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「タムラシステム」へのコメント(2006/03/23)

【注意】このページの内容は商品の説明ではありません。商品説明中に出てくる水の科学の話について、水・液体の研究者の立場から議論しているものです。製品説明は、議論の最後にある、販売会社のページを見てください。

 Tamura Tube(ディレカ)という活水装置を製造販売している。トップページの説明を見ると、

家庭や産業の排水から洗剤等の化学物質をなくし、水汚染防止を行うことを目的に開発されたTAMURA Tubeをはじめ

とある。文字通りに読めばどう見ても下水処理装置なのだが、「ナノテクが水を進化させた 水力発電マイナスイオン活水装置」と書かれている下に、

安全な水:
おいしい水をふんだんに使えます。
高い洗浄力:
洗剤なしでの洗濯、食器洗い、掃除を応援、より簡単になります。
消臭力:
もう消臭剤は要りません。洗濯物も嫌な臭いが残りません。
静菌作用:
人間に害を及ぼす菌が少なくなります。
経済効果:
水道管内のスケール発生を抑え風呂釜・加湿器・ボイラー等の寿命を延ばす。

とあるので、上水処理装置ということらしい。ディレカの仕組みの解説はこちら。

 一番の見所は、説明用のアニメーションで、水が流れると陽子と電子がばらばらになって、陽子が装置の外に飛び出し、電子が流れていく絵になっているところか。加速器でも使ってるのかという勢いである。「自然で健康な環境作り」というキャッチコピーにしては、絵の通りのことをさせるのに必要なエネルギーがまったく釣り合わない。
 実際には、液体の水(正確には水溶液)の中で水が電離しても、陽子は他の水分子の作る電子雲の中に存在する。陽子だけが単独で漂い出ることはない。

ディレカのパイプの中を水が通ると、静電気が起きます。この静電気のプラスイオンをパイプの外に逃がし、マイナスイオンの水だけがパイプの中を通過します。また、アクアアトムという特殊な材質から放出される光線(育成光線)と電子を水が受け取りクラスターが小さくなり活性化します。

 「マイナスイオンの水」というのも意味不明である。水の場合は「マイナスイオン」を考える必要はない。水溶液として、水分子以外に何が入っているかをきちんと調べればよい。

 もし、仮に余分な電子を水にくっつけたものができたとしたら、それは不安定な状態で、他の何かに電子を渡して普通の水に戻ろうとする。つまり、活性酸素などのラジカルと同じ状態と考えるべきで、体にいい云々とは全く逆で、劇物である。相手かまわず化学反応する水であれば、殺菌力や消臭力は出るかもしれないが、そんな水は飲まない方がいい。

 ディレカの別の説明はここにも出ている

水がマイナスイオン化されるため、ぬめり(プラスイオン)などで内部に汚れが溜まることもありません。

 ぬめりと「プラスイオン」には何の関係もない。

内部には、ナノテクノロジーによって可能となった強力な遠赤外線と放射線を放射するナノ技術による特殊樹脂チップ(日本の一流製造メーカで製作)

 その「一流製造メーカー」の名前を書いてない理由が謎である。特許は当然とっているわけだから、名前公開問題無しのはずだが。遠赤外線のエネルギーはどこからきたのかが謎である。発生体を作ったとしても、外部から電力などで水より高温に保たないと、発生体が一方的に遠赤外線を水に照射することはない。放射線の方はもっと謎で、ナノテクで発生させられるものではない。放射線を発生する材料は、最初から放射性同位元素を含んだ材料で作るしかないので、放射線の発生とナノテクは関係ないだろう。

放射線ホルミシスとともに育成光線といわれる遠赤外線を強力に放射

 ホルミシスの方は昔から根強く話が続いていたが、最近、マイナスイオンが下火になって、かわりに息を吹き返しつつある。ホルミシスも育成光線も、科学的な評価はとりあえず棚に上げたとしても、相手が生物であることが前提となっている。水に照射して効果があったとしたら、水の中の微生物の育成を助ける効果になりそうだが……。

この小さな気泡は、破裂するときに大きな熱エネルギー(数千度)を発生させると言われています。

 水を攪拌して気泡ができたとしても、そのエネルギーの合計は、攪拌するために投入したエネルギーを越えることはない。

ディレカを循環させる構造で水洗いだけのクリーニング用水を作る貯水槽で、水温が上昇することが報告されました。さいたま市のクリーニング店では、約20度で取水した2トンの貯水が、一晩循環させることで40度程度まで連日上昇したと報告されています(2004年7月〜8月)。

 大抵の場合、ポンプを動かすと、ポンプの温度が上昇し、そこを流れる水の温度も上昇する。一晩も循環させていれば、温度が上がっても不思議はない。ディレカの効果だと喜ぶ前に、ポンプの温度を調べるべきではないのか。

ディレカ水を通過すると大腸菌が検出されなくなるのも、このようなナノ  ミクロレベルのバブルの破裂・衝撃エネルギーが要因である可能性は高いと推測できます。また、ディレカ水は、プラス電荷を取り去ってしまったためか、空気にさらしても腐敗することなく、マイナスイオン状態を長期に保つことが報告されています。生活排水となったあとも、汚れなどのプラスイオンを剥離させて包み込み、除去する浄化作用を発揮します。下水道がきれいになるというのは、マイナスイオン効果が持続しているからと考えられます。

 水に「マイナスイオン状態」などという状態はない。汚れ=プラスイオンでもない。このパラグラフは、科学っぽい用語を使っているだけで、内容についてはまったく意味不明である。

 また、特許の番号も無しに「特許」とだけ書かれていても、確認のしようがない。

 なお、これについては小波さんも別の観点からツッコミを入れている(2006/09/21の日記を参照)。

 

 

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