科学リテラシー参考図書一覧
化学A、総合、その他集中講義等で科学リテラシー関連の話をするときの、共通の参考図書です。
高校で化学をやってない人向け
- 「新しい高校化学の教科書」左巻健男著 講談社ブルーバックス
高校化学の内容を読み物としてまとめてある。今更化学の教科書を引っ張り出したって、受験勉強の悪夢が……という人でも寝転がって読める本。「大学に来たのに高校化学?」なんて言わないこと。本のサブタイトルは「現代人のための高校理科」となっているとおり、手っ取り早く理科の知識を得るには最適な本。 なお、どの分野でも(歴史や地理でも)、社会に出てから一通りの知識を手っ取り早く得ようと思った時には、高校の教科書は役に立つ。
科学っぽい情報にだまされないために
- 「食卓の安全学—「食品報道」のウソを見破る」松永和紀著、家の光協会
話題を食品安全に関する報道からとっている。2章「科学記事はこうして作られる」、3章「科学記事を正しく見極めるには」は、食品以外でも十分使える情報検証方法である。講義ではテキストとして指定している。 - 「アトピービジネス」竹原和彦著、文春新書
ありふれた皮膚の慢性疾患が、健康産業の手でいかにして難病に仕立て上げられ、インチキ民間療法が蔓延することになったかを検証して論じている。水の話を講義中でしたら、アトピーで水療法を踏んでしまった学生さんからコメントがついたので、この本を講義資料中で紹介している。同じ著者による、コ・メディカル向けの「アトピー性皮膚炎診療100のポイント—治療ガイドラインに基づく標準治療のために」や、「こうして治すアトピー」もよさそう。 - 「食べ物とがん予防—健康情報をどう読むか」坪野吉孝著、文春新書
「健康情報を評価するフローチャート」が使える。 - 「生活習慣病、その「常識」で防げますか?—意外に知らない健康情報のウソとホント」坪野吉孝著、PHP研究所
健康情報にいかにバイアスがかかっているか記載。 - 「検証!がんと健康食品」坪野吉孝著、河出書房新社
「健康情報を評価するフローチャート」を適用した実例がある。
こんな種本使ってます
- Chemistry, 4th edition (McMurry and Fay, PEASON Prentice Hall)
講義資料用の図がネットからダウンロードできるので、配布プリントに入れて使っている。 - 「水の構造と物性」ウォルター カウズマン 、デーヴィド アイゼンバーグ著、みすず書房
良い本なんだけど、長らく絶版になっている。アマゾンではプレミア価格がついてすごいことに(汗)。東京なら、明倫館あたりを根気よく見張ってるとたまに出ることがある。 - 「水の書」荒田洋二著、共立出版
一番よく活用してるのがこれ。 - 「ハインズ博士「超科学」をきる—真の科学とニセの科学をわけるもの」テレンス・ハインズ著、東京化学同人
ハインズ博士の本。原著は既に第2版が出ている。これがもっと知られていれば、マイナスイオンなんか流行る余地はなかったのに。 - 「ハインズ博士「超科学」をきる—臨死体験から信仰療法まで〈Part2〉」テレンス・ハインズ著、東京化学同人
- 「H2O—水の伝記」フィリップ・ボール著、Newton Press
Natureの編集者によるもの。パンヴェニストのホメオパシーの実験の顛末が出ている。 - 「氷の科学」前野紀一著、北海道大学図書刊行会
ナカヤ・ダイヤグラムやチンダル像を参考にしている。新版が出ている。 - 「幻の大発見—科学者たちはなぜ間違ったか」アーヴィング・M. クロッツ著、朝日新聞社
病的科学の典型例、ポリウォーターの顛末。 - 「常温核融合スキャンダル―迷走科学の顛末」ガリー・A. トーブス著、朝日新聞社
ジャーナリストによる、常温核融合騒動のまとめ。 - 「常温核融合の真実—今世紀最大の科学スキャンダル」J.R. ホイジンガ著、東京化学同人
アメリカ物理学会の会長による常温核融合騒動の総括。 - 「わたしたちはなぜ科学にだまされるのか—インチキ!ブードゥー・サイエンス」ロバート・L. パーク著、主婦の友社
インチキ科学に対する批判。 - 「きわどい科学—ウソとマコトの境域を探る」マイケル・W. フリードランダー著、白揚社
インチキ科学に対する批判。 - 「知的財産法」伊藤 真著、弘文堂
特許制度の説明に使っている。2006年に改訂版が出た。法律の本はとにかく法改正をキャッチアップするための改訂が激しいので、最新版を調べて入手するように。 - 「だれが原子をみたか」江沢洋著、岩波書店
目に見えない「原子」「分子」が実在すると考えるに至るまでの科学の歴史。2006/04現在、残念ながら品切れ中。復刊.comにはお願いしてるんだけどね……。 - 「グーグル八分とは何か」吉本敏洋著、九天社
ネットを使って情報収集するのが当たり前だが、検索エンジンの結果が最初から歪められていることがある。恣意的に検索エンジンら結果が隠された実例をとりあげた本。いい本なんだが、出版社が倒産したので今後の入手がどうなるかが微妙。 - 「超能力番組を10倍楽しむ本」山本弘著、楽工社
テレビの超能力バラエティにどういうトリックが使われているか、あるいはインチキが行われたかを解読。