インフィニット・スクウェア(2001/02/05)
【注意】このページの内容は商品の説明ではありません。商品説明中に出てくる水の科学の話について、水・液体の研究者の立場から議論しているものです。製品説明は、議論の最後にある、販売会社のページを見てください。
シャンプーやリンスを無害化し、髪や肌を良くするという水BeOneとアクアーリオを販売している。開発者は、佐藤日出夫氏で、プロフィールを見ると、非常に腕のよい美容師さんらしいことがわかる。パーマ液の毒性に気付いて、水でパーマをかけられないかと研究もしたらしい。
ビーワンの働きについては、
ビーワンは、従来の分析方法では単なるH2Oでしかありません。厳密にいえば、商品登録上必要なパラベンが少量加えられているだけです。しかし、その働きは実際に普通の水とはかけ離れています。この事実だけを見ても、ビーワンには今ある尺度だけでは計れない面があることがわかります。
と書かれている。ということは、いかにしてかけ離れた効果が実証されているのかに注目して、ウェブページを読んでいけばいいのだろう。ダメージヘアが回復するというのが特徴の1つらしい。
「ビーワンてなあに?
」からたどると、「薬品の害
」というページがある。この内容が私にはよくわからない。
さらに説明として、
★農薬は通常100倍〜1000倍に希釈して使うが、希釈した農薬でさえ、素手で触ることはほとんどありません。
★にもかかわらず、シャンプー、リンス、パーマ液、カラー剤は原液のまま、頭皮に掛けられます。
農薬とシャンプーとリンスとパーマ液とカラー剤をすべて同列に並べて議論しているが、全く違う組成・異なる化学物質を一緒くたにしたこのような比較はナンセンスである。物質として異なれば、使用法も毒性も違うのは当たり前だからである。
パーマ液とカラー剤やリンスについては私は知らないが、界面活性剤が主成分であると思われるシャンプーについては、市販品はそもそも原液ではないはずだ。シャンプーに限らず一般の液体洗剤では、界面活性剤濃度は適当な濃度(20%前後)に薄められて入っている。界面活性剤100%だと、非常に粘度の高い固い液体になってしまう。
長期間ヘアカラーをした人が、頭蓋骨まで染まっていることは関係者の間では常識です。
と書いてある。これについては私には判断できない。脳外科の医者にきけばわかると思う。長期間ヘアカラーをした人が脳の手術を受けるときには、かならず頭蓋骨表面を医者が見ているはずなので、色がついているかどうかをきいてみればよい。誰か情報ください。私の方でも医者の知り合いをあたってみますが。
美容師を目指す人たちのうち、9割の人は途中で挫折するのが現状です。日々大量の薬品に触れるため、体を壊すことが多いことが、最大の理由です。
揮発性が強くなければ、手袋着用だけでほとんど解決すると思うが、なぜそうしないのだろうか。何カ所かの美容院に行ったことがあるが、美容師さんが手袋をしている姿はあまり見たことがない。また、中にはアトピーにかかってしまった美容師さんも知ってるけど、手袋はしていなかった。必要なときにはしているのかな?
これまでは、皮膚から薬品は浸透しないというデマがまかり通っていたため、毒性の強い薬品を、原液のまま皮膚に付けることに何の抵抗もなく慣れてしまいました。
これは何かの間違いではないか?皮膚に塗ることで、血行を良くして肩こりや腰痛を緩和する、という薬の宣伝はテレビコマーシャルでアニメーション付きでやっている。ということは、皮膚から薬品が浸透するのは随分前からの国民的常識じゃないかと思うが。
『ビーワンバランス』や『アクアーリオ』をシャンプーや台所洗剤と加えることで、無害化するだけでなく、“環境を浄化する排水を流す”ことができます。
これがさっぱりわからない。シャンプーや台所洗剤をそのまま環境中に放出すると有害、というのはまあわかるのだが、有害であることの定量的評価をどうやって行うのかが、このウェブページには何も書かれていない。方法にはいろいろありそうなので、もうちょっと詳しい情報がほしい。また、無害化されたことを確認するには、ビーワンバランスやアクアーリオをシャンプーや台所用洗剤に加えたものと、同じ量の普通の水を加えたものとを用意し、毒性の評価試験を行い、どの程度毒性が無くなったかを調べる必要がある。この試験をするだけなら、水の性質に未知な部分があったとしても、可能なはずである。そういう結果を一切出さずに「無害化」といわれても、とても信じるわけにはいかない。
ビーワンとアクアーリオともに、体験談が出ている。しかし、体験談だけでは、本当に効果があるかどうかはわからない。体験談に書かれているようなことは、ビーワンやアクアーリオを使わなかったとしても、起きる可能性のあることである。起きたことが本当にビーワンやアクアーリオの効果であることをいうには、2重盲検をやって主観を排除し、単なる水を使ったときとビーワンやアクアーリオを使ったときの結果に有意差があることをいわなければならない。体験談だけをいくら並べても、効果があることの証明にはならない。このような試験も、別に水の性質の詳細に立ち入らずとも可能なはずである。
こう考えて、インフィニット・スクウェアのウェブページを見ると、ビーワンとアクアーリオに効果があるのかどうかについて、極めて乏しい情報しか提供していないと判断せざるを得ない。効果がある理由は「中心原理」なる理論で説明されているそうだが、これについて知るには、ウェブページ上では紹介しきれないので講習会を受ける必要があるとされる。しかし、ユーザーが知りたいのは理論ではなくて、効果の定量的な評価試験結果の方ではないだろうか。ぜひウェブで情報を提供していただきたい。講習会だと、雰囲気にのまれてしまって、冷静な判断ができない人もいるかもしれない。また、講習会日程を見たが、「もう少しお待ちください」となっていて、まだ決まっていないようである。
【追加情報】(2001/02/19)
ヘアカラーの効果が頭蓋骨に及ぶか?という疑問について、宮崎県にて環境がらみの製品の研究・開発・施工・販売等をなさっている方から以下のメールをいただきました。私の母は、肺ガンから頭部への転移で亡くなりましたが生前から白髪をとてもきにする人で、3,4ヶ月に1度染めていました。その母の頭蓋骨ですが白です。毛染めによる影響は頭蓋骨には及んでおりませんでした。
仕事上で、病院の先生方とお話しすることがあるのでお尋ねしたのですが、そういうことは聞いたことがないとのお返事でしたので、お知らせ致します。
というわけで、病院関係では「常識」ではないようです。
【追加情報】(2002/05/24)
さらに、以下の情報をいただいた。
なお、頭蓋骨の色についてですが、友人に脳外科医がいるので、確認してみました。以下、返信を引用します。
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しかし、私は染まった頭蓋骨は見たことがありませんし、そういう話も聞きません。骨って生きているもので、新陳代謝しますから、おそらく染まることはありますまい。毛根と頭蓋骨は接しているわけでもありませんし。頭皮の下には脂 肪組織や場所によっては筋肉があり、なにより頭に独特な「帽状腱膜」というのがあります。その下に骨膜があって、さらにその内側が頭蓋骨です。金色の頭蓋骨ってのは、話としてはとてもおもしろいですがねえ。
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以上です。ご参考まで。なお、別の友人によると、「生前、飲んでいた薬のせいで、荼毘にふしたときに変色していることがある」とのことでした。これは火葬した結果の話です。
情報ありがとうございました>古瀬様。(さらに、メールマガジンで当サイトをとりあげてくださたったことにもお礼申し上げます)
【修正】(2006/11/12)
毒物・劇物の分類について、「毒物と劇物は毒物及び劇物取
締法で規定されたもので毒物と劇物は定義(致死量等)が異なってお
ります。そのため劇毒物と重複することないはずです。」とのご指摘をいただいたので、分類についてコメントしていた部分を削除しました。
それでも、農薬とパーマ液を同列に並べること自体はおかしな話なので、その部分に説明を追加しました。
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