第2回
講義内容
高校で化学をやってこなかった人向けの最低限の復習。
- 原子論の起源
- 原子の構造
- 周期表
- 分子
- 共有結合、イオン結合、金属結合
- 物資の状態変化と化学変化
- 原子量・分子量・モル
- 単位系の簡単な話
第2回の内容に関する質問とコメント
- 高校では文系で科学を1年間しか学習しませんでした。とても不安です。よろしくお願いします。それから、レポートの書き方が全くわからないのでどういう要領でまとめればいいのか不安です。
- レポートをまとめる時に必要な知識は、この講義で得られるもので対応しきれますか?
- レポートはどれくらいの量におさめればいいですか?
- レポートの字類制限はあるのですか?
→字数制限(上限、下限とも)は設けていませんが、最低限A4で1ページは必要。何について論じるのか、それをどう考えるのか、普通に書けば簡単に1ページは超える。例年、1ページの人は少ない。3ページか5ページ位が多い。あまりにもあからさまな手抜きは配点が低くなる。 - 高校の化学では習わなかったことも新たに学べて良かった。(他1名)
- 原子核反応や粒子が生成消滅する状況なども詳しく知りたいと思った。
→物理で誰か原子核物理を開講してるかと思ってシラバスを調べたが、やってなかった。出てくるとしたら、「宇宙の起源と終末(物理B)」あたりかなあ。化学じゃ範囲を超えるのでちょっと無理。気軽に読める副読本としては、「原子核の世界―物質の窮極を解明する」(ブルーバックス314、(講談社)か、「 原子と原子核」(物理学One Point、共立出版)あたりか。 - イオン結晶は分子にならないとのことですが、分子の違いってそもそも何なんですか?
→分子の違いは、構成している原子の数と種類と構造で決まる。 - 電子に主さはあるのですか?あるとすればどれくらい?そして、それは中心となる原子核によって重さは違うのか?
→電子の質量 9.11×10-31 kg、陽子の質量 1.672×10-27 kg、中性子の質量1.675×10-27 kg。電子の質量は陽子や中性子の約1600分の1だから、原子の質量はほとんど原子核の質量で決まる。 - 酸・塩基のアンモニアの説明が全然理解できませんでした。化学はあまりやってないので知識がないに等しいのですが頑張ります。
→水酸化物の場合は、化学式の中にOHがあるので、塩基だとわかりやすいのだろう。アンモニアの場合は、水分子のHを取り込むことによって、OHがアンモニアからではなく水から生じるため、奇妙だと思うのではないか。 - 化学のことだけじゃなく、ラザフォードの実験という、物理のことを聞いて、なつかしかった。アモルファスは名前だけきいたことがあったけど、まさか、自分のとなりにあるガラスがそうであるとは思わなかった。
→物理と化学の区別があいまいな分野はあるし、物理の進歩が化学の進歩を促したことも、化学の進歩が物理の進歩につながったこともある。なお、アモルファス=非晶質、つまり結晶でない固体一般を意味する。 - 図が数カ所見にくいものがあった。
→印刷機を通すので図が荒くなりがちです。すみません。 - 今日は忘れかけてた化学の復習ができてよかったです。(他5名同意見)
→細かいことは忘れてもいいけど、何をやってたかとか、もういちど調べるにはどうすればいいかということは忘れないで。 - 今回は高校の復習みたいな感じでしたが、知らなかったこともあったので、注意して聴きたいとおもいます。
→指導要領や検定教科書のある高校と違って、大学の講義には一切縛りがない。 - 簡単であると言っても、中学・高校でやってきた復習であり、忘れてしまっていた基礎を見直すいい機会になった。自分が今まで習ってきた化学に騙されるのはいやなので、見分ける力をつけるため頑張りたい。
→今まで習ってきた化学でも、きちんと使いこなすことができれば、インチキに騙されずにすむはず。 - 水の化学ということで、よくCMで”純水で作った美味しい○○”というキャッチフレーズを見かけます。純水=蒸留水のことと思いますが、何も成分の含まれない蒸留水で作った食品や飲料水は本当に美味しいのでしょうか?
→純水はほとんど蒸留水と思ってよい。美味しいかどうかは、どういう評価をするかによって違ってくるし、調理については、下ごしらえをどうするかによっても違ってくる。 - 電子軌道のp起動の形を教えてください
→この授業の5回目(内容が始まってから5回目)のプリントに、図を出す予定です。 - 高校の時に学び取れなかったのですが、大学で「なぜ原子よりも分子、単体よりも化合物の方が安定なのか」ということを講義していただけるということですが、先生はそれを行う予定ですか?また行うのであればいつの予定ですか?
→去年まではしてなかった。本格的に理解するには、量子化学と分子軌道法あたりまでやらないとだめだから、やるとしても、私の講義ではさわりだけになる。教養の授業では、「電子と化学結合I(豊田東男)」を履修すると幸せになれるかも。 - あと、米沢キャンパス見学に行った時にスライム作りをしました。スライムの構造は『3次元網目状』というのはご存じかと思います。ですが、のびたりちぎれたり再びくっついたりする際に、その構造はどのように変化するのでしょうか?私の仮定ですが(・のびる→金属結合のように構造がずれる、ちぎれる→分離しゃすい分子の線が決まっていて力を加えるとそこに亀裂が生じちぎれる、再びくっつく→接触面同士の構造の端々がくっつく)
→私はスライムを作ったことが無いのだが、作り方を調べると、材料はポリビニルアルコール(PVA)という直線状の高分子を、ホウ砂Na2[B4O5(OH)4]・8H2Oで架橋して、大量に水を含ませて作る、とある。つまりほとんどが水で、もともと柔らかくて変形しやすいので、簡単に、のびたりちぎれたりすると思われる。くっつく方は、反応の速度による。架橋せずに残ったホウ砂があれば、再び混ぜたとき、両側をくっつけることがあるかもしれない。何回もちぎったときに性質がどうなるか(分子のレベルで細切れになっていくかどうか)は、実際に何回もちぎってみて、より柔らかくなったり流れやすくなったりするかどうかを調べればわかるのではないか。 - 次回の講義も楽しみにしています。
- 高校で化学をとっていましたが、知らない話が多くあって面白かったです。余談をもっと多く紹介してください。
- アルカリイオンの水は体にいいんですか?イオンが出るグッズ、チタンのグッズはウソですか?水道水は安全ですか?
→からだにいいとはどういうことか、から考えないと。チタンがイオン化しやすいかどうかは、高校化学からわかりませんか?イオン化するということは溶けるということですよね。じゃあ、どうしてめがねのフレームや時計に使われているのでしょう?こういう話を自分で正しく判断できるようになることが、この講義の目的の一つなので、考え方をちょっとずつ学んでください。