元記事が見当たらないので2ちゃんねるのニュー速+スレより引っ張っておく。
幸兵衛だらけ=元村有希子
教育再生会議の「親学」緊急提言を見て、落語の小言幸兵衛を連想した。幸兵衛は 口うるさい大家で、朝から晩まで長屋中に小言を言って回る。うるさいから店子(たなこ)が逃げ出す。落語なら笑えるが、これを政策立案につながる有識者会議にやられてはかなわない。
特にびっくりするような内容ではない。大人なら言われなくても分かる。分かっているが、諸般の事情で難しい人は大勢いる。心配なのは、お上がこういう価値観を金科玉条のごとく振り回すことで、そうしない人が「けしからん」と扱われることだ。
そもそもこの世は割り切れないことだらけなのだ。ところがこの「親学」は妙に明快だ。 母乳はよくてミルクは悪い、テレビは悪くて芝居はいい。子守歌がいいならロックは悪い?決め付けが過ぎて居心地が悪い。
再生会議の幸兵衛さんたちに言わせれば、最近の親はなってない、だから忠告してあげると いうことだろう。親切心はありがたいが、国がやることはほかにある。
再生会議に始まったことではない。外に出れば小言の嵐である。日本ほど、ひとの振る舞いに指図する社会は珍しいのではないか。
券売機で切符を買えば「切符をお取りください!」と電子音に繰り返しせかされ、電車に乗れば「奥へ進め」「詰めて座れ」「荷物は網棚に」。そのうち「漫画は読むな」「つり革は右手で」となりかねない勢いだ。
戦時中は「ぜいたくは敵だ」「お国のため」というスローガンに国民が従い、反する行いは排斥された。私は戦争を知らないが、同じにおいを感じる。(科学環境部)
政策会議なら政策を提案しなければならないはずなのに、それが小言のレベルに止まっていることの方がよっぽど問題なわけだが。だから、この場合の正しい要求は「政策を提言出来るヤツを連れてこい」になるはずである。
「母乳はよくてミルクは悪い、テレビは悪くて芝居はいい。」と一見わかりやすく連発されれば、このロジックが、ニセ科学で多用される「二分法」になっていることに気付くはずだ。「酸化が悪くて還元がよい」と主張してインチキ製品を売りつけるのとそっくり同じである。この手の二分法が出てきたら、「そんなに単純に良いことと悪いことがはっきり分かれるはずがない」と、とりあえず怪しまないと判断を誤る。しかし、類似の二分法でこれまで世論を操作してきた新聞サイドからは、二分法で考えること自体に対する批判など出てきようがないということなのか。
なお、「同じ臭いを感じ」なきゃならないところは、単に小うるさいって部分じゃない。「ぜいたくは敵だ」などと、「貧乏である現実を精神論でごまかす」ようになったら、たとえ戦争してなくたって社会はかなり終わってると思うぞ。戦争と同じ臭いってか既に敗戦に向かってまっしぐらな臭いを感じるとしたら、注目するところは「為政者が貧乏をどうやってプロパガンダでごまかそうとしているか」という部分ではないかと。
なお、教育再生会議の第一分科会:学校再生分科会にTOSSの向山洋一氏が加わったことの方がよっぽど末期的なできごとだろう。向山氏は、既に目立った効果はないと専門家に指摘されたEM菌を学校教育の現場で広めるは、オカルト話の「水からの伝言」の道徳教育実践を広めるのに貢献するはといった、今最も教育方面からニセ科学の普及に尽力しているうちの一人である。こんな人を教育再生会議に入れたら、教育にニセ科学やオカルトが持ち込まる方向で提言が出てきかねない。小言よりも別方面で被害がでかくなりそうな……。一体誰がこんな人を選んだのか見識を疑う。
三日連続で新聞に出たアレな記事のネタになった。やっぱり、他社に剽窃されないために、誰が読んでも「剽窃する気にならないほど読むに耐えない文章」路線を狙って出しているのだろうか……。
昔見た「ピラミッドパワー磁気活水器」(蛇口にやたら目立つピラミッドの模型みたいなのを取り付けるヤツ)の宣伝が頭に浮かんで仕方がない。「他社の追随を許さぬ」などと書いてあったが、外見だけでインパクトがありすぎて「恥ずかしいから誰も真似するわけないだろーっ!」と全力で突っ込むしかなかったなぁ。