私個人の対処
以下,大学がどうするかは知りませんので,私個人にさしあたってできる対処ということで。
例のシオザワ氏ですが,使っている回線を持っている事業者がわかった(回されてきたメールヘッダから、メール投稿元のホストIPが124.34.12.27だとわかった)ので,プロバイダ特定のため問い合わせ中である(回線事業者が他のプロバイダに回線を貸し出していたりするので,まだはっきりしない)。特定できたら,迷惑行為を山形大学と私に対して働いたということを理由に,発信者情報の開示をかけてみる予定。プロバイダの本店所在地でまたログを消すなという仮処分を突っ込んでから,プロバイダの代理人弁護士と交渉になるんでしょうかねぇ……。
今回,私が書いたのは,本当っぽい個人情報が出ていてもそこは信じず別の観点から情報を見ようという,ネット上の情報のリテラシーについての話である。新聞記事の内容と法的手続きの議論しかしておらず,シオザワ氏についてはそれっぽい情報の見本として2ちゃんねるに出ていた名前と住所らしきものを引用しただけで何も書いていない。第一,匿名掲示板のこの手の情報は信じる方が間違っている。従って,シオザワ氏に対する名誉毀損など成立もしないと考えている。また,仮に,シオザワ氏が2ちゃんねるの運営サイドを提訴していたとしても,それは本人にとって正当な行為であるので,提訴したことが知られたことそのものによって本人の名誉が傷つけられるとは通常考えられない。
いずれにしても,気軽に大学に何か言えば何とかなると思いこむ風潮の方はどうにかしないといけないと思うので,今回は可能な限り相手を追求する方向で動くことを試みる。これは,お茶の水大の方で水商売ウォッチングを始めたときからずっと考えていたことである。
でも,相手に到達する手順をあれこれ考えていると,何だかもう,訴状が来てくれた方がいっそ楽なんじゃないかという気がしてきた。相手の特定に手間暇かける必要がなくなるので……。
飛騨の人対応でプロバイダ2社を相手に東京地裁に何回も通ってがさがさやってたあの手順を,相手を変えてまたやるのかと思うと正直うんざりしてくる。本業だって十分忙しいのに……orz。
ここからは旧ブログのコメントです。
by RBの残党 at 2007-03-08 09:58:08
Re:私個人の対処
相手の提訴を待って反訴するって
良い考えではありませんか。
貴重な時間は物理の研究にお使い下さい。
by apj at 2007-03-03 19:22:03
Re:私個人の対処
ですよねぇ。今回は反訴が楽しみなケースではあります。
まあ、プロバイダがどこか位までは、簡単にできるなら押さえておこうとは思いますが……。
その先は他の仕事とのかねあいかな。
by BR at 2007-03-24 08:16:24
Re:私個人の対処
君子危うきに近寄らず。。。。
もう近寄っちゃったので、研究時間ゼロの地獄巡りしてきてください。
きっと、そのあと心入れ替えて本務に励めるでしょう。
by apj at 2007-03-56 09:04:56
Re:私個人の対処
>もう近寄っちゃったので、研究時間ゼロの地獄巡りしてきてください。
冗談じゃないですよ……T_T。
今年はウチの学部、建物改修工事があったりで、カリキュラムも立て込んだりしてるし、夏まではあちこちで話をしなきゃいけない予定があったりするのに。
シオザワの中の人のはどう考えても誤爆にしか見えないんでちょいと後回しかな。プロバイダの特定までは多分メールのやりとりだけで済むと踏んで、メール投げて返事待ちなんだけど。
by うっま~ at 2007-03-26 09:18:26
Re:私個人の対処
>BRさん
うーん、意味はあるとは思うんですよ。多分、apj さんは
そういうことをやった結果をここで報告するでしょう。そう
すると、皆さんのリテラシーの向上に繋がったりする、と
思うんですよね。
by BR at 2007-03-03 09:40:03
Re:私個人の対処
つまり、一人が人柱となって、他の多くの研究者に、平静な心と研究時間を与える、とこういう事をおっしゃっている訳ですか。。
いや、まじめな話、私も数年前、ちょっと似たような状況に陥って、私の場合は一種の広報パンダやらされ、老獪な学科の長老どもに良いように使われました。それ以来徹底的な利己主義者となって、自分の好きな事に励んでます。
by apj at 2007-03-59 10:02:59
Re:私個人の対処
そのメールの返事が来ました。
相手はユーコムコーポレーションです。
ところが、ちょっと対応に問題ありです。私からの苦情は相手に伝えるけど、顧客情報は警察の捜査でないと出せないと主張しています。この会社、他のプロバイダに回線を貸したりもしているので、IPアドレスの割り当てだけでは、相手がどのプロバイダを使っているかが特定できないんですね。すると、いわゆるプロバイダ責任制限法で発信者情報の開示を求めた場合、ウチじゃないといって逃げられる可能性があります。あるいは、二度手間踏まされる可能性が高いです。事実関係については知らないと言い張る上に、顧客情報だから本当のプロバイダ名も出さない、ということになると、たどり着くのに時間がかかり、その間にログが消されたりすると、追跡が不可能になります。
こういう、他社に回線を貸し出す会社に対しては、通常よりも厳しい開示義務を課して、責任も負わないくせに逃げ道だけ用意するような行動は防がないといけないんじゃないかという気がしてきました。つまり、通常の開示手続きの相手プロバイダまでは迅速にたどり着けるようにするということです。
そういえば、この間テレサ協のパブリックコメント募集が出ていましたが、この手の意見は誰か出してるのかな。次のコメント募集では、文書にして突っ込んだほうが良さそうですね。
by apj at 2007-03-03 10:39:03
Re:私個人の対処
うっま~さん、BRさん、
リテラシーをどう定義して教えるかというのは、幅が広いだけに難しい問題だと思います。
情報リテラシーとか、ネットリテラシーというのは、トラブルへの対処も含んだものでなければならないのではないかというのが、常々考えていることです。どうやってぐぐるかとか、信用おける情報にどうやってたどり着くか、あるいは不用意にプライバシーに関する情報を書かない、といったことは、確かにネットを利用し始めの頃に知っておくべきことです。
ところが、ヘンな相手と揉めてみたり、どう考えてもこれは誤爆だろうというような「訴えてやる」メールが来たりするわけです。本当にややこしい案件なら弁護士の手を借りることになるのでしょうけど、挨拶代わりの訴えてやるメールにびびっていたら、ネットで情報発信なんかできません。でも、訴えてやると言われたらどうするか、というのは学校ではほとんど教えてくれない。しかも、日本の民事訴訟制度は恐ろしい事に(笑)、実は本人訴訟が基本なんですよ(外国の訴訟制度には、弁護士をけないとできない、となってるものがあるけど、日本では本人がやることになっていて、代理人を雇うのはあくまでもオプションです。弁護士に頼む人が多いけど、制度上はあくまでも本人訴訟)。ということは、訴訟対策の基礎的な部分は、普通の社会人のリテラシーとして、必要なので、本当は高校の社会科あたりでやっておくといいんでしょうけど、そうなっていませんね。
もう一つのリテラシーは、ネットにも共通なんですが、文章で他人に間違いなく状況を伝えるということかなあ、と思います。これは、今回別エントリで書いたように、訴状を書いてみてさらに実感したんですけどね。特定のフォーマットで書くとか、法律の内容に沿ったことを書くというのもあるのですが、それ以前の問題として、そもそも「他人が読んで状況がわかる文章」でないと話にならないでしょう。どうも、国語の授業で書かされる作文とも少し質の違うもののように思います。弁護士を頼めば、口頭で説明したことを元に書類は弁護士が書いてくれるでしょうけど、それでも説明が意味不明だったら書きようがないでしょうし。
あとは……ネット利用で海外オークションなんかに手出しすると、非英語圏の個人を相手に連絡を取るなんてことになって大変ですね。相手がショップだと定型のオーダーフォームなんかがあって楽なんですが……。語学のハードルがまずある上に、距離が遠いので、何をするにも時間がかかる。それを見込んで何月何日に何をやったかという状況説明だけはこまめにやらないとトラブルの元になります。
私はたまたまリテラシーをこんなふうに捉えているのですけど、別の人はまた違った意見を持っておられるでしょう。難しいですね。
でも、情報発信の自由度は確保したいと思っているので、どうすれば実現できるかは継続して考えていきたいです。ぶっちゃけ、教員Aが大学の後押しで産学連携してるネタが教員Bのニセ科学批判の対象、などという、学内で利益相反になることだって有り得るんですが、多分今の大学はこんなの想定してないでしょうね。
by うっま~ at 2007-03-12 11:07:12
Re:私個人の対処
> 教員Aが大学の後押しで産学連携してるネタが教員Bのニセ科学批判の対象
こういうのって、遠目から見ると学内政治の場外乱闘に見られてしまうような気も…