「強命水 活」続報

msn産経ニュースより。

「がんに効く水」で罰金刑 長野の会社、薬事法違反
2014.9.8 23:15
 松本区検(長野県松本市)は8日、がんに効果があるなどとうたった飲料水を無許可で販売したとして、薬事法違反の罪で、同県諏訪市の水販売会社「エーイーエム」の菅原越雄社長(62)と法人としての同社を略式起訴した。松本簡裁は同日、菅原社長と同社にそれぞれ罰金100万円の略式命令を出し、同日納付した。

 菅原社長は8月、飲料水「強命水 活」などの商品を「がん細胞をも押さえ込む」などとウェブサイト上でうたい、無許可でインターネットを通じ販売したとして、県警に逮捕された。

 菅原社長と共謀したとして、妻(62)と長男(30)も逮捕されたが、長野地検松本支部は8日、2人を不起訴処分にした。地検は理由を明らかにしていない。

 警察も検察も条文以上のことはできません。
 
 で、この罰金は、ぼったくり商売を続けた社長にとってははした金に過ぎず、ほとんど何の影響もありません。利益を吐き出させるなら、信じて買った人達が返金訴訟を起こす以外にありません。民事で責任追及しない風潮が、インチキな水商売をのさばらせてしまう面もあります。

ニセ医療は人を殺す

YOMIURI ONLINE の記事より。
これも、来年度の講義資料で紹介するかもしれないのでメモ。

施術後に乳児が死亡…「免疫力高める」首ひねり
2014年09月06日

 大阪市淀川区で6月、「赤ちゃんの免疫力を高める」などとうたうNPO法人代表の女性(56)(新潟県上越市)から、首を強くひねるなどの施術を受けた神戸市の男児(生後4か月)が途中で意識不明になり、その後死亡したことが関係者への取材でわかった。代表はマッサージなどの国家資格を持っておらず、昨年も施術を受けた幼児が死亡していた。大阪府警は代表から事情を聞くなど死亡の詳しい経緯を調べている。

 NPOの本部は新潟県上越市にあり、代表は2003年の設立前から、乳幼児を対象に「背筋や首のゆがみを直す」などとして自ら考案した施術法を実践。東京都と大阪市淀川区にも事務所を置き、ホームページで「病気になりにくい体になる」「便秘やアトピーも治る」などと宣伝し、1時間1万円で、6000人以上に施術しているという。

 関係者によると、男児が施術を受けたのは大阪市淀川区の事務所内で今年6月2日。代表が男児を床の上にうつぶせにし、首を90度以上ひねって顔を上向きにしたり、膝に乗せて首をもんだりしていたが、施術を始めてから約45分後に男児の呼吸が止まった。スタッフの通報で救急搬送されたが、低酸素脳症による多臓器不全で同8日に死亡した。

 男児の母親も付き添っていたが、全ての施術は見ていなかった。

 病院から連絡を受けた大阪府警が関係者から事情を聞くなどしたところ、昨年にも新潟県で代表の施術を受けた幼児が死亡していたことがわかったという。

 代表は、子育てに悩む母親ら向けに著書も出版。「背筋が伸びて自律神経の働きが増す」抱き方として、乳児を対面する格好で体だけ支え、頭を後ろにそらせる方法などを推奨していた。施術方法や抱き方を教える講座も開き、受講者の中には、障害を持つ子どもの母親らも多いという。

 代表はその後も東京都などで希望者を対象に施術を続けており、8月中旬、読売新聞の取材に対し、「亡くなったことは悲しいが、原因はよくわからない。今後も(施術を)続けていくつもりだ」と話している。

「整体で発育」根拠乏しく

 〈脳の成長を促す〉〈夜泣きがなくなる〉。近年、インターネット上で乳幼児向けの整体やマッサージの効果を宣伝する業者が目立っているが、医学的根拠に乏しいとみられる方法も少なくない。これまで大人向けに行っていた整体院などが始めているとみられるが、厚生労働省も「実態は全くわからない」という。

 同省によると、医師以外でマッサージなどをできるのは法律で「あん摩マッサージ指圧師」などの国家資格保有者と規定。健康増進を目的に骨格を矯正する整体などは法的な資格がないため、十分な知識がなく施術するケースも多い。大人でも骨折など健康被害を受けることがあり、乳児は危険度が高まるとみられる。

 ただ、マッサージの定義は法的に曖昧で、無資格でも「人体に危害を及ぼすおそれ」がないと処罰対象にならないという。
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 まず、アトピーはアレルギー反応の1つで、アレルギー反応とは免疫反応が過剰になることで起きるのに、「免疫力を高め」たりしたらますます酷いことになりそうな予感しかしない(それ以前に、「免疫力」って一体何?という疑問もあるが)。
 赤ん坊を育てる時は、首が据わってしっかりしてくるまでそっと寝かせておく、というのが昔から伝わる方法で、旅行で連れ回すといったリスクを上げる行動もしないことが推奨されていたはずだが、首をひねるって一体……。しかも代表は施術のせいだと認めていないので、今後も被害が出る可能性がある。
 デスクワークやパソコン作業で肩こり腰痛に悩まされてる大人ならともかく、生まれたばっかりの赤ん坊の背筋をどうこうする必要は全く無い。ストレッチ以前に、骨はまだ軟らかいし筋肉の発達もこれからだし、第一背中や肩が凝るような姿勢もとっていない。
 施術法にしても代表が考案しただけでエビデンスが無い。効果があるかないかわからないもののために命を落とすというのがニセ医療の怖いところ。「病気になりにくいどころかもう病気の心配はありません(死んじゃったから)」的な恐さがある。