パーソナルツール
現在位置: 水商売ウォッチング / アルカリイオン水・強電解水・水素水 / 国民生活センターのテストへの反論へのコメント(2017/04/14)
ナビゲーション
 

国民生活センターのテストへの反論へのコメント(2017/04/14)

 

【注意】このページの内容は商品の説明ではありません。商品説明中に出てくる水の科学の話について、水・液体の研究者の立場から議論しているものです。製品説明は、議論の最後にある、販売会社のページを見てください。

国民生活センターが水素水についてテストをした結果を公表したことについて、事業者側からの反論が掲載されている。(http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20161215_2.htmlの後半部分)この反論へのコメントをまとめておく。

その前に議論の前提をまとめておく。水素水の生理作用については、培養細胞による実験、動物実験、臨床試験など多数の研究が行われている。これらのうち、人に対する効果(有用性)の裏付けとなるのは、臨床試験のみである。臨床試験は、治療したい病気ごとに行わなければならない。もし、健康な人に対して病気予防の効果などを示したい場合は、健康な人を集めた臨床試験をしなければならない。ある特定の病気に効果があることがわかったとしても、その結果を、健康な人に対するその病気の予防効果がある、などと関連づけて言ってはいけない。

「株式会社富士計器」のコメントについて

しかし、折角の情報網を活用されず、消費者の目に留まる機会が多い商品が選定されたことは納得できるものではありません。

国センの説明では、「上位に多く表示され、消費者が目にする機会が多いと考えられる、水素水や水素水を作ることができるとうたった、容器入り10銘柄(表1、写真1参照)と生成器9銘柄(表2、写真2参照)、計19銘柄をテスト対象としました。」とある。つまり、水素水として売られている主な商品の性能(?)の相場を調査することが目的であったと考えられる。国センから、消費者の目に留まる機会が多い商品、と判断されたのだから、ある意味、「株式会社富士計器」の宣伝は成功しているともいえる。

商品テストを受け、表示の指導及び改善を明確にされた19社は、今回の報道により「会社名及び商品名」が「国民生活センター」に取り上げられた商品としてマイナスのイメージを全国へ与える結果となり、報道後から日々、マイナス看板を背負った企業経営をしている状況です。

事実が明らかになったら困るような商売をしていたという自白だろうこれは。何を開き直っているのだか。表示の指導も改善も必要ない範囲で宣伝して売っていればよかっただけの話。

水素水はただの水との認識が独り歩きしている状態だと感じられます。

水素の効果がまだはっきりしないし、特に、健康な人への効果がまったく確認されていないのに、なんとなく健康そうという風評に乗っかって売っていたのがおかしいわけで、現状、どう考えてもただの水でしかない。

しかし、報道では「表示への指導=商品に効果無し」が混在している状態です。すなわち水素水は何の意味もない商品であったかのような内容となっています。

将来の研究で何らかの意味があることがわかる*かも*しれないが、今は、一般の人にとっては何の意味もない、が正解である。報道機関にどう伝わったかを問題にしているが、いつでも詳細な内容を確認できるように、33ページの報道発表資料が公開されている。これで伝わらないとか誤解されるというのであれば、具体的に資料の問題点を指摘すれば良いが、それをしないのはなぜだろう。

また、国民生活センターでは、報道発表させる際、事前に報道内容に間違いが無いようにするため、各機関の報道内容を確認されているのでしょうか。例えば、新聞であれば原稿、テレビであれば台本・テロップ・フリップなど、報道機関に対する事前チェックはどうなっているのでしょうか。

国民生活センターは政府機関である。株式会社富士計器は、報道内容について事前に政府機関がチェックせよと主張しているわけだが、それは検閲といって、日本国憲法第21条に、やってはいけないとはっきり書いてある。株式会社富士計器は、政府機関に向かって憲法に違反せよと要求する民間企業ということになってしまっているが、このクレームを出すときによく考えなかったのだろうか。

もし、このクレームを送る前に弁護士にチェックしてもらっていれば、堂々と検閲を要求したってそんなもの無理だという指摘があったのではないか。見てもらったけど意見を無視して送ったのか、最初から見てもらっていないのか私には知るよしもないのだけど。この手の商材を扱っている会社が、宣伝のぎりぎりを狙った結果、景表法・特商法・薬事法・健康増進法あたりにひっかかるというのはまあ予想の範囲だけど、いきなり憲法に喧嘩を売るというのは、なかなかに豪快だと思うし私も初めて見た。政府機関に対して憲法に抵触する行為をせよと求める会社のコンプライアンスがどうなっているかについては大いに疑問を抱かざるを得ない。そもそも法令知らなきゃ守りようがないわけで。

 P.8(2)溶存水素濃度説明文中に、「なお、溶存水素濃度の測定方法には、公定法がありませんので」との記述があります。試験方法に公定基準や公定測定方法が存在しない中での、濃度テスト判定公表は、時期尚早であり、行政側での基準策定後による試験が望ましいと考えます。

濃度試験の基準もない=売り文句である水素がそもそもどれだけ入っているか企業側だって押さえられない、ということだが、その意味をわかって言ってるのか。標準に基づいた品質管理は不可能、と言っているに等しいわけだが。ならば、そういう商品を消費者に売ること自体が間違いである。先に業界内で水素の公定法をJISか何かで定めて、商品の試験をできるようにしてから販売すべきだろう。

商品の表示改善を主とした報道となっておりますが、それならば、商品を選定し調査した段階で、まずは事前勧告をする必要性はなかったのでしょうか。突然、アンケートが送られて来て、調査に使用される事は分かりましたが、実際に商品テストをするとの情報や表示に関する調査については一切教えられずに商品テスト後、報道発表された状態です。何故、事前に何をするかについての情報を与えなかったのか、疑問が残ります。

抜き打ちで検査されては困るような商品を売っていたという主張だろうか。そんなものを広く販売されては消費者が困るのだが。

その為、今回の正当性の無い商品テスト結果を公表されたことにより、消費者は全ての情報が正しいと判断しております。

そもそも、健康な人にどんな効果があるのかもはっきりしない水素水製造装置を売ることに、どんな正当性があるのか説明してもらいたいものだ。

「株式会社ゴーダ水処理技研」のコメントについて

JIS規格でも基準を早期に設定していただくことが、一般消費者様への安心につながるものと考えております。

 弊社としましては水素水溶存濃度規格基準化を希望しております。

https://www.jisc.go.jp/jis-act/proposal.htmlを見ると、「工業標準化法では、民間団体等の利害関係人が自発的に工業標準原案(JIS原案)を作成し、主務大臣 に申し出ることができる旨定めています(同法第12条)。」とある。つまり、水素水や水素水製造装置を販売している事業者が業界団体を作って工業標準制定に動けば良いということ。なぜ肝心のところを他人まかせにする発言をしているのか。

「株式会社日省エンジニアリング」のコメントについて

商品テスト部で測定した結果は、ボトルの電解膜が馴染んでいない状態で測定したと考えられます。商品テストの結果説明の際、当社より提供した製品と比較するよう要望しましたが、「要望は伝えますが約束できない」として今日に至っております。何故でしょう、商品テスト部の測定結果と異なる数値が表示されるのを恐れているのではありませんか。消費者に公表する以上、少しでも疑義が生じた場合細心の注意を払い再測定するのが国民生活センターの努めではありませんか。
水道水で測定したとのことですが、弊社では経験上ミネラルウォーターと水道水では水素濃度に違いがある事を確認しております。同一の水温で測定した場合、水道水では濃度が低めに表示されます。又、水道水は地域、天候、水質によりばらつきがあり、日本における相模原市の水道水を標準検体として使用し公表してもよいのでしょうか。

試験条件は、消費者が実際に使用する条件でないと意味がない。なじませてから、というのが一般の消費者の使用条件として守られているのであれば、会社の主張が正しい。しかし、水道水を使うことで結果が変動するというのを問題にするのは違うのではないか。水道水の方が水素濃度が低く出るし、組成の変動でも違ってくる、宣伝では水道水でない水で出たデータを使っている、ということなら、消費者には、水素水製造装置に水道水を入れるな、ミネラルウォーターを使え、とあらかじめ言っておかなければいけないはずだ(そうでなければ、触れ込み通りの水素濃度が出ない条件で使ってしまうことになる)。

測定方法についての定義は確立されておらず、会社によって測定条件に違いがあります。

 商品テスト部は、その確率されていない定義にも係わらず商品テスト部が設定した定義により測定されていますが、実際に正しい測定方法なのでしょうか。

正しい測定方法とやらを売る側がそもそも持っていない状態で、消費者に向かって水素濃度を提示して商品を売ってちゃいかんだろう。その宣伝の数値が当てにならないということなのだから。

1. ユニセンス社の測定器で測定されていますが、日本において溶存水素測定器の販売台数の多いトラストレックス社や東亜DKK社、共栄電子研究所社に対しユニセンス社との測定値の差異について尋ねたところ各社ともユニセンス社と同等の値であるとの回答を得ております。
2. しかしながら、各社が公表している数値より商品テスト部が測定した数値の多くが異なった数値となっており大きな問題と考えられます。
3. 商品テスト部は保有のユニセンス社の測定器の信頼性を疑わず、他社測定器メーカーの測定器との整合性を調べずユニセンス社で測定した結果のみを公表するのは、消費者に絶大な影響力のある国民生活センターとしては配慮に欠け容認できる範囲を逸脱した暴挙といえます。
4. ユニセンス社の測定器は電極を3ヶ月毎に交換する必要がありますが、定期的に電極の交換はなされておられるのでしょうか。その測定器についての信頼性について提示して頂きたい。
5. ガスクロでの測定はガスを測定するもので溶存水素を測定するには不向きと考えられます。又、前処理操作における誤差が生じやすいとされております。
6. 当社は、当社が採用している簡便な測定器(トラストレックス社製ENH-1000)が普及することで消費者自身が容易に測定できると判断し、その測定器の販売に努めております。

電極がどうだったかというのはチェックすべき項目ではある。装置の校正結果と併せて明らかにすべきところだろう。他社装置で測った結果を出すというのはこの場合はそれほど重要ではない。校正が正しく行われていればどの会社の装置でも(誤差の範囲で)結果は一致するはずなので、校正の有無の方が重要だろう。

トラストレックス社製ENH-1000が、他社の溶存水素測定器と同じ値を出すのかどうかについては何も言ってないが、装置の性能次第では、消費者が測った値もあてにならないということになる。

「株式会社ガウラ」のコメントについて

 水素濃度の測定について、JIS規格その他の測定基準や濃度の表示基準が定められていないことが問題であると考えております。現在は、測定基準や表示基準が無いため、業者ごとに独自の基準で測定や表示が行われていますが、測定方法や使用する水の水質などの測定の条件が各社で異なり、さらに、表示の方法も異なるため、製品を比較するための正しい情報を消費者に提供することができていない場合があるのではないかと思われます。

業界標準がないことが問題、という主張はその通りで、他社の意見にも同様のものがある。業界共通の問題だろう。

「ビクトリージャパン株式会社」のコメントについて

国民生活センターが検体として選択された製品、ひいては対象製品の企業が、直接に“風評被害”を被ることを強く懸念しております。

健康な人に対する水素水の効果についての確たる証拠が何一つないのだから、水素水で商売するということは、風評で商売している以外にあり得ない。それで利益を得ていることについては棚に上げるということか。風評で売れているものを買う羽目になっている消費者の懐こそ風評被害を被っているわけだが。

「株式会社日本トリム」のコメントについて

しかしながら、管理医療機器生成器は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)のもと、管理医療機器(連続式電解水生成器)として必要な認証(TRIM ION HYPER/医療機器製造販売認証番号:226AGBZX00012000)を受けたものですので、これを容器入り水素水やその他生成器と同列に扱うことは妥当ではありません。

連続式電解水生成器の医療機器基準情報は、 http://www.std.pmda.go.jp/scripts/stdDB/JMDN/stdDB_jmdn_resr.cgi?Sig=1&Select=1&jmdn_no=4018&kjn_no=10360 にある。このリンク先の別表 http://www.std.pmda.go.jp/scripts/stdDB/kijyun/stdDB_kijyun_resframe_main.cgi?s_sig=2&chk_kjn=ninsyou&search_etc=1300360%3A%92%99%91%85%8E%AE%93d%89%F0%90%85%90%B6%90%AC%8A%ED%93%99 を見ると、使用目的又は効果として「胃腸症状改善のための飲用アルカリ性電解水の生成。一般家庭で使用すること。」とある。つまり、水素水を製造するための装置ではないということである。認証機器なので別に扱え、というのであれば、水素水ができるといった宣伝は行わないのが妥当だろう。なぜなら、水素水については基準には含まれていないからである。従って、他の水素水製造装置と並べて扱うべきでないという会社の主張は筋が通っている。水素水製造装置としての宣伝を一切していないという前提が満たされればの話だが。

ところで、株式会社日本トリムは、元日本医科大教授の太田成男氏が「本物の水素水とインチキ水素水」というタイトルでブログを書いて、水素濃度が表示通りであるものの中にトリム社の製品を入れなかった(=表示以下であったということ)、という理由で、損害賠償と謝罪文の掲載を要求して提訴した(2017/04/13付の産経WESTの報道)。これは、管理医療機器である(電解水製造装置として認証を受けている)から水素水製造装置と一緒にするなと国センにクレームを入れたことと矛盾している。もともと水素水製造装置ではなく、別扱いにすべき管理医療機器だというのなら、水素の濃度が触れ込みと違うというのは些末なことに過ぎない。それで返品があったから訴えるというのは、どうみてもおかしい。水素水製造装置と一緒にするな、というのなら、水素濃度が違ってたって、そもそも製造装置じゃないんだからかまわないはずだし、水素濃度を宣伝に入れたこと自体がおかしい。

(1)その記載自体、「(基礎研究)」や「研究が行われています。」といった文言のとおり、研究途上にある旨の記載であって健康保持増進効果等があることを示すものではありません。
(2)そもそも、当社の管理医療機器生成器の商品販売ウェブサイトに掲載されているものではなく、コーポレートウェブサイトの情報提供のページに記載されたものであります。

研究中である、ということは、効果についてははっきりした証拠はまだ無いということである。消費者が欲しいのははっきりした効果なのだから、研究中では意味がない。研究中、と敢えて書くということは、安全性は確認されて認可もとれていけれど効果については確認が不十分かつ不完全な商品を売っています、という意味にしかならない。そんなものをなぜ載せておくのか。また、消費者への情報提供なら、研究中などという婉曲表現をせずに、胃腸症状改善以外の効果については未確認ですとはっきり述べておいてもらいたい。研究も積極的にやる会社です、というブランドイメージを確立したいのであれば、もうちょっと言いようがあるはずだ。

水素の定量方法についての補足

なお、水素の定量方法の(工業的な)標準が存在しないわけではないが、飲料水用のものは無さそう。代わりといっては何だが、あるのは「日本原子力学会標準 加圧水型原子炉一次冷却水の化学分析方法 ー 溶存水素:2010 AESC-SC-S003:2010」だったりする(14ページしかないのに3333円もしたぞこの資料)。読むと、隔膜電極法あるいはガス抽出法(ガスクロマトグラフを用いる)のいずれかで実施することになっている。分析上限は60cm3/kg、分析下限は1cm3/kgとされている。ただしこの制限は、分析原理上の制限によるものではなく、原子炉の出力運転時の一次冷却水の溶存水素濃度が15〜50cm3/kgの範囲で管理されていることによる。

水素を一次冷却水に添加する理由は、放射線で水が分解して過酸化水素が発生するのを防ぐためである。この分析方法は、原子炉運転に伴い水素濃度が変動するのを監視する目的で定められている。