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もっとGoogle八分について教えよう

Posted on 6月 15th, 2006 in 倉庫 by apj

 最近、私の知り合いのサイトのいくつかが、Google八分にされている。Google八分とは、Googleで検索したときにリストに出ないように削除されることである。つい最近も、平和新軍観察会のサイトがGoogle 八分された。
 Google八分をしかけてきたのは、民事で係争中の 「ラーメン花月・平和神軍事件」の一方当事者、グロービートジャパンという会社と考えられる(他に利害関係者はいない)。

 Googleという会社の基本姿勢は、「個人の主張と企業の主張では、企業の言いなりになる」というものである。私が知る限り、Google八分にされているのは、「特定企業を批判している個人のサイト」であった。サーチエンジンの順位をアルゴリズムで決めているというのは実は正しくなく、恣意的に見えなくするいうことが陰で行われている。問題は、誰かの権利の侵害をしているといえないサイトでも、Googleの独断と偏見で一方的に見えなくされてしまうということである。つまり、訴訟で係争中ということは、判決が出るまでどちらの言い分が正しいかわからないわけで、結果次第では、権利侵害など無かったということもあり得る。だが、それを待たずにGoogleは検索結果を操作した。

 Googleだって私企業だから、何をどうしようがGoogleの勝手ではある。そのかわり、「Googleの検索結果からはある特定企業にとって都合の悪い情報があらかじめ削除されている可能性がある」ことを意識して使わないと、検索結果に騙されることになる。

 教養教育では「科学リテラシー」というタイトルで講義しており、学生にはレポート課題として、「科学的にみて怪しい宣伝を選んで、何が怪しいか、どうすれば検証できるか議論せよ」といったものを与えている。毎回、ネットから情報を拾ってくる学生が多数いる。レポートは、学生が自分で考えて書くことになっているから、検索したとき批判サイトが出てこなくてもかまわない。その場合でも、Google八分の存在については教えておく必要がある。
 私は、高等教育の目的の一つは「王様は裸だ」と言える人材を養成することだと考えている。調べ学習なんかで教えられる「ネットは便利だからどんどん使いましょう」だけではだめである。大学まで来たのならはやっぱり、「一見中立に見える情報が実はゆがめられている可能性を意識しながら使う」ことが出来ないとまずい。情報リテラシーに関連する講義をしている先生方には、ぜひ、Google八分についてもきちんと教えていただきたい。

 ユーザーがとれる消極的な方法としては、複数のサーチエンジンを使うこと、もっと言うなら、複数のサーチエンジンが存続できるような使い方をしていくことが大事だろう。何でもかんでもGoogleに頼っていてはいけない。一極集中が弊害をもたらすのは、サーチエンジンの場合にもあてはまる。
 もう一つの方法は、Google八分されたサイトだけを登録する検索サイトを有志で立ち上げるというものになる。「Googleに引っかかるサイトの数>>(越えられない壁)>>八分されたサイトの数」は今後も成り立つだろうから、Googleの向こうを張って設備を増やす必要はない。ただし、Google八分を仕組むような企業はろくでもない悪徳企業であることが予想されるので、そういうサイトを作れば当然圧力はかけられるだろうから、脅しに屈しないだけの理論武装と対抗手段を持たなければならない。従来のマスコミによる情報伝達ルートを併用して、サイトの存在や活動を宣伝するといったことも必要になるだろう。


ここからは旧ブログのコメントです。


by まいまい at 2006-06-49 22:50:49
Re:もっとGoogle八分について教えよう

同感です。

小学校中学校に出前講義して最近思うのは、20年前に比べて児童生徒の目の輝きが明らかに低下しているということ。どうも私の地域では、何を先生に期待しても相手にされないなら、ここで何をしても無駄、という若いというより幼い人たちの 諦めを助長するような学校運営がなされているようです。

それは、何か聞きたそうにしている児童に向かってそっと「知りたい事があるか?」と水を向けてみるとわかります。次の瞬間に目の色がパッと変わって、機関銃のように話し始めるからです。それまで死んだ魚状態だった児童生徒も蟻が砂糖にたかるように群がってきます。

「王様は裸だ」といっても無視されるだろうから言わない。そういう社会作りがギム教育から進んでいるようでとても恐ろしいです。敢えてそれはおかしい、と旗を振らなくても「あなたの言いたい事を聞こうとする人物が世の中にはいるんだよ」と行動することで、「だからこそ知り、考えることには価値がある」と伝えてゆきたいと思います。


by 越後屋遼 at 2006-06-30 06:22:30
Re:もっとGoogle八分について教えよう

複数の検索エンジンを使うなら、このサイトを利用しよう。
http://searchdesk.com/
「戻る」を使えばキーワードは入れなおすことなく、すぐに別の検索エンジンを使用できる。
なお、http://searchdesk.com/help/navi.htmにあるように、IEなどの検索バーに入れてしまうこともできる。

お気に入りにGoogleが入っていると、どうしてもそればかり使うようになるから、こういうものを利用してほしい。

なお、これは宣伝ではない。
なぜなら、うちの会社が運営してるのは「goo」なんで・・・(苦笑)


by apj at 2006-06-32 11:04:32
Re:もっとGoogle八分について教えよう

 科学リテラシーの講義で、学生が出席カードの裏に書いてくる質問やコメントを、配布プリントの最初に打ち込んで、私のコメントが必要なものはコメントをつけ、そうでないものは箇条書きにして、毎週配布しています。過去の質問はウェブで公開してますが、分野を問わずにいろいろ訊かれるもんだから、調べてもわからないものもあったりして(汗)。大学の先生なんて、理科の先生する訓練はちっとも受けてないのに、理科全分野をカバーする勢いになっちゃってます。そういう私も理科の先生の資格は持ってないんですよね。学生時代に教職とらなかったから。
 150人以上の受講者の居る講義だから、指名して答えてもらうのはちょっと無理なので、双方向にコミュニケーションするには、プリントを使って交換日記状態にするしかないんですよねぇ。そうしたら、この間、ウチの学科のタテコン(学科全学年&教員が生協で一緒に軽食をとる親睦会)で、教養の講義もとってる学生から、「プリントできちんと質問に答えてくれるので感激した」って言われました。高校までは、先生が熱心に質問の相手になってくれなかったらしいです。理科教育ML方面んは、質問に答えてくれそうな教員が多いんですが、そうじゃない人も結構いるんだろうなぁ。でも、普通は大学は学生が自発的に勉強して内容を深めるので、教員は一歩引いた感じになるはずなんだが、何だか逆だよなぁ。ホントは、知識を吸収する段階は高校までにしっかりやってもらって、大学は、知識体系の評価に踏み込むようなことをやる方がいいんだけど。


by apj at 2006-06-30 11:21:30
Re:もっとGoogle八分について教えよう

>「あなたの言いたい事を聞こうとする人物が世の中にはいるんだよ」
 もともと、ネットは、需要が少なくて従来の方法では情報流通コストを回収できなかったような情報を安価に流せるから、ニッチな部分や小数のマニアを結ぶという機能を持っています。
 だから、「あなたと情報を共有出来る人がどこかにきっといる」ということを教育したいのであれば、小学生が質問や主張をできるサイト、中学生が質問や主張をできるサイト、などを作って、広く一般からコメントを募ればいいんですよ。もちろん、プライバシー保護のためにハンドル名を使って云々、てな教育もすればいいんですね。まあ、心ない書き込みをする人もいるでしょうが、そこはそれで、大人の側が空気嫁ってことで。
 しかし、これをやるには、教師の側がかなりネット慣れしてないとできない。また、ある程度「しっかりした内容」を出さないと「教育の質を疑われる」といった大人の都合や体面の方を優先したり、ちょっとでもきれい事をやろうとすると絶対にうまくいかない。情報伝達の前にも後にも教師や学校が介入するという作為があれば嘘になってしまう。
 出会い系の心配をするくらいなら、そんな受け身の情報収集ではなく、自分から行動することで人とつながりができるんだよ、という経験を積む方がいいし、判断力も上がると思うんですけどねぇ。


by 酔うぞ at 2006-06-48 23:07:48
Re:もっとGoogle八分について教えよう

ネットの利用というのは自動車の運転と同レベルの難しく、利用を継続するためにはある程度の強い動機が必要なものかもしれない。

平成15年の運転免許保有者数は7800万人ぐらいで、有資格者(16歳以上)の8割ぐらいでしょうか?

インターネット利用者には年齢制限がないことを考えると、運転免許保有者よりも5~10%少ないくらいでほぼ同等ですね。

運転免許を持っている人の行動を書き出してみると。

    自分の自動車を持っている人
    家族や会社など使うことが出来る自動車が身近にある人
    自動車は身近にはないが、運転に不自由はない学生など
    免許はあるが自動車の運転はすれば出来る人
    免許はあるが実際には運転しない人
    免許がないから運転をしない人
    免許はないが違法に運転する人

なんてところでしょうか?

ところで、自分や家族の自動車を自由に使える人でも

    積極的に自動車でどこにでも行く人
    必要があれば自動車で出かけることも出来る人
    行動する地域や使う道を制限している人
    非常に強い動機があるときにイヤイヤ自動車を選択する人

ぐらいの違いがあります。

これを検索エンジンの利用などに置き換えると、自動車の運転することをインターネット利用に相当させると、
自分の自動車とは自分専用のパソコンとかプロバイダ契約といったものでしょう。

どこにでも出かけていくとは、アプリケーションを自分で選ぶといったところに相当しそうです。

必要があればというのは、自分で積極的にではないのですから「注意されたからアンチウイルスは定期的にアップデートしています」と行ったとこでしょうか?

行動を制限している人というのは、インターネットの利用については無理なのだけど実はこれが多い。
「すぐに栓を抜いたから大丈夫だよね?」とか言う人がここかな?

イヤイヤ車で出かける人というのは、「ワープロで文章書けるぞ」と威張っている管理職とかでしょうか?
注意されると「じゃあやらない」とか言い出すわけです。

こんな分け方をしたときに、 Google 八分とは「誰もが使う地図から、特定の地名やランドマークがない」ということですね。

「他の地図には出ているよ」とか「地図のメーカに文句をいおうぜ」というのが「対策」なわけですが、これがどういうレベルのドライバーに通用するのか?と考えてみると。

    積極的に利用する人には地図が間違っていること自体が大問題。
    必要があればどこにでも行く人にとっては「地図にも間違えがあるという情報は重要」だが
    自分が行かないところのために地図を取り替えほどではない。
    行動地域や道を限定している人にとっては「元々地図なんか使わないから、関心はない」でしょう。

こうして並べてみると、実は個人の興味の強さによって行動が大きく違うのは自動車もネットワークも同じなのかもしれませんね。


by はじめ at 2006-06-18 23:33:18
Re:もっとGoogle八分について教えよう

私のサイトもGoogle八分されてます。Yahooにも。Googleは、ページ下に、Google八分してますって表示が出ますので、まだ良心的だと思います。検索エンジン複数利用では、解決できない問題かと。

自分のことになって、初めて情報リテラシーを勉強中です。それで、「オタクの宮崎勤氏の部屋問題」「天安門広場内で死者はでなかった事件」「911同時多発テロ、嘘疑惑?」について知りました。自分のことにならないと勉強しない自分が恥ずかしい。

ネットのおかげで積極的に知りたい人には情報の断片でも入るようになった。でも、判断や解釈が難しい。だからって「Winnyで漏洩」が信用できるでは困る。真贋を見極められる目が欲しいものです。