Posted on 7月 31st, 2013 by apj
古いブログエントリーへの削除要求について、どう考えるべきか迷っている。
確かに、人の前科等にかかわる事実をブログに書いて、検索して見に来た人が「Aさんは○○で逮捕された」などとわかってしまうというのは、更生という点から問題である。一定期間後に消すべきだと思うし、ネット上の忘れられる権利も認めて良いと思う。
しかし、「Aさんは既存の会社と似たような名前の会社をなのっていた」「それはB会社関連も同様だった」程度の内容だった場合どうなるのだろう。Aの名前とB会社を組み合わせて検索すると前科に関する情報が出るが、ブログを見ただけではそのことがわからない場合、この程度でも削除すべきなのだろうか。
「前科等にかかわる事実」を広く解釈し過ぎると、自由な議論や情報発信に対して制限が強くなりすぎるという弊害が出る。しかし狭く解釈し過ぎると更生の妨げになる。一体どこでバランスをとるべきなのだろう。現状の下級審裁判例も含めた相場はどのあたりなのだろう。
ウチの人文学部の判例検索室、開いてるかな……。しかし明日は午前も午後も会議だしなあ。
Filed under: 法律 | 5 Comments »
Posted on 7月 13th, 2013 by apj
今年の1月に注文した机がやっと届いた。人生できちんと机を買ったのはこれが3回目である。
最初の机は小学校に入る時に親が買ってくれたいわゆる勉強机で、引き出しや本棚がついているもので、高校卒業まで実家で使った。
2つ目の机は大学に受かって下宿する時で、学習机は移動が大変なので持って行かず新規購入した。千葉の(今は無き)セントラルプラザで、キャスター付きの使わない時は折りたたんで収納できる白い机を選んだ。天板を支える角度を3段階くらいに変えられるようになっていた。
引っ越しに備えて折りたためばすぐ運べるものを選んだのは正解で、その後寮住まいの2年間は実家で保管したことがあったが、結局今までずっと使ってきた。
ところが、最近になって狭い上に不安定で仕方がなくなってきた。
およそ三十年前に机を買った時は、パソコンがやっと普及し始めた頃で、ノートパソコンはまだ無く、パソコンは専用のパソコンラックに入れることが多かった(それをせずこたつの上に置いていた友人は熱暴走に泣いた)。学生時代にパソコンを買った時は、パソコンラックも同時購入して収納した。机には、本とノートとペン立てとスタンドが置ければ十分だった。しかし最近は、パソコンがすっかり文房具と化して常時机の上にあるのが当たり前になってしまった。ノートパソコンを使うことにしても、本来、B5ノートとA5の本くらいしか広げる予定のなかった机の上で常にA4程度の面積をとられるわけで、どうしても手狭になる。作業を楽にするために大きなディスプレイをつないだり、ゲーム用の別のディスプレイを置いたりしようとすると、もっと狭くなる。ついでに本自炊のためのスキャナまで机の上の面積を要求する。
さらに、ほかの作業の時は一時的にディスプレイの位置を変えたいので、エルゴトロンのディスプレイアームで机に固定したら、重心が上がって不安定になった。静かに置いておく分にはいいが、ちょっと揺れると机ごとひっくり返りそうになる。震度4くらいで惨事になりそうだ。しかもさすがに古くなって、足を載せる板がたわんできている。
これは狭い上に危険だということで、新しい机を探して購入することを決めたのが、今年の新年早々だった。
条件は、現状で使っているものよりは大きいものであること、どの方向からでもクランプでアームを固定できること、ディスプレイの位置を変えた時に不安定にならないこと、キャスター付きの机であること。
大して難しい条件をつけたつもりはなかったのだが、条件に合うのがなかなか見当たらなかった。
大きさとクランプで固定できる条件を満たすものは、プラスやらコクヨやら内田洋行などオフィス家具のカタログにたくさん見つかったのだが、キャスターが無いものばっかり。たまにキャスター付きパソコンデスクが見つかると、幕板のところにケーブルを収納するためのあれこれがついていたり、天板をささえる枠があってクランプ取り付けと干渉しそうだったりでやっぱりダメ。ネットを探しまくったら、GARAGEというオフィス家具の通販ショップでfantoni MEというシリーズを見つけた。
構造を見ると、テーブルの内側から斜めに脚が出ている感じで、天板のほとんどは板のまま、つまりクランプ固定し放題という素敵な仕様。製品紹介の写真はキャスター無しのものばかりだったが、サイズや天板の種類、サイドテーブルなどのオプションパーツを好きに選べると書いてあって、私が見た時はキャスター付き脚を選べると記載されていた。それで購入を決定した。
ところが、購入申し込みしようとするとキャスター付き脚が選べない。そこでお客様センターに電話したら「ちょっと前まではキャスター付き脚も売ってたのだけど販売を中止する」ということだった。私が見たキャスター脚オプションのページは、販売変更に伴ってサイトを変更していたのが直って無くて見えていたということだった。「キャスター付きが欲しくて散々探してやっと見つけたので残念だ。キャスター無し脚で買って自力でどっかに工作依頼して頑丈なキャスターを取り付けられそうな脚の構造ですか?現物どっかで見れますか」などと粘ってみら「イタリアではキャスター脚を作っているから受注生産で輸入は可能」とのこと。それで、キャスター脚・天板白色・幅160cmのものを注文した。
イタリアから船便で送るので届くのに3〜4ヶ月はかかる、と言われた。4月下旬に、GW頃に届くことを期待して「その後机どうなってますか」と電話してみた。ところが、折り返し担当者からの電話は「キャスター脚は無事に届いたんだけど天板の確保忘れてたテヘペロ」。担当者は恐縮していたが、私の方は、何だその絵に描いたようなベタな展開は、と、電話で話しながら爆笑してしまった。天板は国内販売品と共通パーツだし、即納できるって書いてあったので油断していたら、どうもたまたま売り切れたらしい。イタリアに発注はかけているということで最大2ヶ月待ちくらいだという説明だったので、3ヶ月待った商品が多少延びてもどうってことないので待つことにした。
こんないきさつで、部品が全部揃って発送できますという状態になったのが6月下旬。連休の作業の方が何かといいので本日届くように手配してもらっていた。
天板と脚が別々に梱包されて届いたのだが、やたら思い。天板は引きずるのがやっと。組み立ての注意事項として「重量があるので2人以上で組み立ててください」。カタログによると、キャスター脚じゃない方の同サイズのもので総重量45kg。ふざけんじゃねえ実験物理学者舐めんな、ってことで、古い机を拭いて畳んで片付けて部屋の床を空けてから天板を引っ張りこんで脚を取り付けた。逆さま向けて脚を取り付け、90度回すまでは楽勝。天板側にスペーサーを入れて、手が入るようにしてから気合いで立てたら何とかなった。足の上に倒してたらほぼ確実に骨折だろうし、安全靴が欲しいところではある。これで怪我したら恥だが、無事に作業終了。
昨日買っておいたビニールのテーブルマットを載せて、クランプでディスプレイ2つ、ノートパソコン1つを固定。さすがにこの重量だとびくともしない。ScanSnapを置いても余裕の広さ。安心して使える。しかし部屋は狭くなった(←当たり前だ)。
さて、部屋を広くするため自炊作業を進めるか……。
Filed under: その他 | No Comments »
Posted on 7月 5th, 2013 by apj
書き始めてから時間が経ってしまったのだけど。いろいろとひっかかることがあったのでまずは引用。
「「がんばれニッポン」が控えめにした五輪熱」より。
私は、フィギュアスケートの浅田真央選手を応援している。
がんばってほしいと思っている。
が、そう考えている一方で、彼女に対して、「真央」ないしは「真央ちゃん」と、名前呼びで語りかけるカタチの放送に、いまだに慣れることができないでいる。
あれはアスリートに対する態度ではないと思う。
安藤美姫選手は「美姫」と表記される。あるいは「ミキティ」と呼ばれる。
この呼び方も私は好きになれない。
安藤選手と、普通にそう呼んでほしい。
スポーツメディアの中では、いつの頃からなのか、女子選手に対して、名字を省略することをもって「美人選手認定」とするみたいな、異様な風潮が定着している。
名前で呼ばれる選手は、それだけ国民に愛されていて、親しまれていて、娘のように扱われている、と、そういうことになるようなのだ。
で、私は、このマナーどうしても好きになれない。どうしてスポーツをパパ目線で見なけりゃならんのだ? ばかばかしい。
「姫は城を出て母になる」より。
もうひとつ、私が違和感を持つのは、
「美姫、出産していた」
みたいな見出しの付け方だ。
一人前の女性をつかまえて、「美姫」と呼び捨てにしている。
そもそも、こんなデタラメな距離感で、マトモな記事が書けるはずがないのである。
このこと(スポーツマスコミが、女子選手を下の名前で呼び捨てにする傾向=娘呼び)については、以前、当欄でも触れたことがある。
私は、今回の安藤美姫選手の出産が、過剰に問題視されていることの背景には、この「娘呼び」が介在していると考えている。
安藤選手は、25歳になる大人の女性だ。
とすれば、誰と交際しようが、どんなカタチでいつ出産しようが本人の自由であるはずだ。
なのに、その妊娠について、あれこれ言いたがる人が多いのは、結局のところ、これまで、長い間、われわれが女子選手に、「娘」としての役割を担わせてきたことの反作用なのだ。
「浅田選手」、「安藤選手」ではなく「真央」「美姫」という見出しの付け方は、記事を書く人々が、彼女たちを「娘」ないしは「身内の子供」として扱っていることを意味している。
整理部のデスクは
「いや、文字数を節約したいということで、他意はありませんよ」
と言うかもしれない。
しかし、私は信じない。他意は、明らかに、存在している。
名前呼びの違和感というのは強烈にありまして。
名前呼びされても許せるのは、親、兄弟、叔父叔母従兄弟などの親族(名前呼びしないとお互いに姓がかぶってるもんだから誰が誰だか混乱する)、あとは子供の頃からつきあいが続いている友達とか(つきあい始めた時からお互い名前呼びだから今更変えても)。それ以外の他人から名前で呼ばれると、どうも人間関係の距離感が狂った気がしていただけない。
大学の体育会でも女子学生は名前呼びのところがあって、どうにも近寄りがたかったなあ。
恋愛小説で、作中の描写が、男性は姓を記述女性は名前になってるのが多いのは、やっぱりなにがしかのジェンダーなんでしょうかね。
Filed under: その他 | No Comments »
Posted on 7月 5th, 2013 by apj
あまりにひどいのでこっちで。
週刊文春WEBが「緊急アンケート!安藤美姫選手の出産を支持しますか?」なるものを公開している。
フィギュアスケートの安藤美姫選手が7月1日の「報道ステーション」で4月に女児を出産していたことを公表しました。また、競技に復帰し、来年のソチ五輪を目指すことをあらためて語っています。
この突然の告白に対し、出産を祝福する声が上がると同時に、まだ結婚しておらず、父親が誰かも明かさないことへの疑問や、子育ても競技も中途半端になるのではないかなどの批判もあります。そこで、下記アンケートへのご協力をお願いいたします。
1)あなたは安藤美姫選手の出産を支持しますか?
2)子育てをしながら五輪を目指すことに賛成ですか?
各質問にお答えいただき、理由も併せてお答えください。
そもそも個人の妊娠出産は、他人が支持不支持を表明するような対象じゃない。父親が誰かが重要な問題となるのは、養育費を誰が負担するかという問題の当事者である生まれてきた子供本人にとってのみであり、他人がとやかく言うことではない。子育てが中途半端になったら、子供が母親に大クレームを出してしっかりお返しするだけの話。競技が中途半端になったら、即本人の成果に跳ね返るのだから、結果は本人が引き受けるだけのこと。結果が出せなければ五輪を目指したところで出られないだけで、そんなことは本人が一番良くわかっている。
大体この選挙の前に文春は一体何をやっているのか。個人のプライバシーを土足で踏みにじるような出産の支持不支持のアンケートじゃなくて、各政党の政策の支持不支持のアンケートでもするのが本来の仕事だろう。とっとと本業に戻ってもらいたい。
【追記】
週刊文春WEBのTLが案の定大炎上してアンケートは引っ込めた。
現在、「週刊文春」メルマガ読者の皆さんにお願いしている「緊急アンケート 安藤美姫選手の出産を支持しますか?」について、抗議のご意見を多数いただいております。
女性の出産という大変デリケートな問題にもかかわらず、設問を「出産を支持しますか?」「子育てしながら五輪を目指すことに賛成ですか?」としてしまったために、出産そのものを否定したり、働きながら子育てをすることを批判しているような印象をあたえてしまいました。その点については、編集長の私の責任です。このアンケートに関して不快な思いを抱かれたすべての方にお詫び申し上げます。
今回のアンケートは中止させていただきます。ご回答をいただいた皆様にお詫び申し上げます。
「週刊文春」編集長 新谷 学
問題は、個人の出産に対して支持不支持のアンケートを行うという発想自体にあるわけで、アンケートの文言だの印象だのといった末節の部分にはない。「その点については」とあるが、じゃあそれ以外のどの点については責任が無いと言いたいのだろうね?
直接の被害者は安藤美姫さんとそのお子さんなのだから、謝罪は真っ先に安藤さんにしなければいけないのに、単にアンケートを見てゲスな内容だと思った人とターゲットにした安藤さんを同じ扱いで済まそうとしているのは、誰に被害を与えたか此の期に及んでちっともわかってないってことだよね。なんで最初に安藤さんに謝罪しないの?
というか、https://twitter.com/takuramix/status/353002379525885953で
電話して、意図を確認しました。このアンケートによって暴力的な言論、安藤美姫さんへのバッシングが強まる可能性については検討の上で、そのような事が起きても週刊文春としては構わないという判断で開催されたアンケートだという事でした。愕然…
てことは、メディアの力を利用して特定の個人を攻撃するために大勢を煽るということを故意にやってたわけだよね。このことについてスルーしてるってことは、反省してるとはいえないんじゃないの。
Filed under: その他 | No Comments »