Yahooニュース産経新聞の記事より。
親も子供も宿題丸投げ いま代行業者繁盛
9月1日18時36分配信 産経新聞
■読書感想文2万円、工作5万円
「読書感想文」から「自由研究」まで、夏休みの宿題を片づける「宿題代行業者」が登場し、賛否を呼んでいる。メールなどで届いた依頼に、アルバイトの学生らが有料で応える。多くの小中学校で夏休み最後となる今週末は“駆け込み客”が殺到しているというが、「家庭学習の習慣を身につけるという本来の趣旨に反している」と、教育関係者は批判的だ。
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インターネット上で宿題代行サイトを主宰するのは大阪市内の20代の男性。このサイトには東大や京大、阪大、関関同立など全国の有名大学生らが多数、登録している。
算数の文章問題は1問500円、読書感想文は2万円で引き受けるほか、大学生のリポート(2万円~)や卒業論文(30万円程度)まで幅広く手がけている。
そのほか、夏休みの宿題の定番である工作(5万円)や自由研究(2万円)なども請け負っており、これまで実際に「アリの研究」や「河川敷の水質調査」などを提供したという。
依頼は主に親からで、「子供の宿題が期限に間に合わないから」という理由がほとんど。中には小学生本人から注文が来たこともあるという。メールやFAXで受けた依頼を、業者を介して登録学生に発注。高額バイトとして一部の学生に人気があり、中には月20万円以上稼ぐ学生もいるという。
夏休みには問い合わせが通常の約3倍になるといい、今年はこれまでに、小学生の夏休みの宿題だけで約40件の注文があったという。代行業者は「夏休みが終わる今週末は全国からの駆け込み客が増えている」と話す。
こうした状況に文部科学省は「家庭学習の習慣を身につけるのが宿題の本来のねらい。その趣旨からも、宿題を丸投げするのはおかしい」。大阪府教育委員会も「宿題をお金で解決するという保護者の考えが気になる。それをビジネスにしてしまう業者もどうか。子供の成長を一番に考えればゆゆしき事態だ」と異議を唱える。
一方、代行業者は「読書感想文などは、あくまで参考用に渡しており、そのまま提出することは禁止している」というが、実際は目が届かないのが現状だ。
インターネット上では、ほかにも大学生の卒業論文を代行する業者が増えており、韓国では500サイト以上が乱立。すでに出来上がっている論文などを提供するサイトもあり、日本よりも一足早く問題になっているという。
三重大学の奥村晴彦教授(情報教育)は「宿題や課題は結果より努力した跡が大切。お金で買ったものでは意味がない。保護者や業者も『何でも金で解決できる』という考え方を子供の心に植え付けるのは良くない」と話している。
夏休みの宿題に意味があるのかどうかから考えなおした方がいいのでは。
まず、定番の読書感想文について。
要約や紹介を書けというなら方法がはっきりしている分だけ実現するのが簡単だが、それなりの内容の感想を持つには、読書以外の経験が要る。思春期以降ならともかく、小学生に経験を求めるのは最初から無理があるのではないか。
自由研究にどれだけ意味があるのか。
テーマの設定は、興味を持ったことを列挙するだけならできても、どうやって調べたらいいか、その方法が自分に実行できるかどうかがそんなに簡単にわかるのか。また、やってみた結果をどう読むかといった部分を深められるのか。よほど腕のいい指導者が居れば別だが、普通の教師にそれは不可能ではないか。たとえば、教育ポータルとして最大のTOSSのいろんなサイトに書いてある文章を見れば、あれ以上のものを書かせる指導ができるとは思えない。
工作について。
一律に全員がやる必要があるのか。普段より時間があるから、工作が好きな人はやればいいが、そうでない人にまで強制する意味があるのか。
家庭学習の習慣を身に付けるといっても、それは授業のある日に宿題が出たりして、嫌でも習慣づけられている。わざわざ夏休みを狙ってやる必要はないし、習慣がそんなに大事なら夏休みの方を短くするか無くせばよい。勉強させたいのなら、ワークブックでも配っておいて、休み明けにテストをすればいい。わざわざ提出させてやってあるかどうかを確認する方に力を入れたりするから、代行業者で済ませようという話になるのではないか。代行が効かないのは本人の体験なり頭の中身なのだが、こういった課題をすることで身に付くものに対する価値が見当たらないから代行業者が流行ることになるのでは。
一方酔うぞさんのところで話題になっているのが全小学生に農業・漁業体験をさせるという話で、こちらは、ほとんどの人が普通のサラリーマンになる状態ではどんな意味があるのかと指摘されている。どうせなら、夏休みの課題として「普通のサラリーマンがどうしているか」をうまく見せる方法でも考えた方が、代行を使う必要はないし、将来のキャリア教育を考えてもよっぽど現実的ではないかと思うのだが。