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第11回
講義内容
- 昔からある疑似科学の例
- 科学の間違え方
- 間違いを防ぐ仕組み:人間は間違えるものである
- 水を巡る病的科学:ポリウォーター
- 最近の病的科学:常温核融合
- 最近の病的科学:ホメオパシー
第11回の内容に関する質問とコメント
- 先生がおもしろいと思った水に関することはありますか。
→水とアルコールを混ぜると分子レベルではどうなっているのかとか、どうして4℃で密度が最大になるのかとか、水の水素結合ネットワークを介した分子の(一見ランダムだが)完全にランダムではない運動をどう記述できるかといったことに興味がある。他にもいろいろ。
- ハンドクリームなどで「尿素○%配合」と広告しているものがありますが、尿素は手にどんな影響を及ぼすのですか?そして尿素はたくさん入っている方が手あれなどに効果があるのでしょうか?
→確認されている効果は、皮膚の角質層に対する保湿効果。尿素入りと尿素無し(残りの成分は同じ)クリームを作って皮膚に塗り、皮膚の水分含有量の測定を行って、有意差を確認した上で使われている。
どんな薬剤でも多ければいいというものではないし、他の成分が合うこともあるので、薬剤師に相談したりして、いろいろ試してみては。
- スプーン一杯の砂糖が、なぜ1022個の分子だとわかるのですか?わざわざ数を数えたとは思えない。粒子の個数を測定する機械があるのですか?
→1022個は、大体の見積もり。砂糖(スクロース)は、グルコースが2つくっついたような構造をしていて(【追記】この部分の意味は、環が2つ、というつもりで書いた。正確には、スクロースはグルコース1個とフルクトース1個が結合したもの。グルコース2個が結合したのはマルトースという)、分子量は342.3。アボガドロ定数の定義から、342.3gのスクロースを持ってきたら、スクロース分子は6×1023個入っている。342.3は半端なので、暗算に便利なように、ちょっと大きめの360位と思うことにして、これを6で割ると60、さらに10で割ると6になるから、6gの砂糖を持ってきたら、大体1022個程度の分子が含まれることになる。スプーンのサイズにもよるが、普通にティースプーンで砂糖をすくってくると、大体この程度になる。
受験の化学から見ると、これはえらくいい加減な計算に見えるはずだが、大体の桁数や値の見当をつけるというのは、ものを考える上でとても大事なことである。
- ブルーベリーの質問について。ブルーベリーを食べても目が良くなるわけではないと聞いたことがあります。ブルーベリーを食べた直後は物が見えやすくなるけど、ブルーベリーで視力が回復することはないそうです。毎日食べてないと意味がないそうです。ただ、この情報も100%信じていいのかわからないので、1つの説として受け取ろうと思います。
→まあ、本当に毎日摂るといい成分が含まれているなら、そのうちそれを利用した薬剤が出て、ちょっとでも物を見えやすくしないと困るような、病気の人に処方されるようになるはず。
- 光速で移動しているときの1秒は、地球上ではどれくらいの時間がたつのですか?(授業とは関係ないけど)
→ローレンツ変換から説明してると時間がかかりすぎる上に別の講義になっちゃうので、http://physics.s.chiba-u.ac.jp/~kurasawa/rel.pdf
あたりを見て自分でやってほしい。結論だけいうと、慣性系Sに固定されている時計の経過時間Tと、Sに対して速度Vで運動する慣性系S'に固定されている時計の経過時間T'の関係は、T'=T(1-V2/c2)(1/2)となるから、Vにcを代入するとT'=0となる。つまり全く進まない。(なお、有限の質量を持った物体を光速で運動させることはできないが、これも紹介した文献をちゃんと読めばわかるはず)
- 果物などの甘さを計測する「糖度計」というものがありますね。あの仕組みが知りたいです。
→光の屈折を利用する:液体中の糖の濃度が高いほど、光の屈折が大きくなるので、光を入れてどれだけ曲げられるかを測定すれば糖の濃度を見積もることができる。
もう少し純度の高いものを測定するときは、旋光計を使う。光は横波であり、最初に縦に振動しながら進んでいたとする。これが糖の水溶液に入射すると、濃度によって振動の方向が回転するので、どれだけ回転したか測定すれば濃度が求められる。
- 希釈をして、限りなく佐藤の分子が0に近づいていく時に、分子の数がなくなっても、が情報を記憶したというのに驚いた。
→これ、完璧な間違いです。こういう主張をする人が21世紀にもなってるのに、未だにいるということの方に驚いてください。水には、以前何がとけていたかといった情報を記憶するメカニズムは存在しません。
- 最後に、今後の医療制度に関して触れていたが、実際医療負担は上がる傾向にあるので(医療だけじゃないが)確かに少し怖いかもしれないと思った。
→だからこそ、合理的にものを考える訓練と知識が必要になる。
- この講義のおかげで、あやしいものには疑問の目で見れるようになってきました。
- この講義を受けたら「マイナスイオン」などの言葉が前よりも目につくようになりました。
- コメントで軟水と硬水のカルシウムの話で、人間の身体は上手くできてると思った。
- ポリウォーターは名前だけ聞いたことがあったが、今回の講義で内容を詳しく知れてよかった。
- インチキからインチキが生まれて悪循環するとすさまじくなる。
- 今日もためになりました。面白かったです。(他1名)
- おもしろく聞くことができた。(他1名)
- 今日の内容はすごく理解しやすかった。これからも化学の不思議をいっぱい見つけていきたい。
- とてもおもしろい授業でした。この授業で科学に興味が持てるようになりました。
- 毎回参考になるサイトのURLとか書いてあって、とても勉強になります。
- 最近この授業がすごくためになるように思えてきた。
- 実際にあった病的科学の話はおもしろかった。”進化と生物学”という講義で科学は”再現性”すなわち同一条件ならば誰でも同一の結果を得ることが必要であるということをやっていたので、そことの兼ね合いもあって分かり易かった。
- 皆、水の力に対して期待しすぎだと思った。
- とんでもない病的科学がたくさんあるということ、とても驚きました。
- バラエティー番組(の健康について)について、わかってよかったです。自分でウソと本当の見分けがつくようにしたいです。
- レポートの採点はどのようにしているのですか。
→何人かのレポートをみて、平均的な出来の見当をつけてから採点しています。
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