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第4回
講義内容
- 水分子の形
- 氷の相図
- 氷の結晶多型・結晶構造
- 雪の結晶について
- チンダル像
- 中谷ダイヤグラム
- 結晶成長
第4回の内容に関する質問とコメント
- ティンダル像のでき方がいまいちわからなかった。
- 氷の結晶とは、もとは水の凍ったものですよね?チンダル像で、氷と水が別々のものとして結晶が見れるのはなぜですか?
→結晶が出来るときも溶けるときも、ミクロなIhの結晶構造を反映するので、六角形ぽい雪結晶になったり氷の中の穴になったりする。水と氷では屈折率が違うので、光を当てると区別できる。
- H−O−Hの角度が104.5度となってますが、その角度が変わることってありますか?また、角度が変わることによって何か変化がおこるんですか?
→結晶(氷)になると、若干変わって109.5°になる。但し、大きく変わって90°になったり180°になったりということはない。水分子である限り、ほぼ同じ値である。
- 人工降雪機はどのような仕組みになっているのですか?
- スキー場などで使われる人工雪もIhなんですか?
→霧状にした水を噴霧する方式と、圧縮された空気と霧状にした水を一緒に噴霧する方式がある。単に霧を出しただけでは、気温が氷点下でないと雪にならない。空気と一緒に出す方はもう少し温度が高くても雪ができる。これは「断熱膨張」という現象を利用して温度を下げているから。
「断熱膨張」は、急に空気を膨張させると温度が下がる現象。これと逆の現象に「断熱圧縮」があり、これは温度が上がる(日常生活で経験するには、自転車の空気入れを作業後に触って熱くなってることを確認するとよい)。
結晶構造としてはすべてIhである。
- 「氷の結晶に音楽を聴かせるとその音楽によってきれいな結晶になったりきたない結晶になったりと、結晶の形が変わる」ということを以前本で読んだことがあります。これは本当でしょうか?
- 以前、氷の結晶を研究(?)している方の本を読んだのですが、その中で、クラシック音楽を聞かせた氷と汚い言葉(?)のうるさい音楽を聞かせた氷で結晶のでき方が全く違っていて(前者は規則的なきれいなもの、後者はぐちゃぐちゃでなってない)びっくりだったのですが、実際そのような事は起こるのですか?//先生の説明をきいてうそだとわかりました。
→いずれもインチキ。今回の最後の方でまとめておく。
- 図2.9の見方が少しわかってよかった。熱い氷ってどんなのか見てみたい。
→外見は透明な固体なだけで、変わったところはないはず。
- 我家では金魚を飼っています。ホームセンターで『水槽にいれると水が長い間きれいになる石』を発見しました。なんで石を入れるだけで水がきれいになるのでしょう?そのじゃりは何の石なんでしょう?
→どういう原理できれいになるか、何か説明があったはずだが?
1つの可能性としては、石が多孔質材料(小さな穴が沢山あいているもの)で、中に微生物が繁殖することで水を浄化する可能性はある。石そのものが水を何か物理的に変化させてきれいにするような話が出ているなら、それは間違いか勘違いである可能性が高い。
- 過飽和度というのがよくわからなかった。実験室で使う純水と水道水はどっちが美味しい?
→大気中に水蒸気と水(水滴)が存在するとき、水滴表面で水分子が出入りしてバランスをとっている。このバランスは温度によって変わる。未飽和の時、水滴から水蒸気に水分子が移動、飽和の時は水分子の出入りがつりあっていて見かけ上水蒸気も水滴も変化なし、過飽和の時は水蒸気が水になる方向に変化する。水蒸気・氷晶・水滴の3相が存在する時は、飽和水蒸気圧は、氷の表面に対する場合と水滴の表面に対する場合の両方を考えることになる。氷に対する水蒸気圧の方が水滴に対する水蒸気圧よりも小さいので、水滴から水分子が蒸発して氷表面にくっついていくことになる。
純水の方が飲んだときに癖がない。水道水のおいしさは地域によって異なるし、カルキ臭を気にする人はまずいというだろう。一概には言えない。
- 氷の結晶を人工的に作るときどのようなことが大変か?
→専用の装置が必要な上に低温室にこもりきりになる。
- 雪結晶の絵は見たことがあったが6種類あるとは思わなかった
→講義で示したのは代表的なもの6種類で、細かく見るともっとある。
- 上空から地上にくるにしたがって温度や圧力が変化します。一度上空で出来た氷の結晶はそのまま地上に降りてくるのですか?それとも、何重にも違う結晶が重なって降ってくるのですか?
→結晶は中心から成長するので、結晶の中心部には初期(上空)の、周辺部には後の(比較的低空の)雲の条件が現れる。
- なぜアモルファス氷はIcからIhになるとIcには戻れないのですか?アモルファス(固体だが規則構造を持たない)ならIcに戻れるのではないでしょうか?
→なぜ戻れないかはわからない。とにかく、IhからIcに直接構造を変える方法が今のところ無い。(IhとIcは両方とも結晶で、アモルファスではない。)
- 氷にも色々な種類があっておもしろいなあと思いました。ちょっと関係ないかもしれないけど気になってるので教えてください。前にTVで「氷を作ったときに透明な部分と白い部分が出来るが、白い部分は体に悪い」って言ってたんですけど本当ですか?家では一回水を湧かしてから氷を作るんですけど、白い部分は絶対できてしまうので、避けれないんです。体に悪いなら食べたくないんですけど、どうしたら透明の氷ができますか?
- 市販のロックアイスは透明度が高くて好きなのですが、沸騰以外に空気はないのでしょうか?
→氷の白い部分は、水に溶けていた空気(酸素や二酸化炭素など)なので体にわるいわけではない。もともと普通に飲める水を凍らせたものなら、体に悪いということはあり得ない(物質の出入りはほとんどないから)。透明な氷を作るのは難しい。容器の端の方は透明だが、中心がどうしても白くなる。大きな氷やスケートリンクの氷は、温度を下げながらちょっとずつ水を足して氷を作っている。紙コップに水を入れて、底の中央に針で水が漏れない程度の小さな穴を開けて冷凍庫に入れると、ほとんど透明な氷ができる。
- 手軽に冷凍室(家庭用冷蔵庫の)で様々な形の氷の結晶を作ることは可能ですか?
→結晶構造としてはすべてIh。冷凍庫から出して観察するときのタイミングによっては、一部溶けたものが再結晶するときに、雪結晶に近いものがごく短時間できることもある。
- チタンリングというのはどういったことで体にいいのですか?いいという根拠は何ですか?
→体にいいってどういうことか?ほとんど何も言ってないのと同じだが。人体に対して何かの作用を及ぼすことの確認は臨床試験が必要で、体験談や宣伝しか情報源がない場合には、それはデマとかんがえるべき。
- マイナスイオンを発生させる機械というのは電圧をかけっることで空気中の分子を帯電させるということでしたが、そうなるとそのときほぼ間違いなくO3ができると思います。そう考えると実際にそういった機械を使うことではたして体に害はないのでしょうか?
- マイナスイオンドライヤーは本当にイオンが出てるみたいだとわかりました。マイナスイオンが出るしくみはにせものですか?
→O3は劇物である。劇物というのは何とでも化学反応するということで、空気中に漂っている塵などと反応してすぐに無くなってしまうので、装置の近くに行って深呼吸でもしない限り影響はほとんどない。また、もともとできる量が少なければ問題ない。
- イオンは水の中で発生すると高校で習ったのですが、「マイナスイオンの出る石」とか「マイナスイオンの出るブレスレット」とかが売られています。どうして水を含んでいない物からイオンが発生するのですか?
→空気や水滴を電離する放射線が出ていることがある。石を持ってきたら周りの空気がイオン化したという場合、次の測定は石の放射能の測定であり、ガイガーカウンターを必要とする。
- 電子レンジは身体によくない電磁波を放出するといいますが、実際人間の身体にどのような影響を及ぼすのですか?
→火傷する。だから調理できるわけだが。市販の電子レンジは電磁波が外に漏れないようになっているので普通に使う限り人間への影響はない。
- 電子レンジは赤外線ないしマイクロ波を放出することで食物中の分子が動き出し、その際に出る摩擦熱によって食物が温まる、というのが電子レンジで温める原理ですよね?ではなぜ卵やいかは温まることなく爆発するのでしょうか?電子レンジの出す光線がそれらに含まれる成分に影響を及ぼすのでしょうか?また、その卵やいかをフライパンで調理する方法とレンジで調理する方法と、何が異なるために爆発したりしなかったりするのですか?
→卵は殻で覆われているし、いかは膜で覆われている。暖めれば内部の圧力が上がって、あるとところで爆発する。閉じこめられたものはすべからく爆発する可能性がある。なお、少しだけ内側の圧力を逃がせるもので覆われていて、加熱がゆっくりの場合は、上がった圧力を徐々に減らすので爆発しない。電子レンジの加熱は均一で急激なので、他の方法で暖めるよりも爆発しやすい。
- 「水で温めるレンジ」というのが話題になりましたね。それは水が100℃以下にならなければ液体にならないということを利用して水滴はつかづに食物を加熱する(ちなみにそのレンジは圧力をかけた300℃の水蒸気を吹き付ける→ふつうのレンジより短時間で調理可能)ということですが、もしかして圧力鍋と似た原理なのでは(密封、加熱→内部高圧→短時間で調理可能)?また、水蒸気で加熱といってもいまいちレンジ中の空気の熱によって食物を加熱しているようにしか思えません。この2つの違いは何ですか?
→「水で暖めるレンジ」は圧力はかけていない。水蒸気は100℃以上にすることができるし、熱容量も大きいから、他のものを暖めても水蒸気の温度がすぐには下がらないので、効率よく加熱できる。高温にした水蒸気でマッチに火を付けるということもできる。
- 3Hの放射線の影響を具体的に教えてください。どのくらいの間3Hの放射線をあびると人体に影響がでるのか?また、放射性元素は青白く光ったりしているが3Hはそんなことが起こるのか?教えて欲しいです。
→3Hは平均5.5keVのβ線(電子)とニュートリノを出す。これは、β線としてはエネルギーが低い方である。電子は電荷を持っているのですぐに周りの物質とぶつかって相互作用する。ニュートリノはほとんど何もしないで飛び去る。放射性元素が青白く光るのはチェレンコフ光といって、β線のエネルギーが高く、通過する物質中での光速より速く動くときに出てくる(真空中の光速度を屈折率で割ったものが物質中の光速度になるので、粒子の速度が光速度を超える場合があり得る)。3Hのβ線はエネルギーが低いのでチェレンコフ光は出さない。蛍光物質を使った検出器で光に変えて測定する。
放射線の人体への影響は、放射線自体が強いか弱いかということと、その放射線がどれだけ人体と相互作用するかという2段階で決まる。放射線が強くても相互作用をほとんどしないと(例:ニュートリノのような場合)、素通りするだけで影響は何もない。相互作用があまりに強くて中まで入らない場合(α線)も、皮膚(既に死んでいる細胞)や衣類で止まるので問題なし。β線は遮蔽しないとまずい。防護は、どういう同位体から出たかということよりも、どれだけ組織に吸収されるかという点から上限を定めている。
防護の詳細はここが詳しい:http://www.jaeri.go.jp/dresa/dresa/detail/detail.htm
- 怪しい商品を科学的にちゃんと見るのは面白そうなので、注意して見てみようと思いました。
- 雪の結晶は天から送られた手紙であるってなんかいい言葉だなあと思った。
- 水っていうのは氷になったり様々な姿に状況によって変わる、理解しきるには難しい物質だと思った。氷が圧力のかけかたで、あたたかい氷になると知って驚いた。結晶構造とかの関係らしいが、ちょっと難しく感じた。じっくり復習したいと思います。
- 熱い氷が作れると知りおどろきました。(2名)
- 熱い氷で湯をわかし、ラーメンを作ってみたいです。
- 化学についていろいろわかった。
- マイナスイオンのコトが分かってよかった。
- 0℃ではない氷の存在を初めて知った。
- 結晶の話は興味深かった。
- 普段私達が見ている氷が、たくさんある中の1種であるということには驚いた。
- 氷にもいろいろな形の構造があることを知り驚きました。とても面白いと思った。(5名)
- 温度・圧力で氷の種類が変わることを知らなかったので聞いていて面白かったです。
- (氷の)他の形を形を見るのは難しいことを知って残念に思った。
- なぜ雪結晶の形がいろいろあるのかわかったのでよかった。図がたくさんあったので、理解しやすかった。
- 雪の結晶がこんなにいろんな種類があるなんて知らなかった。きれいだと思った。
- 雪の結晶はいろいろな形があるということを初めて知りました。
- 氷についてかなりくわしくなったと思いました。
- 前回の質問への返答で、水が4℃で最大密度になるから表面から凍るというのは勘当した。水という身近なものなのに、いろいろと複雑で奥が深いと思った。
- 他の人の質問を読むと、自分では気付かなかったけどわからないことがあって、特にどうして氷が浮くのかというのはおもしろいと思った。
- 雪はほとんどみたことがないから、雪の成長の研究をした人はよほど雪に身近な人がしたんだろう…。雪の結晶の変化をしらべるために圧力、過飽和度、成長速度などなど、こまかなところまで調べていたなんて、すごい苦労したんだろうと思った。
- 「なるほどね」や「へえ」と思えることがけっこうあっておもしろかった。
- 雪の結晶がキレイでした。今年の冬は、雪の観察でもしてみようかな。
- 今度自分の目で本物の氷の結晶を顕微鏡で見てみたい。
- 中学生の時、理科の教材のビデオでダイヤモンドの板を使って氷を作るというのがあり、当時は理解が難しかったのですが、この講義で理解できました。
- 水の結晶がなぜ温度で決まるのか、自分も疑問に思えました。なんでこんなにも結晶の種類があるのだろう。1つあれば十分に思えるのに水は温度によって違う種類が出来る…身近な水なのにまだまだわからないことが多いですね。
- 私はもともと文系で、化学はぜんぜん分かりません。みんなのコメントや質問もハイレベルなものばかりで、ついていけてない実感があります。こんな私でも大丈夫なのでしょうか?
→誰でも、「こんな話は初めてだ」ということが必ずあったはず。講義でわかる知識は、知ったそのときからその人のものになるし、使うことができる。この講義で一番難しいのは電気化学と、水の電気分解やエネルギーの話になると思う。それ以外のところは、まあそんなもんかという感じできいてもらえればよい。
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