平成14年行ウ471号については,本日訴えの取り下げの手続きをとった。
取り下げる方の書類は1枚物で簡単に書ける。大体こんな感じ。正本と副本の2部を作って提出すればよい。提出は郵送でもできるが,たまたま東京にきていて,裁判所は地下鉄で乗り換え無しと近いので,窓口に持っていった。
東京地方裁判所民事部第38部合議B係 御中 原告 天羽優子 被告 お茶の水女子大学長 訴えの取下げ書 上記当事者間の平成14年(行ウ)第471号文章不開示処分取消請求事件について,原告は,訴えの全部を取り下げます。 平成15年1月27日 原告 天羽優子 印
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で,何で取り下げたかなんだけど・・・・・。
今回提訴した案件とほとんど似たようなものが,内閣府の情報公開審査会にかかっていて,審査会の結論次第では,この訴訟を実行することに意味がなくなる可能性がある。一方で期日指定が2月28日になっていたので,このまま手続を進めると,相当な行政コストが発生する。それで,一旦取り下げて審査会の状況を見てから再提訴するかどうかを決めることにした。もし,審査会の方で開示範囲が広がらなければ,そのときは,行政コストをかけても司法判断がどうなるか結果を引き出すことに意味が出てくる。ただし,審査会の日程を考えると,この案件については行政事件訴訟法14条の出訴期間を過ぎる可能性がある(訴えを取り下げると,最初から訴訟係属がなかったものとみなされる)。だから,次に情報公開訴訟をするとしたら,この案件の再提訴ではなくて,審査会にかかっている案件の方で新規に提訴ということになるだろう。それでも,審査会の結論が出た後の訴訟であれば,情報開示の基準を1つ定めるという意味が失われることはない。他にもいろいろ話し合って,この案件については取り下げ合意が成立したので手続をとった。被告が準備書面を出す前だったので,私の書類提出だけで取り下げができた。
では今回の提訴に意味がなかったか?というと実はそうでもなかった。
ウェブサイトを公開停止にされてから,当ページの責任者とされた冨永教授に何を訊いても学内の情報が伝わってこないし,私が冨永教授に何を言っても学内責任者(広報関係)にまで伝わってなかったと思われる。教授を通しても話にならないし交渉ルートもできないのであれば,私としては直接大学と話し合うしかなくなるが,私は学外者なので大学当局との交渉ルートがそもそも存在しない。大学に対して非合法なことを要求することはできないので,考えられる可能な限りの法的手段をとる以外に方法がなかった。私が訴状を送ったことで,少なくとも今回の問題が法律問題であることを,大学は認識したのではないかと思う。訴訟は交渉の手段としては有効で,期日指定が大学に届いてから,大学側の担当者と私が直接連絡できるようになった。大学が裁判所から呼び出されるまでは,交渉窓口すら無かったので,この点については訴状の(情報公開訴訟としては想定外の)効果があったといえる(予定では,情報公開の訴状送達後に,公開停止関係の責任追及の通告書と訴状を送って交渉窓口を確定させるつもりだったのだが,そこに到達する前に交渉窓口ができた)。
学内窓口の先生の1人は,法律に詳しく,条文を示しながら話し合うことができそうな人であることがわかった。
一連のウェブページの問題を法律問題として解決するつもりが大学側にあるのなら,私としてはしばらく様子を見ようと考えている。