資料:強磁場新機能ニュースレター
カテゴリ | 報告書 |
資料名 |
強磁場新機能ニュースレター No.5, July 9,2004 |
要約 |
【口頭発表】
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コメント |
まず,今回発表された研究成果のほとんどは,10T級の超電導電磁石を使用した実験結果である。この程度の磁場をかけて,やっと観測できる現象が起きるということなのだ(特にバルク水)。磁場のエネルギーが磁束密度の2乗に比例することを考えると,永久磁石を使ったのでは見ることができない現象なので,いわゆる磁気活水器を使っても現象が起きるだろうという考えは捨てていただきたい。 実用的なのは,水や高分子材料等の反磁性磁化率が小さくても強磁場勾配をかければ有効な大きさの力になるというもので,材料製作や分析への利用が研究されている(本来の「強磁場新機能の開発」はこっちがメインじゃないかなあ)。対流の制御は目に見えて面白かった。 まとめのときに,「水」といっても,精製の方法やどの不純物を徹底して除くかは実験ごとに異なっているので,どういう「水」かをはっきりさせてからでないと議論にならない,という意見が出ていた。 話をきいた印象では,反磁性磁化率を使う話は技術として確立していくだろうけど,バルクの水(純水)に磁場が影響するかどうかというのは,今手にしている磁場で可能かどうかはまだはっきりしない。次に科学になるとしたら,表面・界面が絡む現象ではないか。結晶成長は表面の効果だし,コロイド粒子だって表面部分が大量にある系だ。っていうか顕著な結果が出ているのは表面・界面があるものばっかりなような・・・。吸着水の物性変化がまず問題で,同時に,多成分系として不純物の及ぼす影響も押さえることになるのではないか。いずれにしても,ミクロスコピックなモデルも理論もまだ無いので,1つ現象が見つかったからといってただちにそれが他でも起きるとか応用できるとか考えるのは無理だと思う。まだもっと先の話だ。水素結合や水の電子軌道に磁場がどう影響するか,そもそもどの程度の磁場が必要なのか,というのは,第1原理計算をやってる人たちをもっと入れて,計算化学と足並みそろえて進まないといけないと思った。 この研究会,新聞で紹介されたので,業者さんからの問い合わせが多くて大変だったらしい。会場には,水関連製品の業者さんも何人かみえていたようだったけど,水に走るよりは,ポスターセッションのネタをよく見て材料加工の方を事業化した方が堅実なんじゃないかと思ったり。 個人的には,4年ぶり位に上野先生(医博の学位論文の副査)・岩坂先生にお会いできてハッピーでした。この前お会いしたのは理博とる前だったか。ともかく在学中には本当にお世話になったので,元気に活躍中のご様子なのがうれしい。 |