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第10回
講義内容
- 表面の現象と水素発生反応
- 酸素発生反応
- 表面では意外なことも起きる
- どうして活性水素の話は怪しいのか
- 前回のまとめ
- 水と生物:化学感覚、水応答、生物の特徴
- 特許について
第10回の内容に関する質問とコメント
- 商品に「特許取得」と書いてあると、なんだかすごく安心できるような錯覚をしていました。消費者には関係がないと知って少しびっくりです。
- 特許がたいしたものではない、ということを初めて知り、自分の無知を実感した。たぶん多くの人が特許をすごいものだと思っていると思う。
- 特許取得に科学的な根拠が必用ない事におどろいた。不勉強を実感。
- 特許が面白かった。
- 世の中にはうさん臭い話が結構あるんだなあと思った。特許もそんなにすごいものではないんですね。変なものに引っかからないようにしたいと思いました><b
- 特許がそういうもの、つまりあまり信用できなものだということにとても驚いた。これからは特許申請中や特許と書かれていても気をつけるようにしたい。
- 特許の勘違いをしていました。
- 特許の制度を知り、今後に役に立つだろうと思い、特許という言葉にだまされないようにしたい。
→ちょっとニュアンスの違いを感じたので補足しておく。
前回も書いたように、特許は、自然法則を利用して作った新しいアイデアに対して認められるものである。ところがこの「自然法則」が非常に広い意味で用いられているので、それらしく書けば通ってしまう。さすがに、永久機関を申請したりすると、「自然法則に反する」ことが誰にでも明らかだから通らないが、あからさまな間違いでなければ通ってしまう。
例えば、私の研究分野だと「水のクラスター」というのがある。ある処理をした水は水素結合が減った状態を安定に保つ、という主張だが、勿論これには科学的根拠もなく、誤った説である。しかし、誤解に基づいて「NMRという測定方法で水クラスターのサイズが測定できる」と主張する解説文が国内の業界誌に出たため、広まってしまった。すると、「これこれの方法で水を処理して水クラスターを小さくし、その他云々な効果を……」という内容の特許がいっぱい出されることになる。「水クラスターを小さくし」の部分に根拠がなくても、「これこれの方法」の部分に自然法則を利用していて、産業に使えるアイデアが盛り込まれていれば、効果の一部や実証方法に誤解があってもパスしてしまうらしい。学術論文であれば、「水クラスターを小さくし」などと書けば、引用文献があるかとか、初出なら直接証拠はどこにあるのか、何を根拠に主張しているのか、と、散々突っ込まれることになるが、特許の審査はそうではない。科学的妥当性が必ずしも保証されないというのは、こういう意味であり、もともと学術論文とは意味も審査基準も違うから当たり前である。
さらに、特許公報(審査済み)と公開公報(審査無し)の2種類があって、公開公報は書類の型式だけ整っていればよく、内容にかかわらず1年6ヶ月後に公開されるので、当然、特許公報よりもおかしな内容が出てくる率が高い。
また、特許を利用するのは、消費者ではなく、同業他社つまりプロである。この場合、技術的内容を正しく評価できることが前提となる。他者の特許にひっかからないように自社製品を作るにはどうするかとか、ひっかかる場合は、相手が自分のところの特許権を侵害してないか調べて、うまく取り引きできないかを考えることになる。
- 特許料がたいしてもらえないようなことを聞いたんですがどうなんですか。
→製造業以外で特許を取っても意味がない。1つの製品を作るのには、大抵山ほどの特許が後ろにあることが多い。何でそんなに数を増やすのかというと、他者から侵害を理由に金を取られないためと、自分たちの商売の防衛のためである。大企業の同業他社であれば、似たような特許を大量にお互いに押さえ合っている。すると、新製品を作る時に、お互い相手の特許にひかかることがでてくる。すると、ひかかる特許がお互い何件あるかを出し合って、一定割合でバーター取り引きすることで、共倒れするのを防ぐことになる。このときは、内容ではなく数で取り引きされることが多いので、製造業ではとにかく特許を出して、他者との取り引きを有利にすることを考える。
もちろん、まったくの基本的なアイデアで他の多くの製品開発にかかるようなものもたまにあるし、そういう特許は儲かるかもしれないが、数は少ない。
どんなすさまじい特許が出願されているかは、http://b-files.hp.infoseek.co.jp/index.htmlを見るとよい。
- 特許と実用新案の差がわからない。どちらもまぎらわしい。
→特許法と実用新案法の条文と、知的財産法の参考書を読め。
実用新案については、特許法上の「発明」ほど高度ではないが、比較的小さな工夫(考案)を加えて新しいものを作り出すアイデアを保護するためのもの。
特許よりも即収入に結びつくのは実用新案の方である。
- まさか特許のことまでやるとは思わなかった。
→科学技術情報との付き合い方には、(消費者の立場からみた)特許との付き合い方も含まれる。
- うま味成分であるグルタミン酸やイノシン酸や昆布やカツオ節以外の食べ物には含まれていないのですか?
→食品成分表を自分で調べること。この季節だと、エビやカニに多く含まれている。
- 今年の冬は鳥インフルエンザが本当に流行するんでしょうか?もし大流行して手が付けられない状態になったら、映画の「アウトブレイク」のように街ごと隔離なんてことになるんでしょうか?
→日経サイエンスの最新号(2006年1月号)がこの話題を扱っている。図書館にもあるので、大学生なら自分で読んで考えるように。
- 科学はとても面白いけど、いざ実際に勉強するとなると難しい。高校の時は化学IB・IIをとっていたけど、すっごく苦手だった。でもこの講義は、日常的な面から展開していってるので、考えやすい。この機会に、電気分解とか反応式とか思い出せたらいいなあと思った。
- バクテリアは苦み物質から遠ざかるんですか。気が合うかも。
- バクテリアも私達人間のように味覚を持っているということがおもしろかたです。”バクテリアは棟やアミノ酸の周りには集まるが、酸や苦み物質からは遠ざかる”とプリントに記されているのですが。個体差で、酸や苦みの周りに集まるバクテリアもいるのでしょうか?
→生物には意外なものを好む種がいるので、紹介した話はあくまでも一般的にそういう傾向がある、という話だと理解してほしい。変わったバクテリアが居るかどうかまでは、私も調べたがわからなかった。
- 基本味は甘、苦、酸、塩、辛だとおもってたのに、まさか「うま味」だったとは
うま味は日本人が発見したとは知らなかった。日本料理とか中華料理ってハンバーガーのおいしさとはちょっと違う種類のおいしさがしますねぇ。
- 人間は冬眠できますか?冬休みの間ずっと寝たいです。
→一時的に体温を下げることは出来る(そういう治療方法がある)が、普通に暮らしていたのでは無理。
- のどがかわきました。
- お酒を飲み過ぎると胃が切れますか。
→胃の粘膜を傷めることはあるかも。
- 市販の水よりも水道水の方がおいしく感じます。
→山形は水(普通の水道水も)おいしい、と言われているようだ。
- たしかに「〜の天然水」とかおいうのを知らないでコップで飲んでみたら、そのへんの水と区別が付きにくいんじゃないかと思う。〜山でとれた水だからと勝手にイメージしそうな。
→リーズナブルな価格で、怪しい宣伝抜きに味を楽しめればそれで良いのでは。
- 高校の時、生物もやっていたので、とても懐かしかったです。
- 味覚と嗅覚のしくみを知ることができて良かった。
- もう1回、高校の復習をしてみようと思った。
- レポートに向けて、いろいろと調べたい。
- 特許についての話など、ためになりました。
- 有名イコール一流ではないと思う。現在の情報化社会では、メディアとの付き合い方次第で有名とか無名とかなどどうにでもなるだろうから。
→まさにその通り。
- ゆーこ先生、家にテレビなくてひまではないのですか?
→本読んでネットつないで文章書いて……とやってると、正直、テレビを見る暇なんかない。また、活字であれば速読して、情報を得るための時間短縮ができるが、テレビから得られる情報は時間短縮ができないので不便である。始めて見る映像を早送りして効率よく情報が得られるわけではない。
- レポートのネタさがしが意外と難しい。
- 最近睡眠時間がとれず、先生の心地よいお声が夢の世界へいざなってくれるようです。レポートの課題も見つかりません。食品もレポートの対象になりますか?理系センスのない私には、毎回何度高くて大変です。
→食品でも衣類でもかまいません。疑ってみること、考えてみること、科学の使い方を少しでも身につけることが大事だから、話題は何でもよい。ただし、他で拾ってきた情報の丸写しは不可。
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