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学生実験

Posted on 6月 21st, 2006 in 倉庫 by apj

 学生実験のテーマの1つである「光吸収測定」は、ウチでは従来はニッケル錯体の水溶液を測定していた。すると、2日ある実験日の初日で測定が終わってしまう。で、去年からこのネタを追加した。お茶の色素の色がpHに依存して変わるというのを実験で確認するというもの。レポートは、お茶の葉の主な色素分子が何であるかということ、pH依存性が既に知られているものと矛盾しないことなどをまとめてもらうことにしている。まあ、二日目に何もせず遊ぶことになるよりは、世間で出回っている「アルカリイオン水だとお茶の色が濃くなるのはよりよく抽出ができているからだ」というたぐいのインチキ話を一目で見破れる経験をしてもらおうか、ということである。抽出精製した色素を使うとより精密な実験になるのはわかっているのだけど、試薬代がかさむので、お茶をそのまま使っている。
 実験の前に、市販のペットボトルのお茶を適当に選んで買ってきて渡すことにしているのだが、たまたま今日は私が買い忘れたので、TAに頼んで生協に走ってもらった。そうしたら、
十六茶を買って来やがりますた……orz
 行ってもらったのは、この実験の意味も説明しつつ、試薬高いしねぇ……などと言いつつ、デモ実験を一緒にやった博士前期課程の院生である。「主成分がお茶の色素」だから何とかなっている実験に、発色の主な原因物質の見当がつかない十六茶を買ってきて一体どうするんだと小一時間(以下略)。
 結局、学生が飲みかけの生茶と新品十六茶のトレードが成立(笑)して、実験は無事終了した。


ここからは旧ブログのコメントです。


by A-WING at 2006-06-48 05:39:48
Re:学生実験

これは「やりまつがい」ネタですね~。
院生の方,「どれがいいかなぁ沢山あって迷うなぁ」とかやっているうちにパラダイムシフトが起きて「そうだ,自分の好きなのでいいや!」となっちゃったんでしょうかね。


by apj at 2006-06-44 06:32:44
Re:学生実験

院生曰く
「一番安かったから……」
だそうで。
最適化の基準(できるだけ、色素のある成分だけが多い状態が望ましい)を間違えるとこうなるという見本かと。


by hira at 2006-06-54 06:33:54
Re:学生実験

[:うれしい顔:]ここには初めて書きます。
 昨年の2学期、小学6年生を相手に、演示実験したのと似てますね。単元は東京書籍「水溶液の性質」。
 リトマス試験紙の色が変わる原理をひとまず教育テレビの番組で学習した後、発展的学習として「おーいお茶」や出がらしの紅茶に、石灰水やお酢を少し混ぜると、色がどうなるか予測し、確かめるというものでした。
 さらにその結果を受け、ファンタグレープ・黒豆の煮汁(色素の大元はポリフェノールだろうという意味で選びました)や小豆の煮汁の発色が酸・アルカリの混入でどう変わるか、という実験まで遊んでその単元は終わりにさせました。後は自分で調べられるだろうということで。

 十六茶か。主成分は水の次に何がくるんでしょうか。


by apj at 2006-06-18 06:37:18
Re:学生実験

 そうそう、買いに行く直前に、「今回は紅茶でやってみようか」とか「でも糖分のような余分な成分は入ってない方がいいよね」「午後の紅茶のストレートって糖分無しがあったんじゃ……」などという会話をしていたのだった。
だから余計に、o…rzとなったわけで。


by あやママ at 2006-06-28 08:56:28
Re:学生実験

頑張ってね。アルカリイオン水は胃酸過多に有効としてその製造器が厚生省から承認されたものです。
それ以外の人がのんだら有害ですよ。
アルカリイオン水=電解還元水整水器メーカーの注意書きには「乳幼児に飲用させてはいけない」「体が弱っている人や持病がある人は飲用しないこと」などと書かれています。そんな水が体にいいものであるわけがないですよね。
人間の胃酸はPH2というものすごく強い酸です。骨をもタンパク質をも溶かすという硫酸なみの強酸です。胃潰瘍なんかでは1日で胃に穴が開きますよね。胃酸を強いアルカリで薄めたら、人間の体は変調をきたすのは当然のようです。
財界展望って雑誌が水の連載をやっているけど、アルカリイオン水の欺瞞なんかもとりあげていましたよ。http://www.zaiten.co.jp/mag/0606/index.html    
「活性水素」とか存在しない物質を宣伝するメーカーの摘発もはじまりました。
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/05.december/05122604.pdf
アルカリイオン水の悪徳商売にはご注意!
http://atom11.phys.ocha.ac.jp/wwatch/intro.html


by apj at 2006-06-53 10:39:53
Re:学生実験

あやママさん、
 財界展望で批判記事が出たのなら、影響力がありそうですね。
そういう製品に手出しをしそうな会社の偉いさんたちが読んでそうですから。

>アルカリイオン水の悪徳商売にはご注意!
 それ、私が作ってるサイトです……^^;)。


by apj at 2006-06-29 10:45:29
Re:学生実験

>十六茶か。主成分は水の次に何がくるんでしょうか。
 黒豆も入ってましたから、ポリフェノールは含まれているでしょうが、それ以外にもいろいろ入っているので、ちょっと見当がつきません。

 小学校で使うアルカリ性の溶液はやっぱり石灰水が定番ですか。
企業の人から相談を受けた時は、重曹水でお茶を薄めてみることを提案しました。


by Tama at 2006-06-32 21:12:32
Re:学生実験

光吸収測定の演習には向いてないですけど、十六茶を塩基性にしたら色がどうなるかは気になりますね(笑)。

なんか石がおまけで付いていた時は大量に買いまくりましたが、その反動?が出たのか、以降はほとんど買わなくなりましたねぇ。


by 名無しのごんべえ at 2006-06-56 21:25:56
Re:学生実験

>院生曰く「一番安かったから……」だそうで。
一瞬うなづけるものが・・・。
その学生さん、関西出身ですか?もしそうだったら、ある種自然な行動かと思います。


by mikaru at 2006-06-04 22:31:04
Re:学生実験

はじめまして。いつも楽しく拝見しております。
お茶がpHで色が変わるというと、紅茶にレモンをれると色が薄くなるというのがありますよね。
ちょっと前の午後の紅茶レモンティーのCMで「実は無着色!」というのをやってましたが、どうしてストレートティーに着色料入れて色が薄くなるんじゃ!と突っ込みを入れてました。
でも、こうやってCMで流すということはかなりのクレームがきたということですよね。
一般消費者の科学知識がこんなものなのかと愕然とした記憶があります。


by kozaru at 2006-06-19 02:49:19
Re:学生実験

>人間の胃酸はPH2というものすごく強い酸です。
>骨をもタンパク質をも溶かすという硫酸なみの強酸です

たしかに胃酸は強酸性ですし
そりゃ骨もタンパク質も溶けますけどね。
「硫酸なみ」ってのも少し違うように思いますよ(^-^;
pH2の喩えなら希塩酸でいいじゃないすか。いやそのままなんですが。

#「硫酸」て聞いて「濃硫酸」のパワーをイメージするのはその筋の人だけなのかな・・・。


by Niimi at 2006-06-23 07:34:23
Re:学生実験

そういや「午後の紅茶 無糖」(緑ラベル)って最近見かけませんねぇ。……って90年に出たのが最初で最後?


by hira at 2006-06-36 08:02:36
Re:学生実験

 石灰水は、理科室では教卓横のシンクに作り置きしてあるので使いやすい、ということです。ちなみに炭酸水はサントリー製で冷蔵庫に保管してます。

 水酸化ナトリウムやアンモニア水は薬品庫にきちんと保管してあるため、取り出すときは薬品庫を開けるために鍵束を取っかえ引っかえして数分間を要します。こういう発展的というか雑学的実験の場合は石灰水を使うのが手っ取り早いわけで。

 なお、缶から出したての緑茶(「おーいお茶」など)は、最初弱いアルカリ性を示しますが、放置しておくと弱い酸性となるみたいです。これはリトマス試験紙が変化したためそう思っているのですが、色がその際どう変わるかは、その時チェックしてなかったのが残念なところ。次にやるときはデジカメで写真撮るなりして調べておこう。


by kazui at 2006-06-10 19:21:10
Re:学生実験

はじめまして

>缶から出したての緑茶(「おーいお茶」など)は、最初弱いアルカリ性を示しますが、放置しておくと弱い酸性となるみたいです。
お茶成分の酸化を防ぐために、通常、原料水について脱気装置により溶存酸素を除去しています。
このときに、炭酸ガスも同時に除去されるため、中性付近となります。
しかし、開缶すると、また炭酸ガスが空気中から溶解するため弱酸性を示すようになります。


by あやママ at 2006-06-26 20:24:26
Re:学生実験

http://atom11.phys.ocha.ac.jp/wwatch/intro.htmlがご本人のサイトだとは失礼しました。
しかし、水道水が悪いことを認識して、へんな浄水器たぐいに走る人の多いことでしょう。電解還元水浄水器なんかを使っている人はもう、宗教、カルトの世界の人と同じで、どうしょうもありません。


by いいじま at 2006-06-46 21:03:46
Re:学生実験

ふと思ったんですが、市販のPETボトル入りの緑茶って、必ずと言っていいほど酸化防止剤としてビタミンCが入っていますよね。
アスコルビン酸の吸収域って、実験で測定する範囲には影響はないのでしょうか?


by apj at 2006-06-16 06:40:16
Re:学生実験

 アスコルビン酸の水溶液は透明なので、可視光による吸収はありません。酸化されると黄色っぽくなってきますが、濃度が低ければ、測定にはほとんど影響しないだろうと考えています。実際、味も感じない程度しか入っていませんし。


by かものたぬき at 2006-06-24 20:28:24
Re:学生実験

午後の紅茶@緑ラベルは、無糖ストレートと言ってますが甘味料(ステビアだったかな?)が入っていたと思います。
だいぶ前になるますが、別のメーカーで甘味料を加えた「無糖」ストレートティーのCMに「何故かほんのり甘いの」というのがあってズッコケた覚えがあります。
本物の無糖ストレートティーとしては午後の紅茶の場合、金色のラベルと黒のラベルのものがほんの短い期間ですが出回っており愛飲したものです。