「事象の地平線」過去ログ倉庫
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2007/04/07
推薦入試やAO入試はいい加減にやめた方がいいのでは
【修正】
asahi.comの記事「入学前補習、大学で当たり前に 中学校レベルも」(2007年04月07日13時55分)より。
推薦入試やAO入試は、本人が入ってから大変だというだけではない。大学と高校の両方にとってもマイナスな面が多い。
推薦入試は学力試験の前期日程よりも早く始まるし、学力試験のような対策もたてにくい。ただでさえ受験指導に忙しい高校の先生にとっては、受けさせるのに手間がかかる。もし推薦入試で落ちた場合、当然受験生はめげたり落ち込んだりするし、推薦をアテにして勉強しいた場合は調子も狂うから、私立の試験や国立の前期日程に向けてやる気や勉強のペースを維持するための余分な指導が必要になる。また、今の入試は受験産業によってかなりのところまで合否を予測できるようになっているが、推薦入試は合格する人数が少ない分、年によって難易度の変動幅が大きく、予測が難しい。
大学にとっては、推薦入試のために学力試験とは別の問題を作ってブラッシュアップしなければならなくなる。さらに、入試のために教員を貼り付けることになる。推薦で学力試験で取るよりいい学生が来てくれるかというと、そのことについては何故かみんな黙っている。さらに、大学受験の競争倍率が下がりつつあるという現実がある。対応しにくい試験をしたら、受験生に敬遠されて、競争倍率の低下に直結することになる。
山形大学でも、今年は志願者数が減ったために上の方では対策を話し合ったらしい。ウチの場合は、前期日程でも小論文やら面接試験やらをしている学科があるのだが、まずは試験を普通の学力試験に変えない限り、どんな対策を話し合っても無駄だと思う(もう1つは、入った後で得られるものが「お買い得品」だとわからせることか)。予測と対策の効かない入学試験は嫌われるのが当然である。受験生にとって結果が予測しやすく、他の大学を受けるための対策と同じ方法が使える学力試験であれば、受けてみようかと思ってくれる人が増えることが予想される。受験生確保のために推薦入試などやめてはどうかと言ってみたのだが、どうも、文部科学省の意向でそれはできないらしい。国家一種に合格した官僚なら、大学で必要なのは基礎学力だとわかりきっているはずなのに、大学に対しては学力以外の部分を見て学生を入れろと強制するつもりらしい。一体何を考えているのか。
学生は入ってから学力不足で苦労する率が高くなり、高校は結果が予想できなかったりで指導が大変だし、競争倍率低下に悩む大学にはさらに競争倍率の低下をもたらすのが推薦入試ではないのか。誰の得にもならないような制度を続けてどうするのだろう。大学入試は1、2回に分けての学力試験のみの形に戻すべきだと考える。
多くの大学では来週から本格的に授業が始まるが、新入生に入学前から補習する「入学前教育」が今や普通の光景になっている。面接中心で合否を決めるAO(アドミッション・オフィス)入試や推薦入試が広がり、学力試験を受けない新入生が増えたことが直接のきっかけで、学力低下への危機感が背景にある。予備校講師を招いての基礎集中講義、インターネットを使った英語の復習など内容は「充実」する一方だ。大学で勉強するのに何が必要かというと、基礎学力と勤勉さ(あるいはダントツの要領の良さ)に決まっている。学力試験をすれば、基礎学力もわかるし、そこに到達するまでにどの程度勤勉にあるいは要領よく勉強してきたということも大体わかる。ところが、入試の多様化の掛け声で推薦入試やAO入試をやり、必要条件である学力を十分にテストせずに入学させるケースが増えた。そりゃ、入ってからどうにもならなくなるのは当たり前だろう。
大学入学前に講義を受ける高校生たち。私語も少なく、表情は真剣だ=埼玉県上尾市の聖学院大で
「この課題について、皆さんが自由に感想を述べて下さい」
埼玉県上尾市の聖学院大。リポートを書く力を養う「文系国語表現力基礎」を講義したのは、現役の予備校講師だ。高校3年の男子生徒(18)は「細かく教えてもらえてわかりやすい」。「基礎数学完成」の初回では、中学レベルの基本的な計算を復習した。
3月末まで続いた同大の入学前教育は、英語と数学、国語にコンピューター教育の4教科。1コマ90分の授業を1日に4コマが基本で、全教科を受けると、午前9時から午後5時近くまでと高校並みだ。
教員の間で、98年ごろから新入生の学力低下が話題になり始めた。「辞書が引けないとか、大学で学ぶためのスキル(技術)がない学生が目立ってきた。大学教育とは切り離し、まず基礎学力を、となった」(山下研一広報センター所長)。00年のスタート時は、推薦入試や、AO入試の合格者だけが対象だったが、一般入試で学力試験を経た新入生も加えた。
東京電機大は02年に一部の学部で導入し、今は全学部が推薦入試やAO入試の合格者向けに実施している。前年秋の合格から入学までの期間が長いため、「学力維持」が目的の一つだ。
工学部では、年明けから入学までの3カ月間、高校の学習内容を復習。数学では通信添削を採り入れ、英語ではインターネットを活用する。IDとパスワードを入学予定者に与え、ネット上の学習プログラムにアクセスしてもらう。
教材の作成から指導まで大学教員が積極的にかかわり、入学予定者の9割が参加した。工学部事務部の篠澤篤課長は「一定の質を保証して学生を卒業させるのが大学の使命。今後も続けていかなければ」と話す。
国立大も例外ではない。02年度入学者から始めた東北大工学部は、AO入試の合格者が対象で、狙いはやはり「モチベーション(やる気)の維持」。今春の入学予定者の参加率は、数学物理学演習と工学英語で9割を超えた。
推薦入試やAO入試は、本人が入ってから大変だというだけではない。大学と高校の両方にとってもマイナスな面が多い。
推薦入試は学力試験の前期日程よりも早く始まるし、学力試験のような対策もたてにくい。ただでさえ受験指導に忙しい高校の先生にとっては、受けさせるのに手間がかかる。もし推薦入試で落ちた場合、当然受験生はめげたり落ち込んだりするし、推薦をアテにして勉強しいた場合は調子も狂うから、私立の試験や国立の前期日程に向けてやる気や勉強のペースを維持するための余分な指導が必要になる。また、今の入試は受験産業によってかなりのところまで合否を予測できるようになっているが、推薦入試は合格する人数が少ない分、年によって難易度の変動幅が大きく、予測が難しい。
大学にとっては、推薦入試のために学力試験とは別の問題を作ってブラッシュアップしなければならなくなる。さらに、入試のために教員を貼り付けることになる。推薦で学力試験で取るよりいい学生が来てくれるかというと、そのことについては何故かみんな黙っている。さらに、大学受験の競争倍率が下がりつつあるという現実がある。対応しにくい試験をしたら、受験生に敬遠されて、競争倍率の低下に直結することになる。
山形大学でも、今年は志願者数が減ったために上の方では対策を話し合ったらしい。ウチの場合は、前期日程でも小論文やら面接試験やらをしている学科があるのだが、まずは試験を普通の学力試験に変えない限り、どんな対策を話し合っても無駄だと思う(もう1つは、入った後で得られるものが「お買い得品」だとわからせることか)。予測と対策の効かない入学試験は嫌われるのが当然である。受験生にとって結果が予測しやすく、他の大学を受けるための対策と同じ方法が使える学力試験であれば、受けてみようかと思ってくれる人が増えることが予想される。受験生確保のために推薦入試などやめてはどうかと言ってみたのだが、どうも、文部科学省の意向でそれはできないらしい。国家一種に合格した官僚なら、大学で必要なのは基礎学力だとわかりきっているはずなのに、大学に対しては学力以外の部分を見て学生を入れろと強制するつもりらしい。一体何を考えているのか。
学生は入ってから学力不足で苦労する率が高くなり、高校は結果が予想できなかったりで指導が大変だし、競争倍率低下に悩む大学にはさらに競争倍率の低下をもたらすのが推薦入試ではないのか。誰の得にもならないような制度を続けてどうするのだろう。大学入試は1、2回に分けての学力試験のみの形に戻すべきだと考える。
カテゴリー:教育関係
タグ:
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posted at 2007/04/07 20:11:50
lastupdate at 2007/04/07 20:13:38
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