講義の準備をしていたら……
教養で「科学リテラシー」というタイトルの講義をしているということは以前にも書いた。毎回プリントを作り、それに前回の講義に対する質問やコメントを掲載して、私からの補足も書いて印刷して配っている。昨年末、病的科学、疑似科学とは何か、といった内容で1コマ話をした。で、最初に大間違いをやらかして後に引けなくなった例として、副島氏の「人類の月面着陸は無かったろう論」を取りあげてちょこっとだけ紹介した。
で、新年早々の講義の準備で出席カードの裏のコメントを整理していたら、
ずっと前にテレビで月面着陸はウソだとやっていて、私も信じてしまった。この講義をうけてなかったら、ずーっとうそだと信じてたかもしれない……。
講義した甲斐があったと喜んでいいのか、こんなもの真に受けるなよと心配した方がいいのか。何だか複雑な気持ちになった。
日が変わる頃までこの講義のためにコメントの整理をしていたのだが、mixiにメッセージが来たというメールが飛んできた。水やらニセ科学関連で向こうでも議論してるもんだから、何か返事しないとまずいかと思ってあけてみたら「山形で暇してます。恋人欲しいです(以下略)」……orz。そりゃおまいは暇だろうよ、丑三つ時にこんなメッセージよこすくらいだからよ。でもな、こっちは仕事中じゃヴォケ!とパソコンの前でつぶやいて、メッセージはゴミ箱行きとなりました。
追記:エロサイトからの宣伝目的トラックバックがあったので削除した。
ここからは旧ブログのコメントです。
by すっぱいぶどう at 2006-01-45 07:56:45
Re:講義の準備をしていたら……
私はこんなコメントをいただきました。
「先生の授業ではマスコミに気をつけろということが強調されますが、化学業界ではそんなにいい加減にうつるんですか?」
いや、今日は健康食品の話で、身体にいいといわれているものでも、大量に摂ったら危ないかも知れないぞとか、マスコミが言ってることを鵜呑みにするんじゃなくて、自分でも判断基準を持ってた方がよくないかとか、言ったのだが…。
by apj at 2006-01-40 09:47:40
Re:講義の準備をしていたら……
私の方は、「タイムマシーンは開発される可能性はありますか」という質問が出たため、こんな説明をすることに。
今のところ、物理学はタイムトラベルを禁止していない。禁止していない、の意味は、時空を記述するアインシュタイン方程式の解の中に、タイムトラベルを許容するものが見つかっているということ。ただし、解としては病的なもの(非現実的なエネルギーなどを前提とするから)という扱いがなされているし、タイムマシンを作った時より過去にはさかのぼれないという制約もあるらしい。また、時空の方程式自体が将来別の形のものに取って代わられるかもしれない。私の専門ではないので詳しいことまではわからないが。
物理学は、何が不可能かは教えてくれるが、何が技術的に実現できるかについては答えてくれない。タイムマシンができるかどうかについては、厳密に言えば、否定も肯定もできない。
寝転がって読める解説書としては「タイムマシンをつくろう!」ポール・デイヴィス著(草思社)ISBN4-7942-1223-2、「タイムマシンの作り方 光速突破は難しくない!」ニック・ハーバート著(講談社)ISBN4-06-132798-4がある。”Time Machines: Time Travel in Physics, Metaphysics, and Science Fiction”(Second Edition), Paul J. Nahin 0-387-98571-9は、アメリカ物理学会の出版部が出しているもので、引用文献が充実している(SFファン必携、かな)。
もはや何の講義だか……orz。