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情報の重み付けに気をつけて混乱を避ける(2020/06/05)

【2020/06/26】

経済産業省・厚生労働省・消費者庁が消毒方法について合同で発表した。

厚生労働省・消費者庁と合同で、新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について取りまとめました

多数の文書への関連リンクがあるので,読んで確認しておくこと。次亜塩素酸水については噴霧×,掛け流しOK(濃度指定あり),で,大体予想通りの内容となっている。

なお,文部科学省が出している子供向け漫画「ウイルスのひみつ」は初心者向けで勉強になる。

厚生労働省による「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)

 

【関連ページ】

次亜塩素酸ナトリウム液・次亜塩素酸水ミストを吸入してはいけない(2020/05/10)
次亜塩素酸ナトリウム液・次亜塩素酸水ミストを吸入してはいけない・その2(2020/05/30)

 

次亜塩素酸水については,学校で噴霧してはいけないという文部科学省からの事務連絡がでた。このことについて,報道各社が記事を出しているが,中には,何が正しいのかわからなくなって混乱している記事もある。状況を読み解く参考になりそうな記事を見つけたので全文引用する。福井新聞の2020年6月5日付けの記事である。

次亜塩素酸水の噴霧器、撤去相次ぐ
コロナ消毒の効果巡り情報錯綜

 新型コロナウイルス感染症対策で消毒用の次亜塩素酸水噴霧器を設置していた福井県内8市町と県は6月4日までに、撤去や使用中止を決めた。「消毒液の噴霧は推奨されない」とする世界保健機関(WHO)などの見解をまとめた経済産業省の文書が5月29日に公表されたことを踏まえた。次亜塩素酸水の有効性を検証する独立行政法人が「結論が出ていない」とする一方、効果ありとする研究機関の報告もあり、市町の担当者らは「どの情報を信じればいいのか」と困惑している。

 次亜塩素酸水は、塩酸や食塩水を電気分解するなどして作られる酸性の水溶液。新型コロナの感染拡大で不足した消毒用アルコールの代わりに使用する動きが全国で広がっている。

 県内では鯖江市が2月下旬から市役所や全小中学校、一部の保育所に31台、永平寺町が3月上旬から役場や福祉施設などに50台を設置するなど8市町と県が100台余りの噴霧器を使っていた。経産省の公表などを受け、いずれも4日までに撤去や使用中止とした。

 福井市は市内業者から寄贈された2台を1日に撤去した。市施設活用推進課は「コロナへの有効性が現時点で確認されておらず、空間噴霧は人体に害のある可能性があるとの公表内容だったので決めた」とする。越前市も市役所に置いていた3台の使用を4日から見合わせた。しかし、来庁者や職員から気分が悪くなったなどのクレームはなく、担当者は「直近の発表内容は次亜塩素酸水の有効性を調査中で、噴霧については各自判断と曖昧に感じる部分がある。効果があるとする大学の報告もあり、一体どの情報を信用していいのか」と困惑していた。

 経産省は5月29日、WHOや米中衛生当局の「消毒液の人体への噴霧は有害である可能性がある」「人がいる状態で空間・空気の消毒を行うべきではない」などとする見解をまとめた「ファクトシート」を公表し、次亜塩素酸水の空間噴霧についても「有効性、安全性ともに確立された評価方法は定まっていない」としている。

 経産省の要請で新型コロナの消毒方法を評価している独立行政法人「製品評価技術基盤機構(NITE)」も5月29日、次亜塩素酸水の有効性は現時点では判断できないとして、引き続き検証試験を進めるとする中間結果を公表。NITEは「一定の効果を示すデータも出ているが、有効性を評価するための十分なデータはそろっていない」としている。

おそらくこの記事が,世間での混乱をおよそ反映していると思われる。 

情報の重み付けには順序がある 

 混乱の原因は,NITEや経産省の発表,個別の研究機関の発表の詳細の確認が不十分であることと,次亜塩素酸水業者が都合の良いところだけ引用してわざとに紛らわしくしている広報のせいである。

まず,共有すべき情報の評価の重み付けを把握する必要がある。既にマニュアルとなって使われているものを守るべきであり,そこから逸脱することは安全ではない。マニュアルとは,たとえば,

  • 厚生労働省の出している「高齢者介護施設における感染症対策マニュアル改訂版」
  • 「2020年版 消毒と滅菌のガイドライン」(へるす出版)※病院や医院で使われている滅菌,消毒法のまとめ
  • 5月29日付けの「次亜塩素酸水の販売実績、空間噴霧について(ファクトシート)」にまとめられた各国保険機関の噴霧についての見解

 といったものがある。感染症対策に必要な消毒方法がまとめられている。

標準的な消毒方法として,次亜塩素酸ナトリウム液(ハイターと同じ成分,0.1%で使うなど)による清拭やつけ置きと,アルコールによる手指消毒などが書かれている。消毒剤を人体に噴霧しない,というのはどのマニュアルにも書かれている。一方,次亜塩素酸水(強酸性,微酸性ともに)は,感染症対策の消毒法には全く登場しない。

マニュアルの次に信頼性が高いのは,NITEが出している,「新型コロナウイルスに有効な界面活性剤を公表します(第2弾)~物品への消毒方法の選択肢がさらに広がります~」で,新たに調べて消毒に効果があるとわかってリストに追加されたものである。現在進行形で何が有効かの確認が進んでいて,リストが随時更新されている。

従って,確実に安全に使えるといえるのは既にマニュアル・ガイドラインに掲載済みの方法と,NITEから出てきた有効性確認済みの方法のみである。これ以外の方法については確定するのを待てば良いのであって,商品に飛びつくのはやめた方が良い。

なぜ,マニュアルやガイドラインの信頼性が高いかというと,書かれている内容を支えている膨大な研究があるからである。へるす出版の本の文献リストは相当充実している。

重み付けの順番は,既にあるガイドライン>=NITEで確定情報が出たもの>>>越えられない壁>>>業者の宣伝や個別に出ている大学などの有効性の結果,となる。ただし,被害情報・有害情報が個別に出てきた時は,確定情報に変更を加える情報になり得るという重みをつけて扱うこと(安全に取り扱うためのマニュアルを改訂する情報になることがあるので)。

消毒薬を人体に噴霧してはいけない,は,既にあるガイドライン項目の1つである。「消毒薬」で括っていることに注意。化学反応によって菌やウイルスを殺すもの全てがあてはまる。この一覧表にあるもの,とか,ここに列挙しているもの,のような制限は,ここでいう消毒薬については指定されていないのである。

消毒薬の解説を見ると,今現在使われている消毒薬の分類や,具体的に何があるかといったことが出ている。しかし,消毒薬を人体に噴霧してはいけない,は,何とでも化学反応するようなものを人体に噴霧して吸わせては危険だという一般的な話を,消毒薬に限定して言っているだけである。消毒薬を使うメリットが噴霧吸入のデメリットを大きく上回るならこの制限を緩和することもあり得るところ,明文で禁止していて,緩和していい条件も出していない。従って,一般的に使用されている消毒薬のリストに無いものであっても,化学的な消毒作用があるものについては,吸入するな,という対応にあてはめておくのが安全である。

業者によっては「消毒薬」とは次亜塩素酸ナトリウムのことであり,次亜塩素酸水あてはまらないと主張しているが,その考え方は安全ではない。化学的な作用で消毒の効果があるものは全て消毒薬に分類して考えないと,安全に取り扱うことはできない。次亜塩素酸水が消毒薬でないのなら,消毒作用を謳うこと自体が嘘ということになって新型コロナウイルス対策で使う意味が無くなるし,消毒作用があるのなら消毒薬のカテゴリーに(自動的に)入れて,人に噴霧するな,があてはまることになる。効果の実体がClO-なので,次亜塩素酸ナトリウムと同じ扱いに入れておけば,まずは,安全に取り扱えることになる。濃度によって扱いを変えるのであれば,使用のためのマニュアルを決める時に行えばよい。水道水の残留塩素濃度であれば危険はほぼ無いかわりに,水道水に消毒効果は期待できない。次亜塩素酸水は水道水より二桁以上濃いが,ガイドラインに書かれた次亜塩素酸ナトリウムの濃度よりは二桁薄いというのがおよその目安である。

また,口に入っても安全だから噴霧しても安全とはいえない。歯科医院で使っているとか,歯周病に効く,というのを強調している宣伝もあるが,歯周病学会からは既に否定されているという情報があった(ソース確認中)。食品添加物だから吸入しても安全,とはいえない。食品添加物としての次亜塩素酸水の利用は,加工の途中で洗浄に使ってもよいというものであり,洗い流すか分解するかして,最終的に食べるものには残留しないこと,というのが条件である。このあたりは,業者が意図的に混同させることを狙った広報や宣伝をしているので,気をつける必要がある。

重視するべき事故情報としては,事故情報データバンクシステム を,「次亜塩素酸」で検索すると得られる。

 

 

記事へのコメント

  • 「次亜塩素酸水の有効性を検証する独立行政法人が「結論が出ていない」とする一方、効果ありとする研究機関の報告もあり」
    独立行政法人(NITE)は複数の研究機関の結果をとりまとめている。「結論が出ていない」というのは,規格や使用法のマニュアルが定まっていないということ。「効果ありとする研究機関の報告」は、独立行政法人のとりまとめに入っているかもしれないし,いないかもしれない、特定の次亜塩素酸水について特定の条件で試験した時の結果に過ぎない。規格やマニュアルを今後決める時の参考になるかもしれないが、単独で規格やマニュアルに落とし込むことができないものなので、個別の結果を見て効果がある、と判断してしまうと,条件から外れたときに失敗することになる。また,ここでの報告は,全て,液体のまま接触させて消毒することが前提になっている。研究機関の報告は,一般消費者がそのまま判断の基準にするのではなく,規格や使用マニュアルに取り込まれるのを待てば良い。
  • 「コロナへの有効性が現時点で確認されておらず、空間噴霧は人体に害のある可能性があるとの公表内容だったので決めた」
    有効性が確認されていない、つまりどんな規格でどんな使用法で、が決まっていないのは,噴霧ではなくて、清拭や物を浸して消毒する場合の条件について。噴霧について有効性を確認していないのは、消毒薬を人体に噴霧するな、という、個別の消毒薬の調査に優先するガイドラインがあるので、調査研究でもそれを守っているということだろう。
  • 来庁者や職員から気分が悪くなったなどのクレームはなく
    濃度と噴霧量で決まる暴露条件次第で、影響が出たり出なかったりする。一般には、消毒効果が高いほど影響も出やすいだろう。加湿器に消毒剤を入れて数年にわたって700人を越える死者が出た韓国の事件でさえ、最初に被害が出たのは使い始めて2ヶ月後で,在宅時間が長く曝露量が多い人から順に,だった。次亜塩素酸水の場合、影響はずっと穏やかであることが予想されるので、被害が出るとしてももっと先で微妙な症状になりそうである。この場合、被害者が噴霧との因果関係を示すのは、むしろ難しくなりそう(派手な異状は発見も追跡もしやすいけど、不定愁訴みたいになるとなかなか面倒)。症状が出るとしても基礎疾患の有無などでも変わってくることが予想される。
  • 「直近の発表内容は次亜塩素酸水の有効性を調査中で、噴霧については各自判断と曖昧に感じる部分がある。効果があるとする大学の報告もあり、一体どの情報を信用していいのか」
    人に対して噴霧しないこと、は最優先のガイドラインなので、各自判断に任されているのではなく、必ず守らなければならない原則である。有効性の調査は、清拭やつけ置き洗いなどの場合に限った有効性である。どの情報を信用するか,への答えは明らかで,既に病院や介護施設で使われているマニュアル・ガイドラインと,今回,NITEが使えると確定情報を出したものだけを信用すれば良い。

「次亜塩素酸水の空間噴霧についても「有効性、安全性ともに確立された評価方法は定まっていない」」のは当たり前で,消毒薬を人体に噴霧するな,というのが保健機関の共通の見解として定まっている時に,有効性と安全性を確認するために人体に噴霧する試験をしましょう,というのは,倫理的に許されないだろう。これこれの条件で有効性と安全性を評価しましょう,と決めて,人体に噴霧して,消毒には有効だけども健康被害が出ました,となることもあり得る。試験方法を定めたらむしろまずいことになる。

また,クラスII医療機器である強酸性電解水の製造装置の場合は,装置は医療機器認定されているが作った水は流通させないことになっている。使用方法は,装置で作った水を流しながら使う,である。食品の殺菌科の微酸性電解水も,電解装置を買うことが前提で,作った水を流通させないことになっている。作った水を流通させる時の基準は何もない。

有効性が明らかでない、の具体的な内容は、清拭やつけ置きといった利用については確実に消毒効果のある条件がまだわからない(試験によって結果がばらついている、押さえるべき条件が足りないなど)、噴霧についてはそもそも行うべきでないため試験は実施せず未確認、というものである。

次亜塩素酸水販売業者が個別に言うことに耳を貸す必要は今のところない。大学や研究機関が個別にポジティブな結果を出しているものも同様で,一般消費者が注目する必要はない。どういう規格でどういう条件の時に確実に消毒効果が得られて安全に使えるのかについて,業界団体と厚生労働省あたりが,個別の研究機関の結果も踏まえて規格やマニュアルを決めるのを待てば良い。規格が決まったら,業者は規格を満たす水を作る装置を製造販売し,一般の人達がそれを買ってマニュアル通りに使う,ということになる。

ただし,危険情報や被害情報については個別に出たものに気をつけておく必要がある。判断は安全側に振っておくのが普通なので,ポジティブな情報と被害情報を同等に扱うものではない。このあたりも,わざとに混同させる宣伝が行われたり,ポジティブな情報と危険情報を同等に扱うのが科学的だとするような記述もあるので注意。実験事実として消毒効果のある次亜塩素酸水が確認されたとしても,有効性と安全性が確定するまでは,どちらも「ない」と判断するのが安全側に振った判断ということになる。実験事実と判断基準がずれる場面なので,ここを捉えて非科学とか合理的で無いとか業者の言い分の方が科学的だ,などと突っ込まれることがある。このパターンに嵌められていないか意識して注意しておくこと。

うまく消毒できなかった、というネガティブ情報については少数であっても重視しておく。やったつもりでできていなかった、ということになると、安全が確保できなくなるからである。将来決まるかもしれない規格とマニュアルは、失敗が起きないように定められていなくてはいけない。

 

「除菌」という言葉に惑わされないように

業者が使いそうな説明として,「消毒」ではなく「除菌」だというものが出てくる可能性がある。消毒ではなく除菌だということにすると,消毒剤ではないから噴霧OKだという言い訳ができそうだからである。

除菌については,食品工業学会誌の技術用語解説を見ると,

微生物を系外に排除することが除菌(Removal of microorganism)であって,通常濾過,沈降,洗浄などの手段によって実施することができる。 この場合,排除された微生物は生存しているのが普通であり,ただ物理的あるいは化学的に行われている洗浄においては排除とともに死滅している こともある(例えば苛性ソーダ溶液による洗浄の場合のように)。滅菌の定義の中には死滅とともに除去することも含まれており濾過滅菌と称しているが,濾過除菌の方がより合理的な表現と考えられる。

とある。除菌とは微生物をその場で殺すことは必要ではなく,移動させることによって,居て欲しくない場所から減らすことを意味するからである。従って,次亜塩素酸水をスプレーボトルに詰めて,指先に噴霧するだけ,といった方法では,除菌はほとんどできないだろう。部屋に噴霧したところで除菌はできない。水滴が大量に付くぐらい噴霧して洗い流すというのなら別だが,それなら噴霧器で振りかけて拭き取ればよい。

次亜塩素酸水で除菌をするのであれば,装置で作った水を流しながら使って菌やウイルスも流し去る,ということをすれば除菌したことになる。その場で菌やウイルスが死ぬのなら,消毒効果が同時にあるということなので,消毒剤としての扱いをすることになる。

しょぼい消毒効果のことを除菌と呼んでいるわけではない。除菌効果を謳うなら,普通の水を使うよりも,付着した菌やウイルスをその場から引っぺがして簡単に流し去ることができる,という,本来の意味での除菌効果を示してもらいたい。もちろん,消毒効果との区別をした上でだが。界面活性剤を使った時との比較も欲しいところ。

ただ,除菌効果を全面に出した場合,石けんや洗剤で洗い流した場合と比べることになるわけで,ある程度の液体は流せるけれど石けんは使えない,という,かなり限られた条件でしか優位性がなさそうなのだが,どんな場面で使うと良いのだろう。やっぱり,本来の用途の食品かなあ。洗剤を使う量を減らせるというメリットはありそう。

 

なぜ規格やマニュアルが必要なのか 

規格が出来るのを待て、といっている理由は、品質のばらつきで外れを引くのを防ぐためと、宣伝内容の混乱に巻き込まれるのを避けるため。標準とか規格がなかったら、薄めの次亜塩素酸水製造装置を作るA社と、濃いめの次亜塩素酸水製造装置を作るB社があって、A社が「噴霧しても健康に影響ないしクレームもありません。新型コロナへの効果はまあ多少は期待できます(ゆるふわなイメージ宣伝で売る)」、B社が「新型コロナの消毒効果をがっつり確認しました。手洗いにも使えます(噴霧については黙っとく)」って宣伝をし、分かってないC社が水のボトルを仕入れてきて「噴霧にも使えて人体に影響なく、新型コロナの消毒効果もあります(他社の宣伝のいいとこ取り)」ってやらかすことが起こりうる。今も実際そうなってるっぽい状況をあちこちで見かける。これでは、一部のマニアと物好きが買って遊ぶには良くても、一般消費者の手には負えないので、業界と監督官庁で製造装置の規格と使い方のマニュアルを決めてくれ話はそれからだ、って言ってるわけ。

今の状況を一言で言うなら、フライングして一般消費者に次亜塩素酸水(や製造装置)を売りつける業者が悪い。 なお、吸入する条件で噴霧という使い方を広めているのは、消毒マニュアルを読む学力が無いか(当然科学や技術の知識も信用できない)、知ってて儲けるためにわざとにやったかどちらかである。

 

おかしな業者とそうでない業者の判定基準 

  •  今(2020年6月7日までと、その先、消毒に使える次亜塩素酸水の規格とマニュアルが決まるまでの間)次亜塩素酸水製造装置を新型コロナ対策として売っている業者は×
    理由:医療機器認定されているのはクラスII医療機器の強酸性電解水のみだが、感染症対策の消毒・滅菌法には全く出てこない。微酸性電解水などは食品用のみ認可。つまり規格と使用法が決まる前のフライング販売をしている業者だから信用してはいけない。
  • 次亜塩素酸水噴霧を推奨した業者は×
    理由:「消毒薬」ならそもそも噴霧はダメ。消毒薬ではないなら、消毒効果や新型コロナウイルスへの対策を謳ったり、そういうイメージを出して売るのがおかしい。
  • 次亜塩素酸水を流通させた業者は×
    理由:今規格が決まっているのは、クラスII医療機器の強酸性水製造装置と、食品殺菌科の微酸性電解水の製造装置で、どちらも水を流通させないことになっている。定められた使用法から自己判断で逸脱orオレオレ規格の次亜塩素酸水製造装置を作って使用の条件から逃げようとしているのどちらかだから信用できない。

次亜塩素酸水製造装置は、今コロナ対策になるという宣伝をしたり水を流通させたり噴霧させたりしていない業者で、装置の規格と使用法が確立してから、それに沿ったものを出してきた業者から買いましょう。たまたま今売っているものが、後から、殺菌用途の条件に合っていることがわかったとしても、不確かなままで消費者に宣伝・販売していたという事実は治癒されないので。

 

業界団体の主張 

本来、ボトルに詰めて流通させることはしないはずの次亜塩素酸水だが、業界団体((一社)機能水研究振興財団)としては全部にダメ出しもできなかったらしく、「容器入り次亜塩素酸水の使い方」を出した。

机やドアノブ、手すりなどの除菌:ビシャビシャにスプレーします。
直接スプレーでビシャビシャになるまで噴きかけ、約10病後ふき取ります。これを2回繰り返します。
※1回目で汚れを取ります。2回目で除菌効果が発揮されます。

ただ単に水で拭き取っても、物理的に除菌効果(菌をその場から移動させて減らす、殺菌することは意味しない)は得られそうである。

手の除菌:石鹸で良く洗手後、ふき取り、ビシャビシャにスプレーします。
①手洗い:洗い残しのないように洗って、ふき取り、汚れを十分取ります。 ②除菌:ビシャビシャになるまでスプレーし、約10秒後ふき取ります。または、ビシャビシャにスプレー後乾くまで手揉みします。
※次亜塩素酸水はエタノールのように少量スプレー(シュッシュッ)では良い効果が出ません。なお、手荒れはほとんどしません。

次亜塩素酸水は汚れがあると反応して除菌効果が落ちるので、まず手洗いして汚れをとってからスプレーしろ、ということになっている。最初の手洗いでウイルスは取り除かれるだろうから、追加で次亜塩素酸水を使う意味がどこにあるのか疑問である。

業界団体だけあって、消毒したつもりでできてない、ということにならないように安全なマニュアルを作った結果、次亜塩素酸水を使う意味が全くなさそうな使用方法に辿り着いたらしい。