海洋深層水について(2001/12/06)
海洋深層水の表示、公取委が5社に改善要請
ミネラル成分を含み、栄養素が多いといわれる海洋深層水について、根拠を明記せずに「ミネラルが豊富」などと問題表示をした飲用水ボトルが相次いで市販されていることが分かり、公正取引委員会は5日、メーカー5社に対し、適正な表示を行うよう改善要請した。同水は市場拡大に伴い、表示内容を疑問視する苦情も増えており、公取委は今後、監視を強化する。
公取委によると、今年夏以降に調査した11社のうち8社の商品が成分の根拠を詳しく示さずに、「ミネラルが豊富」「バランス良く」などと表示していた。また、市販のミネラルを添加しているのに、説明表示がない商品や、鉱泉水に海洋深層水を添加しただけの商品なのに、詳細に製法を明記せず、「海洋深層水」とした商品もあった。
公取委は同日、問題のある商品を販売する5社に改善要請を行うとともに、全社に「成分の根拠や具体的な製法を適正に表示すべき」などとする指針を伝えた。公取委は、今後、不当表示には法的責任を求めていく方針だ。
海洋深層水は、水深200メートルより深い深海部の海水。ミネラル成分が多く、健康増進に優れているとして、1996年ごろから高知県などが自治体ぐるみで販売を始めた。その後も健康ブームに乗り、続々と製造メーカーが誕生。今年の市場規模は約135億円と昨年の2倍に拡大した。昨年4月以降、「他の添加物も小さな文字で表示され紛らわしい」などとする28件の苦情が国民生活センターに寄せられている。(読売新聞)
海洋深層水については、何回か私にメールで教えて下さった方がいるが、内容を見る限り、変な水理論の話もでていなしクラスターの話もなく、ミネラル豊富という成分の話題だけだったので、当方でとりあげる必要はないと思って、その旨メールで返事して、そのままにしていた。
上記の改善要請は、成分をわかりやすく表示するようにということなので、別に怪しい話ではない。
海洋深層水をきちんと研究しているのは、高知県にある高知県海洋深層水研究所のようである。研究内容を見た限りでは、水産業への応用が中心で、ミネラルウォーターや健康産業への応用についてはほとんど情報がない。栄養豊富な海水をひっぱってきて養殖などに利用することとと、これをやると人為的に海水を混ぜることになるのでそれが環境にどう影響するか調べるのが主な目的のようである。このページを見る限り、ミネラルウォーターとして飲用にするというのは、海洋深層水本来の使用目的とはだいぶ違う使い方なのではいかと思った。もともとが海水だから、逆浸透膜でもつかって塩分を取り除かないと飲用にはならないし、そうすると必要なミネラルまで抜けるからまた成分調整ということになって、それなら淡水を精製してから同じ成分になるようにミネラルを添加するのと同じじゃないのだろうか。コストが安いとか、何か別の理由があるならわかるが、私は知らないので、誰か教えてほしい。
いずれにしても、飲料水が売り出されるよりも前にかなり詳しい情報が公開されたから、深層水がらみでヘンな話が出てくる可能性は少ないのではないかと思う。ただ、1つだけ気になったのは、海洋深層水についての特性一覧の表の中で、
熟 成 性 海洋深層水は水圧30気圧下で長い年月をかけて形成された海水ですので、性質が安定しています。
というのがあることだ。深層水の存在する場所というか深層水部分では、性質(成分?)が年間を通じて大きく変動することがないとしても、これを「熟成性」と言ってしまうと、ここを拡大解釈してそのうち変な話が出てくるかもしれない。まあ、とりあえず今のところは大丈夫そうだけども。