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(株)環境還元研究所へのコメント(2002/08/12)

【注意】このページの内容は商品の説明ではありません。商品説明中に出てくる水の科学の話について、水・液体の研究者の立場から議論しているものです。製品説明は、議論の最後にある、販売会社のページを見てください。

 交流をつかって電解水を製造する装置を扱っている。トップページから、「ミネラル還元水素水資料“活性水素吸蔵”」のところにある、「詳しくはこちらをごらんください」をクリックすると、技術の詳細説明を読むことができる。が、この技術説明を読めば読むほどわけがわからなくなる。

 まず、「活性水素の測定技術の確立」と書いてあるが、肝心の活性水素とは何かということがまったく書かれていない。今のところ、活性水素説を唱えているのは九州大の白畑教授くらいで、原子状の水素が安定に存在すると主張しているが、未だ作業仮説に過ぎず、分析化学者はまったく認めていない状態である。それはそれとして、ここの会社のいう活性水素は、白畑説の活性水素と同じ物なのか違うものなのかさえはっきりしない。

活性水素はミネラルに吸蔵すると以前より述べているが、ミネラルに活性水素吸蔵すると水素原子の化学的変化が起こる。原子の水素化物(例 PBH4)ができ原子検出感度が上昇する科学的計測により判明した。

と書かれているが、肝心の活性水素とはどういうものかがさっぱりわからないから、こんなことを書かれても一体何を意味しているのか不明である。ちなみに、世の中には水素吸蔵合金というものがあって、燃料電池に応用されつつある。水素ガスを吸蔵して水素化物を作る金属材料である。何かの測定材料に対して、書かれているような検出感度上昇がおきたとしても、ここの説明を読む限り、「活性水素」なるものが出てくる必要性も根拠も不明である。電極に水素が入る話だとすると普通の水素吸蔵合金の話と何が違うのだろうか。水の中のミネラルに吸蔵という話なら、いったいこの水にはどんな大きさのミネラルが漂っているのか。さっさと濾過しろと思わないでもない。

 次に書かれている抗酸化力であるが、ページ一番下のに比較表がある。しかしこの説明を見ると、

スーパーオキシドによりルミノールが発光します。
この発光量の人気物質の添加による増減を、発光量を測定することにより評価しています。

 「人気物質」って一体?_?。何のtypoか想像もつかない。スーパーオキシドでルミノールが発光することは本当だが、この表だけでは、どういう実験をしたのかわからないので何とも言えない。水同士の比較をするには、一定量のスーパーオキシドを発生させたものを、ルミノール発光系の含まれたそれぞれの水に入れて発光を見ることが必要じゃないかと思うのだが、一定量のスーパーオキシドをどうやって作っているのか何も情報がない。その上、測定条件も書いてないし、グラフの横軸の単位もない。これでは、一体何をどうやって測定したデータなのか、まったくわからない。さらに、活性水素の効果なのか単なる水素ガスの効果なのかまで確認しないとまずいんじゃないの?加圧して水素ガスを溶かし込んだけの水をなぜ比較対照にしていないのだろうか。水素ガス溶解水との比較もないと、一体何の効果でルミノール発光に違いが出ているのかはっきりしないのではないだろうか。

 「直流分解・交流分解の違い」の説明も、読めば読むほどわからない。

2.交流電気分解は電極感を1秒間に30,000回以上反転移を行っている。このため、直流分解は活性水素H"(プロトン)のみであるが、H"(プロトン)は寿命が短い。交流電気分解は活性水素H"(プロトン)とH:(H-)の活性水素が発生し、寿命が長い。 寿命が長いほか30,000回以上電極反転中活性水素が左右の電極間を移動中に水中のミネラルにも吸蔵され寿命が数日と長い。

 プロトンに、H"とH-があるなんて、一応電気化学の洗礼も受けましたがきいたこともない。もちろん教科書にも出ていない。存在を実験的に直接確認するにはどうすればいいのだろう?こんな説明をいきなり出すのであれば、存在確認をやったという論文位は示すべきだろう。

3.交流電極側は、活性水素と活性酸素が発生しうち消しあっているため活性酸素は消滅されている。
5.無変調時に発生する1ファイmmの大きな泡は、スーパー変調により1ミューmファイとなり1/1000に細分化され、活性水素量も多量になり霞状となって上部に見える。
6.ミネラル活性水素が激突し、水素吸蔵となるが、スーパー変調衝撃波により、強烈な激突現象が起こる。

 こんなことを書かれてもな。一体どういう化学式になるんだ?うち消し合った後できるものは何だろうか?電気分解の途中でうち消し合うと、水に戻ってしまって、余分な水素も何も生じないように思えるが。図をみてもさっぱりわからない。

 活性水素かどうかはともかく、水素は水の中のミネラルにくっつき、さらに余剰分が水面から出てるという話に読める。起きていることが水の電気分解なら、それに見合った酸素ガスの発生があるはずだが、どこへ行ってしまったんだろう?ミネラルと水素が激突時、とあるが、ミネラルがもともと水の中に溶解していたものだとすると、水素と激突という説明は無理がある。水素ができる場合は、電極表面に水素が結合して、その後水素ガスになるという2段階でできるので、一体どの時点で水素とミネラルが激突するのかがわからない。また、スーパー変調により衝撃波が発生し、とあるけど、超音波のようなものだとすると、水でも何でも液表面で多少は霧状になって舞い上がっているようになるものだが。

 図に書かれている、不純物の分解沈殿も謎である。何が沈殿するのだろう?電極が溶けたってことはない・・・ですよね。電解漕の電極材料については何も記載がないのだけれど。

 ということで、せっかくの技術説明だが、読めば読むほど何が起きているのかわからなくなる書き方になっている。どうせ出すなら、もっとわかりやすく、どういう実験で活性水素に2種類あることを確認したかとか、ルミノール発光実験は具体的にどうしたかとか、電解条件はどんなものだとか、そういう情報を出してほしいものである。

 次に、水の改質のところを見る。改質器とは、

生物に必要なエネルギー(還元電位の低い水)に改質する機器です。

 という、ちょっと無理な説明がある。還元電位が低いからといって、その水が生物に必要なエネルギーを持っていることにはならない。酸化還元電位は、水の中にどんな種類のイオンが溶けているかで決まるのであって、生物の用いるエネルギーとは無関係である。

水中の水素(活性水素)濃度が過飽和になり、

とあるが、少なくとも、電気分解によって生じる水素ガスのことを活性水素と呼ぶことはない。

 応用例を見ると、

冬の寒い日に冷たい水を飲用すると寒さを感じる場合がありますが、50〜60℃に加熱した湯にス−パ−還元太郎で10〜15分還元すると還元力が強く酸素の多い水ができ、暖かさを感じます。

 水を50〜60℃にしたあと、別の装置に入れて10〜15分何かをやるだけだと、水は熱容量が大きいから、この程度の時間では処理が終わっても暖かいままじゃないのか?還元力や酸素によって暖かさを感じるのではなく、最初に温めたのがまだ冷えてないだけではないか?やっぱりここは同じ温度で比較してもらわないことには、効果の証明にならないだろう。

 あと、改質器の説明のところに、還元エネルギーの高い水を持続して飲用するのが良いことであるように書かれているのに、

★還元電位の低すぎる水はお茶・コ−ヒ−・ウィスキ−の水割り等には風味や香りが損なわれる場合がありますので改質後、数時間放置してご使用されるか、又は、浄水された水道水を2〜3倍に薄めて飲用されることをお勧めします。
★植物や魚等に与える水は還元力が強すぎる為、水道水等で5〜10倍に薄めて与えて下さい。青々と繁り実や花の量が多くなります。

って説明は一体?植物や魚にそのまま与えられない水を人が飲み続けていいのか激しく疑問。薄めなくてもそのまま使える程度に改質する装置をなぜ売らない?その方が便利なんじゃないかと思うが。

 飲用還元水の説明は、もっとものすごいことになっている。

この水には、岩清水の酸度(ph),ミネラル等は同じですが、なぜが原子状の水素「H」が多いと表現されています。この「H」つまりORP値が低い還元状態になっているのです。つまり地下の超超深度より湧き出た時点では『霊水』であるが、数日の時間経過により普通の水に変化してしまうのです。

 その、原子状水素が安定に存在するという事自体、まだ実証されてないんですが・・・。一体こんな話がどこからきたのか。やっぱり白畑教授でしょうか?少なくとも、化学の教科書を軒並み書き換える話なので、よっぽど決定的な証拠がない限り、原子状水素の話はゆくゆくはつぶれると思いますけど。で、とうとう『霊水』なんて言い出して、オカルトの世界に突入してしまってるし。

当社の高周波 交流による還元水は溶存酸素が過飽和にありながら活性水素還元しているため脱酸素状態にならず、溶存酸素は還元状態の中では活性酸素になりません。水素イオン単体では数時間で戻りますが、HS改質中にマグネシュウムイオンに水素が吸着し、水の還元状態が長時間維持され、酸化物を凝集沈殿し、除去します。

 あのー、水素とか水素イオンとか酸素とか活性酸素とか、適当に言葉を並べただけじゃないんですか(汗)。読めば読むほど、水の中で何がおきているのかわからなくなるんですが。書かれている過程それぞれについて、どういう実験で直接確認できるのか、まずは示していただきたいものだ。

「霊水」には 「気」が多く発生していますが、水道水及び直流による電気分解水の場合、気の発生は少ないです。高周波ダブル挙動+FM変調したことにより、プラスマイナス両イオンが多く入り 霊水以上に"気”が多く発生します。

 これで、この水は少なくとも、科学の範疇で説明できるものではないことがはっきりした。「気」って言われてもな。

交流電気分解水に強力な挙動(うねり)を電気的に与えることにより、水の分子構造に変化が起き還元力が強くなると考えられますが、

 なりません。水の分子構造は、共有結合でがっちり決まっているので、電場を振った位じゃ変わりませんて。

 図の「生体水」も違うと思う。大体、生体の中の水は、電解質やらタンパク質やらが大量に溶けていて、純粋な水としては存在していない。生体中の水の性質は多量の不純物で決まっているのだから、水の改質器でたまたまpHと酸化還元電位を同じにしたからといって、生体そのものとは何の関係もない。

 ということで、pHや酸化還元電位ばっかり測定せずに、ちゃんとミネラルの種類と存在量を測定した結果をまずはだしてほしい。化学的には何が起きているのか、読んでもさっぱりわからなかった。食用油の酸化防止装置の話が、「中小企業テクノエキスパート派遣事業利用の手引き」に掲載されているが、これは、ちゃんとした指導を受けたということですよね。その、技術を導入しようという姿勢はいいと思います。できれば、電気化学の基本についてもこの事業を利用して、指導を受けて勉強しなおしてもらいたいです。

 

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