ネット環境と水
水からの情報漏洩(株式会社セキュリティサービス 技術部長 大穴 開)
昨年から、「Winnyも使ってないしおかしなエロファイルをクリックした覚えもないのに、パスワードが第三者に漏れてコンピュータに不正アクセスされているようだ」という顧客からの相談が急増しています。弊社の技術者を派遣して報告のあったマシンを詳しくしらべたところ、確かにファイル交換ソフトも入っていませんし、WindowsUpdateも正しく行われ、アンチウイルスソフトのアップデートもこまめに行われていました。そもそも、弊社に相談にくる顧客は、弊社が提供したファイヤウォールの内側にマシンを接続しており、ウイルス感染などがあれば、通信のログからそのことがわかるはずなのです。しかし、そのような痕跡は全くありませんでした。
弊社としてもこのようなケースは初めてで、詳しく通信ログを取ったり、作業環境のチェックのために丸一日エンジニアを張り付かせたりして、どこから情報が漏洩しているのか、調査を行いました。
その結果、情報漏洩が起きた場所では、コンピュータを設置してある場所に飲料の持ち込みが許可されているという共通点があることがわかりました。さらに、飲料として、ミネラルウォーターのペットボトルを持ち込んでいる人が居たことが、過去にさかのぼっての聞き取り調査の結果、確認できました。
江本らによると、水に「ありがとう」という言葉を見せるときれいな結晶ができ、「ばかやろう」という言葉を見せると汚い結晶になる、ということです。最初は私どもも半信半疑だったのですが、もしやと思い、ペットボトルをキーボードの近くに置いて、管理者パスワードを入力し、ログインしてみました。その後、その水を小分けにして、たとえば「パスワードに0が含まれている」といった紙を多数作って貼り付けて凍らせ、結晶を観察しました。この「0」のところは例でして、アルファベットや記号も含めて、いろんなものを作って試したわけです。すると、パスワードに含まれている文字を見せたものだけ、六角形のきれいな結晶ができました。さらに、選んだ文字を組み合わせて順番を訊ねる紙を貼り付けて結晶を作ってみたところ、数回の試行でパスワードの正解にたどり着くことがわかりました。
こんな方法でパスワードが破られることなど全く考えていませんでした。現在、セキュリティシステムを構築している会社は、どこも、対策に大あわてです。当面の対策としては、ペットボトルをコンピュータルームに持ち込まない、コンピュータ作業中には液体の飲み物を摂らない、ということを徹底させるしかありません。なお、水がだめならオレンジジュースではどうか、といったことについては、未だ調査中です。
プライバシー侵害
水と悪徳商法被害(総合法律事務所 弁護士 甲野 乙彦)
水が関連する悪徳商法被害というと、真っ先に、高額の浄水器を詐欺的セールストークで売りつけるとか、絶対儲かると言ってインチキ活水器をマルチ商法で売りつけるといったものが思い浮かびます。しかし、 最近の売り込みは、水が情報を記憶することを利用したため、さらに巧妙なものになっています。水道は各家庭に入っていますし、使った水は下水に流れます。水からプライバシー情報を得るには、適当な場所で下水をとってきて、知りたいことを書いた紙を見せて結晶を作ればいいんです。これを利用した、洗脳・詐欺商法が横行しはじめているんです。
埼玉県のAさんは、普通の下着を市価の20倍の値段で売りつけられるという被害に遭いました。そんな値段でついつい買ってしまった理由は、やってきたセールスマンが、Aさんのスリーサイズをきわめて正確に把握していたからなんです。しかも、この半年でAさんが急に太ったことまで知っていました。Aさんはそのことをとても気にしていて、親しい友達や家族にも言っていなかったのですが、なぜかセールスマンは全部知っていた。怖くなったAさんは下着を買ってしまいました。これは、おそらく、捨てた風呂の湯から体型に関する情報が抜かれた例です。
別のケースでは、保険金の契約に関するトラブルが増えています。保険会社が、健康診断の結果以外に、契約者の健康に関する情報を記録した水で結晶を作って、独自に保険料を決め始めたからなんです。本人も知らないうちに、前ガン状態であるといった判定がなされ、その結果、生命保険への加入を断られたといったことが増えています。病院の検査では、何の異常もないにもかかわらず、です。
現在、水から勝手にプライバシー情報を読み出すことに反対する市民団体を作って活動しています。もうじき、そのような行為を禁止する法案が提出される予定です。これまでは、上水が飲料水としてきれいか、下水処理がきちんと行われているか、だけを気にして入れよかったのですが、下水を途中で盗まれてないかまで監視しなければならなくなると、そのためのコストが跳ね上がります。水からプライバシー情報が漏れることを防ごうとすると、水道料金が今の十倍以上になることは確実です。社会的に、いかに低コストでプライバシーを守るかを真剣に考える時期にきています。
再編を迫られる産業界
水と商売(経営コンサルタント 散財 巧)
水が情報を記憶することがわかったために起きている産業界の目立った変化について、まとめておきます。セキュリティや詐欺的商法についてはすでに発表がありましたので、それ以外のことについて報告します。
まず、占い師の業界がほぼ全滅で、店をたたむ人が続出しています。これまでは街の占い師に訊いていたことを全部水に訊くようになってしまったからです。
結婚相談所も似たような状況です。意中の相手の名前を水に見せて結晶を作ることで、結婚するかどうかが決まってしまいます。相談する必要もなくなったので、閑古鳥が鳴いています。
広告代理店の収入も大幅に減っています。これまでのように、タレントを起用しCMを作ったりする代わりに、商品名と、その商品を見せた水結晶写真をそばに載せておくだけ、という広告が急増しているからです。商品を魅力的に見せる必要が無くなってしまったからです。
目立って儲かっているのが、結晶製造用の冷凍庫と写真撮影用顕微鏡を製造販売している理科実験器具の会社です。ここだけは売り上げが前年比で十倍近くなっており、新規参入も相次いでいますが、パイが減る様子がありません。
精神科医やカウンセラーも、患者の数が急増して嬉しい悲鳴を上げています。水に何でもバレるため、ノイローゼになる人が続出しているからです。来年度の国民医療費はおそらく今年の倍に達する見込みですが、増加分のほとんどは精神疾患です。
ともかく、これまで「判断」や「知識」を売り物にしていた第三次産業は壊滅的な打撃を被ることは間違いありません。なお、私も今年いっぱいで廃業する予定です。顧客がみんな経営方針を水に決めてもらうようになってしまいましたので。
研究予算の獲得に向けて
水の記憶を消去する(△△大学工学部教授 丸祈 極)
「水は何でも知っている」というのは、言われ始めた当初は何か望ましいことであるかのように思われていましたが、実際には機密漏洩やプライバシーの侵害といった、さまざまな被害をもたらすことがわかってきました。ともかく、水に何でも記憶されてしまうようでは困ります。何とか水の記憶を消去できないと、私たちは安心しておちおち暮らしていくこともできません。
ところが、水が何でも記憶すると主張する人たちは、どうすれば水が忘れてくれるのかについては何も教えてくれません。
このままこの問題を放置することはできません。そこで、どうすれば確実に水の記憶を消去できるかについて、基礎から応用まで集中的に研究する必要があります。このシンポジウムの成果をもとに、「水の記憶を消去する」研究プロジェクトに予算を重点配分するように、文部科学省と経済産業省、および厚生労働省に働きかけていくつもりです。この問題は、国民の生活全てにわたっているため、省庁を横断して研究を支えていただく必要があります。