2003年の1月上旬に,情報公開訴訟の期日指定がお茶の水大に届いた。そのときに初めて,お茶の水大の広報担当の副学長と私は,直接話をすることができた。ちょうど,別件の異議申立の審査待ちで,審査の結果が出るのは1月中か遅くても2月上旬だろうという噂(?)だったので,審査の結果を見てから訴えを取り下げようと思って様子を見ていた。ところが,審査会の日程が遅いほうにずれることがわかり,審査を待っていたのでは第一回口頭弁論が始まってしまうかもしれず,そこまで遅くならなかったとしても,待っているうちに訴訟の準備を始めなければならない日程がきてしまうことがわかった。
お茶の水大と話し合った結果,
ことになった。そこで,訴えの取り下げの手続きをとった。
さらに,委員会に対して復帰願いを出すという手続きをとった上でウェブサイトを元に戻してもいい,という話が評議員のS教授から出た。そこで,「現状のホームページ運用指針(注:この話をしていた当時のもの。今は新規則になっている)の内容では,今度また別のクレームがきたときに大学がどういう対応をするか予測がつかないから危なくて元には戻せない。とにかく,今のままでは規則の内容が不足していると思う。」と答えた。すると,「じゃあ,新しい規則を作ることにするから,どんな規則が欲しいのか,規則に入れて欲しいことを書いて出すように」と言われた。そこで,規則の提案書を作成(pdf)して提出した。
今読み返すと,提案書はかなり粗削りである。直近の委員会で規則作成作業に入るということで,提出までに2,3日しか余裕がなかったので,現行法と整合性をとろうとしつつも,話を詰めることができていない。ウェブサイトの公開停止措置に至る一連の措置は,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(略称:プロバイダ責任制限法)の施行前の話であるが,新規則は施行後に決めることになった。そこで,可能な限りプロバイダ責任制限法の趣旨に沿ったかたちで問題を処理できるものにするということを目指した。また,民法と民訴法のように,判断基準と手続きを分けた方がすっきりすると私は思っていたので,そういう書き方をしている。学内では広報やウェブの担当委員が持ち回りで替わる。人が替わっても同じように問題を処理できる内容にしておかないといけない。
委員会が開かれたあとの規則そのものの内容を決める実作業は,生活科学部のK助教授(基礎法学)によってなされた。学内の委員会その他への対応はS教授がやっておられたようである。ともかく,法律に沿って内容を決めるにはどうするかという知識を持ったK先生と,規則が大学にとって必要であるということをしっかり認識してくれたS先生の両方が担当してくれたことは,非常にラッキーなことだったと思う。
K先生の規則案について,何度かメールでやりとりをして話し合う機会があり,議論をした結果,私の提案の趣旨の重要な部分が盛り込まれることになったので,内容についても合意に達した。最終的に,規則本文と運用マニュアルと書式をセットにしたお茶の水女子大学ウェブ・ページ運用マニュアル(pdf)が評議会にまで上がって承認された(最新版はお茶の水女子大学のトップページで確認してください。ここのリンクは当サイト内のコピーに貼っています)。
完成した規則は,随分こなれたものになっているし,法律との整合性もとれている。プロがやると違うなあと思った。大量の面倒な作業を細かいところまで詰めてくださったK先生・S先生には感謝したい。他の大学を見渡してみても,ウェブの運用規則でここまでの内容を定めたものは見当たらない。他の大学が規則をつくるときにも利用可能なのではないかと思う。
お茶の水女子大学ウェブ・ページ運用マニュアルは,2003年4月から施行された。