第2回
講義内容
高校で化学をやってこなかった人向けの最低限の復習。
- 原子論の起源
- 原子の構造
- 周期表
- 分子
- 共有結合、イオン結合、金属結合
- 物資の状態変化と化学変化
- 原子量・分子量・モル
- 単位系の簡単な話
第2回の内容に関する質問とコメント
- 粒子は本当に壊れないのか?
→粒子ではなく原子。原子だって、電子と陽子と中性子からできているから、高エネルギーの粒子をぶつけてやればばらばらに壊すことができる。また、放射性同位元素であれば、放っておけば崩壊して別の元素になることもある。しかし、「物質としての性質」が保たれている最小単位は原子である。もし、原子をばらばらにしたら、元の物質の性質は無くなってしまう。水素の原子核由来の陽子も、酸素の原子核由来の陽子も、どちらも同じ陽子で同じ性質を持ち、もはや元の水素や酸素の性質はなくなり、どういう物質であったかはわからなくなってしまう。 - 「雲のような分子」って先生は仰っていましたが、その雲も水(水素と酸素)でできているんだとすごく不思議だと思いました。
→電子の様子を絵に描いたら雲のように描ける、という話。電子は電子であって、空にある雲ではない。頭の中でイメージするとしたら、まるで空の雲のように境界がはっきりしなかったり、全体に丸みを帯びていたりするのを想像してほしい。 - この講義では、6.022×1023とか、ややこしい計算ができないといけないのですか?文系なのでキツイです。
→計算はできなくてもいいが、説明に必要な計算はプリントに書くので見てほしい。 - マイナスイオンの商品にインチキな物も含まれている事をこの講義で聞き、どこら辺が体にきかないのか気になった。これからもそのような身近で怪しい物に目をつけ、うまく科学の知識を利用して解明していきたい。
→マイナスイオンの問題点については、何回か後にまとめて話をする予定。大手家電メーカーが手を引きつつあるのでかなり減ってはきているが、またあちこちで宣伝が残っている。 - 高校の時に習った化学の復習ができて良かった。忘れていた訳ではないが、化学的思考の勘を取り戻せたかと思う。イオン化列に表示されているH2が、イオンになりやすさを決める標準物質であると初めて知った。オキソニウムイオンの説明も高校では十分に受けなかったので、良かった。
- イオン結合において主に金属と非金属が結合することは初めて知りました。また、中性のものをイオンと呼ばないのはおぼろげに知っていましたが、改めて分かりました。
- お疲れ様です。化学は高校でほとんどやらず、不安でしたが、思った以上にていねいに教えてくれて分かりやすかったと思います。楽しく授業を受けられたと思います。
- 高校のときにも化学を勉強したが、忘れていたところがたくさんあったので、中学・高校の復習になってよかった。忘れているところをしっかり思い出していきたいと思った。また、間違ってる企業の宣伝などもあったのでおもしろいと思った。
- 高校の時に化学はやっていたものの、忘れていた事も多く、今回の授業で色々思い出すことができました。
- 水について、人にとって水は大事なのでより詳しく勉強したい。
- 本当に基本の基本からで文系の人にはありがたかったと思います。理系としてはあたりまえのことすぎて少し暇でした。これからの授業に期待したいです。
- 高校1年次以来、化学に触れていなかったので、知識を引っ張り出すので精一杯でした。これから講義を受けていく上で不安も多少ありますが、頑張っていきたいと思います。
- わかりやすく、易しくやってはいるけど、文系の人にはまだわかりにくいのではないかと思った。図が少なくてイメージしにくいと思う。
- わかりやすく化学の復習ができました。
- ていねいな復習でした。
- 分かりやすかった。
- 化学の復習なのにとてもムズかしく感じた。これからちゃんと勉強してがんばりたい。
- 化学の話は難しかったです。これからも頑張って受講していこうと思います。
- 高校の時、少し化学をやったが、文系だったのでモルの話など、もうほとんど覚えていませんでした。授業についていけるようにしたいです。
- 化学の復習になってとても良かった。もう少し、自分で復習しておきたいと思う。
- 高校までの化学の復習は、最初は理解できたが、イオンの話あたりかがあまりよく理解できず、今後、講義についていけるか不安になってしまった(高校では文系だったので)。
→その場で100%理解できると思わないこと。大学の講義は、講義90分に対して、同じ時間の予習と復習を家でやることが、そもそもの前提である。 - 私たちが知識だと思っているものは、実は教育された結果であると再認識した。新しい知識を得るためには自分で研究しなければならないと思った。
→裏を返せば、教育次第でなんとでもなってしまう、つまり怪しい話や変な話でもすり込まれてしまうということを意味する。教育で何とかなるというのは、同時に危ういことでもある。意図的にやってなくても、間違ったことを信じてしまったり広めてしまったりすることだって起きる。じゃあ、どうやってそれを防ぐのか……を考えるのが、科学リテラシーということになる。 - 1回目に出なかったんですが履修はできるんですか?
→マークシートの履修届に記入すればよい。事務に提出する履修届に記入ミスがあると、受講してレポートを出しても成績を入力できず、単位を出せないことになる。後で各自の受講科目一覧が事務から配られて訂正もできるので、慎重にチェックすること。 - レポートで取り上げるあやしい物は複数でもいいんですか?
→最低1つ、です。これまでは、1つ取り上げて論じているものがほとんどでした。が、単純に数を増やしたり、あるいはいくつか組み合わせて共通点を議論する、といった形でまとめてもかまいません。 - レポートは苦手なので単位が取れるか不安。
→練習しないといつまでたっても得意にはなりません。また、大抵の学科では卒業論文が課されるので、卒業する前にまとまったものを書くことになります。実のところ、社会に出て必要なのは、文章をきちんとまとめて、誰かに説明したり誰かを説得したりする能力です。とんでもない手抜き以外は単位を出すようにしていますし、単に苦手なのか手抜きなのかについては、読めばわかります。
あまりこの講義とは関係ないのですが、ネットが普及した現在、文字のみによるコミュニケーションの技術を鍛えるのは、絶対に必要なことです。おそらく、情報処理の講義でもいろいろ指導されるでしょうが、結局のところ、コンピュータの知識よりも作文能力の方が大事だったりします。 - レポートは何字くらいですか。
→字数制限はしていません。しかし、例えば、3行しかないとか、あまりにも露骨な手抜きは不可です。資料を添付して議論してもらう型式なので、主張したいことがまとまっていれば十分です。 - もう少しマイクの音量を大きくしてほしいです。聞こえにくいところがいくつかありました。よろしくお願いします。
→機械の音量調節を見てみます。 - イオン化傾向のイオン化列を今日見て思ったけれど、まだ覚えていることにびっくりした。周りでのこそこそとした私語が気になったし、とても迷惑でした。
→私語は厳禁であることをもう一度言います。 - 日本で元素が見つかったと聞きました。名前は「ジャパニウム」ですか?
→2004年に発見された原子番号113の元素で、理化学研究所(理研)で見つかった……というか作られた。あまりに重い原子は天然では存在せず、無理矢理作ってもすぐに壊れてもっと小さい原子になってしまう。再現性が確認できれば、元素の命名権が与えられるということだが、まだ決着していないのか、命名権を取ったという話は出てきていなかった。従って、まだ名前が無い状態である。候補としては「ジャポニウム(日本にちなんで)」「リケニウム(理研にちなんで)」あたりが挙がっていたが、最終的にどうなるかは、命名権を取った後の話になる。
なお、本日は「一家に1枚周期表」をカラー印刷して配ることにした。A4に縮小されていて字が小さいが、若いみなさんならほぼ問題無く読めると思うので楽しんで欲しい。以下のURLで、前期のこの講義で出たQ&Aを公開している。
http://www.cm.kj.yamagata-u.ac.jp/lab/lec-support/sci-l/QandA2005-1