「グレースユニオン株式会社」へのコメント（2003/11/14）

【注意】このページの内容は商品の説明ではありません。商品説明中に出てくる水の科学の話について、水・液体の研究者の立場から議論しているものです。製品説明は、議論の最後にある、販売会社のページを見てください。

　パイププロテクターという名前の磁気活水器を扱っている。フレコミでは，

アメリカ合衆国・沿岸警備隊司令部および沿岸警備隊技術者の長期に渡る研究・検証の結果、その確実な効果と実用性・利便性を認められ、1993年8月に沿岸警備隊司令部より中・高航続距離沿岸警備艇と砕氷船に対して艦艇変更、つまりパイププロテクター搭載の命令を発行されています。

とされていて，書類のコピーらしき画像が掲載されているが，画像が小さ過ぎて何が書いてあるのか読めない。拡大して全部読めるものを載せてほしい。艦艇変更があったことが事実としても，それがパイププロテクター搭載命令なのかどうかは書類を見るまではわからないから，「つまり・・・」と言われても困る。また，搭載の理由が何であるかも不明である。製品を作ったのはアメリカのMagnegen Systems Inc.という会社だと書いてある。

　この会社も，他の会社と同様に，水の説明は間違いだらけである。「磁気活性水（磁化水）とは？」を読むと，

磁気活性水とは、磁気の働きによって磁化され活性化された水を指します。

と，お決まりの文句がいきなり出てくるが，水は反磁性体なので磁石を通しても磁化されないし，活性化というのも曖昧な表現である。大体，活性のある物質なんて，化学反応しやすいって意味だから，どっちかというと劇物の類（たとえば活性酸素など）なんですけどね。

磁化水は通常の水と比較して、水のクラスター（水の分子集団）が非常に小さくなっており、水分子そのものの繋がりも六角形を形作る“構造を持った水”であるといわれています。

も，言われているだけの単なる都市伝説である。水分子が６角形の構造を持った水だというモデルは，いまのところまともな研究者はだれ一人として認めていない。また，液体の状態で水クラスターのサイズを決める方法はないし，そもそもそういうものが定義できるかどうかも不明である。

　磁化水の研究者として挙げられている「理学博士であり信州大学名誉教授の松崎五三男氏」は，これまで松崎氏が主張したとされる内容（私は直接本人の説明をきいたわけではなく，企業の宣伝を通して知ったものである）を見る限り，水についてまともな知識を持っていないし，現在の水の研究がどうなっているかも全くご存知無いように見受けられる。松崎氏は，磁気水の研究について，専門家の査読をパスした論文をどれだけ出しているのだろうか。少なくとも液体の研究では名前をきいたこともないのだが。この松崎氏が主張したとされる内容が，箇条書きで掲載されていて，以下のようなものである。

●磁化水の水のクラスターが平均して６個程度になっている。
（自然界の水は平均12個、水道水等は30〜50個ともいわれている）
●磁化水は、毛細血管や細胞膜等の極微細な部分に容易に入り込むことができる。
（磁化水のクラスターが小さく浸透力が増大した結果）
●磁化水の常用によって血液のクラスターも小さくなり、血液がサラサラになる。
●磁化水は、血液の粘度を下げ、血栓の発生を防止し、血管内部の脂肪分を溶かし出す。
（溶解力の増大により、血栓や脂肪分が溶解される）
●磁化水は、体内の活性酸素を抑制する効果がある。
（磁化水は酸化還元電位が低く、活性酸素を無害な酸素に戻す働きがある）

　まず，自然界の水や水道水のクラスターサイズとされているものには何の根拠もない。従って，クラスターが小さいと浸透力が増すというのも間違っている。磁化水の常用で血液がサラサラにになるなら，病院でMRIの検査を受けた人もみんな血液がサラサラになるはずだが，そんなことはない。血液の粘度は，正常な人であれば，単に水を飲んだだけで変わるので，磁気水とも水クラスターとも関係がない。その次の血栓云々も同様である。また，活性酸素抑制と酸化還元電位はほとんど無関係である。水の酸化還元電位の値は，水に混じっている不純物のイオン化傾向によって来まり，不純物の量と成分によって変化する。水を飲んでも，体内に取り込まれた後は，体の都合で電解質濃度などが保たれるようになっているので，元の水の酸化還元電位がどうであったかということはほとんど意味がない，一方，活性酸素は非常に反応性に富んでいて何とでも反応するので，体の中で必要に応じて作られ，必要がなくなれば分解される。活性酸素の寿命は，活性酸素の周りの溶媒に何が溶けているかによって変わるだけである。寿命が短い活性酸素だけに，体内で抑制されていることを実測するのは相当に難しいと思うが，一体どういう実験を根拠にしてこんなことを主張しているのか，松崎氏にぜひおききしたいものだ。

　会社が書いた説明の

また、磁化水の電荷はプラスの方向に高く、藻類や菌類の発生を抑制する効果があります。

も意味不明である。水は全体としてみた場合，電気的に中性であって，電荷がプラスの方向に高くなるようなことは生じない。一時的に電荷の偏りが生じたとしても，反対側には反対の電荷ができるが，水分子や不純物として溶けているイオンが偏りを打ち消すように動くので，なくなってしまう。

　磁気活性水の水のクラスターの説明のページもおかしい。

クラスターは一兆分の一という短い時間の中で形成・崩壊を繰り返しながらもある程度の数を保って存在しています。このクラスターの集まりが大きくなればなるほどそこにすき間が生じ、余計な物質が入り込む余地が大きくなり、さらにクラスターを大きくすることになります。

　前半はいいが，後半は間違いだ。すき間があることによって物が入り込むあわけではない。水に水以外のものが溶けるときは，分子レベルでは，単に水の水素結合ネットワーク構造を壊して入り込むものから，新たに水と水素結合を形成して混じるものまでいろいろある。こういった溶質のまわりの水分子はその影響を受けるが，希薄な溶液であれば，溶質の影響を受けない水分子も大量に存在し，その部分の水素結合の状態は何も溶けていなかったときと変わらない。

　『大きくなった水』は浸透性が低くなる上に、その中に抱え込んだ化学物質や有機物などを直接人体に運び入れることになるのです。

　これも意味不明だ。人体に何が吸収されるかは，溶けている不純物そのものの性質によって決まる。浸透性云々が浸透圧のようなものを考えているのなら，浸透性が低い，と言えなくもない。というのは，半透膜を介して片側が純水，片側が不純物を含んだ水にすると，純水側の水が不純物を含んだ水の方に移動するからだ。しかしこの場合，不純物は元の側からは移動しないので，やはり上記の説明は何のことだかわからない。まあ，その前に，ここでいう浸透性の定義と，それを一体どうやって測定したのか知りたいところではある。

　「パイププロテクターの磁力線の流れと取付例」も謎である。何もしない状態で磁力線の状態が図の通りだとしても，取り付けた部分の金属材料が鉄のような磁性体だったら，磁束は図に書かれたような状態を保てず，大部分が鉄の内部を通過してしまい，水にはほとんど磁場がかからないはずだ。しかし，取り付け位置の材料については何も触れられていない。

　健康や美容に関する体験談を掲載しているが，これも無意味である。書かれているようなことが事実であったとしても，そういうことは水とは無関係に起こりうることばかりである。たくさんの人が使っていれば，中には，磁気活水器を使い始めたのと同じ時期に症状が改善する人も出て来るだろう。だからといって，それが磁気水の効果であるとはいえない。病院に通った効果によるかもしれないからだ。だから，効果が本当に水によるものであることをいうには，臨床試験をしなければならない。体験談では，効果の有無の証拠にはならない。

　どうしてわざわざ科学的に間違った説明をくっつけて製品を売ろうとするのかが謎である。

【2006/09/11　追記】

　削除依頼が２通来た。１通目。

２通目が来た。

　上記２通の到着を確認したのは、本日９月11日午前中であった。そこで、念のため２通を引用し、次のような返事を送信した。

　ところが、９日付けのメールの宛先
From: "Grace union" <union@osaka.inteq.or.jp>
に送信すると
<union@osaka.inteq.or.jp>: Name service error for osaka.inteq.or.jp: Host not found
というエラーで送信できず。11日付けのメールは、
From: "Grace union.com" <g-union@gol.com>
となっていたので、今度はこちらに送ってみると、
<g-union@gol.com>: host mx.mail.gol.com[203.216.5.80] said: 550 Mailbox full (for a long time)
となって送信できず。

　私としては、誰が送ってきているのかはっきりするまでは削除も変更もpendingにする。メールを送っても到達しないので、仕方がないから掲示板の方に状況を全部書いた。そうしたら、まったく見ていないのか、次のようなメールが来た。

　これに返事をしてもやっぱりさっきと同じエラーで到達しない。必要な情報が得られない以上、pendingにするしかない。念のため、掲示板の方にも書いてから、このページにも追記しておく。

　悪マニさんとこで、最近この会社に動きが無かったか問い合わせたら、問題の磁気活水器のスーパーマックスUSA社の公式サイトの、会社概要を見ると、

本　　社　〒276-0028　千葉県八千代市村上4489-2
　　　　　TEL 047-480-2233 FAX 0120-7-11328
　　　　　e-mail : information@supermaxusa.com

大阪支店　〒540-0029　大阪府大阪市中央区本町橋7-18
　　　　　TEL 06-6941-0901 FAX 0120-66-4532
　　　　　e-mail : osaka@supermaxusa.com

となっていて、大阪支店の住所はグレースユニオン株式会社とまったく同じである。退職した社員が勝手にやったと主張されても、これで信じろというのはちょっと無理がある。ちなみにこの住所付近の地図はこれで、航空写真はこれ。従業員募集をしていた頃の住所はこの住所にある名阪第２ビル２階となっていたが……。納得いく説明をしてほしい。

　なお、グレースユニオン株式会社は、過去にこんなメールマガジンを発行していた。

(発行日：2003/12/19 15:01:02，発行部数：48)

 

代理店勉強会通信　　　ＶＯＬ１
　 ------------------------------------------------------------------

☆ こんなに売れました。こうやって売りました。
　　これからどうやって売りましょうか！☆

　　　高額の磁気活水器を６年間で
　　　　一般家庭８万世帯、法人５０００社以上に納入した
　　　　失敗と成功のストーリー。
　　　　これからも売り続けるノウハウを共に考えていきましょう。
　　　　　
　　　　　　　　　　　http://www.graceunion-co.com
------------------------------------------------------------------

グレースユニオン株式会社です。
　大阪のど真ん中に事務所を構え、今月２０周年を迎えました♪

　６年前にたった一人で始めました。
　　最初はぜんぜん売れませんでした。
　　失敗もいっぱいありました。
　　でも今は成功しています。
　
　私どもの扱っているものは、磁気活水器という水を処理する装置です。
　　私どもは、この磁気活水器をこの６年間でたくさん売りました。
　　この装置は、家庭用は２８万円、事業所用では、１台５２万円と
　　　決して安いものではありません。

　こんなに売れたのは、代理店の皆様と一緒に頑張ってきたおかげです。
　　これからももっともっと売れるように、
　　今までのことを振り返りながら、
　　今後のことを考えていきたいと思います。
　　どうぞ最後までお付き合いください（＾＾）

━━━━━━━━[2003年12月　ＶＯＬ１]━━━━━━━━━━━-----------------------------------------------------------------

■目次■　
【1】 成功の秘訣♪
【2】磁気活水器との出会い！　　　
【3】《イベント》のご案内！

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◎●◎━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◎●◎

【1】成功の秘訣♪

◎●◎━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◎●◎

成功の秘訣は、
　　まず第一に、商品が本当にすばらしいことです。
　　次に、販売のシステムがよくできていることです。

　成功により得たものは、
　　１．地球環境の保全に貢献できたこと
　　　　　購入した人たちが、洗剤や薬品の使用を減らすことにより
　　　　　自ら流す排水を浄化したことによる。

　　２．皆様の健康増進のお役に立てたこと
　　　　　磁化水の愛飲による慢性病の改善や体調の維持が図られ
　　　　　大変喜んでいただいております。

　　３．皆様の経済の健康に寄与できたこと
　　　　　私どもからこのビジネスを伝えた方々も思わぬ収入増により>
　　　　　経済的に豊かになられました。
　　　　
◎●◎━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◎●◎

【2】磁気活水器との出会い！（社長談）

◎●◎━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◎●◎t
　　1.息子が帰国
　　　アメリカで事業をしていた息子がアメリカ製の磁気活水器を日本で
　　　販売するということで、２０年ぶりに帰国しました。

　　２.磁気活水器との出会いt
　　　ちょうどそのころ、会社の方でも活水器の販売を検討していました。
　　　そんな中、息子から磁石で水が良くなると聞き、そんな「バカな」
　　　と思いながら半信半疑で、磁気活水器を自宅に取り付けました。

　　３.商品に確信
　　　その後、さまざまな変化があり、この商品は間違いのないものと
　　　確信しました。

◎●◎━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◎●◎　
　
【3】《イベント》のご案内！

◎●◎━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◎●◎

　　新春特別説明会のご案内(要予約)
　　　来年早々ですが、全国6ヶ所で特別説明会があります。
　　　これから購入を検討されている方も
　　　ビジネスへの参加を検討されている方も
　　　お気軽にご予約ください。

　　　　　１月　５日（月）　大阪
　　　　　１月１０日（土）　東京
　　　　　１月１２日（月）　福島
　　　　　１月１７日（土）　札幌
　　　　　１月１８日（日）　福岡
　　　　　１月２５日（日）　新潟

　　　ちなみに大阪では、

　　　　日時：１月５日（月）１３：００〜
　　　　場所：大阪全日空ホテル（大阪市北区堂島）
　　　　会費：５０００円（食事つき）

◎●◎━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◎●◎
　《編集後記》
　　最後までお読みいただきありがとうございました。
　　次号からは、もっと具体的にくわしくふれていきますので
　　おつきあいよろしくお願いします。

◎●◎━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◎●◎
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☆ こんなに売れました。こうやって売りました。
　　これからどうやって売りましょうか！☆

　高額の磁気活水器を６年間で
　　　一般家庭８万世帯、法人５０００社以上に納入した
　　　失敗と成功のストーリー。
　　　これからも売り続けるノウハウを共に考えていきましょう。
　
発行：グレースユニオン株式会社
　　　　　大阪市中央区本町橋７−１８
　　　　　Tel.０６−６９４１−２６４５
　　　　　Fax.０６−６９４１−６９５９
　　　　　E-mail：union@osaka.interq.or.jp
　　　　　ＵＲＬ：http://www.graceunion-co.com

　「当事者は数年前に退職し現在は在籍しておりません」どころか、この会社の創業者が自分から率先して磁気活水器を売りまくっていたように見える。削除依頼のメールとはずいぶん違う話なので、納得いく説明をしてほしい。

　悪マニさんとこで訊いてたら、beyondさん経由で登記情報が出てきた。

グレースユニオン
代表取締役 柴田美智子（住所は奈良県）
取締役 柴田英機
監査役 柴田伊万里
他

スーパーマックスＵＳＡ
代表取締役 柴田英機（住所は千葉県）
他

　メールマガジンの内容と、柴田英機氏の著書をあわせると、メールマガジン中の息子＝柴田英機氏ということになる。
　いつの時点の登記情報かにもよるけど、削除依頼メールの主張とはかなり状況が違うのではないか。
　　×従業員が勝手に販売
　　○社長自ら率先して磁気活水器を販売
　　×当事者は数年前に退職し現在は在籍しておりません
　　○退職どころか取締役をしている
というのが事実ということになりそうだが……。

【2006/09/12　追記】

一日経って、いろいろやりとりがあったのだが、結局削除はしないことになった。経過の説明のため、以下にやりとりを掲載する。なお、改行位置を若干変更した。また、誤字訂正のため１通多く私が送信したが、その部分は訂正を加えてある。

　さらに、

　この２通のメールに対して、私は次のような返信をした（引用符と改行位置を見やすくするため変更してある）。

　話が進まなかったのでメールには書かなかったが、私が指摘したのは、スーパーマックスUSAの代表取締役として登記されている柴田英機氏が、グレースユニオン株式会社の取締役に平成17年3月10に就任したことがその翌日付で登記され、退任したという登記は無い（従って現在も取締役である）ということである。グレースユニオン株式会社の代表取締役である柴田美智子氏のことを言っているのではない。この点、誤解があるようである。

　追伸については、次のような返事を書いた。

　これに対して、次のような返信があった。 メッセージの後の方は、私が送った内容がそのまま引用されているだけなので省略する。

　相手があきらめてしまったので、今回は、元のウェブコンテンツの内容については当面このままとし、グレースユニオン株式会社の宣伝ページが復活してから、内容を確認し、改めてその内容に合った変更を行うことにする。

　今回、会社を名乗って送られたメールには、社会通念上、到底通常のビジネスメールとは考えられない内容と表現が続出している。しかし、会社名を明示しているため私的メールとして扱うことはできない。削除要求への対応の報告も兼ねて公開しておく。ただ、ネットでのことで、最後まで担当者が名乗らなかったため、本当に当該企業の従業員が送信したかどうかを確認する方法はない（なお、以前にも似たような案件があったが、その時は会社側担当者は名前を示し、私はメール公開時に担当者名をすべて伏せ字にした。会社とのやりとりにおいて、登記されている役員以外は原則として氏名非公開としている）。
　 もし、このような内容のメールを送信する従業員に全く心当たりがない場合は、会社の代表権ある役員が直接連絡してくださった場合に限り、事実関係の確認及び会社として当該人物に対してとられた措置の確認の後、このページの削除要求関連部分のメールのやりとりについて、削除するつもりである。

　最初から最後まで、向こうからやって来るのはまるで友達と話をしているかのようなメールで、権利侵害やら利害対立をめぐって交渉するというのとはかけ離れたものであったため、本当に従業員がメールを送ってきていたのかどうか、正直なところ私は疑っている。