駅の喫茶店で1時間ほど特定商取引法の勉強をしながら時間を潰した。23: 30、地下鉄丸の内線で霞ヶ関に向かって移動。A1出口から東京地裁に向かう。
 東京は晴れ。近くでニューイヤーのイベントをやっているらしく、スピーカーからテンポの良い曲が流れ、5,6本のサーチライトがビルを突っ切って空に延びていた。
 裁判所南門のゲートのところには守衛が居て、前の道路には黒いリムジンらしい車が数台停まっていた。そのまま、夜中でも明かりがついて見えるようになっている公示送達の掲示板を見ながら待つ。イベントのスピーカーがカウントダウンして、新年の訪れを宣言するのを聞いてから、裁判所のゲートを入る。守衛に提出であることを言うと、夜間窓口の場所を教えてくれた。名前を聞かれたので名乗ってから、窓口に向かう。窓口は地下1階。周りには誰もいない。インターフォンのブザーを押すと、窓口が開いた。
「明けましておめでとうございます。提出です」
と挨拶したら、窓口の人にちょっとだけウケたっぽい。そのまま正本1部副本3部を提出。絵里タンの事務所でもらってきた収入印紙を確認して正本に貼り付けた。書類不備がないことの確認と、予納郵券の額の確認に5分ちょっとかかった。
「元日の日付で作ってもらいました。私が最初ですよね?」
と言ってみたら、
「4日に始まったときに、どういう順番になるかわからないから、1番になるとは限らないんだよね……」
と言われてしまった。まあ、最初に突っ込んだら何番になるかは運次第だよ、ということを絵里タンの事務所できいていたので、予想の範囲だが……。事件番号1をとれるかどうかは、ここから先は神頼みということか。絵里タンの話によれば、年末に郵送したものが年明けの8番だったことがあるそうで、一桁には入れると思うのだが……。
 訴状の内容は名誉毀損、原告は私、被告は吉岡英介。材料は「水は変わる」の自費出版本とウェブ版両方である。吉岡英介個人・有限会社健康と環境の神戸クラブ代表としての吉岡・マグローブ株式会社の代表としての吉岡をまとめて提訴したから、副本が3通になった。しかし、被告の中の人は一人なので、別々の宛先で3通同じ物が送られるという、ほとんど嫌がらせのような結果となった。単に紙の無駄のような気もするが、規則で被告の数だけ提出することになっているから仕方がない。
 今回、代理人に入ってもらった大木弁護士はエコな人(笑)で、吉岡氏の書いた大量の文章を見て「このエネルギーをもっと別のことに使えれば……」とつぶやいていた。そのそばから、結局は同じ人に送られる副本3通が積み上がっていたわけで、思わず「森林資源の保護という点からみるとエコな人が弁護士になるのは間違っているのでは?」とツッコミを入れた。
 平成20年1月1日付けの訴状を日が変わると同時に出したわけで、これ以上最適な年賀というか年始の挨拶は他には無いだろう。作ってる最中から「訴状に賀正ってスタンプ押した~い」と、弁護士事務所で代理人ともどもつぶやいていた(が、実行したら裁判官に補正を命じられるのが確実だからやらなかったけど)。
 世間のみんなが初詣に行ってる時に、私は裁判所詣でで新年を迎えたわけで、こんなことをしていたのでは今年1年がどうなるかもう推して知るべしというか……。

 とにかく、本年もどうぞ(裁判所で)よろしくお願いいたします。

【追記】
 訴訟ページを作った後で書くことになりそうな内容をまとめておく。
 まず、ネット上の言論による名誉毀損については、訴訟よりも、対抗言論で名誉の回復を図る方が健全だというのが私のポリシーである。だから、2年前に「水が変わる」が出たとき、即座に名誉毀損による提訴ができたにも関わらず、私は提訴しなかった。環境ホルモン欄訴事件のときにも、言論には言論で、と言い続けて被告の中西先生の応援団の事務局をやっていた。表現を制限するための訴訟を乱発すると、萎縮効果をもたらすだけで、あまり良いことはない。また、「言論の自由市場」に任せておけば、あまりにもひどい表現内容が広く受け入れられることはない(∵そういう言論は読んだ第三者が気分を悪くすることが多い)から、そうそうとんでもないことにはならないものである。
 しかし、今回、吉岡氏は、ほとんど言いがかりのような提訴をお茶の水大学のみに対して仕掛けた。これは、もっぱら、大学を訴訟で脅して言うことをきかせようということである。同時に、法による解決を望むという意思表示でもある。そうであるなら、私がこれまでのポリシーを維持して提訴をしないでおく理由はもはやどこにもない。
 先月は、マグローブ株式会社(代表者の一人が吉岡氏)からの削除要求に対して、債務不存在確認&損害賠償請求の訴訟を先に提起した。のんびり訴えられるのを待っていたらどうなるか、既にお茶の水大で経験済みである。二度同じ手を喰らうのはただのバカだろうし、私はバカになるつもりはないから、先手を取らせてもらった。
 本日の提訴もまた、法による解決を望む相手に対しては、そのように対応するというだけの話である。ただ、ありふれた名誉毀損訴訟なので、裁判としての面白みはあまり無いと思う。

 意味があるとしたら、むしろ、先月行った債務不存在確認の訴えの方である。
 名誉毀損だ業務妨害だと理屈を付けて提訴するのは、表現を萎縮させる方向に働く。私が提起した債務不存在確認の訴えは、削除要求があった段階で表現する側から起こせる防御の方法で、表現をそのまま維持する方向に働く。言論と表現の自由を守るために、債務不存在確認の訴えを積極的に使っていくという方法を、今後は実践によって確立していけないかと考えている。

【さらに追記】
 実際のところ、裁判所に話を持って行くよりは、双方がウェブサイトで批判しあっている方が、手間もかからないしコストも安い。裁判制度は国が提供している制度だし、訴えるのは国民の権利なのだけど、現実には有限のリソースをみんなで分け合って使っている状態だから、裁判所に行かなくても解決可能ならば、その方が望ましい。そう考えて、一種の寛容の精神で吉岡氏を提訴せずにおいたのだが、環境ホルモン濫訴事件といい、神戸の訴訟といい、一体何がどう名誉毀損なのかさっぱりわからない訴訟を連続して見てしまうと、今は過渡期なので多少多めに訴訟をやってネット上の表現がどの辺におちつくのか相場を作るしかないのかもしれないとも思う。

原画展に行ってきた

Posted on 12月 29th, 2007 in 未分類 by apj

 「奇想奇抜 永井豪の40年」が池袋サンシャインシティーで開催されたので見てきた。
コミックスの元の表紙の絵も、描かれたサイズで見ると大変に迫力があった。また、印刷物からではよくわからなかったところまで細かく描かれていた。
 マニア仲間では、「このコマのペン入れは豪ちゃん本人か、それともアシスタントの誰それか」という議論をしているわけで、いずれにしても、本物をよく見ることが大事だったりする。

人扱いされてなくね?

Posted on 12月 28th, 2007 in 未分類 by apj

 マグローブ株式会社の吉岡英介氏がお茶の水大を訴えた件。訴訟専用blogに書こうかどうしようか迷ったんだけどこっちに書いておく。
 当事者参加して、問題の投稿は私が書いたと裁判官の前で主張し、裁判官が「名誉毀損で天羽を訴えるか?」と訊いたのに、吉岡氏は「訴えない」と言っちゃった。
 訴訟できる、つまり、訴え・訴えられることができるのは民法上の「人」(自然人と法人)である。名誉毀損訴訟で表現した本人が目の前に居るのにわざわざ外して訴えるというのは、「オマエなんか(民法上の)人扱いしないから」と言ってるのと変わらないわけで、随分と失礼な行為というか、むしろ最大級の侮辱というか。例の「水は変わる」を出版したり、それに続くウェブの内容で私に対する人格攻撃をしまくるよりも、ある意味侮辱の度合いは強いのではないかと。

 まあ、「訴えない」などという侮辱を私に対してやった以上は、そんなものを許すわけはないのであって、この先私からの提訴は当然覚悟の上なんでしょうね、と、小一時間問い詰めたい。

 とりあえず絵里タンと打ち合わせして訴状作りながら考えたことだったり。

 もちろん、世間一般では、訴えから外してもらえたら「ほっとする」のが普通だということは承知の上だから、私の感覚がぶっ飛んでいることは認める。
 ただ、私は、「法的紛争は近代社会における個人の自立の証」と位置づけているから、やっぱり引っ掛かるのよ。

理事に説明

Posted on 12月 26th, 2007 in 未分類 by apj

 広報・総務担当の理事に提訴について説明。人文の先生で、法学部出身らしい方で、話が早かった。
 念のため、学部長に出した上申書を印刷して持って行ってみたら、理事までは届いていなかったので、訴訟資料一式と一緒に提出して、状況説明してきた。
 学内で教員個人が作っているサイトについて、ざっと調べて、個人情報保護の点で問題のあるページに改善勧告したとか。
 名誉毀損については、虚名も保護されることを忘れないように、と注意された。虚名は突き崩しても良いという誤解が結構広まっているということらしい。

唯物論者

Posted on 12月 23rd, 2007 in 未分類 by apj

 弁護士の山口貴士によると、「オタクは唯物論者」なのだそうだ。というか、唯物論者でないとオタクにはなれない、と。そう言われてみて改めて納得。

 これまで、私は、「唯物論者」が共産主義者と結びつく議論はさんざん見てきた。しかし、政治思想とは関係なく、「オタク」というカテゴリーというか属性に「唯物論者」というものが結びつくという発想は、初めて聞いたので斬新だと思った。

集団思考の説明

Posted on 12月 22nd, 2007 in 未分類 by apj

迷走する物理学」(リー・スモーリン著、松浦俊輔訳、ランダムハウス講談社)より。

1.自分たちの強さや道徳的立場の高さを過大評価する。
2.集団が下す判断を集団として合理化する。
3.外集団やその指導者を鬼のように描く、あるいは紋切り型で描く。
4.個人個人が自分や周囲を、集団の一枚岩の外面が維持されるように監視するような、画一性の風土がある。
5.集団の指導者を、自分たちのものでも他の集団のものでも、情報を上げないで守ると自任する構成員がいる。

 本そのものは、ストリング理論の現状に対する批判である。ストリング理論がちっとも実験で検証されないにも関わらず、ストリング理論の主流に属していないと若い研究者が職を得られないという問題が生じている。つまり、まだよくわからない理論にリソースが偏りすぎているという問題の指摘である。

リンク忘年会とか

Posted on 12月 21st, 2007 in 未分類 by apj

 代休だったのだが、上京予定だったところへホンダとの打ち合わせが入ったので、上京途中で宇都宮で下車して打ち合わせ。その後東京駅に向かい、この間の朝日の記者さんに写真撮影された。東京駅から麹町へ。
 縁あって知りあいになった紀藤正樹弁護士がやっているLINK総合法律事務所の忘年会に参加。
 昨日あたりから、警官が霊感商法詐欺の片棒を担いでいた神世界事件で、被害対策弁護団を作って、LINKの弁護士の皆さんが並んで記者会見している写真があちこちに出ていた。実際相当忙しいことになっているらしい。
 みどころは、神世界のグッズの実物の展示だった。教祖直筆の有り難い習字は……ド下手orz。ぼったくり価格で売りつけるのなら、せめて書として鑑賞に耐えられるレベルのものを出してほしかったような。教典「神書」も少し読んでみたが、そんなに大したことは書いてなさそうだった。一兆円以上の価値があると吹いていたらしいが、ブックオフで100円ならネタとして買ってもいいかな。「ライセンス」は、ネックレス型で袋に入れられていて、開けてはいけないことになっていたらしい。しかし、開けてみると、薄っぺらい紙に書かれた下手くそな習字だった。やっぱり、開けるとショボイ中身であることが一発でバレるから、開けてはいけないことにしていたのだろうか。
 ヒーリングサロンのチラシは、ちょっとだけ体験するコースが500円だが、その次にじっくり体験するコースは7000円で、いきなり値段が跳ね上がっていた。「ヒーリングサロンによる被害」に詳しい情報がある。
 結局四次会で朝まで山口弁護士や、悪徳商法マニアックスのbeyondさん、酔うぞさん他の人達と一緒に居て、始発が動いてから山形に戻った。

 参加の収穫の1つは、タイムリーに「テレビ霊能者を斬る メディアとスピリチュアルの蜜月」(小池靖著、ソフトバンク新書)を、著者から一冊戴いたこと。この著者の「セラピー文化の社会学」をつい先日買って読んだばかりだった。スピリチュアル番組がなぜ流行るのかを考察している。ぜひ読んでみてほしい。

霊感商法詐欺事件

Posted on 12月 20th, 2007 in 未分類 by apj

 J-CASTニュースより。

ヒーリングで若い女性勧誘 霊感商法詐欺の背景にテレビ
2007/12/20
神奈川県警幹部まで詐欺に関わっていた霊感商法会社は、若い女性らに関心が強い「ヒーリング」や「セラピー」などをキャッチフレーズに勧誘を繰り返していた。被害者が続出した背景について、関係者は、テレビの霊感番組の影響によるスピリチュアルブームがあると指摘している。

デトックスうたい、ピンク色で水玉模様のちらしで勧誘

神奈川県警が2007年12月20日詐欺の疑いで強制捜査に入ったのは、山梨県甲斐市の有限会社「神世界(しんせかい)」とその関連会社。新聞各紙によると、同市に本部がある新興宗教団体が運営しており、心や体に悩みを持つ女性らにカウンセリングやヒーリングサービスをするサロンなどを全国で約100店舗展開している。

直接の容疑は、関連会社の役員の女(44)が2004年5月、東京・港区赤坂の高級マンション20階に開設した「びびっととうきょう・青山サロン」で、横浜市内の会社役員男性(44)に霊感商法で約490万円をだまし取った疑い。女は前月、被害者男性に「あなたの会社は、戦国時代は首切り場だった。処刑された人の霊が成仏できずにさまよい、運気を下げている」と、200~7000万円かかる特別祈祷を持ちかけていた。この男性は、その後も支払いを続け、約2000万円もだまし取られたという。

この事件では同時に、被害相談に乗っているリンク総合法律事務所(東京・千代田区)の弁護団が記者会見した。それによると、「神世界」の関連会社が運営するヒーリングサロンの一つは、「全国で人気沸騰中!! marvelousヒーリング」とうたったちらしを街頭で配布して、女性客を勧誘していた。ピンク色で水玉模様のちらしになっており、一見して霊感商法とは無関係に見える。そこでは、「お体に触れる事なく、体の疲れとココロのストレスをデトックス(毒素排泄)によって解消していくヒーリングです」と書かれてある。

全国で数千人、100億円規模の被害?
コースは、20分3000円、30分5000円と、手ごろな価格設定だ。弁護団によると、最初は店のスタッフが目をつぶらせたり、手かざしをしたりする。ところが、次第に、病気や人間関係の悩みを聞きだして、「体の中に毒素がある」などと不安をあおるようになる。そして、「健康、先祖のため」などとして、1万500円の「神書」、10万5000円の「楽」と書いた額を売るなどと、物品販売をエスカレートさせていくという。弁護団によると、2005年から被害の相談があり、一人で数百万円、多い人で1千万円の被害額を越える人もいる。その結果、現在まで全国で、なんと数千人、100億円規模の被害が出ているという。

弁護団の紀藤正樹弁護士は、20日の会見で、この2、3年だけで被害が急速に拡大した理由について、次のように強調した。

「スピリチュアルブームが広がったため、霊感へのハードルが低くなりました。非常に問題が大きいと考えています」
弁護団では、ブームの影響について、「人間は防御本能を持っており、普通ならうさん臭いと踏みとどまる。が、ヒーリング番組やブームの影響で、客観的根拠がないことに対しても防御本能がなくなって引っかかりやすくなっている」と指摘。「そうでなければ、これだけの被害にならなかった。根拠のない番組は、防御本能を阻害する」と憤った。

弁護団が霊感商法に関して「スピリチュアル・霊感被害110番」を12月4日に開設したところ、「神世界」の相談が一番多かったという。紀藤弁護士は会見で、「3月1日にテレビ局などに対し改善を求める要望書を提出しましたが、それ以降もスピリチュアル番組は減ることがなく増え続けています」とその対応を批判した。

なお、この事件では、神奈川県警の警備課長(51)や警察署警備担当次長(47)が、赤坂のサロンの名義人や連帯保証人になっていることが明るみに出た。弁護団は、このことについて、「最初疑いの目を持っていたものの、『警察の偉い人もいるんだよ』と言われ、実際に会ってだまされた人もいると聞いています」と明かした。また、「『会社の裏に警察がおり、権力を持っている』と被害者に恐怖心を植えつけていた」と指摘した。弁護団では、「神世界」側が警察官を狙い撃ちにしていたのではないかとみており、警察までが詐欺に利用された形だ。

事件に関し、J-CASTニュースでは12月20日、関連会社の一つを通じて、「神世界」側に取材しようとした。電話に出た女性は、「窓口が決まっており、後ほど連絡します」と答えた。しかし、この日午後に家宅捜索が始まったためか、その後連絡はなかった。

 客観的根拠のないことを疑う、という姿勢が無くなってくると大被害発生つながるということらしい。「癒し」や「ヒーリング」といった、一見ソフトな言葉を安易に受け入れる姿勢を水際でチェックするとしたら、教育でやるしかないように思うのだが……。TOSSヲチ板の投稿にあるように「テンポ116は癒しの速さ」などと題する授業を平気でやる教師が現実に居るわけで、生徒に対しても根拠のない癒しを信じる敷居を引き下げる効果が出ているのではないか。
 やっぱりクリティカルシンキングはどこかで訓練しないとまずいよなぁ……。入り口で立ち止まるために。