入ってからがエラいことになりそうな
≪教員評価を厳格化…下村博文衆院議員≫
安倍さんの教育改革は官邸機能を強化して行われる。文部科学省に任せていてはピントがずれているし、時代の流れに合っていない。内閣ができたらすぐに首相主導の「教育改革推進会議」を設置して、来年の3月くらいまでに結論を出す。後は文科省に投げて中教審で議論してもらうにしても、根本的なものは作っていくということを考えている。テーマは10くらいあるが、例えば、子供たちに、1人で生きているのではなく、社会みんなで助け合って生きているのだと実体験してもらうために、奉仕活動、ボランティア活動を必修化しようという案がある。
高校卒業は3月だが、大学入学は9月にする。半年のブランクのうち3カ月間は、介護施設などで奉仕活動をしてもらい、その経験がなければ大学に入学させない。
それから、駄目な教師は辞めさせる。一方で、いい先生の待遇をよくするという体系に変える。親が学校に期待しているのは、いい先生だ。
ジェンダーフリー教育は即刻やめさせる。自虐史観に基づいた歴史教科書も官邸のチェックで改めさせる。
一番大切なのは心であり、徳育だ。そういったものを、推進会議で一気に処方箋(せん)を作って実行に移すことが必要だ。
私は文科政務官をしていたが、文科省にも共産党支持とみられる役人がいる。官邸機能の強化には、省庁の局長以上の人事については官僚ではなく政治が任用することが必要だ。
世界各国を見渡した限り、「強制労働」は、むしろ共産党の十八番だと思っていたのだが……。それはともかく、3月に高校を卒業して、9月までの半年間のうち3ヶ月がボランティアでつぶれるとして、残り3ヶ月はどうすのだろう?現状では、3月に高校を卒業して、春休みがあって(この間に、大学進学者は受験勉強から開放された気分になるし、人によっては下宿を決めたりするなど忙しい)、大学で新学期が始まる。一般教養の講義などしていると、学生のコメントに「受験でやってからずっとやってないので復習になってよかった」「だいぶ忘れていたので内容を思い出せて良かった」といったものが出てくる。1ヶ月足らずのブランクでこれなら、半年ブランクがあると一体どうなるのだ?
そういえば、隣の韓国には徴兵制がある。学業に復帰するときの問題点や、教える側のカリキュラム的なケアの仕方については、韓国の方がノウハウを持ってそうだ。半年ブランクの制度を作るまえに、隣でどうしているか訊いてみた方がいいかもしれない。
ここからは旧ブログのコメントです。
by 中山 at 2006-09-54 12:12:54
Re:入ってからがエラいことになりそうな
半年のうち3ヶ月が奉仕活動の様ですから、残りの3ヶ月は勉強することになっているのでしょう(どこで?)。奉仕活動中も24時間拘束されるわけではありませんから、帰宅後に自習するとか、言い抜けはいろいろできるでしょうね。
案外、少子化で悩んでる学習塾や予備校に「大学入学前春期講座」とか作って儲けさせる手段かも知れません。或いは「卒業後の半年間もフォローしまっせ」と売り出す私立高校(教育バウチャーが導入されれば公立も)が出るかも。で、大学も同じく「入学前春期講座」を開講させられてさらに疲弊という最悪の結末まであったりしてorz。
個人レベルで見ると、バイトを並行して行うことができるにしても(下宿予定者の場合、半年しかその土地に居ないから、家庭教師や店舗勤務は難しいでしょうね)、卒業は半年遅れるわけで、就労期間が半年減って、生涯獲得賃金は基本的に減少。親が養う期間も半年増えるので、家計の支出も増加。ということは、間接的の増税じゃねーの?。これらの金銭的損失を上回る利益が生まれるか否や、社会がコスト増加に耐えられるか否や。この手のゼニカネの問題をクリアしないと画に描いた餅ですから、実際の政治日程に載ったとしても、そうとう実務サイドから突っ込まれるでしょう。
9月入学導入・奉仕活動導入で予想されるメリットもあるでしょうから、発想自体を一概に否定しようとは思いませんが。
by いいじま at 2006-09-34 17:30:34
Re:入ってからがエラいことになりそうな
韓国の場合、軍に入隊する時期は昔の日本のように一律20歳ではなく、20代のうちに満了できる範囲内で自分で時期を選べますから、学業が一段落した段階でとか、就職前に、とか、いろいろ選択肢はありそうです。でも社会に復帰するときの体制はどうなっているのか…うちの職場には韓国人が複数いるのですが、こういうネタはなんとなく聞きづらいです。
by apj at 2006-09-20 19:41:20
Re:入ってからがエラいことになりそうな
中山さん、
おっしゃるとおり、諸々の損失が生じますね。問題は、その損失を受け入れてもやるメリットがあるかどうかです。やって得られるものが損失に見合わないなら意味がない。
いいじまさん、
韓国の徴兵制は、学業には差し障らないようにできそうですね。それでも二十台の人口の相当部分を軍隊に貼り付けたりすると、経済活動からみて相当足を引っ張ってそうです。まあ、隣は戦争中で、高度な熟練は不要な兵士が頭数だけは要る(国境線の警備が大変)し、デメリットを受け入れてもやるしかない状況なのでしょうけど。
by B-51 at 2006-09-11 01:59:11
Re:入ってからがエラいことになりそうな
http://allabout.co.jp/career/worldnews/closeup/CU20060323A/index.htm
によると、韓国では
>入隊の時期は19歳から29歳の間で選べますが、兵役を終えていないと就職で不利になるなど社会で「1人前」と見られないため、大学中に行く者が多いようです。
と言うことだそうです。
まあ、会社組織としては、兵役で軍隊の経験がある人のほうが扱いやすいでしょう。
そういった意味では、社会にとってマイナスばかりでもないのかもしれません。
by B-51 at 2006-09-11 01:59:11
Re:入ってからがエラいことになりそうな
http://allabout.co.jp/career/worldnews/closeup/CU20060323A/index.htm
によると、韓国では
>入隊の時期は19歳から29歳の間で選べますが、兵役を終えていないと就職で不利になるなど社会で「1人前」と見られないため、大学中に行く者が多いようです。
と言うことだそうです。
まあ、会社組織としては、兵役で軍隊の経験がある人のほうが扱いやすいでしょう。
そういった意味では、社会にとってマイナスばかりでもないのかもしれません。
by 越後屋遼 at 2006-09-33 02:10:33
Re:入ってからがエラいことになりそうな
ボランティア活動自体はまぁ別にしてもらっても構わないんだけど、「大学に入学するため」などという理由で参加して欲しくないというのは受け入れ側※の思いとしてはあります。
(※私は元、神奈川県肢体不自由児者父母の会理事、兼、相模原市肢体不自由児者父母の会副会長、兼、相模原市障害児者福祉団体連絡協議会幹事でした。今も地元で近隣の施設の世話とかしています。)
特に、3ヶ月限定で手伝いしてもらってもな・・・。
その後も継続的に自主的に手伝ってくれるのならいいのだが。
てゆか事故が怖いんですけどぉ・・・。
ま、平気で点字タイルの上に自転車置くような大学生が減ってくれるのは歓迎できるが。
by 酔うぞ at 2006-09-02 02:22:02
Re:入ってからがエラいことになりそうな
それ以上にね、大学を9月入学にして4月卒業にしたら、4年制はは3年半制に、2年制は1年半制になってしまうわけだ、だからといって年度の切り替えを9月にしたらそれはトンでもないコストが掛かって不可能。
というわけで、ほぼ全く実現の可能性のない話だと思ってますわ。
今日も高校に行ってきたのですが、どうも高校での社会人向けの教育(キャリアー教育)の目標は「一人前の高校生にする」みたいですよ。
by 田部勝也 at 2006-09-46 04:58:46
Re:入ってからがエラいことになりそうな
元教員です。
>下村博文衆院議員「それから、駄目な教師は辞めさせる。一方で、いい先生の待遇をよくするという体系に変える。親が学校に期待しているのは、いい先生だ」
親に辞めさせられた(?)駄目教員が言うのもナンですけど、菊池誠氏のブログで話題になってる高校カリキュラムの問題(「理系」を含む多くの高校生が物理を全く履修せずに卒業するとか)って、職員会議や教科会などでは猛反発なんですけど、親側からの強い圧力で仕方なくそうなってる部分が大きいんですよね……。
教科会で話し合って、推薦合格者対象に特別講習をやったり、1,2年生の課外講習や夏期講習・冬期講習の中で、(進路選択の参考にとかの名目で)こっそり他科目をさわりだけやってみた事もありましたけど……。
──ただ、大学入学後に、高校での履修科目が原因で自分の子供が苦しんでも、大抵は大学教育側の責任にして、高校の近視眼的なやり方に文句を言ってくる親がいないのは、後ろめたさの強い高校教員側としては有り難い現象なのかも……(苦笑)。
多くの親が「いい先生」と言うのは、大学に入れるまでの話で、大学でうまくいかなかったり、社会でうまくいかなかったりしても、「高校の先生はいい先生だった(=大学の先生や社会が悪い)」って事になっちゃってますからね。本音では「本当は向いてないと思うけど、この大学・学部なら入れる」とか「この科目を履修してないと入ってから大変だけど、受かるためなら仕方ない」とか開き直ってやってる「いい先生」も多いような気がする……(もちろん、駄目な教員の負け犬の遠吠えですけど)。
>apj氏「世界各国を見渡した限り、「強制労働」は、むしろ共産党の十八番だと思っていたのだが……」
下村博文衆院議員が主張している「一番大切なのは心であり、徳育だ」の実践においても、共産主義国家に見習うべき点は多いですね……(苦笑)。
それにしても、同じ記事内での稲田朋美衆院議員の「真のエリートの条件は2つあって、(中略)もうひとつは、いざというときに祖国のために命をささげる覚悟があること」という信念は、「お前の命をささげよ」と命ずる立場の人間の発言だと思うと、ある種の怖さを感じますね。少なくとも、「幅広い教養を身に付けて大局観で物事を判断することができる」人は、自分の信念・美学・誇りに命をささげる事はあっても、為政者を盲信する事などしないと思うのですけど……。
by hira at 2006-09-20 07:07:20
Re:入ってからがエラいことになりそうな
駄目な教員が辞めさせられるのは仕方ないとして、その一方で、駄目な議員とか某不祥事の火種を抱えた議員の身分が保証されてるとしたら何だかなーと思うんですが。
我が身を修めてこその民主代議制だと思うんですが。
by オラ at 2006-09-43 20:15:43
Re:入ってからがエラいことになりそうな
ヴォランティアというのは、もともと志願兵のことだったはず。
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?stype=0&dtype=2&p=volunteer
強制的なヴォランティアって、西の空の明けの明星のような (^^;)。
by 越後屋遼 at 2006-09-31 22:43:31
Re:入ってからがエラいことになりそうな
その通りです。
ボランティアは人にやらされるものではないんですよ。
逆にボランティアは無償でやるものと思っている方もおられますが、対価をもらって行なうボランティアはけして少なくありません。
事実、私がいた上記の団体では、可能な限り、なんらかの報酬(謝礼)をお支払いしていました。
その方が、子供を見てもらうにせよ、家事をしてもらうにせよ、遠慮する必要がないという心理的な理由もあります。