万井医院/QRSメディカルへのコメント(2012/01/27)
【注意】このページの内容は商品の説明ではありません。商品説明中に出てくる水の科学の話について、水・液体の研究者の立場から議論しているものです。製品説明は、議論の最後にある、販売会社のページを見てください。
QRS処方水を薦めている万井医院というのがあって、QRSそのものの説明は、株式会社量子科学研究所のサイトを見ろ、となている。そこで、量子科学研究所を見に行ってみた。
まず、
1900年の初頭、アルバート・エイブラムスは腹部打診法の研究を進める中で、「特定の症状は、腹部の特定の箇所の打診音の変化として現れる」ことを発見、腹部打診法に基づく診断法を確立しました.
とある。ところがこのエイブラムスの主張からしてが、完全に間違っていたという結論が出ている。間違いに基づいて商品を開発したら、商品の説明も間違えるのは当たり前で、QRSメディカルの出している説明は、そのことを見事に表している。
エイブラムスの主張として引用されている部分には(もちろん今の科学とは全く異なっているわけだが)
エイブラムスは、彼が「電子反応」と呼ぶこれら一連の反応から、
『病気にかかった組織の細胞から出る未知の波動が、健康な人体によって感受(受信)、記録され、それらの波動が健康な人体の組織の性質を変える。』
『マラリアとか梅毒にかかった組織が放射する波の性格を変えることのできるような、無線放送にも似た波動放射器械を考案することができるのなら、キニーネとか水銀剤と同じように、効果的にそうした波動を相殺できるだろう。』
とある。実際にラジオ状の「波動」送受信装置は作っていたらしい。未知の波動だと言っておきながら、ラジオもどきで受信できると考えるあたりに既に矛盾がある。
『病気は細胞起源のものだとする昔ながらの理論は、時代遅れで廃棄されなければならない。細胞の分子組成が構造的変化を受け、特に電子の数と配置が変化をこうむるので、その特徴的影響が後になって顕微鏡で細胞の病気となって見えるようになるに過ぎない。』
トータルの電子数が変わるという話なら、それ何て粒子生成?の世界で、そんなことができるエネルギーは桁が違うだろう。分子組成の構造の変化やそれに伴う電子の数と配置の問題なら、それはごく普通の(生)化学反応で、未知の波動など持ち込まなくても説明できている。
同様の現象は、他の代替医療にも
エイブラムスが発見した「生体反応には、物質を媒体とした物理化学的な反応が起きる以前に、未知の波動に基づく何らかの生理的な反応がある」と同様の現象は、様々な代替療法の中にも見ることができます。
逆に言えば、代替医療で*しか*見ることができないわけで、現在までに観測されている生理現象は、未知の波動など持ち込まなくても物質の変化で十分説明できる。
「波動」系代替医療には、何にでも使える便利な未知の波動が登場する。空想するのは勝手だが、まずもって未知の波動が簡単な電気的装置で測定できるという設定になっていることそのものがおかしい。電気的測定が可能なら、それは未知でも何でもなくて単なる電磁気現象の一つだろう。
次に、水に波動を転写するとされているが、水の側には余分な「波動」を受け取る機能は無い。液体の水を考えた場合、熱運動のためどの分子も時々刻々位置・方向・速度を変えており、分子の向きや並びを利用して何かを記憶させることはできない。個別の分子を見ると、どれもH2Oで、形も電子の配置も同じであり、他に情報を記憶する自由度は無い。厳密にいうと、水素結合を作っているときとそうでない時で電子の状態に違いがあるが、その移り変わりは熱による揺らぎによるのであって、何かの情報を記録させておけるようなものではない。
生き物に特有の「波動」を考えないと説明できない現象は今のところ見つかっていない。物質の変化による説明だけで足りている。水の側にも「波動」が介在する余地はない。従って、そういった情報を転写する装置にも、作られた水にも、効果は全く期待できない。
万井医院の宣伝では、
=量子共鳴分析器=
◇生体のもつごく微弱な電磁エネルギー情報を測定・分析することにより生体の様々な情報を数値で捉えることができる装置です。
とあるが、生体からの微弱な電磁エネルギーを記録する(まともな)装置が既にある。電気信号なら、筋肉の活動に伴う電位の変化の測定が行われているし、磁場ならSQUIDがある。もちろん、出てくるのが数値1個だなどというケチな結果しかよこさないものではない。
水の管理としては、転写水をミネラルウォーターや浄水に混ぜて作ること、混ぜたら4℃で保管(つまり冷蔵庫に入れる)ということなので、元の転写水がきれいなら、衛生上は問題がなさそうではある。ただしあくまでも普通の水であって、それ以上は何の効果も期待できないが。
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