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第3回
講義内容
- 水の科学史(タレス「万物の根源は水である」から、水素、酸素の発見、水分子の発見、シミュレーションの進歩から高圧氷の結晶相の発見まで)
- 純水とは
- 水の同位体と諸性質
- 水分子間の相互作用
- 水素結合
- 氷の構造
(水の研究史年表を示して、いろんな構造の氷が発見されてきたという話)
- 「一家に一枚周期表」をA4縮刷りにしたものを配布。
第3回の内容に関する質問とコメント
- D2Oについてもう一度説明してほしい。
→Hの原子核は陽子1個で、周りに電子が1個ある。Dの原子核は陽子1個と中性子1個ででいていて、周りに電子が1個ある。どちらも水素だが、Dを重水素と呼んでいる。一方、酸素の同位体の呼び名に特別なものはない。自然に存在する酸素のほとんどは16O(酸素16)であり、わずかに18O(酸素18)が存在する。
- 今日の内容は、途中難しいところもあったが、大変面白かった。また、純粋な水は存在しないなら「蒸留水」というのも純粋な水ではないのですか?
- 本当の純水ができたら何かいいことありますか。
→蒸留するとかなり不純物は減るが、それでも純粋な水ではない。本当の純水まではいかなくても、純度の高い水ができれば、半導体の製造プロセスで使われるはず。
- 純粋な水など存在しないことを知ることができてよかった。半減期というのは何ですか?高校の時、地学で少しやったのですが忘れてしまいました。(他1名)
→放射性元素は自然に放射線を出す性質を放射能という。放射性元素は放っておくと放射線を出して別の元素に変わっていき、最後に安定な(=もう放射線を出さない)元素に変わる。放射能の強さが半分になるまでの時間を半減期という。
- 水素結合が全部切れなかったといっていたということは、切れるものもあったのか。
- 高温高圧にすれば水素結合を切ることができる点にまず驚き、高温高圧にしても水素結合を全て切ることができないことにまた驚きました。
- 水素結合が340℃で熱しても切断できない程の結合とは思いもよりませんでした。
- 超臨界状態とは何ですか?
→ちょっと私が温度を間違えたので訂正。水の臨界点は374℃、22MPa。水を容器に3分の1位入れて余分な空気を取り除くと、下に液体の水、上が気体(水蒸気)になる。そのまま密閉して温度と圧力を上げていくと、臨界点を越えたあたりで、液面がなくなり、容器全体が一様な状態になって、水蒸気と液体の区別が付かない状態になる。これを超臨界状態という。最近、超臨界状態にしてもしても水分子間の水素結合が残っていることがわかってきた。もちろん、室温の水よりはかなり減って、水素結合の寿命も短くなっているが、完全になくなるわけではない。
- 非晶性氷は普通の氷とはどう形が違うのだろうか。水と氷と水蒸気が同時に存在するというのはどんな状態なのだろうか。精製水の中にはどのくらい不純物が含まれているのか。
→見た目は白っぽい氷に見えるが、水分子が並んでない(並んでる方=結晶、は本日のプリントで紹介する)。
三重点を作るには、例えばポットに氷と水を半分位まで入れて密閉すれば、下半分が氷水で上半分が水蒸気になる。この状態が、氷と水と水蒸気が同時に存在する状態。冬の山形の寒い日だと、雪が降って水たまりは全部凍って液体の水がなくなる(川の付近は別)が、この状態は氷と水蒸気は同時に存在するが液体の水が存在しない状態。水の精製は、十分やれば不純物濃度をppt以下程度にできる(これ以下は検出できないのでたとえあってもわからない)。
- 水と一言に言ってもすごく奧が深いんだなと思いました。けどなんで専門的な用語って難しいんですかね?「エントロピー」とか包接化合物とか。
→何でと言われてもな……。概念が難しいのは「エントロピー」の方で、乱雑さの尺度になる。何回か後にまた出てくるのでそのとき説明する。「包接化合物」は漢字が難しい?
- 水素結合はそんなにかたかったということをはじめて知った。
- 水素結合を切ることが困難であるということを知った。にもかかわらず、水素結合を切った水みたいな物が世の中に出ていることに驚いた。
- 結合のところはよく勉強しなかったのでいまだによくわかりません。
- 氷が水に浮いている状態を写真や映像などで当たり前のように今まで見ていたが、それが異常であるということがわかったので、見ただけの知識では怖いと感じた。
→異常と呼んではいるが、特異な性質、ぐらいに考えた方がいいかもしれない。科学で「異常」というときは、価値判断は含まれず、単に、他の物質とかなり違う性質を持っているという意味で使うだけなので、日常で使う異常という言葉とはニュアンスが違っている。
- 一秒もしないで壊れてしまう物質なんて作り出して何に利用するのか。その競争に勝つと何かとてつもない利益があったりするのですか。
→利用はできないが、周期表がどこまで埋まるのかということを知る役に立つ。また、どういう法則で物質ができているのかということを知るのに役立つ。原子番号114番はその前後のものに比べれば安定だという話があったりするが、本当かどうか検証して、もし本当ならメカニズムを考えることになるのだろう。
- 日本で発見された元素につけた名前のセンスの無さに驚いた。
→まだ命名権を獲得してないので、名前はついていない。あくまでも候補としてあがっているだけ。
- 氷にいろいろな種類があるのを知らなかった。
→本日は氷の話がメインです。
- 理研って何の略ですか?
→「理化学研究所」の略。http://www.riken.go.jp/index_j.html、http://ja.wikipedia.org/wiki/理化学研究所 あたりに情報あり。
- 元素周期表ありがとうございます。家にかざっておきまる。振ると凍る水って作れますか(マジックで見たので)
→過冷却状態にするとできる。水の凝固点は0℃だが、きれいな水をゆっくり冷やすと、液体のままで0℃以下にできる。これが過冷却状態。でも、これは、本当なら氷になってるはずの水だから不安定で、外からちょっと刺激を与える、つまり容器をつついたりするとと一気に凍る。
- 宇宙には水素がほとんどってのはしってたけど、90.99%も存在しているとは驚いた。
- 水の特性でH2OとH2Sのちがいがおもしろいと思った。ラヴォアジェの実験に納得がいかなかった。水には不純物があるはずなのだに、この実験ではガラスの溶けくずが容器に残った固形物だったのがおかしいと思った。
→実験の精度の問題もあるかもしれない。不純物とガラスの溶けくずとどっちの影響が大きいかということ、当時の測定技術の限界から、どう判定するかが決まってくる。今なら、不純物は問題にならない程度まで取り除けるし、ガラスからの溶出分はずっと精密に測定できるはず。
- 水について、ということでしたが、分子量によって融点が…沸点が…という話などついていくのが大変でした。
- 水は生物にとって重要な物質です。水について知らないことがたくさんあるので勉強したいと思います。
- 水って大事ですね。
- 身近な物質である水についてここまで議論されていたとは驚いた。
- 水が氷になるのを計算で出すのに6年もかかったというのに驚いた。
- 少し前のNewtonで水の特異性について特集がありましたが、水の結合力の強さがそこまで強いとはのべられてないと、話を聞いて驚きました。
- 水素結合がそんなに切れにくいものだとは知らなくて、とても勉強になった。
- 水の研究史にこれだけ日本人の名前がのっているのは凄いと思う。
- 水の結合についてよく分かってよかった。
- 高校の頃に聞いた結合の名前が出てきて、少しなつかしく思った。
- 水って奧が深いんだなあと思いました。これからがんばって学習していきたいです。
- 水の特徴についてよくわかた。水の融点と沸点は分子量に比べて異常に高いのは水素結合の影響によるものだということを思い出した。元素周期表はおもしろそうなのでもらえてうれしかったです。
- 今まではたかが水とおもっていたけれど、水の研究の歴史がとても長くて驚きました。
- ファンデルワールス力をファンデルエールス力だと思っていた。高校の時にならったはずなのに。
- 確かにけっこう色々な分野をいっきにやっているような気分になる講義だった。ファンデルワールス力には少しおどろいた。
- 学生からの意見や質問に一つ一つ丁寧に回答してくださるのはとても嬉しいです。
- 分からない点も多かったが出来る限り頑張りたい。
- 高校で化学をまったくやっていないので難しかった
- 水素結合など高校の復習になった。
- 少しは理解できたのか、楽しめる部分もありよかったです。
- 講義中ずっと話を聞いているだけだったのですが、メモもする必要はあるのでしょうか。
- 元素周期表がとても分かり易い。水についてとてもよく理解できました。
- 身近な物質である水という物質について少し詳しく知れて楽しかった。周期表もカラーでとても役に立ちそうです。
- 周期表がとてもおもしろくて分かりやすい。
- 周期表のプリントを見てるだけで化学が興味深いものだと思った。
- 「一家に一枚周期表」をトイレの壁に貼っておこうと思います。
- 元素周期表はカラーで、しかも主な用途も写真付きで載っていて、大変とっつきやすくて良いなと思いました。今日からトイレに貼ろうと思います。
- 見やすい周期表が手に入ったのでよかった。
- カラーの元素周期表は身の回りの何に使われているのか見れて、おもしろいと思う。無理矢理覚えさせられた高1の時にほしかった。
- とてもためになりました。
- 今日もわかりやすかった。面白かった。(他1名)
- 内容が盛りだくさんでした。
- 水について数千年かかっても全てが解明されないことに驚きです。
- 身近にある水も深く考えていくと非常に複雑なものなのだと思った。
- 水に対する昔の人の考えが面白かった。
- 水は私たちにとって必要不可欠であることは紀元前から誰しもが知っていたであろう。だからこそ人間は水についてあくなき探求心を持ってきたということを考えさせられ、水について多くの知識を得られる講義だった。水の研究史は興味深い内容だった。
- 周期表を久しぶりに見た。また各元素が現代では何につかわれているかがわかり意外なものが多くびっくりした。(他1名)
- 元素周期表が例になるものをのせて書いてあって分かりやすいと思います。(他2名)
- 身近な水がわけのわからない物体のように思えてきました。特徴が多い。
- プロ野球で、千葉ロッテマリーンズがリーグ優勝しました。次のこの授業のころには、ロッテvs阪神の日本シリーズが始まっているはずです。もしロッテが日本一になった時には、「何故ロッテは強いのか、科学的に証明する」というテーマの論文を書こうと思います。きっと……。
- 高校の化学と違って深く説明してくれるのでありがたいです。(他1名)
- とても詳しく化学を復習することができました。次回が楽しみです。
- 大好きな科学をもっと好きになりたいです。
- 自分は3年間化学を学んだにもかかわらず、昨年度のセンター試験で25点しか取れませんでした。この授業はそんな自分にもわかりやすく、おもしろ味のある授業だと思います。科学(化学?)の世界は日常では目にすることのできないようなちいさいものや、ほんの一瞬の時間でのできごとについて知ることができるので、知識としてとっておきたいことだと思います。嫌いだった化学(高校の)を少しでも好きになりたいです。レポートは、書物、既存の文章の引用は可能ですか?
→引用してもかまわないが、引用部分と自分で考えたことの区別が付くように書いてほしい。 あと、点が低い位でめげるな。私は高校3年で理系クラスに分かれた直後のセンター試験模試で物理が赤点だったが、一年後には理学物物理学科に合格した。自分に合った勉強の仕方を見つければいい。
- 元素にはいろんな種類があるんだなと思った。高校でならったのしか知らなかったので。
→高校の教科書や参考書にも周期表は出ているはずだが……?
- 科学リテラシーって化学のことばかりやるんですか?
→いわゆる「化学」に含まれる内容が半分位、残り半分は科学そのものに関する話。この講義は一応「化学A」だし。
- だんだんでたらめ系の話が飛び出してくるのが楽しくなってきました。
- 作文能力、文章能力がとても大切だということがわかった。上手な人(先輩たち)のレポートはどういうものなのか、参考として配ってほしい。
- 最初は教室がザワついていましたが、最後の方は静かで話がよく聞けました。よかったです。
- どうすればAの評価がとれますか?
→他人にものを分からせる文章が書けて、考えていることに整合性がとれていれば配点が高くなる。
- 出席は成績に入るのですか?それともレポートを読んでもらえる権利を得るのみですか?
→講義なので出席点を付けるわけにはいかない。
- 以前、マイクの音量についてお願いした者です。よく聞こえるようになりました。ありがとうございました。
- 周囲での私語は少なくとても環境がおいと思っていたら、後ろの人が堂々と寝過ぎて手がぶつかってきたり、頭がぶつかってきたりと、何か授業に集中できなかった。
→ままならないものですねぇ……orz。
- 何か実習みたいなのもやりたいです。
→申し訳ないけどこの人数では無理。少人数のクラスで実習付きの授業をやってる先生も居るので、そちらを履修してほしい。
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