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訴訟手続の解説

このへん知っておくと訴訟資料が読みやすいかな、というポイントを独断と偏見で解説します。

擬制陳述

被告提出の答弁書に、「被告訴訟代理人らは第1回期日に出頭できないので、答弁書を擬制陳述とされたい。」とあります。

擬制陳述、とは、当事者が欠席した時に、当事者がそれまで出していた書面の内容を陳述したものとみなすということです。

裁判所は原告の味方でも被告の味方でもありません。双方の主張を充分にきいて審理して法律上の判断をします。しかし、もし、被告が何もせず、つまり裁判所にも行かず何の主張もしなかったら、それは相手の主張に反論しない=相手の主張を認めた、ということになって、訴訟で負けてしまいます。

ところが、当事者の一方または両方が、裁判手続を放置するつもりは無いのだけど、たまたま裁判所が呼び出した日時に審理に出席できないことがあります。たとえば、第1回期日は、訴状が提出されたら、被告に送達して、被告が実際に書類を見てから適切な期間の後(弁護士探して答弁書が出せる程度の期間の後ですが結構慌ただしい)、双方の当事者を呼び出します。が、この日時は裁判所が決めるので、引き受けてくれた弁護士さんがすでにその日に別の裁判の期日を入れていたら、出席が不可能になります。放置せず攻撃防御をする意志があるのに、たまたま出席が不可能だという理由で敗訴になってしまうとしたら、それは公平な裁判とはいえません。また、双方が揃うまで何回も審理の日時を変更していては、なかなか審理が進まず、当事者にとっても不利益です。ですから、あらかじめ裁判所に書類を出しておくことで、出席できない期日に書類の内容を陳述したことにして、訴訟の手続きを進めることになっています。

2回目以降は、双方の当事者や代理人が居る状態で出席可能な日時を確認しながらいつ審理するか決めるので、滅多に欠席にはなりません(急病や事故以外は)。