マーケットプレイスで買った本が届いたので読んでいる。
「外国語はなぜなかなか身につかないか 第二言語学習の謎を解く」エレン・ビアリストク&ケンジ・ハクタ、重野純訳(新曜社)。外国語の学習って何だろうと思ってこのジャンルの本を買ってみた。学習効率を上げるためのハウツー本ではないが、言葉の学習とはどういう営みかについて議論している。参考文献が充実していて、原論文までたどれるので、一応専門書なのだろう。初めてこの分野の本を読む私にとってはちょっと敷居が高い。
まあ、今現在イタリア語で苦戦しているわけで、自分が一体何をしているのか位はわかるかと思ったが、「何をしているのか」の部分がまだ研究中のようで……。
できれば、言語学者の書いたセム語の解説というか分析本にたどり着きたいんだけど、どうやって探せばいいのやら。
もう一冊は小説。「流氷の光る日」黒樹五郎(徳間書店)1981年刊。たまたま高校の時に地元の図書館で借りて読んだ。当時は本代が自由にならず、大学に入ってから、もう一度読みたいと思ったが本屋に見当たらず、以後、 20年以上にわたって古本屋を探しまくっても遭遇せず、マーケットプレイスでも滅多に出ず、今回やっと入手。しかも当時の定価の倍近いプレミア価格で。大体、連載誌が「毎日ライフ」というどマイナーな雑誌で、一応徳間で出たが発行部数も少なかったらしい。いっぺん見失うとここまで遭遇しないとは思わなかった。他には「群青列島」「日蝕海峡」という著作もあり、私は両方とも持っている。一時期、医学モノ小説に凝っていたので……。なお、著者は医者で、このまま作家との二足のわらじかと思ったら、その後トンデモに走ったらしい。「古事記の真実―神代編の梵語解」が問題の本だが、と学会員としてはむしろコレを買わないといけないようで、マーケットプレイスでチェックしたら安かったので衝動買いした(定価8100円税込が2500円だったので)。
「群青列島」は米軍がらみの細菌兵器ネタ、「日蝕海峡」は白い巨塔が舞台のミステリー、「流氷の光る日」はガンになって大ショックを受けた医者が旅をして自分を取り戻す話、いずれも小説としては決してトンデモではない。この3作と、古事記にサンスクリット文字をあてはめて解釈する、の間に一体何があったのだろうか。むしろそっちの方が謎である。いっそ、「ダイイングメッセージとして残された古事記の一部にサンスクリット文字をあてはめて解読しながら主人公が殺人事件の謎を解く」ミステリーでも書けば良かったのに……それでもやっぱりトンデモミステリーかなぁ……バランスが良ければそれなりにネタとして楽しめるものになりそうなんだけど。
「古事記の真実 空の巻」が続編として出ているがやっぱりサンスクリットとドッキングしている(いくらトンデモを愛でたくても両方一度に買うのは懐具合に響くので、まともなサンスクリット文法と単語集を買う方を優先しよう……)。二宮陸雄で検索すると、「群青列島」がこの名前で再版されている他に、医学ラテン語の参考書やらロシア語の参考書やらが出ていて、その他小説・医学解説本も出ているけど、こちらはまともそう。ってことは、古事記だけがヘンなのか……。