TDRのデータをMacで取り込む方法(Mac OS Big Sur + NI488.2 21.5)
TDR計測用にMac Bookを用意したのがおよそ20年前で,そのときはNI社のGPIB-ENETを使っていた。さすがに20年も経つとGPIB-ENETが不具合を起こしたので,新しいものを買う必要がある。しかし,新しいNI社の製品は,古いMac(しかもMac OS 9だ)のドライバに対応していない。つまりインターフェースを新しくするとドライバも更新する必要があり,それはレガシーなMacでは動かない。従ってデータ読み取りだけ最近のMacで行う必要がある。
そこで,Mac OS Big Sur(11.4)を入れた中古のMacBook Pro(Intel Core i7)を用意し,NI社のGPIB-USB-HS+を購入して,装置と接続することにした。
まず,GPIB-USB-HS+に付属のCD-ROMに入っていたドライバソフトはNI488.2 19.5.0で,これはBigSurに対応しておらず,インストールはできてもツール類を動かそうとすると異常終了して動かない。
Big Surに対応しているNI488.2のバージョンは,21.0と21.5の2つなので,21.5を入れてみた。ところが,インストーラをクリックするとそこで止まってしまい,インストールのポップアップウィンドウが開くところまで進まない。
そこで,Big Surを11.7.10にアップデートしたところ,NI488.2 21.5のインストールができた。インストールの最後に,
システム機能拡張がアップデートされました。"National Instruments"によって署名されたシステム機能拡張がアップデートされました。アップデートを完了するには,”セキュリティとプライバシー”システム環境設定で承認する必要があります。
と出る。「"セキュリティ”環境設定を開く」をクリックし,システム環境設定の”セキュリティとプライバシー”を見ると,「開発元"National Instruments"のシステムソフトウェアがアップデートされました」とあり「許可」がクリックできるようになっているので,許可をクリックすると,再起動が必要と表示されるので,そのまま再起動する。
再起動後,付属のTroubleshooting Wizardを走らせると,「NI-488.2 Software Presence Verified」のチェックが赤色×印で,ドライバソフトウェアがインストールされていない状態になっている。対処方法は,Restart, Reinstallに再度Troubleshooting Wizardを走らせろ,しかなく,何度やっても結果が変わらない。また,接続したGPIB-USB-HS+本体のLEDも消えたままである。
サポートに連絡していろいろ試した結果,インストーラの指示でシステム環境設定から機能拡張を承認してもうまく認識されていないことがわかった。
まず,ターミナルを開いて,コマンドラインから
kekstat -l
と入力する。機能拡張一覧が表示されるが,機能拡張一覧にni関連のものが見当たらなかった。
次に,Macをリカバリーモードで起動し,ターミナルを開いて
/usr/sbin/spctl kext-consent add SKTKK2QZ74
を実行してから再起動する。その後,再び,kekstat -lをターミナルから実行すると
168 0 0xffffff7f9cd00000 0xc000 0xc000 com.ni.driver.NiViPciK (21.0.0) 0A74DBC7-1452-37A3-98EF-655309283295
169 0 0xffffff7f9cd4c000 0x3f000 0x3f000 com.ni.driver.ni488k (21.5.0) EF2C38E0-814D-351A-937A-CEA2A69FCE01
の2つが増えていた。
この状態でTroubleshooting wizardを実行すると,チェックは全て通過し,GPIB-USB-HS+本体のLEDがオレンジ色に点灯するようになった。