魂の力学
元ネタはロゲルギスト・エッセイ「物理の散歩道」。
科学リテラシーの講義で出た学生からの質問に「死ぬと体重が軽くなるって本当ですか」という質問があった。一応、「水分が抜ければ軽くなるかも」とまじめな方の答えを出したが、多分これは学生の期待には反するだろう。
ということで、「死んだら魂が抜けて軽くなる」というオカルトネタを物理でモデル化するとどうなるかということを簡単に説明してみた。
1)天国モデル
見えない糸で見えないヘリウムを入れた風船のようなものつながっているモデルで、死ぬと糸が切れて風船は空へ上がっていく。この場合は、生きている間は浮力で常に上向きに引っ張られているから、死んだ瞬間に体重は増えることになる。
2)地獄モデル
見えない糸で見えないおもりがぶら下がっているモデル。この場合は、死んで糸が切れたらおもりが地面に転がり落ちて、体重は軽くなる。
十分広い器で受けると、転がり落ちた衝撃が観測できるかもしれない。
ただし、地面に落ちるというのは、その後泥にまみれるとか苔むすとか、落ちた衝撃で割れるとか誰かに踏まれたり蹴飛ばされたりするという光景が容易に想像できるので、これが魂の行く末だとするとかなり情けなく、オカルト的に考えてもまったくありがたくもうれしくもない。
ここまでしか話さなかったが、
3)消滅モデル
本当に魂の質量が消滅するモデル。巷のオカルトネタに登場する消滅量って、確か数十グラム程度だったはずだが、問題は欠損分の質量はE=mc^2でエネルギーに化けることにあり、これでは人一人死ぬ度にエラいことになる。
なんてのもありそうだ。
まあともかく、まともな検証測定が出てこなくて、減るらしいという話だけが一人歩きしてるなら、それはただの都市伝説かオカルト話だよ、ということで。
ここからは旧ブログのコメントです。
by 酔うぞ at 2006-06-00 16:56:00
Re:魂の力学
「物理の散歩道」とは懐かしいものを(^_^)
愛読してましたなぁ。
by こーの at 2006-06-36 21:12:36
Re:魂の力学
その手のねただと、ソウヤーのターミナルエクスペリメントってのがあるな。
by 温泉カワセミ at 2006-06-30 21:43:30
Re:魂の力学
>問題は欠損分の質量はE=mc^2でエネルギーに化けることにあり
うふふふふ、たしか1gの質量が化けたときのエネルギー量は、長崎型原爆の爆発力程度やったはずです。20gも消えた日にゃ、そら何百万人も犠牲者が出て、またそのヒト達の魂もエネルギーに転化するから、ドンドン連鎖反応が繋がって・・・・・おぉ、恐ろしい(笑)
by Tama at 2006-06-21 01:36:21
Re:魂の力学
魂は30gって聞いたことがあります(笑)
質量消失分のエネルギーは、別位相?のいわゆる霊界へと抜けていき、また輪廻転生とかそういうのに使われる・・・みたいなモデルであれば、特に問題無いかもしれませんね。まあ、これだと地獄モデルに近似されちゃいますが。
by Niimi at 2006-06-59 08:50:59
Re:魂の力学
抜けた魂(?)が現世に止まるってモデルは無し?
by apj at 2006-06-34 09:42:34
Re:魂の力学
Niimiさん、
今回提示した3つのモデルでは、全部「現世」にとどまります。浮力で浮いていっても上空で止まるし、地面に転がっても「現世」以外のところに行くわけではないので。
by apj at 2006-06-35 09:45:35
Re:魂の力学
こーのさん、
これですね>ターミナルエクスペリメント
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150111928/
by Niimi at 2006-06-35 13:08:35
Re:魂の力学
あぁ表現悪かったですね。1)2)だと上に行くか下に行くかでしょ? その場で拡散(横移動)ってのは無いのかと。
by がじら at 2006-06-37 06:30:37
Re:魂の力学
apjさんのモデルを見ていたら、魂魄の話を思い出しました。
確か魂魄の魂は心をつかさどり、魄は体をつかさどるもので、人の死後、魂は天に昇り、魄は肉体とともに土に帰るものと考えられています。
確か陰陽道の考えから来ていたはずです。
魂を天国モデル、魄を地獄モデルに当てはめるとすると、泥まみれや蹴飛ばされたりはしないでしょうけど、両方を組み合わせたモデルで、魄の重さを計る方法や両者の重量比を考えないといけないしので結構複雑になるな・・・
by (ぱ) at 2006-06-59 10:12:59
Re:魂の力学
魂が体内にある時と死んで外に出た後とで密度が同じとは限らないですから…
凝集されて液化していた魂が、死ぬと共に気化して浮力モデルで逃げていく、というパターンも考えられるのでは。