【注意】このページの内容は商品の説明ではありません。商品説明中に出てくる水の科学の話について、水・液体の研究者の立場から議論しているものです。製品説明は、議論の最後にある、販売会社のページを見てください。
「光量子エネルギー」を使って水処理をするという、何だか某アニメの設定をパクったような水を売っている。
光量子エネルギーの説明は以下の通りで、全編ツッコミどころ満載である。
地球を取り巻く成層圏には、太陽から放射される様々な波長を持つ素粒子が存在しています。その中で極小波長の素粒子の一部が生命体と共鳴し、生命体の免疫力や治癒力を高める作用を持っている事が解明されつつあります。つまり、全ての生命体はこの素粒子を取り入れる事により生命を維持している訳です。
どう見ても我々の太陽系の話とは思えない。成層圏って、下の方は普通に飛行機が飛んでる高度である。わけわからん素粒子が漂っているような場所ではない。また、素粒子と生命体の共鳴って、一体どこの世界の話かと。
原子核に直接的に作用し、原子核の中の陽電子スピン運動を与え、特にスピン角度の変化を与えます。陽電子のスピン運動を変化させられるということは、原子核の周辺を回る電子運動が変化するということです。このことは、原子と原子が結合することによって作られる分子の状態に変化を与えるということです。光量子エネルギーは分子結合(原子と原子の結合形成)や、さらに分子鎖(原子と原子の結合)の切断を可能にします。また、界面の活性化、電化中和、有機物の細胞・分子の活性化を促進する特性を有します。原子核の中に陽電子があったなんて初耳である。陽電子とは、電子の反粒子で、電荷は電子と同じだが符号が逆、質量もスピンも電子と同じ粒子である。1MeVより大きいエネルギーの光子が原子核の電磁場と相互作用すると、電子と陽電子の対が生成することがある。もちろん、核の中の話ではない。また、陽電子ができたとしても、物質中では自由に存在できず、周りの電子とぶつかると対消滅して、消滅放射線を出す。電子の運動を変えるどころの話ではなく、電子を一つ消してしまう。ここに書かれている内容は、我々の知っている物理学とはまるで違うものである。
充分高いエネルギーのフォトンを叩き込めば、化学結合を切ることは可能だろう。が、そういうエネルギーのフォトンは、X線だったりγ線だったりで、人体には有害である。
光量子エネルギーの説明の続きを読むと、
より安全な水を飲むためには浄水器が必要ですが、浄水方法(活性炭・中空糸膜・セラミックス・逆浸透膜など)、能力、コスト等多種多様であり、自分自身できちんとパンフレット等を読み、十分に理解して使用する事が必要です。 その中で、現在最も優れた浄水方法とされているのが逆浸透法です。 逆浸透法では0.0001ミクロンのフィルターを用い、前記に記している汚染の原因となるものは全て除去されます。 しかし、逆浸透膜を利用して得られる浄水は、水をきれいにしすぎた純水である為、 ?非導電性、?雑菌が繁殖しやすい、?味が全く無い、という欠点があります。 そこでこの水に光量子エネルギーを外部から照射すると、光量子エネルギーの持つ水に対する殺菌効果を利用する事により、この逆浸透法の欠点を補う事ができます。 よって光量子エネルギーを用いた浄水器によって製造された水は安全な水であると言えます。
以前から気になっていたのだが「エネルギー」という言葉の濫用には注意が必要である。「エネルギー」を自称するのなら、JやeVといった単位で数値で表せて、保存則を満たすといった性質が必要である。単に「光量子エネルギー」と言われても、hνの塊で飛んでくる光のエネルギーだという以外に、何の情報にもなっていない。もっとも、この宣伝中の世界は我々の世界とは別らしいので、「光量子エネルギー」が、我々に馴染みの光のエネルギーであるという保証はどこにも無い。
ともかくここで、逆浸透膜を用いる方法には欠点があると明記していることに注目してほしい。
プリズムウォーターは還元電位が低いため、イオンバランスを正常に戻す機能に優れています。
還元電位とイオンバランスの間には、何の関係もない。特に、飲料用の水のような希薄な水溶液では、還元電位は不純物組成によって簡単に変わるし、原因物質の量だってもともと少ないから、還元電位を水の評価基準にすることは無意味である。
プリズムウォーターの説明は、まずこんな具合である。
プリズムウォーターは那須高原の岩盤より湧き出る天然の岩清水から採取した良質な原水を高度な逆浸透膜フィルターにより純粋化。特殊製法により、厳重な品質管理のもと、ボトリングした美味しい水です。
逆浸透膜を用いる方法には欠点があると直前にしっかり書いておきながら、この水、逆浸透膜処理をしている。ってか、逆浸透膜処理しかしてないように見えるのだが……?ところで光量子はどこへ行ってしまったんだろう?宣伝内容が自己矛盾しているのはいただけないよなあ。
そりゃそうと、那須高原原産のおいしいミネラルウォーターを逆浸透膜処理したら、不純物もミネラルも全部除去されて、純水が出来るだけなんだが。
その後ハンガリーのガポール、ショムヤイ博士(理学博士、分子生物学者)が重水素を減少させた軽水がガン細胞を壊死させることを発見しました。彼の10年間の研究成果である「Let’s defeat.Cancer!」の論文の中に軽水の中の重水濃度を100万分の140個(140PPm)に下げただけで細胞に大きな変化が起きると言われています。
プリズムウォーターは100万分の121個(121PPm)であり、普通の水に比較して、約30PPmの重水濃度を減少しています。
この水を飲むことで体の中の重水濃度を下げることは、ほとんど期待できない。食物からもH原子は取り入れられるので、体内のH原子とD原子の比率を大きく変えるのは難しいだろう。
なお、このショムヤイ博士の実験の詳細もチェックする必要がある。培養細胞で確認されたのか、動物実験なのか、ヒトに対する臨床試験まで行われたのかということの確認は必要だろう。また、動物実験の場合、体重の比率になおして、非現実的な量になってないかどうかのチェックも必要である。これ以外には、他のグループによる追試の有無も大事である。いずれにしても、ショムヤイ博士の仕事だけで、直ちに「重水の少ない水を飲むと良い」という結論にはならないことに注意してほしい。
なお、論文だと称しているが、発表された雑誌の名前、巻、発表年、ページが無いのはどうしてだろう?普通、論文を示すときは、誰でも元論文にあたれるように、出典を明記するものなのだが。
Q&Aにも、ものすごいことが書いてある。
開栓後は何日くらい保存できますか?
なるべく早くお飲みいただく方が良いのですが、光量子エネルギーは減衰しないので腐敗することはありません。
……スゲェ。逆浸透膜処理しただけで「光量子エネルギー」注入済みですか。そのエネルギーは一体どこからやってきたのかと小一時間(以下略)。
医療現場における使用例は、今年私が山形大学でやった講義の材料そのものである(そのときの元ネタはマイナスイオンだったが)。せっかくなので、問題の図と解説を引用し、どう読むべきか以下に述べる。
やや体調がすぐれなかったK氏の
飲用前の赤血球の状態
(赤血球の連鎖が見られる)プリズムウォーター飲用15分後の
赤血球の状態
(赤血球連鎖が無くなっている)
「視覚でとらえるフォトサイエンス生物図録」(数研出版)
宣伝用の写真に写っているのは、ヒトの赤血球である。ヒトの赤血球は、どれも大きさが同じである。
まず、左右の写真の赤血球の直径を比べてみると、大体同じであることがわかる。ということは、この2枚の写真の拡大倍率は同じであり、写真のサイズが同じであることから、同じ視野(範囲)を見ていることがわかる。
次に、2枚の写真に写っている赤血球の数を比べてみる。倍では済まないほど違っていて、左側の方が数が多いことがわかる。これが、もし本当に血液の状態を示しているのであれば、効果の有無を議論する以前に、異常な結果と言ってよい。ヒトの体内の赤血球密度が大幅に変わったら、それこそ命に関わる。
赤血球の形を良く見ると、左側のものはほとんどが収縮しているが、右側はややふくれていることがわかる。そこで思い出して欲しいのが、高校生物で習う、ヒトの赤血球と浸透圧の話である。忘れてしまった人のために、高校生向け参考書で見つけた図を示しておく。浸透圧の図と写真を比較すると、左右の写真では、赤血球が浸透圧の全く違う環境におかれているということがわかる。
このような写真を見せられた場合は、観察方法の細かいところを聞き出すと良い。おそらく、観察は、血液を一滴とってスライドガラスに載せて顕微鏡観察しているものと思われる。血液をそのまま使うとすぐ乾燥したり固まったりしてしまうので、緩衝液を加えて観察することが多い。こういった実験操作は、宣伝用パンフレットにはもちろん出ていないが、業者にしつこく尋ねるとききだせることもある。まあ、安易に宣伝を信じず、具体的に何をどうしたか、しっかりチェックすることが必要である。
実験操作によって、写真の左右の違いを出すことは可能である。水分が飛んで固まりかけになると左、緩衝液の濃度と希釈次第では右の写真になる。観察の条件とタイミングで、どんな血液でも、左右いずれの写真を撮ることが可能であるから、この写真は水の効果を反映していない。
もっとも、この場合、反映していなくて幸いである。本当に、赤血球の密度が大幅に変わるような効果をもたらしたら、同時に健康被害が発生するに違いないからである。
なお,健康な人であれば,水を飲んだだけで血液の流動性は変わるのが当たり前である。だから、テレビで一時期はやった「血液サラサラ」の話も無意味である。もちろん、適度に水分の補給をすることは大事である。意味がないのは、特定の装置や水にだけ「血液サラサラ」の効果があると考えたり、「血液がサラサラなのは良いことだ」と盲目的に信じ込んだりすることの方である。
「めぐみの水」は肌用であるが、説明の方は期待を裏切らない。
元素レベルで活性化された超低分子水が、肌にナチュラルな潤いをもたらします。水をマイナス25℃で結晶させた後、顕微鏡で観察すると氷結結晶を見ることができます。水の種類によって結晶のできないものや形の崩れたものなど様々な状態が見れます。「めぐみの水」は非常にきれいな六方晶型の結晶になっている様子が観察できます。
「超低分子」も何も、H2Oの分子量は18以外にない。気相から成長する結晶の形は、飽和水蒸気圧と温度によって変わることが、既にナカヤ・ダイヤグラムに、50年も前にまとめられている。
もともときれいな那須高原の水をもとに逆浸透膜処理して作った純水です、と言って売ってくれれば何の問題も無さそうな水なのだが、わけのわからない「光量子エネルギー」を持ち出したために台無しになっているように見える。意味不明なエネルギーを持ち出して楽しいことになるのは、SFの中だけだということを、心にとめておくべきだろう。
【2006/02/23】通報がありました
空水光(株)の取締役研究所長斉藤氏と接触した事業者の方からメールをいただきました。その一部を公開し、コメントを追加します。赤字は私のコメントです。
薬事法に係り問題があるのではないかと質問しましたが、ランニチバルセヤ国立研究所で試験済みや世界的に有名なハンガリーのショムヤイ博士が世界的に発表している、また日本でもショムヤイ博士の水がガン患者に売れていると言われていました。
どちらの研究者も研究機関も、この手の宣伝以外に登場しているのを見たことがないわけだが。
数ヶ月前に先生の「空水光(株)」へのコメントについてを読まさせていただき、このことを斉藤氏に話したところこの理論はコペルニクス的発見なので、まだ教えた一部の科学者しか解らないのだと言われ、Y・Amo様にはよく説明したので、この理論は納得してもらったと言っていました。
斉藤氏から私に何らかの説明があった事実もないし、連絡を受けたこともない。
また水商売ウオッチング「空水光(株)」へのコメントについてはすぐに取り払ってもらうと言っていましたがいまだに掲載されているので疑問を感じています。
コメントを取り下げろという斉藤氏からの要求は本日まで一切無い。
またY・Amo様も斉藤氏側についてもらうことになるので(金銭で解決)問題はないと言つていました。
わけわからんSF設定な光量子理論に私が関わるつもりは全くないし、勿論金銭のやりとりもない。もし、斉藤氏が「私との金銭のやりとりがあった」旨をあちこちで吹聴しているのであれば、証拠をつかみ次第、法的措置をとる。科学的に正当な批判を取り下げるのと引き替えに私が金銭を受け取ったというのは、私が犯罪(脅迫)を行ったと主張していることになるので、そのような主張を公然と行うことは、私に対する名誉毀損に該当する。また、そのような理由での金銭のやりとりは、勤務先の大学との関係においても懲戒処分ものであり、濡れ衣を着せられる事に対してはあらゆる手段で対処するつもりである。
しかし私自身も光量子エネルギー理論的がよく解らないところがあり、結論が出せないまま現在に至っております。
そりゃ、出せなくて当たり前ですってば^^;)。
最近空水光(株)の親会社である(株)青山が3色の水の開発を行い、それぞれの効果を挙げて1つは女性の悩みである
セルライトまで治ると宣伝して販売している。当社も販売してほしいと言われ販売の協力をしたが、1箇所の販売にとど
めいます。
3色の水は(株)青山のHPで見ることができます。<http://www.aoyamalqe.co.jp>www.aoyamalqe.co.jp
また光量子エネルギーQパワー器で、各種の病気が治ったと症状と実名入りで発表しています。
明白に薬事法違反です。通報するのがよろしいかと。
ということで、メールをくださった事業者の方が真実を述べているのであれば、他の場所でも斉藤氏の活動に私の名前が登場している可能性があります。もちろん、今に至るまで、私と斉藤氏との接触は一切ありません。もし、斉藤氏経由で私の名前を知った方がいらっしゃいましたら、証拠を添えて私まで連絡をお願いします。