第2回
講義内容
高校で化学をやってこなかった人向けの最低限の復習。
- 原子論の起源
- 原子の構造
- 周期表
- 分子
- 共有結合、イオン結合、金属結合
- 物資の状態変化と化学変化
- 原子量・分子量・モル
- 単位系の簡単な話
第2回の内容に関する質問とコメント
- 科学化学を高校で受けなかったので、早めに自分で勉強しないといけないと思っていたのですが、今日の講義で基礎を学べたのは良かったと思います。基礎に少し触れることができたので、これをきっかけに科学化学の教科書で本格的に勉強したくなりました。P3の酸・塩基のところの後半が少し分かりにくかったので、自分でも勉強しようと思いましたが、もう少しくわしく解説してほしかったです。
→「新しい高校化学の教科書」(左巻健男著、講談社ブルーバックス)がおすすめ。高校化学の内容を読ませる形で書いてあり、新書サイズなので気軽に読める。受験勉強も指導要領も離れた解説本なので、基礎をおさらいしたい人におすすめ。 - プリントが簡単にまとめられてて、とても見やすい。細かく覚える必要はないんですか?
- 化学は高校の時に勉強したので復習になりました。理系はモノとか覚えた方がいいですか?
→細かい知識を覚えても、使わなければ忘れるし、普段から使っていればそれなりに覚えるもの。また、各自の専門で必用な知識は覚える他はない。教養の講義では、細かい暗記よりも、考え方を身につけてほしい。わからないことに出会ったら、とりあえず疑ってかかることも大事である。 - K殻、L殻、M殻…の入れる電子数が2,8,8,32とそれぞれ異なるのは何故ですか?
→何回か後の原子の構造のところでもう少し詳しく説明する。ミクロな世界で、電子は雲のように広がっているという話をしたが、具体的にどう広がっているのかを知るには「量子力学」が必用である。原子核の周りに居る電子の運動を表す方程式をたてて解くと、電子の状態をいくつかの数の組で表せることがわかった。その数と、殻構造とが対応している。ただ、量子力学について話をするのは、この講義の範囲をかなり超えるし、数学の予備知識も必用になる。他の講義で「量子力学」をテーマとしているものもあるし、理・工学部の物質や材料を扱う学科であれば、専門でも講義があるので、そちらできいてほしい。 - 例えば、質量数(陽子数+中性子数)12原子番号(陽子数)6C となっていますが、水素の場合に11Hとなるのは、水素は中性子を持っていないということですか?
→大部分の水素は中性子を持っていないが、わずかに中性子を持った水素も存在する。これを重水素といい、元素記号Dで書く習慣がある。研究用にはよく使われるので、人工的に作られている。 - 他の授業で、「日本で新しい原子が発見されたっていうのを聞いたんですけど、この原子について教えてください。
→一家に一枚周期表の下の方に、日本で発見されたという記載があるはずなので確認すること。名前はまだない。 - 原子論の起源については知らなかったので、長い歴史があったことに驚かされた。
→「だれが原子をみたか」(江沢洋、岩波書店)に詳しく書いてある。残念ながら品切れ絶版なので、近くの図書館で探してみてほしい。 - °Fから℃への変換がよくわからない。
°Fの数値がやってきたら、まず32をひいて、180で割って、その後100を掛ければ℃になります。
℃の数値の場合は、100で割って、180を掛けて、32を足せば°Fになるはず。 - 高校の時の化学の先生が山形大学出身で、Naを川に放り投げてみたら爆発したと言っていました。
→まあ、やるならほどほどにしないと……。 - 圧力によって沸点や融点が変わるのは、分子間の力が変わるからですか?
→外から働く力と、もともと分子間に働く力の合計が、実際に働いている力になる。1気圧では水は100℃で沸騰して水蒸気になるが、水蒸気になろうにもその空間がなければ、圧力が上がる代わりに液体のままいるしかなくなる。 - O2は安定していると書いてありましたが、オゾンはなぜできたのですか?なぜ地上ではO2がO3にならないのですか?
→紫外線や自然放射線、宇宙線などが酸素ガスに当たるとO3ができることがある。上空では頻繁にできているし、地上でも自然にできることがある。ただ、地上でできるのはわずかだし、できてもすぐ別の物質と反応して無くなってしまう。コンビニや食品加工場の紫外線殺菌ランプの周りではオゾンができているので、良く注意して臭いを嗅ぐと独特の臭いがする。 - 化学は日常生活でけっこう身近な存在だと思います。なので、この講義の内容に強くひかれました。「マイナスイオン」というものはいたるところにあることが、すごく不思議でした。本当に危険がないのか知りたいです。
- マイナスイオンの水の話がもっと聞きたいです。マイナスイオンのくびわとかうでわも何かに効果があるんでしょうか?
- マイナスイオンはほんとにきかないんですか?
→マイナスイオンについては、何回かあとにまとめて話をする。市販のマイナスイオン製品はそのほとんどが誇大広告かインチキか、科学的根拠に基づかない主張をしている。 - 高校の時、H+とH-があるとききました。H-がマイナスイオンというわけではないのですか?
→OH-ならともかく、H-はきいたことがないが……。空気に存在する負イオンは、窒素酸化物や硫黄酸化物と水がくっついたものが見つかっている。 【訂正】素化リチウムLiH、水素化カルシウムCaH2などではHはH-になっている。ただ、この場合もanionが正しい呼び名で、いわゆる「マイナスイオン」とは無関係である。 - 水は0℃以下で氷であるとこれまで教えられてきたのですが、以前、テレビか何かで-4℃で氷の密度が高いと言ってました。(一般には、温度が下がる)=(分子の運動の激しさが低下)であると高校で教えられ、イメージとしては温度が下がると体積が小さくなると思ってました。しかし、水は氷になると体積が増えると知り、それならばいったいどういうふうに体積が決まるのでしょうか?そして、氷の密度は温度によってどのように決まるのでしょうか?教えてください。
→氷についてはまた次の回に詳しくやる。普通の液体(有機溶媒など)は温度を下げて固体ができると、液体の底に沈む。固体になって液体に浮くのは、水とシリコン(とあともう1つあったはず)だが、これは例外的な性質である。固体になるとき、分子の向きがある方向を向きたがるため、密に詰まることができず、軽くなってしまう。 - アルバイトをしているドラッグストアで「プラチナウォーター」というものを売っています。そのペットボトルには、プラチナが体にどういう風によいのか一切書かれていません。「金属を飲む」ってイメージ的には体に悪そうなんですが、何かいいことがあるんでしょうか?
→金属の種類とサイズによる。金やプラチナなどの貴金属は、金属単体では安定なので、飲んでも素通りするだけで毒にも薬にもならない。粒子サイズが小さくなってナノスケールになると、体内に取り込まれる可能性が出てくる。金属微粒子がヒトの体の中をどう動くかは、まだよくわかっていない。場合によっては健康被害が発生するかもしれない。 - 酸性雨というのは窒素酸化物や硫黄酸化物が原因だといいますが、空気中の水分とどう結合して酸性になっているのですか?(今日の内容と違っていてすみません)
→固い結合ではないが、水分子何個かのまとまりの中に窒素化合物や硫黄化合物が存在できる。 【追加】OHラジカルでSO3やNO2が酸化されて硫酸や硝酸ができる、というプロセスがある。 - 窓ガラスは液体では?
→どこまでを固体でどこまでを液体と呼ぶかは難しいが、窓ガラスの場合は室温がガラス転移点以下なので、固体と呼んでもかまわない。
http://www.nsg-ntr.com/NTR-NEWS/ntrnews24.htm - 無機物から有機物が作れるように、無から有も作れるのでは?(ビッグバンポイント限定で)
→エネルギーと物質が等価なので、無ではなく、ビッグバンの最初のエネルギーから物質ができたと考えられている。
【もうちょっと詳しく】最初のエネルギーから素粒子ができる→水素原子ができる→ヘリウムができる、という順番である。どういうメカニズムで、となるとちょっとフォローできていないので、宇宙論の解説を探してみてほしい。実際には、厳密に最初が「無」かどうかは不明。 - 通信販売で、どんな汚れも落ちる洗剤が宣伝されているのを目にします。僕はそれを見るたびに本当かと疑問に思い、信用していません。あれは本当にどんな汚れも落とすのかということを考えていきたいと思います。
→どんな汚れも落とすというのなら、衣類の色落ちを真っ先に心配すべきだろう。染料か汚れかは、人間の都合で分類したに過ぎないのだから。 - 最近”アイボ”などという、ロボペットが話題になっているのですが、それを愛用している人の大半が「ペットとの死を体験しないでよい。」ということを理由にこのロボットを愛用しているそうなのですが、化学の進歩はすごくて、感謝していますが、生き物をロボットで代用し、さらに”そのロボットの方がよい”と考える人たちが増えている異は、不思議な現象だと思います。
→ペットに何を求めているかによるのかもしれない。人間関係を作らなくても良くて適当につつくと応答してくれるという性質が欲しかったのであれば、ロボットでも代用できるのでは。「自分以外の生きものと一緒に住みたい」が目的なら、ロボットでは代用できないだろう。 - 自分は、アトピーで、いままで色々な「水」の療法を試してきたが、その効能に常に疑問をもっていた。自分が(というか親が)費やした時間と金は戻ってこない。しかしこれからに活かせるようにしたい。アトピーの原因は明確には分かっていないということになっているが、水の害であるという説も多く見たことがある。それも気になっている。
→文春新書に「アトピービジネス」というのが出ているので、読むことをお勧めしたい。皮膚科の医者が書いたものだが、医学的にはうまく薬を使って十分コントロール可能なアトピーがいかにして健康産業によって難病に仕立て上げられ、怪しい民間療法が広まるようになったかを議論している。水についても記述があるが、水療法を薦める医者が、学会ではうまくとりつくろいつつ宣伝には荷担する様子がはっきり書かれている。 - 復習はいいんですが、予習はどうすればいいですか?教科書ないし……。
→特に予習は必要ないです。知識に不安がある場合は、「新しい高校化学の教科書」(左巻健男著、講談社ブルーバックス)あたりを読んでください。 - レポートは手書きですか?パソコンを使って作成してもいいのですか?
→パソコンを使ってもかまいませんが、A4のサイズで、ホチキスで留めるかのり付けするかすること。 - 資料をカラーにしてほしいです。
→カラーが必要な場合はカラーにしますが(周期表など)、数が多いので時間と印刷コストの都合で、白黒でいいものは白黒にします。 - 高校、中学の復習から入ってもらえているのでわかりやすい(少しものたりない)です。これから楽しみにしてます。あたりまえだとおもってたこと、正しいと思っていたことが実はだまされていたってことがわかってすっきりしました。一家に一枚周期表、カラフルでいいです。
- 今日は、一応高校でも化学を取っていたので、あまり思うことが無かったが、元素周期表で日常生活でも多くの種類の元素が使われていることに感心関心を持った。日常でろくに名前も知らない元素で作られている製品があることに驚き、よくこれだけの使用法を見つけられたと思った。
- 化学の復習になった。しかし、少しひまだった。
- 高校で習わないことを学ぶことができるので、化学をもっと知りたいと思いました。
- 高校1年の時に化学は必修で、勉強しました。ほとんど分かっていなかったので「苦手=嫌い」と思っていました。この機会で克服したいと思っています。大学での授業は、高校とは違い、数値など、理論的というよりは、実際の日常に近い”使える知識”が多いので興味深く履修しています。半期間よろしくお願いします。長々と済みません。
- 今日は化学の話をきいて、再勉強できてよかったです。負のイオンは「マイナスイオン」じゃなくて「アニオン」と呼ぶことを初めて知りました。
- ケルビンの意味が今までよくわからなかったが、今回の授業で理解できてよかった。
- 以前に習ったことのある内容なので理解しやすかった。また、忘れている部分もあったので良い復習になったと思う。
- 復習だったので質問はないです。
- 一度習ったが、忘れているものがあったので、これからもたまに復習をしてほしいです。
- センター試験後から一切化学に触れていなかったので、今日の授業で思い出しながら再確認できで良かったです。
- 物理に次いで、化学はとても好きで興味があるので、講義がとても楽しみです。水について詳しく学ぶことになるわけですが、私達にとって水は必要不可欠なので、身近にある水について学ぶことには興味がかなり沸いてきます。
- ちょうどいい(早めの)テンポでわかりやすかった。
- もうすこしゆっくり話していただけると助かります。
- 高校時代の復習になった。基本をおさえて本格的に話題に入るのが楽しみだ。
- 身近な現象が証明できる化学はすごいと思いました。レポートがんばりたいです。
- 私は高校で化学IIまで学んだので、今日の授業は良い復習になりました。テストが終わると、覚えたことをすぐ忘れていたところもありました…。授業の復習をしっかりして、次回に繋げていきたいです。
- 忘れてしまっていたような基本的なことが思い出せて面白かったです。
- カラーの周期表初めて見ました!!。楽しく化学の勉強ができそうです。
- 高校で化学を選択してはいましたが、基礎からやり直したいので、ゆっくりでお願いします。
- 文型文系の私にも、わかりやすく説明してくださって、とてもよかったです。
- 化学を勉強するのは高1以来だったけど、化学の基本が少し分かったし、復習できた気がする。難しい気がするけど、頑張ってみます。
- 基本的なことをおさらいできてよかったです。
- 高校でならった化学を少し思い出しました・ならってないような所もでてきたりしたので、これから少しずつ覚えていきたいです。
以下のURLで、以前のこの講義で出たQ&Aを公開している。
http://www.cm.kj.yamagata-u.ac.jp/support/text.html